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【学園編開幕】異世界快進劇 ヤマトナデシコ ~超人カップルにとって、異世界転移は旅行同然!帰るまでが旅行です~【現:二章三節】  作者: 沢クリム
『緑ノ章 愛歌のロニア』 第二節 学びは交響曲

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107.交流戦、第二試合。魔力付与。



「……さぁ、次は付与、についてのおさらいだ」


ユディト先生の前には、俺とイザベラが相対している。

ライリーは、エマ先生が用意した椅子に座っている。表情は不服そうだが、安静を厳命されて従っている。エマ先生は、その付き添い。メグとナデシコは見守るように少し離れている。

そして、ナデシコは腕を組んでいる。お嬢様って設定なんだがらベガ立ちはやめろよ。足まで揃えてる。


「…ヤマトくん、簡潔に説明したまえ」

「魔力を何かに付与し定着させる。武器や防具に使えば、耐久力や性能の向上が出来る。一度に付与された物はその者の魔力の『波長』に最適化される。例外は、武器職人が予め、万人に向け調整したもの。『波長』の方の説明もした方がいいか?」

「……いや、十分だとも。…では、イザベラくん、『波長』について触れながら、より詳しい解説を」


「はい。まず、『波長』についてですが、魔力の個性、のようなものです。各個人で異なり、完全な一致は兄弟でも珍しいです」

そうらしいが、実は俺とナデシコの波長は、かなり似ているらしい。同じ世界から来たからか、それは未だ不明のまま。


「付与において、波長の重要性は、他者との連携で深く関わって来ます。他者が付与した武器でも、波長の合う者は使用が出来ます。それ故に、支援にも応用可能な系統です。他にも、付与を使いこなす者には、状態の観察や魔力の調整が得意、といった特徴があります」

そう言えば、それは俺も得意なことだった。イザベラも、ナデシコの特徴を遠目でも当ててたな。

強化が直情型なら、付与は分析型、ってとこか。


「ほとんど完璧ですね。今、補足するところもありません」

エマ先生はにこやかにその回答を褒めた。

あ、今一瞬、イザベラの鼻が膨らんだ。分かり辛いが、嬉しいらしい。


「……十分だ。…己の技量、武器や防具への理解、これは経験がモノをいう。……剣を扱うキミ達にとって、知識と経験が刃となるだろう。…存分に研ぎ、磨き、糧としたまえ」

その言葉に、俺とイザベラ図らずも同時に頷いた。


「……さて、次の試合は、強化をテーマにイザベラくんとヤマトくんで行う。…無論、剣を使ったものだ。…いいかい?」

「「はい!」」

「……では、準備をしてくるので、少々待ちたまえ。…ナデシコくん、運ぶのを手伝ってくれるか、な?」

「いいわよ」

少しだけ出鼻をくじかれた俺達は、二人を見送った。そう言えば、イザベラは何も携帯していないな。


「ヤマトさん。最初に言っておきます。剣を使う以上、ハンデは貰いません。むしろ、正当な剣術を習ってきたわたしが、何かしらの制限を受けるべきかと」

「そうか?じゃ、語尾にニャンで」

「ニャン!?」

「……本当にやってくれるとは……」

「まぁ、かわいらしいですわ」

「あいつ…そういう趣味だったの……」

「ちょっと、どうかと思います…」

俺の株は大暴落を向かえていた。ツッコミ待ちだったのだが…。

ナデシコとのノリで会話をすると大やけどをすると、学んだ俺だった。これも刃に…ならないか、流石に。


「……この借りは、剣で返します…!」

いや、どう考えても自爆…。

その後、少し待ってから、二人は帰ってきた。


「……待たせた、ね。…ナデシコくんから、面白い種目を聞いて、ね。…『叩いて被ってじゃんけんポン』は、いずれやろう」

運んで来たのは複数の木剣が入ってる樽。何話してんだ、ナデシコ。…え?いずれやるの?


「……種目は、剣で剣を破る、略して、けんけんぱ」

……ホントに略して良かった?


説明されたルールは以下の通りだ。

壊れやすくした木剣に付与を施し、それを使って打ち合う。手持ちの剣が三本、壊れれば負け。

相手から壊された場合でも、付与や力加減を間違えて自分で壊した場合にもカウントされる。

制限は二つ、身体への打ち込みの禁止。強化の使用禁止。

技と付与の練度の比べ合いになる。


「……それで、ハンデは、要らない、と?」

「はい!純粋な技量で勝負させてください!語尾もそのままで結構です!」

「……なぜ、語尾?」

色々ありまして…。


「じゃ、姫ちゃんは預かるわね」

「ああ、頼む」

ナデシコに腰の『姫桜』預ける。最近はずっと付けてたから、無いことに違和感を感じる。

「任せるニャン」

「……勘弁してくれ」

どうやら、俺とイザベラが説明を聞いてる間に、ライリー辺りに告げ口を聞いてたみたいだ。

しかし、口とは別に手は、ナデシコの頭に伸ばして撫でてしまった。ナデシコはわざとらしく、喉を鳴らした。危ない、人目が無ければ抱きしめるところだった。


「試合前に、ハレンチです…!」

イザベラはさらにヒートアップしていた。

「ふふ、仲が良くていいと思いますわ。…それにしても、ヒメチャン…あの装飾、形状、気になりますわね…」

メグはにこやかだったが、どうにも『姫桜』が気になるようだった。


「…では、始めよう。この中から一本、選びたまえ」

「ああ、分かった」

どれも見た目は変わらない。この世界の木剣は、両刃の直剣の形状だ。反りがないので、いつもと勝手が違う。

何気なく手前にあった、木剣を取った。その瞬間分かった。塗装で誤魔化されているが、刃の部分の中点辺りに大きなヒビが入っている。


「呆れました。…すでに勝負は始まってるのですよ?」

イザベラはあっさり手に取った俺に批難の目を向ける。そう言ったイザベラは、木剣をまだ手に取っていない。じっくり観察している。

「…こちらにします」

やがて一本の木剣を手に取った。そこで俺も気付いた。損傷の具合が違う。自分の分を手に取り、見比べることで、やっと状態が違うことが分かった。


「わたしはこれまで、いくつも木剣を使い潰して来ました。付与も数え切れないほど施しています」

規定の位置、一歩踏み込めば、互いの間合いのその場所で相対した。その言葉に、あったのは、確かな自負。


「次の剣は、よく観察して選んでください」

切っ先は、俺に向けられた。先ほどまであった怒りや、呆れはない。その構えに、油断等の余分はない。


「ああ、そうする」

俺も構える。上段。振り下ろしの構え。


「……では、始めたたまえ」


踏み込む、下ろす。結果、イザベラの木剣は、綺麗な断面に沿って、ストンと地面に落ちた。一拍おいて、俺の木剣も半ばから折れ、地面に落ちた。



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