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沙也加と僕  作者: ユキから
21/33

わたしを無視⁈

「優也さん、新作の撮影、いよいよ決まりそうよ。」

『そう、台本は届いたの?』

「明日くらいみたい。」

『顔合わせはいつですか?』

「ん?あ、なんかね、顔合わせの前に撮影開始するんだって。」

『えっ、そういうのって有り?出演者の人たちに失礼に当たらないの?スタッフさんにもお願いは?』

「それがね、高校生役でしょう?学校での撮影に校舎を借りるには、どうしても春休み中でしか許可が下りなくて慌てて決まったみたい。そうすると他の皆さんのスケジュールを合わせられなくて。あ、でも、失礼に当たることは了承してくれたんだって。だから、そこは気にしなくていいわ。」

『そう?でも、それだったら校舎を使うシーンって、最初だけ?』

「筋書きだと、転校するんじゃなかった?転校するその学校は、去年廃校になってる校舎を使うから心配ないみたいよ。」


急に決まった新作の、いつもなら真っ先に出演者やスタッフの皆さんにお会いして、よろしくお願いしますというのが自分が一番大切にしている儀式なのだ。

それをいきなり省いて撮影がスタートするなんて、本当にいいんだろうか心の中に引っかかるものを感じた。ただ、映画の撮影などになると、それこそ何の発表も無いうちにロケがスタートして、キャスト全員が判明する頃は撮影の終盤だというようなのが当たり前だと、ベテランの俳優さんから聞いた事があった。


「高校生夫婦」の撮影初日、僕はかなり緊張して現場に到着した。

ロケバスの中に楽屋が用意されており、スタイリストさんから化粧や髪型を整えられ、役柄の制服に着替えた。

今までとは違う緊張感はまだ消えていない。

それは、届いた台本が大いに影響したのだ。実は、あれほどキスシーンを拒否していたのに、全然分かってくれていなくて、しかも、無言のうちにキスをするとなってるのだ。

漫画を読んでいると、確かにそのシーンが展開を面白くさせるのは間違いないが、もう一つ、心に引っ掛かるものもある。

ユイさんからの情報では、相手役が新人とかいうことで、面識のない僕が相手でその後の撮影に、いや、その後の女優人生にトラウマになるのではないかと気になる。


ロケバスから降り、ディレクターさんの指示に従ってカメラの前に出る。

校舎の中、廊下が一気にライトの明るさで眩しくなる。

カメラを背にして廊下を歩いて行く。次はカメラの位置が逆になり、カメラに向かって歩く。

階段を下りていく、反対に駆け上がるなど、何通りも撮影が続きました。

途中、気になったのは、共演者が1人もいないことだ。

時々セリフをカメラに向け言うのだが、これは後から切り貼りして繋ぐことは理解出来る。

そして、校舎から外に出た。

グランドの端に今日が満開ですよ、と咲き誇っている大きな桜の木が3本、見事に並んでいる。その向こうは、近くの川に沿う堤防だろう自転車が走っているのだ。

僕は、グランドの中ほどに立ち、桜の花を見る姿勢で気を付けに近い姿勢になる。

すると、僕の後方からのアングルで撮影がスタートして、次にカメラが僕の周りを回りながら撮っている。顔付きは真面目な表情でという要請があった。


それから、全力疾走して桜の木を潜り抜け堤防を駆け上がる。

カメラマンさんが後を追うように走って来ると聞いたので、本当の全力ではなかったが、距離にして100メートルぐらい。

堤防の上から振り返り、桜の花を見る。

すると、大きな花が目の前にある。すぐに思ったのは、小さな頃から、桜の花は毎年見続けているが、こんなに目の前にある花を見た記憶がない。しかも、本当に満開で咲き誇っている。


誰からも声が掛からないので、仕方なく勝手にリアクションを地味にしてカットの声を待った。

普段の撮影でも経験していないくらいの時間が経過して、ようやくカットの声が聞こえてきた。

「はーいオッケーでーす。今日はこれで終了します、お疲れ様でしたー!」

『ありがとうございました、お疲れ様です。』

僕は、撮影スタッフの皆さんにお辞儀をしながらお礼を言った。



「ねえ真由美、明日のこと、なんか聞いてる?」

実は、今日のスケジュールが終了して、家に帰ってきて玄関のドアを開けようとした時、マネージャーのルミさんからメールが届いて、明日の朝、いつもよりかなり早く会社の方へ出勤するようにと。

「ん?明日?聞いてないよ。どうかした?」

「ルミさんからメールが来て、朝8時までに会社にって。」

「それだけ?」

「うん。」

「わかんない、けど、早いね。起きれる?」

「そりゃあ起きれるわよ、子供じゃないんだよ、朝ごはんだって食べて出て行くからね。」

「じゃあ私が用意するね。」

かおりが口を挟んできた。

「いいよ、どうせパンを焼いて飲み物ぐらいの朝食なんだから。」

真由美が切り捨てるような口調で話してくる。

「あのね、それがひどい朝食ってでもいいたいの?真由美のだって、ほとんど変わんないじゃん。それとも、真由美、これからの朝食はスクランブルエッグやサラダを作ってくれるの?」

「いいわよ、じゃあかおり、明日の朝はお願いね。」

「えっ?何、真由美が作るんじゃないの?もーう、性格最悪。」

「真由美、あんたも食べたいんでしょう?ひょっとして、自分で作るとか?」

「なあんだ、安心して。ちゃんと3人分作るから。」

「えっ、本当に?最初から言ってよ。私だけパン一枚かと思っちゃうでしょ?」

「アハハ、スネてたんだ。バカねえ、私が意地悪な子みたいに。」


朝6時、寝過ごすこともなく無事に目覚める。

すぐにリビングに行くと、キッチンの方からいい匂いが漂ってきた。

「かおり、おはよう。ねぇ、もう作ってくれてたの?」

「うん、あと少しで用意出来るから、出掛ける準備したら?」

「うん、ありがとねー。」

部屋に戻って、いつものように髪を梳かし軽くメイク。極端にならないミニスカートと薄いピンクのシャツ、その上にジャケットを着た。


リビングに戻ると、寝ぼけ眼の真由美が座っていた。テーブルの上には美味しそうな朝食が並んでいる。トースト、サラダはアスパラガスやレタス、プチトマトも。夕べ話題になったスクランブルエッグに真っ赤なケチャップが鮮やかにかかっている。

美味しそうって言おうとした時、かおりがコーヒーを運んできてくれた。

「かおり、すご〜いよ、めっちゃ美味しそう。」

「えへ、どうも。さあ、食べよっか?」


サラダから食べようと口に運ぶ。酸味の効いたドレッシングが口の中にファッと広がり、それだけで美味しさが。

スクランブルエッグも一口食べてみた。ふわふわとして優しい味、ケチャップがアクセントになり、これならいくらでも食べられると思った。

寝ぼけ眼の真由美が、目をパッチリと大きく開き

「美味しい!」

その声があまりにも大きかったので、かおりと2人、一瞬動きが止まった。


私は、8時より少し早めに到着するように家を出た。


そして、到着したのは20分ほど前、営業部の部屋に入って行くと、すでにルミさんが来ていて何か仕事をしていた。

「おはようございます、ルミさん、随分早いんですね。」

「あ、おはようございます。サヤカさんこそこんなに早く?」

「ええ、遅れちゃマズイと思ったので。」

「まだほとんどの人は来てないのよ。」

「今日は何をすればいいのですか?」

「ドラマの撮影よ。ロケに行くからね、バスの出発が8時30分。」

「えっ、ドラマ、ロケですか?」

「そう。」

「えっ、だって、台本ももらってませんし、何も決まってないんじゃないですか?」

「そうよね、私も一応聞いてみたの。ドラマの出演者さんたちと顔合わせとか、もちろん台本のことも。ところが、それらは後回し、季節は待ってくれないからって、急に決まったって聞いたわ。今日の撮影、セリフはないからADさんの言う通りにすればいいんだって。」

「へぇ〜、そういうのってあるんですね。わかりました、指示通りにします。」


時間になったのでルミさんと会社のビルを出ると、初めて目にするロケバスが既にエンジンをかけて待っていた。

中に乗り込むとすぐに出発、具体的な行き先など何も知らされないままだった。

ロケバスの乗り心地は悪くないと思った。

同乗者は女性が2人。衣装担当の方とメイク担当の方だとルミさんに教えられ、よろしくお願いいたしますと挨拶を交わした。

急な話しのことで緊張して、あまりお話しも出来なかったが、内心ホッとしていた。バスの中、運転手さん以外が女性ばかりというのは有難かった。

途中少しだけノロノロ運転の時もあったが1時間足らずで目的地に到着したようだ。


すると、降りることなくバスの後部席に移動、メイクさんに髪やお化粧を。

それが済むと、今度は衣装さんから女子高生の服装に着替えさせられた。

最近流行の制服に近いようだが、少しずつ違うように思う。アイドルが着ている超ミニスカートを想像していたが、それほど短くもなく、上には可愛く見えそうなネクタイもある。

卒業したばかりなのに、再び学生服を着ることは少し恥ずかしく思った。

それを口にすると、衣装さんとメイクさんの2人からほぼ同時に

「すっごくお似合いですよ。これからの女子高生の新スタイル、アッと言う間に広がりますよ。」

お世辞だとしても嬉しくなる話、一時ながら緊張がほぐされた。


バスを降りると、ようやくそこが校舎そばの学校だと分かった。

校舎の入り口前には同じ様なロケバスがもう一台、電気コードの太いのが何本も校舎の中に入り込んでいるのが見える。

入り口のところに、ジーンズにジャンパーといった服装の人が立っている。

ルミさんに付いて近寄って行くと

「おはようございます。」ルミさんに続いて私も丁寧にご挨拶した。

すると、その方が

「おはようございます、今日はよろしくお願いします。私、ADの井上です。早速ですが中に入りましょうか。」


AD井上さんの後を追うように校舎に入ると、電気コードが階段の上へと延びている。そのコードをたどるように階段を上っていくと、何人も人がいた。

カメラを担いでいる人が2人、長い竿の先にマイクが付いているのを持った人、ライトの具合を見ている人など10人くらい。


井上さんから廊下を歩くように言われた。

素のまま、ゆっくりとか、早くとか何種類も撮るらしい。歩く距離は10m足らず、それでも撮影開始の合図、カチンコの音が聞こえると急に動けなくなり、始まって直ぐ撮り直しを繰り返すことになってしまった。

その度、頭を下げ謝っていると、井上さんから「いいんだよ、気にすることないからその調子で。NGシーンは宝物だよ。」

周りの人たちから笑いが起こった。


不思議なことに、その次の歩きは、それまでになく普通に歩けたと思った。

そして、何度か繰り返し撮って、今度は後ろから。

今まで想像したこともない後ろ姿は、再び緊張感を呼び戻した。

意識しないように思えば思うほど、自分の中ではロボットのような歩き方になっているという思いが強まる。

すると、井上さんの声が聞こえ「少し走ってみようか?」

廊下を走るって、中学以来?そう思いながらも、軽く走り出してみた。


何度も何度も同じ繰り返し、どのくらい経っただろうか、ようやく

「はあーいオッケーです。お昼を食べて、その後は外で。」


ルミさんからお水のペットボトルを受け取り、一口飲む。

階段を下りて行くと、お弁当と好きな飲み物を選べと。ウーロン茶を受け取り校舎の外に出た。

ルミさんと座る場所を探していると、メイクさんたちがいるところが見え、そっちに向かう。

「ここ、いいですか?」邪魔をしないように声をかけると、「どうぞ、どうぞ」と応えてくれたのですぐそばに腰を下ろした。


自分では意識していなかったが、どうやら緊張しすぎていたのか、座ってすぐ声が漏れた。「あーあ。」

「ん?どうしたの、疲れた?」

ルミさんの言葉、すぐにメイクさんが

「疲れますよね、今日が初めてなんですよね?」

「あ、ええそうです。緊張して・・・」

「CMの時と一緒でしょう?まあ、緊張してたのは見えたけどね。」

「酷かったでしょう?何も喋らないって、苦しいもんですね。」

「でもね、セリフが出てくると今度は別の苦しみもあるかもよ。」

「今日みたいに、突然ってことはもうないでしょう?打ち合わせをしておけば、ある程度覚悟が出来て、準備するでしょう?」

「急に決まった意味は、お昼からの撮影で納得出来ると思うよ。」

ロケ弁の味が美味しいと思うまで、少し時間がかかったが、 余程緊張していたのだろう。ようやく落ち着いた頃から美味しいと感じた。


午後の撮影は外で、と言うことでメイクさんに手直ししてもらいグランドに向かった。

広いグランドに撮影スタッフさんたちが、既に準備をしていたのだろういつでも撮影出来る雰囲気だった。

小走りで井上さんのいる所へ行くと、とりあえずと言って歩いて遠くに見える桜の木の方へと。

そこで初めてキレイに咲き誇っている桜を見たのです。

スタートの声で歩き始め、桜の木に近づいて行くと、思った以上に満開で青空の下に心底ほっこりさせてくれる。

数メートル手前までは井上さんの指示通り歩いたつもりだが、いつの間にか自分勝手になり真上を見上げながら、木の幹を触りながら一周していた。

すると、特に注意されることなく、元の位置に戻され、再度歩くように言われた。

最初はカメラが後ろからだったが、今度は正面から。

表情に気をつけながら歩いて行く。


結局、何度も繰り返し校舎の中での撮影よりもずっと長い時間をかけて、この日の撮影は終了した。


ADの井上さんから、今日の急な撮影の理由を聞かされた。

天気予報で、明日の午後から雨が降りそうだと言うことで、この満開の桜をどうしても必要なので決まった。

それには納得、こんなに綺麗な桜を見たのは初めてで、改めて嬉しさが込み上げてきた。


帰りのロケバスに乗ると、一気に疲れが出てきて自然と居眠りをしてしまったようだ。

会社の前に到着したと、ルミさんに起こされるまで目が覚めなかった。

バスを降りると、既に辺りは暗くなっていて、周りのビルのネオンが輝いているのが目に入った。


ルミさんに続いて会社の中に入って行くと、社長室に行くよう教えられた。


ルミさんがドアをノックすると、中から「どうぞ。」と返事があった。

中に入って行くと、社長からソファに座るよう指図されたので、お辞儀をしながら腰を下ろした。

「今日は、急に撮影が入ったんだって?」

気さくな口調で話しかけてくる。

「ええ、少し驚きました。」

「あはは、で、どうだったの?」

「緊張して何度も撮り直しになり、みなさんにご迷惑をお掛けしてしまいました。」

「ンフフ、でもいいじゃん、撮影は続いたんだろ?」

「あ、ええ。良かったのかは分かりませんが。」

そこへ、社長秘書の方がコーヒーを運んできてくれ、話しが中断。

社長に勧められるまま、ルミさんと3人、コーヒーを飲み始めた。


そして、一呼吸おいて、社長の口から驚きの声が聞こえてきた。

「あのさぁ、芸名を決めたよ。今から、野崎沙也加ではなく、山野サクラ。いい名だろ?」

「えっ?えっ、山野・・・サクラ・・・?」

「ああ、サクラ。」

すると、隣に座っているルミさんが

「社長、それで決定ですか?」

「ああ、ようやく落ち着いたよ。」

「落ち着いた?」思わず私が聞き返した、すると、ルミさんが説明を始めてくれた。

「実はね、ずっと以前からこのことが課題になってて、あ、心配することないわ。今まで、CM出演も名前を公表してないし、CDの発売にもきっと間に合うでしょうし。山野サクラ、うん、なんか今日の撮影は・・・まさに名前通りだったね。」

「あ、そうですね。山野サクラ、分かりました。」


と、その場でオッケーの返事をしたが、その帰り道、大変な事を思い出した。

電車に乗って、何度も山野サクラと繰り返していた時だった。

「ん?名前が沙也加じゃないと、トモ君に気付いてもらえないんじゃないか?と。」

そこに気が付いてから、家に帰り着くまで不安だけが頭の中を駆け巡っていた。


ドアを開け玄関を入ると、どういうわけかかおりと真由美の2人が目の前に立っていた。

「おかえり、疲れた?」

「あ、ただいま。どうしたの、2人して?」

「ん?疲れてるんじゃないかなぁって思って。ねぇ、お腹は?」

「空いてる。ん?何か企んでる?」

「悪いことじゃないわよ、安心して。」

かおりが

「今日は何だったの?結構長かったんじゃない?」

「撮影だった。ねぇ、真由美、知ってたんじゃない?」

「聞いてないよ。」

「おかしくない?原作者が知らないのに、撮影が始まる?って、その前に上がってもいい?」

靴を履いたまま、玄関口で止められているように思った。

そして、ようやくその場からリビングに入って行くと、テーブルの上に食事の準備が出来上がっていた。


「どうしたの、すごいご馳走に見えるんだけど?」

「そうだよ、メインは焼き肉、その他はかおりと私が腕によりを掛けて作ったんだよ。」

「へぇ〜、ありがとう。で、今日は何かの記念日だっけ?」

「そんなんじゃないわよ、ただ、サヤカが何となく疲れて帰ってくるんじゃないかと思って。だから、お肉を食べて元気になろうって相談したんだよ。」


部屋に入って着替えながら、ふと思った。

「今日って、どういう日?ドラマの撮影といい、芸名のことといい、家での食事まで、全部聞かされていなかったことだらけ。つまり、知らなかったのは、私だけ?」


そう思いながらリビングに戻ると、お肉が焼け始めていていい匂いに包まれている。

「わぁ、美味しそう。ん、このお肉、結構高かったんじゃない?柔らかそう。」

「まぁね、いいじゃんたまには。それより、サラダから食べてみて。」

「うん。何種類あるの?うれしいね、これだけあれば。」

そう言って一番に選んだのはシーザーサラダ。酸味の効いたドレッシングが美味しかった。

そこから焼けたお肉、想像以上だった。

「柔らか!あ、このお肉、最高!」


3人のお箸が止まらなくなってきた。おしゃべりも楽しい、いつも以上に元気になってきたので、思い切って言った。

「ねぇ、私、サヤカじゃなくサクラっていうの。野崎も、山野。山野サクラになったの。」

「えっ、何言ってるの?」

かおりと真由美、さすがに驚いたのか、2人とも目を丸くして乗り出すように聞いてきた。

「芸名っていうの?知らなかったんだけど、さっき社長さんから命名されたの。」

すると、かおりが

「えっ、だって、CMにサヤカが出た時、みんなに話したよ。田舎中に知れ渡ってる。」

今度は真由美が、かおりに

「それはいいじゃん。みんなが知っていても、アイドルタレント、女優としては山野サクラになっても。サクラって馴染みやすいと思わない?」

「あ、うん、そりゃそうだけど。」

「あのね、社長さんから言われたのは、CMとかで名前を公表してないからって。」

「そっか、じゃあ私たちからサクラって言わなきゃね。ウフフ・・・」

「どうしたの、何がウフフ?」

「いや、何でもない。あのね、芸名のいいところって教えて上げる。」

「うん、なに?」

「何でも出来るよ。自分だと照れちゃいそうなことでも、野崎沙也加じゃないと思えば、大丈夫だよ。」

「なるほど、真由美の言う通り、サヤカが大きく羽ばたけるね。サクラの応援の方が、一から出来そう。」

「ありがとう。山野サクラ・・・よろしくね。」


その後、お母さんに電話でその事を話すと、意外にも喜んでくれたことに驚いた。




22話をお楽しみに





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