強引な友人
撮影の日から3日目、ルミさんとの待ち合わせ場所であるカフェに行った。
入り口を入ると、さほど遠くない席にルミさんが座って、私を見つけてくれたのか手を上げて呼んでくれている。
「おはようございます。」
「おはよう、ココアでよかった?」
「あ、はい。何か、甘いのが欲しいんです。」
「ちょっとお疲れ気味?ここんとこ、忙しいもんね、あ、でも、今日は一日中のんびり出来ますからね。」
「えっ、ホントですか?何かお仕事あるから、ここに呼ばれたんじゃないですか?」
そういうと、ルミさんは隣のイスに置いていたカバンを開け、何かを取り出そうとしている。
「やっぱり何かあるんですね。」
そして、テーブルの上に置いたのはCDのパッケージ。
私がデビューする曲名が目立つ。その下方に“山野サクラ“の名前が出ている。
そして、あの桜の木を見上げている私がそう大きくなく写っている。
「これ、出来上がったんですか?わぁ〜。」
「どう?見た感じ?」
「めっちゃ嬉しいです。なんか、とってもさわやか?桜が綺麗ですね。」
「よね。私も初めて見た時、同じこと考えたわ。サクラさんの名前にマッチして、完璧ね。」
うっとりしながら裏を見てみた。
同じ桜の木だが、私と反対側から、桜を眺めている男の人が写っている。
写真が大きくないので、その人の顔ははっきりと見えないが、どうやらかなり背が高いように見える。
さすがにプロの仕事だけあって、これだけで恋愛物語を想起させている。
「ここで聴けないのが残念でしょうけど、お家でゆっくりの方がいいんじゃない?」
「ええ、下手くそだったらどうしよう?ま、笑いを取ったって思えばいいか?」
「サクラさんは下手じゃありません。そこらのアイドルなんかより全然上、ご安心してください。」
「ありがとう。曲がいいもんね、歌いやすいし、明るいのが何よりね。」
この日は2人で渋谷に出た。
お昼前から、相変わらず人出が多い。久しぶりでも、ルミさんとは初めての行動で、最初に行ったのは若者に人気のファッションビル。
買い物すると想像していなかったので、とりあえずルミさんの後を付いて回った。
すると、ルミさんがエスカレーターで4階まで上がり、そのフロアの奥へと歩いて行く。
そのお店は、少し高いのだろう、周りのお店とは雰囲気が違い、お客さんの数も少なかった。
「サクラさんはどういうのがいい?」
「えっ、私ですか?ここ、ルミさんが買うんですよね?」
「違うわよ、今日はサクラさんのよ。これからの事を考えて、うんとオシャレしなきゃね。」
それで、何気なく並んでいる商品を、目的なく手で触ってみると、明らかに普段から着ている洋服と肌触りが違って見える。それで、念の為、値札を見る。
ん?と、思って思わず目を近づけて見直して驚いた。
いつも買っている洋服の値段に、ゼロがひとつ多いことに気が付いた。
「あ、高っ!」
「ん?ああ、今日はいいのよ。会社からのプレゼントだから。これなんかいいんじゃない?」
「えっ?会社からの?あ、でも、さすがにそれは高過ぎますよ。」
ルミさんが手にして差し出してくれたスカートは、確かに珍しい色合いのもので嫌いではない。
でも、手に取って値札を見ると、ゼロがひとつ多いのに加え、何倍かの値札が付いている。
「あのね、こういう時の心得を教えるとね、遠慮は禁物よ。値段より、これ、気に入らないの?」
「あ、いえ、めっちゃステキです。」
「じゃあこれ、キープね。」
それからのルミさん、いろいろと見つけて勧めてくれる。
頭の中で、電卓がカチャカチャと音を立てて数字を見せつけている。
そして、試着室に入って合わせて見る。
店員さんとルミさん、じっくり見て納得している。
結局、私の意見はそこそこに、何着も買ってくれた。もちろん、それらの服に合った靴もバッグも。
この日は完全オフ、久しぶりに朝から部屋の掃除とか、ゴミ出し等をやっていた。
ユイさんは、今日は何があっても連絡してこないと、昨夜言っていた。
お昼前に一応全てを片付け終え、昼食を買い求めようとラフな格好で家を出た。
外食にするか、コンビニの弁当を買おうか迷いながら、マンションの前に出て、取り敢えず足の向くまま歩いて行く。
結局、足の動きが止まったのはコンビニ。
自動ドアの店、勝手に開いてくれる。
ドアを入って、次に自然に向かったのは雑誌コーナー、特に欲しい本があるわけでもないが、気まぐれに行ってみた。面白そうに思ったのは、〇〇ウォーカーのような地域の案内書、それを1冊手に取り、その近くにあるテレビガイド。
表紙にキャロちんさんの笑顔が大きく出ていたので、これも手にした。
他にも色々と賑やかに並んでいるが、あまり興味を引くのがなかったので、次に食品コーナーへ向かう事にした。
すると、飲み物が真っ先に目に入ったので、一旦入り口に戻りカゴを取った。
雑誌2冊を入れ、取り敢えず手にした飲み物は、もちろんCMに出させて頂いている清涼飲料水。
それを3本と、コーヒーの缶を。
次に、弁当などのコーナーへ行くと、それまで他にお客さんの姿を見てなかったが、3人の女性がいた。
近くの会社に勤めている方たちだろう、昼食の買い出しに来ているようだった。
僕は、その人達が選び終わるのを待ち、一応目ぼしい商品を見ていた。
僕の食欲を誘ってきたのは塩むすび、3個と卵焼きがパックに入っている。
そして、肉うどんが目に入ったのでそれをカゴに入れた。
後はポテチとかチョコなんかも今日は食べてみたくなった。
レジで精算を済ませお店を出た。
もう他に用事も無いので、すぐにマンションに戻ることにした。
部屋に戻って買ってきた東京のガイドブックを開き、読み始める。
最初のページは、やはりスカイツリーで、そこから見える夜景が綺麗に写っている。
日頃はあまり考えないが、こういう所に母さんや父さんを誘ってあげるのも悪くないなと。
そして、やはりサヤカのことも考えてしまう。
あれから3年、もう高校を卒業して、どうしたんだろう大学に進学しているんだろうな。
時々母さんと電話で話しているが、サヤカの話題は何故かお互いに避けてきたように思う。それには中々言えないが、たった一つの不安があるからで、知りたくない事実だ。
当然、自分が蒔いた種、サヤカの人生の負担にはなりたくないと思うし、愛が冷めてしまったことも覚悟はしておこうといつの日から考えている。
少し胸が締め付けられてきたので、無理に考えを変えた。
サヤカと再会した時、どこに案内するか、どこに一緒に行こうか、何か美味しいものを食べようか等を考えてみた。
それらを全てノートに書き留めていると、いつになく会いたくなった。
そして、再度不安になったことがある。
これだけテレビドラマやCMに起用されているにもかかわらず、サヤカからの接触を聞いたこともない。
ユイさんも社長もほとんどの人は知っている、なのに、無いということは。
やはり・・・
そして翌日、早速ユイさんから朝、連絡が入った。
新ドラマの打ち合わせだと言って、会社に呼び出しだ。
会社に行くと、いつものように隣の喫茶店が打ち合わせ場所。
「はい、これが第1話の台本。」
『おっ、いよいよですね。』
「あのね、今回のはいつもと違って漫画が原作ですよ、真面目というよりコミカルな役柄に徹することが必要なので、うんと明るく演じてよね。」
『あ、そうですね。コミカルって、どんなだろう?テンションを上げるってことかな?』
「そうね、ハイテンションでしょうね。三条優也の新しい一面、コメディアンになりきることね。」
『大丈夫かなぁ、で、いつから撮影開始ですか?』
「今月末から。ゴールデンウィークの最中なので、学校を借りれるから。それに、エキストラに参加してくれる人が多いから、スケジュール的にベストな時期ね。」
『確かにそうですね。で、顔合わせはいつですか?』
「25日、その前に撮影は組まれてるけどね。」
『またひとりでですか?』
「いえ、今度は相手役の女優さんもいるみたいよ。あ、新人さんらしいから。」
『あ、はい。』
台本の最初のページを見て、その女優さんの名前を確認してみた。
確かに、今まで聞いたことの無い名前が書かれてあり、カッコ新人となっている。
その時、ユイさんがにんまりと僕を見ていたのを見逃していた。
ルミさんから突然聞かされた。
「もうすぐ撮影始まるからね、心の準備してね。」
「あ、はい。あれっ、真由美からは聞いてないんですけど、台本って出来上がったんですか?」
「一応、第1話の台本は、はい、これよ。」
「あ、ありがとうございます。」
「いよいよね、あ、分かってるでしょうけど、コミカルだからね、明るく演じてね。」
「あ、はい。漫画チックにですよね、自分らしくていいので嬉しいです。」
「顔合わせの日は25日、その前に撮影が始まるからね。」
「あ、あれですね。またひとりってことで。」
「今度は違うよ、主役の方と、後はエキストラに参加してもらってみたい。」
「主役の方と?」
台本を開いて名前を探した。
そこに、三条優也さんの名前が。
ふと思ったのは、高校時代、教室などでみんなが騒いでいた。あっと言う間に人気が出た俳優さんだということは知っているが、ようく考えてみても、私は顔も知らないし、ドラマやCMも一度も見たことがない。
「ねえ、すごい人が主役でしょう?」
「あ、はい。」
「あら、驚かないの?まさか、知らない?」
「あ、い、いえ、お名前は。あ、ごめんなさい、お顔とかテレビで全然見たことがなくて。」
「へえ〜珍しい。もう3年くらいよ、テレビドラマの主役。めっちゃかっこいいし、イケメン。」
「あ、そうなんですか?そんな方の相手役に、私でもいいんですか?」
「あはっ、お似合いだと思うわ。どう、ついでに狙ってみる?」
「ま、まさか。お仕事ですよね。」
「ん?あ、うちの事務所、恋愛自由よ。アイドル路線であっても、素敵な相手なら反対されないわよ。」
「ヘェ〜、そうなんですか?あ、でも私は・・・」
「あの人でしょう?ま、そこは自分で考えて、ゆっくり考えればいいわ。ちなみに、三条さんって浮いた話は一度もないわ。どうしてかな?」
その日、台本に目を通しセリフを覚え始めた。
「ただいま。」
「サクラ、おかえりなさい。」
かおりが迎えてくれた。
「あら、真由美は?」
「ああ、打ち合わせで会社に行ってる。」
「そうなんだ、ねえ、知ってた?」
「ん?何を?」
「台本、出来上がったことよ。」
「ああ、そろそろとは聞いていたけど、出来上がったの?ということは、いよいよ?いつから?」
「数日後ってとこかな?あ、そうだ、ねぇかおり、三条優也さんって俳優さんのこと、知ってる?」
「ん?名前は知ってるよ。みんなが教室で騒いでいた。でもね、それだけ、顔も知らないんだ。ねぇ、それより今夜は何を食べたい?手作り、それともデリバリーにする?」
「真由美はどうするの?」
「今夜は遅くなるみたいよ。外で食べるからって聞いてる。」
「じゃあピザが食べたい。」
「わかった、いつものでいいよね。注文するね。」
夜10時頃、真由美が帰ってきた。
落ち着いた頃、真由美に聞いてみた。
「ねえ、冷たくない?」
「ん?」
「台本、出来たんなら教えてくれてもいいんじゃない?」
「あ、出来たんだ。私も知らなかったよ。」
「そうなの?でも、原作者でしょう?」
「そうだけど、脚本家じゃないからね。あ、それより、少しは読んだ?」
「うん、でもね、一つだけ心配ごとが。」
真由美とかおり、3人でコーヒーを飲みながら。
「心配ごとが?」
「主役の方、私ったら何も知らないから、申し訳なくて。」
「誰?」
「三条優也さん。テレビドラマも、本当に一度も見たことがないんだよ。」
「三条さんかぁ・・あ、一度はあるじゃん。しかも、生で。」
「無いよ、いつ?」
「横アリのコンサート。」
「ああ、キャロちんさんの?その時、いたっけ?男の人と会ってないよ。」
「直接はね、あの時飛び入りで歌ってたでしょう?」
すっかり忘れていた。というより、名前すら知らずに遠くから眺めていただけで。
「そう?確かに、男の人が歌ってたのは何となく覚えているけど、あれが三条さん?」
「凄かったじゃん、お客さんの歓声。あ、そうだ、もし話す事に困ったらその事で誤魔化したら?」
「ご、誤魔化す?いいのかなぁ、それだけで。」
「芸能界って、それでいいと思うよ。だって、みんながテレビを見ているとは限らないし、もちろん、自分でも見てないでしょうから、その辺で絡まれることは考えなくていいと思うよ。だって、山野サクラだって、まだ誰も、何も知らないじゃん。」
「そりゃそうだね。」
少しはホッとした。
いよいよ「高校生夫婦」の共演者との撮影の日になった。
ロケ現場は、サクラの花の撮影で訪れた学校だった。
ユイさんと到着した時、多くのエキストラが集まってくれていて、自然とムードが漂っている。
僕は、打ち合わせのため監督さんやADさん達がいる教室に入って行く。
丁寧に挨拶を済ませると、撮影の手順から始まった。ADさんが開口一番に言い放ったのは
「とりあえず、ファーストキスから撮ります。」
驚きのあまり、思わず声を上げた。
『えっ、それって台本にないですよ。』
「ああ、でもね、この作品の最初のインパクトに必要だから、やってもらう。」
有無を言わさない口調で話しているので、逆らえなかった。
そして、その事は相手役には知らせていないから、一発ぐらい叩かれる事は覚悟しておけと。
そうなった時が迫真の演技として捉えられるから、作品としては最高のスタートが切れると
強調された。
その時間まで相手役との顔合わせもしないらしい。
休憩になった時、ユイさんがお水を持ってきてくれて話し始めた。
「優也さん、複雑な顔してるけど、大丈夫?」
『あ、うん、複雑だよ。なぁ、知ってた?』
「ええ、知ってた。もう教えて上げようか?優也さんがキスしたくなる事を?」
『そんなのあるわけないじゃん。』
「ふぅーん、相変わらずサヤカ一筋?バカね。」
『バカって事はないだろう?僕はサヤカに黙ってここにいるんだよ。もう3年にもなるのに、サヤカからの連絡なんかもないし、僕ってサヤカにとって薄情者、裏切り者だろう?せめて、ファーストキスだけでも取って置きたい。』
すると、ユイさん、大きくため息をついて、思い切ったように口を開いた。
ロケ現場に到着すると、監督さんや他のスタッフさんに挨拶に行きました。
そこで撮影の手順から教えてもらい、三条さんが到着する前にエキストラさん達との撮影が始まった。
エキストラさんの中に、数人の方がセリフを言うのを聞いて、その方達は出演者の方で、仲良くしなければならないと思った。
この役は高校2年生、セリフは大体学校で使っていた事を思い出しながら、声は歯切れ良く話すようにして撮影に応じた。
初めての経験、同じシーンを何度も繰り返し撮影する事に驚きながらも、やっていて決して辛くなく、徐々に楽しくなってきていることを感じていた。
お昼の休憩時間、いつから来ていたのか真由美とかおりが現れた。
「なかなかのもんだね。」
お弁当を食べようとした時、いきなり後ろから声をかけられて驚いた。
「あれっ、来てくれたの?恥ずかしい。」
「サクラの初陣、覗きたくて真由美にお願いしたのよ。」
「かおり、ありがとう。ねえ、顔とか引きつってたでしょう?足がガクガクしてたんだけど。」
「そう?そんな風には見えなかったよ、なんか堂々としてたけど。」
「ねぇ、三条さんは?もう会ったの?」
かおりが聞いてきた。
「まだよ、来られていないみたい。あ、でももう直ぐじゃないかな?」
「じゃあまだまだ落ち着かないね。」
「うん、そうだね。」
遠くの教室からずっと見ていた。
あの頃と変わらない笑顔が見え、いや、あの頃よりはるかにキレイになっている。
思い出が一気に甦る。
こういう形で再開出来るとは、夢にも、もちろん妄想すら無かった。
ふと思った、サヤカって、山野サクラの芸名で今から売り出す新人、それなのにいきなりキスシーンなんて、良く了解したなぁ。
ん?ひょっとして拒否してる?だから一発ぐらい叩かれるって言ってた?
どういう事であれ、この3年間の僕がとってきた行動を考えれば当然のことだから、むしろ叩かれる方がいいと自虐的に思った。そう思ったら、思い出のシーンとして丁寧にするべきだろう。
ただ、その後の事は想像しようにも思い浮かばなかった。
少し日が傾き始めたとおもったら、その時が訪れた。
校舎の1階にある廊下、そこにADさんに案内された。
廊下には、驚くほどのカメラが据えられ、その真ん中に女子高生の制服姿で山野サクラさんがメイクさんに手直しされているのが見える。
何人もいたエキストラさんの姿はもういない。
廊下に撮影用のライトが一気に点いた。
真ん中にいれば、周りが見えないだろうと思った時、ADさんからスタートの声が掛かった。
廊下の窓から外の景色を見ているサヤカに、後ろから近づいて、肩を軽く叩く。
筋書き通り、僕の方を振り向く・・・その瞬間、僕は的である唇を目がけ目を閉じてそっと押し付けた。
「ウッ!」という声が聞こえ、直ぐに唇が離れる。
顔とかが近過ぎる為、サヤカの表情が読み取れない、と、その時
「イヤーッ‼︎」
という声が聞こえ、次の瞬間、左の頬に手が飛んできて、思いっきり胸を突き飛ばされた。
カメラマンさんが、ハンディカメラを移動しながら撮影しているのが見えた。
いつの間にか、廊下を埋めていたカメラや照明さん、音声さんの位置が変わっていて、すると、何も障害物がない廊下を、サヤカは走り抜け校舎の外へアッという間に飛び出して行った。
流石に突然のキスに驚くと同時に、怒ったのだろうと思い、僕も後を追うように校舎を飛び出そうと走り出した時、校舎の出入り口に一番近い教室からサヤカと同じ制服姿の女性が2人、飛び出して追っ掛けている。
その後ろから、カメラさんもダッシュで追っている。
結構速い走り方を見て、僕はスピードを上げることを止めた。
そして、グランドに出たところで立ち止まると、いつの間にかユイさんが隣りに追い付いてきていた。
「あらあら、本当に予想通りの展開になっちゃった。どう、叩かれた感想は?」
『ん?全然痛くは無かったよ。ところで、予想通りって何が?』
「監督さん達との打ち合わせで、こうなる事を想定してて。ま、いわゆるアドリブみたいなシーン。」
『そういう事?だから、あんなにカメラの台数が多かったのか。中庭からも2台、構えていた。でも、あの女性達は?』
「1人は原作者の阿蘇さん、もう1人はエヘヘ、矢口かおりさんよ、知ってるんでしょう?」
『エッ、かおり・・さん?どういう事?』
サヤカの後ろ姿が小さくなって、グランドの端にある桜の木の陰に隠れた。
「はい、これで電話してあげなさい。」
と言って、見覚えのあるスマホを渡された。
『アレッ?どうしてこれを持ってるの?』
「そんな事はいいから、早く電話してあげなさい。電話しないと取り返しのつかない事になるわよ。」
『おっ、わかった。』
第23話をお楽しみに




