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沙也加と僕  作者: ユキから
20/33

夢中なり日々

毎日、規則正しい生活を送っていた高校生の時には、今の1日を想像出来なかった。あっという間に一週間が過ぎ、歌のレッスンは3時間、それを午前中に済ませると、午後からはダンスのレッスンになる。

自分では少し自信があったのだが、全然レベルが違っていた。

聞き慣れない音楽が流れると、講師の方がお手本を一回だけ見せてくれる。

私は、すぐに1人で反復練習を重ねていく。

それをビデオに収録され、その都度、自分の目で見て自己判断する。

教えてくれる講師の方は、余計な事とでも思っているのだろう、一言も言ってこない。

で、自分で評価すると、100点満点中・・・0点。

リズム感がどうにもちぐはぐ、身体を動かす事に必死になり、私が見て来たアイドルの人たちには程遠い状況が、今日で3日も続いている。

私がアイドルとして成功するには、ダンスをマスターするだけじゃなく、明るい笑顔でしっかりとした歌唱力を完全にしなければならない。


ようやく1日が終わると、お家に帰るのが真夜中になり始め、真由美とゆっくりお話する機会がない。

それから数日後、ルミさんから嬉しい報せが入る。

「いよいよ明日からCM放映が始まるよ。ご両親に連絡しなさいね。」

それは、音楽スタジオからダンススクールへの移動の途中、お昼ごはんを食べ始めた時で、驚きのあまり、口の中にある食べ物を吹き出しそうになり、慌てて口を押さえた。

「エッ、もうですか?だって、撮影してから、ん?10日ぐらいしか経ってませんよ?」

「遅い方かな?早いと3日ぐらいって時もあるのよ。」

「へぇー、知らなかったです。」


ルミさんから封筒を渡され、中を見ると、そのCM放送の当初の予定表だった。

「こんなに?」

「よかったわね、ほとんど全国版だから。サヤカさんの田舎でも毎日見れるわね。」

「あ、そうですね、うちの方だと結構地元のCMが流れてますもんね。」

「どう、気分は?一躍有名人になりそうね。」

「そんなぁ〜、何も喋ってませんよ、同級生なんか私だって気が付かないですよ。」

「ウフフ、まぁ、結果はすぐに分かるわ。で、どう?」

「あ、どうって、んーと急に緊張してきました。アレッ、ヤダ、ドキドキしてる。」

本当に心臓が早鐘を打っているようで、顔も熱を帯びてきた。


夜、お母さんに電話をして教えると、DVD録画が出来るように新しく購入して準備出来てるって、私よりはしゃいで喜んでくれている。

でも、肝心の私は、放送時間にダンスレッスンが組まれているので、見れないのだ。

真由美ん家には、いずれDVD買おうと話し合っているが、まだ買ってないからやっぱり見れない。

まぁ、真由美がしっかり見てくれるらしいから、どうだったか聞けばいいか。



卒業してから、急に仕事の量が増えてきた。

連ドラの撮影は、連日に渡って夜遅くまで続けられ、食事時間もほとんどないような状況が10日以上になっていた。

そして、3月に入ってクランクアップの日がやってきた。


出演者のほとんどが集まり、打ち上げパーティーが開かれた。

初めての共演者、日向アカリさんが横にやって来て声を掛けられた。

「いろいろご迷惑をおかけしました。でも、三条さんと共演出来て、本当に良かったです。」

『いやぁ、こっちこそ。でも、アカリさんってすごいよ。新人とは思えないいい演技を、ホント、ありがとうございました。お疲れ様でした。』

「三条さんにひとつお願いしてもいいですか?」

『ん?いいけど、何かな?』

「ちょっと図々しいですけど、これからも色々と相談に乗ってもらいたいんです。」

『相談?僕に出来ることならいいよ、大した事は出来ないかも。』

「いえ、三条さんと共演して分かったんです。セリフがセリフじゃなく、自然な感じの言葉で口に出来たんです。私のマネージャーがその事を教えてくれて、そう言えば私、普通のイントネーションで喋れたんです。」

『それはアカリさんの実力だろう?僕こそアカリさんの演技に助けられたんだ。こっちこそよろしく。』

「わぁ、やったぁ。あ、そうだ、三条さんとキャロちんさんって、何度も共演されましたよね、私もあの方のようになれますかね?」

『僕には分からないけど、今のアカリさん、すごい人気だから、CMは続くんじゃないかな?』

「CMですか?」

『ん?CMじゃ不服?キャロちんさんも同じCMで不動の地位を築いたんだって。』

「わぁ、そうだったんですか、じゃあもっと気合い入れます。」


翌日、僕は久しぶりに事務所に出勤した。

社長から呼び出しがかかり、ユイさんと顔を出したのだ。


そこで社長から言われたのは、新しく歌を始めなさいと。

薄々気づいていたけど、正式に言われたのは初めてだったが、とりあえず引き受けることにした。


すると、すぐに楽譜が社長の机の引き出しから出され、差し出された。

『えっ、これ?』

タメ口に気を付けていたが、驚きのあまりこれだけしか言葉を発せなかった。

「いい曲だよ、デビュー曲から・・そうだなぁ、ミリオンか?」

「社長、いくらなんでもプレッシャーをかけすぎでは?」

ユイさんが気を使ってそう言ってくれた。

「あはは、ま、気軽にやりゃいいじゃん。それはそうと、今度のドラマ、いいんだって?」

「ええ、優也さんの新しい一面が出ますよ。ギャラアップしたくなりますから、よろしくお願いします。」

「おう、倍でいいか?」

「そんなぁ〜簡単に言いますね。本人と相談してから、改めて。」


社長とユイさんの会話を、何も言わずにただただ聞いているだけだった。


結局、社長室に1時間程いて失礼した。

その後、企画室に行くと・・・歌手としての手筈が出来上がっていた。

『ユイさん、この事は知っていたの?』

「ん?ああ、どうして聞くの?」

『だって、あまりにも計画してました、って感じだから。』

「そうね、こう言うスケジュールってのは知ってた。でもね、その時はドラマが優先だったでしょう?教えるには早いと思った。」

『なるほど、気を使ってくれたんだ。じゃあ、いつ頃からの予定?』

「そうね、順調に行けば2週間?」

『ふーん・・ブッ!2、2週間?エッ、本気?』

「ああ、その間に次の撮影準備も始まるから、ゆっくり出来るのは今日1日だよ。どうする、この後食事して久しぶりに買い物でも行く?」

『はいはい、おっしゃる通りにします、って、いつもの事だけど。』

「ウフッ、彼女でもいればデートなんだろうけど、残念でした。」

『ホントだよ、ま、僕よりユイさんの方こそそろそろ彼氏が欲しいんじゃ?』

「そんな心配しないで。私の事はいいの。こう見えても、モテるんだよ。」

『そりゃ分かってます。では、今日は最高のお肉を食べに行きますか?』

「優也さんの奢り?」

『ん?ユイさんが奢ってくれるつもりだった?なーんて、もちろんですよ。』


翌日からの打ち合わせを済ませ、事務所を出た。



「ねえ真由美、今日ね、楽譜貰っちゃったの。」

「へえ〜、いよいよだね、で、どう?」

「うん、一応ピアノでメロディーは聞いたよ。明るくって元気になる曲、明日からレッスン開始するの。」

「頑張ってね、ところで、その曲が初ドラマの主題歌だって、知ってる?」

「ん?知らない、えっ、そうなの?そんなこと、真由美が知ってるの?」

「おいおい、少なくとも原作者だかんね私は。」

「あ、そうか、ドラマのイメージ合わせってことね。だったら、教えてくれれば良かったのに、真由美って案外薄情者だね。」

「でもね、先行発売して、一気に人気出すんだって。そしたら、主題歌としてのドラマ価値が上がる、視聴率に即繋がる、ってわけ。」

「あ、それって人気が出なかったらどうするの?」

「サヤカってSNSはあまり興味ないよね。」

「うん、あまり見ないよ、前に見た時、悪口ばっかり書かれて誰かをいじめてた。」

「つまりトラウマ?サヤカ、CMの評判、かなりいいよ。事務所の方じゃ当然だと思ってるけど、一番喜んでるのはスポンサーさんだって。」


翌日からレッスン漬けになった。

歌詞の意味を理解するように努め歌うようにすると、今までカラオケなどで歌っていた頃との大きな違いが分かったんです。

聞いた事のある歌は、どうしても歌手の方を意識して上手に歌おうとしていたが、今歌ってるのは自分の、自分が一番好きな歌で、聞いて下さる人に楽しんで頂きたいと言う気持ちになっていた。


真由美の描くマンガのイメージに見事に同調して、まるで絵の中にいるように思った。


歌のレッスン開始と合わせるように、デビューに向けた準備が目まぐるしい勢いで進み始めた。

専用のステージ衣装は、アイドルっぽくミニスカート。白いブーツを履いて髪型は、メイクさんの進言で耳から顔まで全部が見えるように後ろになびかせる。

お化粧はまだ薄めでいいと決まった。


そして数日後、曲に合わせたダンスのレッスンも始まった。

指導してくれる人が、今まで何人も人気アイドルを生み出した有名な先生で、レッスンは厳しいが、教え方が想像以上に丁寧で、すぐに馴染めるダンスだった。


3月の中頃、真由美から待ちに待った話しが聞けた。

「ねえサヤカ、今度の日曜日にさあ、いいことあるよ。」

お風呂から上がって、髪の毛を乾かしていた時だった。

「なぁに、いいことって?」

「えへへ〜、あのね、かおりが来るのよ。」

「えっ、ホント?やったあ、そうか、いよいよ来るんだ。楽しくなるね。」

「もうすぐ新宝明ミュージックの入社式だからね、私は少し楽になるかな?」

「うん、ってことは、ますますいい作品が出来るのね。」

「わぁ、今、プレッシャーをかけた?」

「そうね、ねぇ、私を可愛くしてよね。いい、あんまりヘタレにならないようにして。」

「それは報酬次第ね。」

「えっ、お金?お金って、そんなに無いよ。」

「バカね、お金なわけないじゃん。そうね、具体的に言うと、サヤカが超人気アイドルになっても、私とかおりには優しくすること・・・かな?」

「当然でしょう。私が冷たくなると思ってた?」

「だって、有名人になっちゃったら、人の心って変わるじゃん。だから、ちょっと。」

「アハハ、考え過ぎだよ。私とかおり、真由美は一生仲良しだよ、裏切らない。」

「じゃあ確認するけど、トモくんが現れたら?どっちを優先する?」

「ゲッ!その質問、意地悪じゃない?」

「ほうらね、サヤカはきっとトモくんだけになってしまうんだよ。」

「あ、いや、そんな事にならない。約束する、もしトモくんが戻ってきても、真由美とかおりは、今まで以上に大切にさせてもらいます。誓います。」

「じゃあ、もしトモくんと結婚したとして、私たちがお泊まり出来る部屋、準備してくれる?」

「ん〜、分かった。もし念願が叶ったら、必ず真由美とかおりの部屋・・・そうだ、その部屋にベッドも用意する。いつでも泊まれるようにしてあげる。」

「やったあ。かおりが来たら、真っ先に今の言葉報告するわね。いいわね、新婚早々でも遠慮せずに押し掛けるよ。」


そんな話をしたからか、その夜、トモ君の夢を見た。

少しだけだったので、朝起きてからすぐに忘れてしまったが、夢を見たのは間違いなかった。

もう3年も会っていないトモ君、どのくらい変わってしまったんだろう?



「優也さん、今度の曲ってどう?」

『落ち着いて、しっかり歌えるよ。どっちかというとバラード調じゃあない?』

「実はね、今度のドラマのエンディングテーマ曲なの。」

『えっ、今度のって、少女マンガの?そうなんだ、道理で歌詞が優しい。』

「ちなみに、テーマソング、気にならない?」

『あゝ、まぁ少し?ストーリーからだと、女性アイドルってとこかな?』

「そうよ、何でも新人らしい。」

ユイさんと話していたが、その時の僕は自分が歌うことにいっぱいいっぱいで、テーマ曲については、さほど気にならなかったから、余計な質問はしなかった。


ただ、気になったと言えば、CDの売り出しには、もう一曲必要らしく改めてイメージの違うリズムの早い曲を渡された。

後から考えれば簡単なことだった、一曲だけでCDを販売して売れるわけがない。

そう考えると、急に不安になってきてユイさんに聞いていた。

『CDが売れなかったって想定してないの?』

「ん?売れるでしょう、だって三条優也のデビュー曲だよ。」

『そりゃ少なくても、うちの家族は何枚か買ってくれるだろうけど、心配だなぁ。』

「そんなに心配なら、テレビ局に売り込んで見る?」

『そんな事してテレビに出れるの?』

「もちろんよ、但し、そうなると今までみたいには行かないよ。」

『どういうこと?』

「一度っきりの出演って、難しいわよ、そうなると、ドラマと掛け持ちしなきゃなんないから、相当ハードになるけど。」

『それって、人気アイドルのことでしょう?だったら心配ないじゃん。歌手の仕事なんてほとんどないと思うよ。』

「わかった、じゃあ明日から売り込むわね。いいこと、こっちから声を掛けるんだから断らないでよ。」

『うん、それは大丈夫だよ。』



「ただいま〜。」

レコーディングを翌日に控え、レッスンの最終日を無事に終了して家に帰った。

いつものように真由美が「お帰り〜」と、元気な声が返ってくる。

靴を脱いでスリッパを履いてリビングのドアを開ける。

「おっ帰り〜〜!」

と、大声で飛び付いてきた・・・のは、かおり。

「か、かおり?えっ、あさってって言ってなかった?」

「えへへ、2日早めたの。だって、待ち切れなくなっちゃった。怒った?」

「バカね、怒るはずないじゃん。よかった〜、ずっと待ってたんだもん。ねぇ、元気だった?」

「元気、元気。きっちりと家の事とかやってきたわ。それより、真由美に聞いたんだけど、明日だって?」

「そうなの、いよいよレコーディング。」

「おめでとう、よかったぁ、あ、CM向こうでかなり評判いいんだよ。私なんか、サヤカのおかげでみんなに声を掛けられるんだよ。」


そう長い期間が経ったわけでもないが、随分会っていなかったような錯覚?話しがずっと続きそうなので、とりあえず部屋着に着替える時間をもらい部屋に入る。

すると、真由美がついて来て

「ねぇ、今夜は歓迎会のパーティだね。何にする食事?」

「何でもいいよ。真由美は何にしたい?」

「そうね〜、作るの大変だからデリバリーにしようかと思うの。」

「ピザ?それとも、お寿司もいいかな?」

「私もそう考えた。じゃあ、両方にしようか?」

「うん。」


届いたお料理をテーブルに並べると、それを見たかおりが

「ワァオ〜、すごいご馳走。」

すると、真由美が

「もう高校生じゃないのよ、社会人になるとこれくらいの食事が普通よ。」

「そっか、社会人かぁ。ん〜、まだわかんないなぁ。」


食べながら話しが弾み、やっとメンバーが揃って3人とも心置きなくなっていた。



CDが出来たとユイさんに聞いて面映ゆい気持ちになっていると、その次の言葉に仰天した。

「明日からPV撮影よ。いつものようなドラマの監督と違って、音楽の専門家だから勝手が違うかもよ、ようく聞いて上手くやってね。」

『エッ、PV撮影?そういうのも撮るんですか?』

「当然でしょう?そのPVで優也さんを見れるから買ってくれると言ってもいいわね。ウフ、それからテレビに出て告知するの、2社は決まったよ。」

『ゲッ、もう?』

「言ったでしょう?声を掛けると引く手数多。ホント言うと、とりあえず2社に声を掛けただけなんだけどね。後の予定は、数局を考えてるところ。」

『すごいなぁ、そういう番組ってやっぱりトークなんかもあるんですか?』

「当然あるわね。そのトークが良ければ一気に人気アップよ。」

『どういうのが求められるんですかね?経験ないし。』

「一応打ち合わせがあって、そう難しくはないでしょうけど、バラエティだと突然アドリブを求められるかもね。それも、結構笑いを取る目的だから、際どい話題を振られると思っておいた方がいいわよ。」

『つまり、頭の回転ってこと?苦手だな。』

「無理に良いことを言おうとしなくても、周りにいる人たちがプロばっかりだから、上手いことをやってくれるでしょうね。」

『想像つかないな?』

「優也さんがどういう俳優なのかを探られると思いなさい。で、私が思うのは・・・予想外のキャラかな?例えば、少々おバカとか、天然とかってキャラは人気に直結してるわね。マッチョを売りにする人もいるけど、あまり尊敬されようとするのは考えものね。誰とでも仲良くなれるキャラ、気遣いの上手いってのを考えてみれば?」

『はい。要は、気取らないでいいんですよね?あまり難しく考えないで、話し掛けてくれる人に合わせる?あ、でもここ3年くらい、仕事以外の勉強してないから世間の動向について行けないかもな?』

「それはそれで魅力かもよ。何回か出演して見れば、十分楽しめるようになるわ。」



3人のパーティが終わりに近づいた頃、かおりが呟くように言った。

「サヤカ、いよいよトモ君に近づくんだね。どう、今の心境?」

「ヤダかおりったら、急に持ち出す?」

すると真由美まで一緒になって

「そうだよね、トモ君が会いに来てくれたら、サヤカ、泣く?それとも、笑う?」

「怒るんじゃない?サヤカ、案外気が弱いのに隠すでしょう?だから、きっと強気に振る舞うんじゃない?」

「どうかな?その時になってみなきゃわかんないよぅ。」

「あ、トモ君、変わったかな?あれから3年、私の予想は日焼けして、ん〜年中真っ黒でさぁ、イケメンはそのままで筋肉がいっぱい付いて、男臭くなってる?」

「かおりが言う通りかもね。その想像に少し似てる。ガッチリした身体を想像してるんだけど、目だけは絶対優しいと思う。ちょっと心配なのは、大学?勉強ばっかりしてたりしないかなぁ?」

本当は何も想像していなかった。あの頃のまんま、トモ君は・・・きっと。

「どうかした?」

真由美がやけに落ち着いた声で

「私の予想、いい?さすがに3年も経つと結構変わるよ。身長だって、そうね、前はどのくらい?」

「160」

かおりと同時だった。

「じゃあ、180くらいかな?ま、今の時代だから太ってはないね。ヘアスタイルは昔と違うのは覚悟してなさい。あ、ファッションもね。あんまりオタク過ぎると、気持ち悪いから要注意だね。」

「オタクじゃないよ絶対。そっか、背が高くなってるのは覚悟していなかった。」

「サヤカだって、5~6センチは伸びたでしょう?」

「うん、164だから8センチかな?胸はすごいよ。」

「バカ、そんなの聞いてないって。それより、サヤカの変わったところは?」

「ますますキレイになったこと?スタイルも、あ、それと足が細くて長い?」

「ハイハイ、その自慢は私とかおりの前だけにしときなよね。間違ってもテレビなんかで喋ると大変なブーイングだよ。」

「分かってるわよ、まさか、今のも冗談で言ったんだよ。」

「いや、サヤカの本音だったよ。ま、ウソじゃなく当たってるけどね。」

「かおり、久しぶりだから教えてあげるね、サヤカって全然変わってないのよ。普通、CMなんかに出ると少しは生意気に振る舞うと思わない?」

「思う。どうなの?」

「全然よ。SNSですごい反響を呼んでるでしょう?サヤカったら、未だに見てないのよ。」

「へぇ〜、どのくらい天狗になってるか心配してたんだよ。」

「大丈夫だよ、そうね、以前より気を使ってるし、謙虚さが増してるよ。」

「そうなんだ?じゃあ変に気を遣わなくていい?」

「ん?かおりが気を使う?想像出来ない!」

「ひ、ひど〜い、私、2人の邪魔にならないようにしようって決めて出て来たんだよ。お掃除とか洗濯、それに料理も少しだけどお母さんに教えてもらって来たのに。」

「家事全部やるつもりだったの?必要ないよ、3人で分担するのよ、ねぇサヤカ?」

「ウフ、かおりに任そうか?・・・って、冗談よ。私、オフの日にお料理するの楽しみにしてるんだよ、邪魔しないでね。」


翌日のレコーディングに影響しないギリギリまで3人の話しが続いた。




第21話をお楽しみに











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