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沙也加と僕  作者: ユキから
18/33

無抵抗

いざ東京に到着してみると、連れて来られた理由が分からず、急に不安になって来た。真由美は、新幹線を降りると、私が当然付いて来ると思っているからだろう、振り向くこともなくサッサと歩いている。

そのスピードが速く、人の多いホームで何度も行く手を阻まれそうになった。


改札を出て、再び広いコンコースを急ぎ足で歩くので、我慢出来ずに声を掛けた。

「真由美!もっとゆっくり歩けない?こんなに人が多いんだよ?」

「あっ、ごめん。大丈夫?ここんところ1人で行動してたから、つい急ぎ足になっちゃった。」

「うーんん、怒ってるんじゃないけど、私、田舎者だよ。お祭りでもこんなに人、いないもん。」


ようやく真由美の歩くスピードが落ち着いて、ついでに迷子にならないように手を繋いでくれた。


「今からある所へ行くんだけど、絶対逃げ出さないでよ。」

言葉だけなら警戒するが、真由美の表情を見てあまり不安に思わなかった。


《新宝明ミュージック》と看板が出ているビルに入って行く。

綺麗な建物だが、東京にある高層ビルではなく、むしろ周辺を見回しても目立つ大きさではない。

エレベーター横に出ているビルの案内板に、何社かの名前が出ている。

真由美は、エレベーターに乗り込むと、最上階のボタンを押す。


「ねえ、ここに何の用?私が一緒でもいいの?」

「また質問?いいから黙って付いて来て。」


そして、エレベーターが止まって扉が開くと、そこにキレイな女性が立ってお辞儀をしてくれている。

「いらっしゃいませ。」

すると、真由美は知り合いに声を掛けるような調子で

「こんにちわ〜、いらっしゃる?」

「社長ですか?首を長〜くしてお待ちですよ。どうぞ・・・」


廊下の奥にあるドアを2回ノックして、返事を待たずにドアを開ける。


「おーっ、ちょっと遅いぞ。ま、早く入りなさい。」


真由美の後を、黙ったまま追うように入った。


広い部屋に、初めて見るような大きな机、その近くには、高級そうな応接セットが。


真由美が何か言うだろうと思ってると、社長さんらしい方が言い出した。

「こちらが野崎さんだね、なるほど、君たちの目に狂いは無いな。ま、座りなさい。」


「サヤカ、一応、自己紹介してみない?」

「あ、うん。野崎沙也加と申します。あ・・・えーと・・」

生まれて初めての経験で、これ以上何を話せばいいのか迷っていると

「アハハ、いいよそれくらいで。サヤカさんのことは、粗方阿蘇君たちから聞かせてもらっている。あ、それより、卒業式はいつだったかな?」

この返事は真由美が答えた。

「年明け、2月1日です。」

「そうか、じゃあ予定通りに行きそうだな。」

「はい、よろしくお願いします。」


真由美と社長さんの会話が理解出来ないので、小さな声で真由美に聞いた。

「ね、予定って私に関係無いよね?」

すると、小さな声どころか、社長さんの耳にも充分届きそうな声で

「あら、関係大有りよ。2月10日から撮影開始よ。それと、CDの吹き込みとCMもね。いいよね、しばらくお休みなさそうだけど?」

「エッ、待って、まだ私・・」

「いいの、社長に全て任せれば。」

「ああ、サヤカさんはすぐにアイドルだよ。それだけのルックスとスタイルがあれば、何の不安もない。吉永小百合か松原智恵子?」

「社長、ちょっと古い。」

「おっ、じゃあ、キョンキョン?まだ古いか?」

「うふふ、社長、もう無理しないで下さい。最近だと、やっぱりキャロちんさんですよ。それで、昨日、お電話でお願いした件、大丈夫ですか?」

「当たり前だろ、あんなの、私にとっては軽い軽い。」


真由美と社長さんだけが分かる話しだろうと思い、私はずっと聞いているだけだった。そして、30分ちょっとで席を立った。


「ねえサヤカ、1枚だけ写真を撮るけどいい?」

そう言って、真由美はエレベーターのボタンを3階で押した。

すると、そこの入り口のドアに営業部と看板が出ていた。


中に入ると、すぐにハイネックのセーターを着た男性がやって来て、部屋の隅っこに案内され、コートだけ脱いでくれと。

傘のような物の中で、眩しいくらいのライトが灯ると、アッと言う間にカシャカシャと音が聞こえてくる。

時間にして、1分ぐらいだろうか、本当に言葉を発する暇も無くビルの外に出た。


真由美に質問することを、頭の中でまとめているうちに、明るい喫茶店のようなお店に入って行く。


「ああ、お疲れ。」

「ま、真由美、何があったの?きちんと説明してくれる?」

「ん?どうしたの、なんか怒ってる?」

「お、怒ってるんじゃないけど、何なの?」

「アイドル誕生だよ、サヤカ、すぐに世の中が変わってしまうよ。そうね、差し詰め、キャロちん超えってとこかな?」

「ちょ、ちょっと待って。私、まだオッケーなんてしてないよ。」

「サヤカ・・・もう決まったよ。後は、いつデビューするか?何からにするか?」

「何からって、どういう意味?」

「歌かCMか、それともドラマ?ま、それについてはこれから決めてくれるから、サヤカは心の準備。あ、さっき社長と会ったことが気になってる?」

「当たり前でしょう?それに、あの写真は何?」


余裕の表情で返してくる真由美に、不信感を持ちながら、ずっと険しい顔をしていると意識しつつ、それでもまだ理解出来ないでいた。


「社長と会ったのは・・・そうね、一般で言う所の面接試験?で、合格。それと、写真を撮ったのは、今後、売り出すための基礎になる顔写真ってとこかな?」

「ムッ!全然聞いてないんだけど、ね、あれが面接試験?何も聞かれてないし、自己紹介もしてないよ。それに、写真だって、髪の毛ボッサボサだよ〜。」

「アハハ、髪の毛くらい、修正処理すれば何とでもなるよ。今の技術って、すごいよ。あ、心配しないで、サヤカの顔は文句無しに綺麗だから修正しないよ。」

「んもう、茶化さないでよ、こっちは真面目に聞いてるんだから。それに、いざとなったら両親に相談しなきゃいけないのに。」

「アハハ、それなら大丈夫よ。この間、お電話で了解貰ったから。」

「ゲッ!聞いてないし、いつの間に?」


驚きを通り越し、急に心臓がパクパクしてきた。

あわてて、注文していたオレンジジュースを一気に3分の1ほど飲んだ。

真由美も落ち着いた感じでジュースを口にする。


「どう、落ち着いた?あ、そうだ、今夜の夕食はお祝いだね。何食べる?」

「あ、あまり高いのはダメだよ、家を出てくる時、そんなにお金持ってないよ。」

「今日は、私がお祝いしてあげる、だから、心配しないでいいよ。」


いろいろ教えてくれた。

新宝明ミュージックとの契約書は、家の方に送ってくれること。

卒業式の翌日、東京に来て、会社が用意してくれる寮に入居して、本格的な仕事を開始する。


「あ、そうだ、真由美はどうするの?」

「ん?あ、言ってなかった?そっか、あのね、実は、私はもうずっと前から社員?って言うのか、ま、そういう事。」

「ん?」


どうやら真由美は新宝明ミュージックと関係があるらしい、ということまでは、何となく分かった。

もしかして、あれだけのマンガを描けるのには何か結び付くことがあるのだろうか?

とにかく、何も苦労しないまま私のこれからの道が開かれたようだ。

ただし、一つだけファーストキスは?私にとっての最大の難関が待ち受けている。



日向アカリさんの名前が売れ出した。

まだドラマが始まっていないというのに、芸能週刊誌や女性雑誌、少女コミックなどに期待されるニューフェイスと取り上げられている。

その度、ユイさんが購入してきて僕に見せてくれる。


「優也さん、今度のシリーズもいい視聴率が取れそうね。」

『日向さんでしょう?これだけ評判がいいと、すごいんでしょうね?』

「ウフ、相変わらず自分の事は控え目に?あ、それでね、日向さんとCM決まりそうよ、もちろん、いつものスポンサーでね。」

『そうですか、そりゃ楽しみですね。』

「でね、もうひとつの方だけど、断らないでね。」

『ん?アレですか?でもねえ、キスが・・・』


一応、渡されたマンガは2度読み返していた。

作品としては申し分のない、いや、むしろ明るい内容なのでとても良いドラマになるだろうと予測出来ていた。

「ねえ、優也さんってキスをしたら赤ちゃんが出来ると思ってる?」

『ゲッ!あ、ま、まさか。そ、そのくらいは・・・』

「ホント?本当に分かってる?じゃあ、どうすればいいの?」

『ウッ!あ、そういう、のは、口にするもん、じゃないっしょ?酷いな〜。』

自分でも一気に顔が赤くなっているのが分かった。

「だったらいいわ。私、思うんだけど、手を繋ぐのと一緒でしょう?キャロちんと繋いだよね、あれって、イヤだった?」

『何言ってるんですか、あれは演技ですよ。キスとは全然違います。』

「じゃあ聞くけど、あれをサヤカさんが見たら?平気かな?」

『アッ、そ、それは・・・考えた事もなかった。ねえ、ユイさん、女の子って、好きな人が誰かと手を繋いでいるのを見たら、どう思うんですか?』

「そりゃイヤよ。そうね、好きな気持ちが強い人ほど、絶対に許せないと思うわ。」

『ゲッ!ホントですか?ヤバッ!』

「そう、優也さんが山城君だとバレていたら、きっと・・・」

『ちょ、ちょっと待って。わ、分かった、僕が不倫したって事ですよね?』

「ふ、不倫?あのね、言い過ぎよ。不倫って言うのは、結婚している人のこと。あなた達だったら、ま、浮気?」

『浮気?そんなぁ〜、全然意識してなかった〜。』

僕は、思わずヒザからガックリと崩れ落ちた。


「いいこと教えてあげる。サヤカさんに追求された時の言い訳、キスも手繋ぎも仕事だよ、って言い通すのよ。もし、あなたがサヤカさんと将来結ばれるとして、お仕事で誰か女優さんとしなきゃなんないのよ、最初から理解させておくのがいいんじゃない?」


ユイさんが意地悪く言うのは、どうしても次の作品に出ろと言いたいのだろう。

確かに、いつかはキスシーンを引き受ける事になるだろう。その時、サヤカが理解するのか、怒り出すのか分からない。しかし、それは、納得させなければならない。

少しだけ前向きに考えてみようと思い始めていた。


年末年始も、今回は全然お休み無し。

但し、クリスマスケーキやお雑煮はスタッフ一同で食べることが出来た。

そして、全員にお年玉がプレゼントされたので、その気遣いが嬉しかった。

休憩時間になると、日向さんが近寄ってきて

「いつもこういうの、頂けるんですか?」

『お年玉?いつもじゃないよ。今までは、年末年始、三日間ぐらいお休みだったからね。今年、ん?今回が初めてだよ。』

「私、これだけの現金を手にしたの、初めてで、嬉しくって。」

『そうなんだ?で、何に使うのかな?』

「まだ決めてません。半分は貯金します。後は、母に?」

『感心、感心。じゃあ、僕は何かご馳走しようか?』

「エッ、私にですか?」

『うん。何がいいか考えて。』

「さ、三条さんに、お任せって、失礼ですか?」

『僕だったら、お肉だよ、女の子は違うんだろう?』

「いえ、私、お肉を食べたいです。大好きです。」

『よし、じゃあそうしよう。但し、遠慮しちゃうと次がないよ。』

「エヘッ、それは大丈夫です。よろしくお願いします。」



結局、東京に2日いて家に帰ってきた。

すると、意外にもお母さんから聞かされたのは

「サヤカ、さっき契約書を送ったわよ。」

「エッ?」

「新宝明ミュージックさんへよ。何か安心してよさそうね。」

「どういうこと?私、一昨日に行ったけど、何にも聞いてないよ。」

「あら、そうなの?昨日、速達で送ってきたから、お父さんと署名して送り返したわ。とりあえず、おめでとう。これで夢から一歩前進したわね。」

「あ、ありがと、って、ホントに?ねえ、私の意見は?」

「あなたの意見って、これでいいんでしょう?アイドルになって、トモ君と再会するんでしょ?だったら、お父さんもお母さんも賛成よ。何か不満?」

「あ、いや、不満とか・・・ないし、あ、でも、何か変。」

「変?どうして変なの?」

「ん〜、あまりにもアッサリ過ぎない?こんなに簡単なものって思っちゃう。」

「ま、それは折々考えなさい。それより、必死に頑張るのよ、いい、もう逃げ道はないからね。」

「分かった。絶対やる。少なくても、トモくんと結ばれるまでは。でも、見てくれるかな?」


その夜、午前2時頃、ベッドに入ったがその頃になると、嬉しさが込み上げてきて目が冴えてきた。

かれこれ一時間近く眠れないままジッとしていたが、我慢出来ずに一旦ベッドから出る。そして、机のスタンドを灯してたった一枚のトモ君の写真。

「トモくん、私、アイドルになるの。歌をうたって、きっとトモくんの元へ行くね。だから、もし私を見つけてくれたら・・・お願いだから飛んで来て。」

両手を合わせて、お祈りするように拝んだ。


明け方から眠ったのだろう、目が覚めたのは正午前だった。

ベッドから出ると、冷え切った部屋が足元を凍らせるみたい。

それを我慢してカーテンを開け、窓も開けた。

ただでさえ冷え込んでいる部屋へ、さらに冷たい風が吹き込んできた。

少しだけそのままにして、やはり窓を閉めることにした。


室内着に着替え階段を下りていく。

「あらあら、やっと起きたの?」

「うん、全然寝れなくて、頭の中がボーっとしてるわ。」

「顔洗ったら?それとも、お風呂に入る?お湯、張ろうか?」

「シャワー浴びる。お昼の用意、お願い。」

「はいはい、鍋焼きうどんよ。」

「おっ、ありがとう。」


いつもより少し熱めのお湯を出し、頭から浴びる。

冷えた身体に沁み通り、ボーっとしてた頭が普通に冴えてきた。


髪の毛にタオルを巻いてリビングへ入っていくと、お母さんが

「髪の毛、早く乾かしなさい。風邪、引くわよ。」

「はあーい。」


再びリビングへ入っていくと、食卓テーブルの上に土鍋が乗せられていた。

「あーん、いい匂い〜。いただきまーす。」

「どうぞ。ところで、あなた、あまり喜んでないみたいだけど?」

「ん?そんなことないよ。嬉しいんだけど・・・」

「けど?なぁに、何か不安?」

「ちょっとね、だって、アイドルだよ、こんなに簡単に行くの?」

「行ってるね、でも、それが事実でしょう?」


お母さんが、簡単に返事してきて、次の不安を口にしようとした時、インターホンが鳴った。

「あら、お客さん?誰かしら?」

と、言いながらお母さんが玄関の方へ


「いらっしゃい、お昼、まだでしょう?・・・」

そう言う声が聞こえてきて

「サヤカ、真由美さんよ。今、サヤカお昼食べてるの、真由美さんも一緒でいい?」


リビングに入ってきた真由美

「おはよう。ねえ、かおりたちに話した?」

「まだ。だって、正式じゃないんでしょう?」

「バカねぇ、正式に決まってんでしょう。あ、でも、かおりたちに言うのは、もう少し後にしない?学校に言うのも、卒業式ギリギリくらい?」

「うん、いいよ。まだ早いもん、大袈裟に広がると困るよね。」

「そう。だから、打ち合わせに来たの。」


真由美の鍋焼きうどんが出来、お母さんが持って来た。

「あ、いただきまーす。熱ッ!アハハ。」

昨日、帰ってくるまで聞けなかったことを、この際、全部聞くことにした。

こっちは信じられない気持ちがあるのに、お母さんはもう、私がアイドルになった気になって、何度も口を挟んでくる。


いろいろ聞いているうち、私が抱えていた不安が薄れていくように思えた。


そして、お母さんが私に聞いた。

「サヤカ、アイドルになろうって決めた理由は?」

「そりゃ、そりゃあ・・・トモ君に、帰って来てもらう・・・ためよ。」

「だったら、迷うことないじゃない。あなたが目立つように、全力で頑張りなさい。」

「そうだよ、お母さんの方が分かってる。サヤカ、もう走り始めたのよ。いい?」


ふと、トモくんのお母さんの事が頭に浮かんだ。

「トモくんのお母さんに、何て報告したらいい?」

すると、真由美が慌てた様子で

「あ、あのさ、それも後、もっと後にしない?慌てても、トモくんに伝わらないんじゃない?そ、それより、トモくんに自然に分かってもらえる方が、効果あるんじゃ?」

「そっか!驚かすんだったね。じゃあ、ずっと先にする。」


ようやく質問タイムが終わった。

すると、今度は真由美が聞いてきた。

「サヤカ、トモくんと再会して、どうするの?」

「どうする?そうね、すぐに結婚しちゃおうかな?」

「ゲッ!本気?」

「ま、結婚は大袈裟かな?あ、でも、もう離れない。これは本気。」

「ん?ってことは、トモくんの考えは無視?例えば、トモくんに彼女がいるとか、心がサヤカから離れているとか?」

「酷〜い、そういう事、思っても言わないでよ。そんな夢のない事言うなら、真由美とは絶交よ。」

「アハハ、すごい自信だ。お母さん、大変な娘さんですね〜。」

「でしょう?もうね、この子の頭の中、ほとんどトモ君、少しだけアイドル?」

「悪い?ねえ、真由美、こんなだから、キスシーンだけは何とかしてよね。」

「ん?そこ?あんたが今気にしてるってのは、キス?」

「あ、簡単に言うけどね、ファーストキスだよ。絶対に、トモ君とだよ。」

「ふう〜ん、2度目は誰でもいいって?」

「クッ!」

「アイドルだって、ドラマで何人ともキスしてるけど?キスぐらいで、どうって事ないじゃない?それ以上だと、ちょっと・・・ね。」

「そうよサヤカ、お母さんだって・・・」

「いい、お母さんはここに入ってこないで。」

お母さんがどう言うのか、少しだけビックリした。


真由美の話によると、卒業式の翌日、東京に出発することに決まったらしい。

当面、住むのは真由美の家。

すぐに始まるのが、CMに決まったと。そして、歌のレッスンを受けて早い時期にCDを売り出す。

その頃からドラマ撮影がスタートするので、ほとんどお休みはないらしいから、覚悟してねと。



日向さんとマネージャーを招待してユイさんと四人で食事会。

芸能界で、人気のある焼き肉店。

「三条さんって、いつもここに来てるんですか?」

お店の中をキョロキョロ見回しながら聞いてくる。

「いつもって、まさか。何度目かって言われると、4度目かな?」

「ここって、高いんですよね?私には無理ですね。」

「いや、君なら何度でも来れるんじゃない?ドラマが始まる前から、すごい人気だってね。」

「あ、あれは、三条さんの相手役に選ばれたからです。本当に光栄に思ってます。」

「僕は関係ないよ、日向さんが可愛いからですよ。ね、ユイさん。」

「ええ、すごい新人さんですよ。」

「やめて下さい、私なんか、すぐに消えちゃうかもしれません。ずっと緊張してるのは、それが怖いからです。」


お肉が運ばれて来て、四人で食べ始めていると

「一つ聞いていいですか?」

と言うと

「三条さんの嫌いな言葉って、ありますか?」

『嫌いな?』

「そうです、例えば、バカって言うのをいつも言う人っていますよね。あれ、私、苦手なんです。」

『ああ、そういうのね。だったら、僕は「さよなら」かな?喋べりを覚えてから、意識して言わないようにしている。』

「あ、何か分かります。私も、友達には言いません。」

すると、ユイさんも

「あ、私も言わないわ。何か、言っちゃうと寂しいもんね。」

「私も、じゃあね、とか、またねぐらいですね。」

『へえ、結構、同じなんだ。』

「じゃあ、彼女には言ってないんですね?」

『グッ!か、彼女?』

「どうなの優也さん、言ったの?」

『ユ、ユイさん。ま、言ってませんけどね。どうして、そこ?』

「あ、秘密にしておきますので、安心してください。ちなみに、私はそんな相手、いませんからね。聞いても無駄ですよ。」



第19話をお楽しみに



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