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沙也加と僕  作者: ユキから
16/33

理想の追求・夢の追求

「どう、今回の出演者の方々?」

ユイさんが休憩中に聞いてきた。

『前回もそうでしたが、今回も圧倒されてます。』

「でしょうね、前回よりお金が掛かっているよね。いかに熱を入れているか。」

『お金のことは分かんないけど、メンバーが凄いです。』

「じゃあキャロちんさんがいてくれて救われてるってとこ?」

『そうです。あの人の姿を見るだけでホッとしますね。』

「そういうの、何て言うか知ってる?」

『ん?分かりません。』

「恋・・・恋したのよ。」

『バ、バカな。何てことを言うんですか?』


すると、、突然後ろから声がして

「あら、お二人で何のお話し?」

『ゲッ?キャロちんさん、あ、何でもないっす。くだらない世間話っす。』

「ウフフ、慌てて何を言ってるの?世間話なんかじゃないでしょう?キャロちんさんに、誤魔化しは通用しないわよ。実は、キャロちんさんの姿を見ると安心するんですって。それって、恋だよって言ってたの。」

「あら嬉しい。私も優也さんの事、大好きよ。」

『あ、コレッ!恋愛禁止のグループでしょう?そういう冗談は止めて下さい。』

「バレなきゃいいのよ。どう、ずっと秘密で付き合っちゃう?」

「そうしなさいよ、私がいろいろ手配してあげるから。」

『ユイさん!仮にも僕のマネージャーでしょう?』

「仮?」

『あ、すぐに揚げ足をとるんだから。そうやって大人は子供をからかうんですね。』

「イヤだ、嫌われちゃった?じゃあさあ、グループ卒業したら付き合おうか?」

『あ、それは無理です。』

「どう言うこと?誰か好きな人、いるのかな?」

『あ、はい。ずっと忘れられないんです。』

「へぇ〜、羨ましいわ。私より可愛いの?」

『あ、はい。僕にとって最高の子です。もちろん、キャロちんさんと比較なんて出来ません。キャロちんさんといえば、アイドルとして雲の上の存在ですから、本来ならこう言う冗談すら交わせない方です。』

「そんな事を思ってたんだ、でもね、アイドルだって1人の女の子だよ。愛されたい時だって人並みにあるわよ。私も20歳を過ぎてから無性に・・・って時があるわ。」

何かを想像するように上を向いている。

「ですよね、それで普通ですよ。私みたいに24にもなって、全然っていうの、辛い時がありますよ。」

同じように言っているユイさんだが、結構エッチなイメージがある。

「あ、マネージャーさんと話しが合いますね。今度、食事でも?」

「喜んで。キャロちんさんとだったら、優也さんの事をほっといてでも。」

『わぁ、ひどい相談してる。その時は、無断ではダメですよ。』

「おっ、無断でなければいい?さすが、優しいのね?」


散々女性二人にからかわれて、僕の出番が来た。

二人をそこに残して僕だけ現場に出向いた。

部屋を出ようとした時、キャロちんさんのグループのメンバーが入れ替わりに入って行った。



2学期の終業式が終わり、いよいよ年末年始の行事が色々ある。

トモ君のお誕生日の日は、お宅にお邪魔してお母さんと二人でお祝いをした。

小さなケーキに数本のローソンを灯し、私が代わりに吹き消した。


あと数日で訪れるイヴは、私の家に真由美たち3人が集まることになっている。

去年は受験を控えていたので、それに、トモ君と付き合い始めたばかりなので、結局家族だけのパーティだった。

今年のメンバーを聞いたお父さんが、嬉しそうな顔をしてお母さんにご馳走することを命じた。それも、年末のボーナスが多かったようで、かなり奮発するように話しているのだった。

ついでに、私も含めてみんなにプレゼントも買ってきてくれるらしい。

それを、嬉しそうに聞いているお母さんも頼もしく思えた。


私は、この冬休みの課題に、歌の声量をアップさせようと決めている。

その為、家から一番近くにあるカラオケスタジオに期間限定会員の登録を済ましてある。会員の特典として、隔日で講師の方が指導してくれることになっている。

家から通うには、電車で2駅乗らなければならいが、その回数券も購入した。

目標?歌の上手なアイドルになることで、その為、1日5時間のレッスンを受けるのだ。


そのレッスンの初日、講師の指導は意外にも喉の開きを矯正することだけだった。

それは、およそ女の子の声らしくなく、時間が経つたびにドス黒いというか、野太い声になっている。

それは、深呼吸が何度も必要なくらい息が切れる。

声のトーンは常に最大で、音程も1種類しか許されない。

1時間続け、5分間の休憩。お水の摂取を許される。

2回続けると、さほど暖房の効いていない部屋なのに、私の全身が汗まみれになっている。

入会の案内書に書いてあったタオルの持参の意味がようやく分かった。

4時間が過ぎて、初めて講師が説明してくれた。

「どうだ、つらいだろう?」

「はい、初めての経験ですから、確かにきついです。」

「君はアイドルが目標なんだよね?それって、並みのアイドルかな?」

「いいえ、夢はトップアイドルです。私の歌でみんなを笑顔にしたいです。」

「だろうな?君の場合、今までここに通った子たちと明らかに違うことがあるよ。」

「はい・・・?」

「同じようにアイドル志願の子が何人もいたけど、みんなすぐに根を上げる。特に、声が出なくなって泣き出してしまうんだ。それなのに、君は一言も言わないで、まさに、何かに取り憑かれたように声を出し続けているよね。久々に見たよ、本気の人を。君ならきっと大丈夫、希望通りになると思う。」

「あ、ありがとうございます。私、真剣なんです、先生の教え通りにやろうと思って申し込みました。よろしくお願いします。」

「君って、得だよな。」

「は?」

「ルックスがアイドルそのものだろう?その上、声が安定して出ている、これは君の大きな武器になるぞ。さあ、あと1時間、声を出し続けようか。」

「はい!」

私にしては大きな声で返事が出来たと、自分でも驚いた。


その夜、厳しかった練習を思い出しながらお母さんに報告。

先生に褒められたことを話すと、お母さんも我が事のように喜んで励ましてくれた。



新加入の人たちの熱い取り組みように、僕も前回以上に気合が入っている。

山王寺綾さんも、あのステージで見せるアイドルとしてのイメージが消え、日々迫力を増している。

時々、その様子がアイドルグループのキャロちんさんではなく、大女優が相手だと思ってしまう。

撮影期間の予定は4ヶ月だから、その時間が大切なものになるだろう。

キャロちんさんたちグループのメンバーが凄いと思うのは、グループとしてのライブや握手会とかの強行スケジュールがギッシリと詰まっているにも関わらず、疲れた様子が全然見えないくらい、平然と取り組んでくれる。

そして、グループが中心のドラマもテレビで放映されているから、ホント、頭が下がる。


撮影期間に何日か休養日があり、たまたまキャロちんさんたちのお休みと重なったようだ。すると、ユイさんを通じて食事の誘いが来た。

『それって、いつか話してたこと?』

「覚えてた?そうよ、あの後、メンバーの人たちも一緒に、是非行きましょうって約束してたのよ。だから、あっちが5人でこっちは2人の合計7人ね。」

『そこまで決まってるの?だったら断れないよ、でも、あの人たち、せっかくの休みに?』

「それは聞いた。家でいるよりいいらしいよ。特に、相手が優也さんだからみたい?仕事抜きで話したいんだって。」

『怖いなぁ、ユイさん、余計なこと言ってない?』

「安心して、いろんなことを聞かれたけど、直接本人に聞いてって言ってある。」

『どう言うこと?まるでクイズ番組?』

「そうやって予習みたいなことするの止めたら?何でも堂々として答えてあげることね。そうすれば、ずっと本音が話せる友達として付き合ってくれるわよ。」

『なるほと・・・そうだね。』


集合場所に選ばれたのは、恵比寿にある芸能人もよく利用することで有名な焼き肉店で、10人が座れる個室が用意されていた。

ユイさんと一緒に入って行くと、待ち合わせ時間前なのにすでに5人全員が揃っていた。

部屋の中で、彼女たちはスマホでちょっとした撮影会のようなことをして騒いでいた。

遅くなったことをお詫びすると

「全然ですよ、まだ約束の時間になってませんよ。」

キャロちんさんが、あっけらかんとした顔で話す。

「私たち、めったにこうして一緒に食事することが無いんです。まして、ここみたいに有名店なんかに来れないから、みんなワクワクして。」

『実は、僕も初めてです。』


料理の注文はユイさんに任せ、早速質問攻めにあってしまった。

「優也さん、高校?」

『ええ一年生です。あまり登校出来ませんが。』

「それは私たちも一緒。あ、私は三年生だよ。」

キャロちんさんに次ぐ2番目に古いメンバーの人で、人気も凄いと聞いている。

「宝明学園でしょう?ここ数年で急激に人気校になってるよね。」

『そうなんですか?ヘェ〜知らなかった。』

「ねぇねぇ、優也さんって東京生まれ?」

別の子が覗き込むように身を乗り出して聞いてきた。

『違います、めっちゃ田舎。街らしいところは、駅周辺ぐらい。あ、ウチの駅前にはあまり何もないので、買い物は二つ隣の駅前です。』

「ふぅーん、じゃあ私たちとあまり変わんない。駅前のショッピングセンター?」

「バカねえ、センターじゃなくモールっていうんだよ、ねぇ、違う?」

『あ、そうです、モールです。』


たわいもない話で、ある意味ホッとしていた。

日頃、女性と会話を交わしていない、と言ってもユイさんは仕事だから別にして、こう言う女性アイドルグループの、ましてや人気絶好調のトッブに君臨している方達といったい何を話すのか不安だらけでお店にやって来た。

緊張感を悟られないように気を付けながら、自分なりに平静を装っていたが、さすがに長続きはしなかった。

「優也さん、初恋は?」

「まだよね、何だったら私でもいいけど?」

「あんたはダメ、センター経験も無いんだから。」

「だって、この中で一番年下よ。みんな、おばさんじゃない?」

「おばさん?言い過ぎでしょう。ま、キャロちんさんには当たってると思うけど?」

「おばさん扱い?もういいわ、今後、あんた達との食事会は一切無し!」

「ゲッ、そんなぁ〜。またカップ麺生活?ヤダよ〜、変なところにぜい肉が・・・」


何を言っても笑いを取るのは、さすがだ。

「で、本当のところ、どうなの?」

キャロちんさんが、他のメンバーの声を遮り、真面目な顔をして聞いてくる。

『一応、一度だけ。』

ちょっと笑いを取ろうと思って言った。すると、すかさず突っ込みがきた。

「プッ!じゃあ、何度したいの?」

「アハハ、私もこれからそう言おうかな?3度目の初恋中で〜す。」

「ウソッ、もう5~6人って言ってたじゃん。」

「アッ、バラさないでよ。もう〜酷いわね〜。」

「あんた達、煩い。優也さんのことを聞きたいんでしょう?」


「で、その初恋の結末は?うまく行ってる?」

『さあ、どうでしょう?』

「どんな人か気になるんだけど?」

「私達より可愛かったりして?」

「そんな子、いる?」

「あらっ、そこまで自惚れる?あんた、グループでもちょっと落ちるよ。」

「あ、気にしてるのに。」

「告ったの?告られたの?」

「あんた、これだけのイケメンだよ、告られたに決まってんでしょう?」

「ふぅーん、ま、私も告る派かな?」

「当然でしょう?誰も告ってくれないよ〜。」

「なんでさっきから私をいじるの?なんか、嫉妬?」

その一言で大声の笑いが起こった。



イヴ、みんながうちに来た。

もう何度も集まっているが、大抵真由美の家かミスドなので、皆川さんがうちに来たのは初めてだった。

夕食には早いので私の部屋に入った。

そこで中学の時の卒業アルバムが見たいと言い出したので、真由美と皆川さんに見せることにした。しばらくして、思わぬことを皆川さんが言い出した。

「ねぇサヤカ、一つ質問していい?高校入試の時、仲良くしていたイケメンの彼ってどうしたの?合格しなかったの?」

驚いたのは私だけじゃなかった。そして、私が返答する前にかおりが言った。

「えっ?何で知ってるの?」

すると、皆川さんは、悪意のない顔で

「ん?知ってるよ、だって、うちの中学で一斉に悲鳴に近い声が上がったのよ。でも、横にいるサヤカが凄くて、みんな諦めたんだよ。」

「ふぅーん、そうだったんだ。あの人、」

かおりが言いそうになったことを止め、私が返答することにした。

「合格したよ。でもね、訳があって入学してない。ま、これ以上は詮索して欲しくないかな?アハハ、でもよく覚えてたわね?」

「ずっと聞いてみたかったんだ、でも、その前に校内を調査したんだけど、見つけられなかった。なんか事情があったってこと?もう聞かないことにする。」

案外アッサリと引き下がってくれたので、真由美もかおりも、もちろん私もホッとして話題を変えた。

すると、今度はかおりが言い出した。

「皆川さんって、他人行儀な呼び方じゃない?」

いち早く反応したのが本人だった。

「それを待ってたのよ、いつになったら?それに、誰が言い出してくれるか?」

真由美が

「アコ?」

「あ、でもね、それでもいいんだけどちょっと抵抗が。サヤカ、真由美、かおりって3人共3文字でしょう?私も3文字がいい、なんか無い?」

「アコを3文字にするの?アイコだと改名したみたいだし・・・」

「ジャンケンとも言うね。」

すると、真由美が突拍子も無いことを呟いた。

「アンコだったら、楽しいけど。ま、美味しそうか?」

「それに決めて。気に入った、今まで考えたこともなかったけど、アンコ!・・・甘い人間になりたい。あ、人に騙されたいんじゃないよ、言っとくけど。」

「本当にいいの?」

私が確認するように聞いた。

「いいよ、この名前でマンガに登場しない?」

「分かった、なんとかするから、そっちこそ小説に登場させなさいよ。」

「分かった、約束だよ。」

「変な約束。プッ!」


クリスマスをトモ君と過ごせるのって、いつになるの?

3人の友達の笑いの中に、今夜は何度も頭の中を過ぎっていた。

夜になり、お父さんが帰って来てパーティが盛大に始まり、お父さんから四人にプレゼントが配られた。

それがお揃いのボールペンセットで、そこらの文具店で手に入らない高級品。

それを手にした私たちは、ノートに試し書きをし、その書き味の良いことに感心していた。

もちろん、お母さんのお料理にも感激しながら、パクついていた。



ドラマの撮影は順調に進んでいるが、さすがにキャロちんさんたちは年末年始、歌番組が普段の数倍あり、ほとんどオファーを受けているようで、こっちの出番が減っている。

ドラマ撮影の良い所は、それぞれの出演場面を撮り溜めして、最後に繋ぎ合わせられることで、出演者のいない間に、僕や他の人たちのシーンを撮っていた。

山王寺家との確執が想像以上に大きな問題で、周りに群がる利権争いが学園運営にもヒビを入れつつあり、僕とクラスメートの間に派閥争いが起こり、不穏なムードが漂ってる。

山王寺綾に忍び寄る山王寺勢力が、校内で隠れたイジメに走り出して権力を我が物にしようと・・・対立を好まない僕が、どうするのか頭を抱えている。


台本が出来上がる都度渡されるので、結論が分からないまま進行していた。

シーズン1で放映された部活のことも、今は資金難を理由に廃部案が発表され、強くなければ生き残れないサバイバル状態で、僕にかかる重圧も。


少しずつ大人の世界を覗き始める、ワクワク感満載のドラマになっていた。


ようやく大晦日の夜から、お正月の三が日だけお休みになった。

「どうするの?実家に帰ってみる?」

ユイさんが聞いてくる。

『いや、それは無理ですよ。帰りたいのは山々ですが、もし今帰ったら・・・』

「そっか、サヤカさんと会いたくなっちゃう。そりゃマズいはね。」

『そうですよ、あと数年、我慢するって決めてます。』

「じゃあ、私が相手するしかないね。」

『いーえ、ユイさんは実家に帰ってゆっくりして来て下さい。ずっと働き詰めですよ、こんな時ぐらい。』

「ありがとう、優しいお言葉。でもね、私の夢は優也さんが大物若手俳優の地位を確立するまで、実家に帰らないって決めてるの。そうだ、明日は明治神宮に初詣しようか?そして、おせち料理がないから、とびっきり豪華なお料理を食べに行こう。」

『そんなの、今から予約しても間に合わないでしょう?』

すると、ユイさんはスマホを取り出し、何やら探し始めている。

そこへ、珍しくメールの着信音が鳴った。


発信者を見ると、ユカと出ていた。

年末のご挨拶とかから始まり、いつもの3人で明日は初詣、僕の成功をお祈りして来てくれる等、真面目な文章だった。

すると、ユイさんがスマホの手を止め、僕の方を見ていた。


「誰から?」

『あ、前に話した女子高生3人組からです。』

「あら、何て?」

『今年はお疲れ様、明日は初詣で僕の成功をお祈りしてくれるんだって。』

「ふぅーん、本当に今時珍しい子たちね。ねえ、その子達と一緒に行く?」

『初詣ですか?別に構いませんけど。』

「その子達、こっちの誘いを断らないわよね、いいお店見つけたから、取り敢えず5人分の予約してみるね。」


ユイさんの電話は少し長く思ったが、笑顔でVサインをして来た。

「オッケーよ、メッチャ高いお店だけど、いいよね?この1年、結構稼いだもんね。」

『稼いだ?そう言うの、教えて貰ってませんけど、僕の奢りならいいんじゃないですか?』

「じゃあ、早速連絡してあげなさい。ああ、食事もするから、時間がたっぶりとあるかも確認して。それから、神宮は混み合ってるから、優也さん達がいつも会ってるファミレスにしたら。私のことは言わなくていい。」


僕は、ユイさんの指示通りメールの返信をして誘った。

すると、数分で3人からメールが届いた。

彼女たちの驚きが半端なく、メッチャ喜んでくれているようだ。

そのことをユイさんに言うと、笑顔で頷いている。

「良かった、明日が楽しいっていいわね。」

『そうですね。』

「じゃあ、軍資金を用意しなきゃいけないから、今夜はこれで帰るね。明日はお家に寄ります。」


そう言ってユイさんと別れた。


夜、テレビを見ていると、キャロちんさん達のグループが登場すると、他の歌手とは明らかに歓声の声が大きく聞こえる。

その上、今年流行した何曲かのメロディー。

一緒になって僕も口ずさんでしまう。


華やかな衣装が似合うキャロちんさんが手を振って画面から消えるのを見届けて、ようやくお風呂に入ることができた。

ドラマ撮影やCM撮り、ハプニング的に数万人の前で歌って踊った事など、この1年の思い出が蘇ってきた。

そして、当然のこととして、サヤカの笑顔が浮かんで来た。

1年も会っていないが、どのくらい女の子らしく成長したのか気になった。そして、まさかとは思うが、新しい彼氏が出来たのでは、と不安が過る。心臓が一気に小さく縮んで苦しくなってしまう。

その不安を無理に振り払い、お風呂から上がってベッドに飛び込んだ。


久しぶりに家に電話する。

途中、父さんから母さんに代わり一気に喋り始め、こっちの話しも聞いていないようだ。

そして、母さんからサヤカが元気でいること、家に時々顔を見せに来ていることを聞かされ、不安が吹き飛んだ。




第17話をお楽しみに



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