この道の向こう
トモ君のお母さん、時々遊びに行くんだけどどうしてもトモ君の事を話題に出来ない。
トモ君がいなくなって初めてお母さんを訪ねた時、何か言いにくそうにして、挙句に涙が頬を一筋流れたのを見た。でも、お母さんははっきりと“待てるなら”と言ってくれたのも聞き逃さなかった。
それ以来、遊びに伺っても、敢えてトモ君の事を話題にしていない。
この前の日曜日、ブラっと立ち寄ったところ、お庭の草むしりをしていたので、私も一緒に手伝った。
「汚れるからいいのに。」
「いいんです、それよりこのミニトマト、こんなにいっぱい実るんですね。」
「そうね、少し酸っぱいけど自分が作ったと思うと、結構美味しいのよ。」
「だと思います。うちのお母さんにもこういう趣味があればなって思うんですけど。」
お昼になり、トモ君のお母さん、取り立てのミニトマトや他のお野菜をたくさん盛ったサラダと、ちらし寿司を作ってくれて美味しく頂きました。
「サヤカさん、進学するんでしょう?」
「ん〜、実は決めかねているんです。まだ1年生ですし、少し早いかなというのもあるんですけど、一つ、夢があって。あ、今は恥ずかしいので言えませんから、この先は聞かないで下さいね。。えへへ・・・」
「あら、夢があるのね?いいわね、夢に向かって真っしぐら・・・私にはそういうの、残念ながら無かったわ。行き当たりバッタリっていうの?それで、勉強もそこそこに就職しちゃったの。そしたら、すぐにナンパされて。」
「あ、分かった、それがお父さん?」
「ま、そういう事。社会人になってから夢を探したかったんだけど、結局、それも無く今に至る?」
「いいなぁ〜、そういう流れって、私も理想ですけど。でも、そればっかりは・・・あ、だからって言うんじゃないですけど、夢を見てるんです。」
「サヤカさんの夢、私は勝手に想像してみようかな?きっと叶うんじゃない?」
「あ、じゃあ、叶いそうになったら言いますね、その時は応援して下さい。」
まさか、私の夢がアイドルタレントになりたいことだなんて、トモ君のお母さんにも想像出来ないだろうと思いながら、ここでも新たに誓ったのです。
とんだ慰労会の翌日、早速ユイさんから1枚のCDを渡された。
『何ですか、これ?』
「あら、夕べ約束してたじゃない?忘れたとは言わせないわよ。」
『ゲッ、まさか?』
「7月のその日、スケジュール押さえておいたわよ。」
『エッ、本気ですか?』
「何を言ってるの?キャロちんさんたちは、もうその気よ。でなきゃ、朝一のバイク便で届けてこないでしょう?しっかり練習して、新宝明プロに恥をかかせないでね。」
『あちゃー、冗談だと思ってたのに。』
ユイさんが、ずっとニヤニヤ笑っている。
そう言えば、今日の撮影、キャロちんさんの出番がなく、直接渡せないからバイク便を使ったんだろう。
「ねえ、分かってる?そのコンサートの5日前に、こっちのドラマ、クランクアップするんだよ。少なくても練習時間はあるわよ。カラオケで練習してみる?付き合おうか?」
『あ、お願いします。って、まだその気になってませんけど。』
「どうせその気になるんだから、グダグダ考えないで、真剣にやりましょう。」
『あ、はい・・・って、大丈夫かな?』
その日の撮影、珍しくNGを3回出してしまった。
ドラマは順調に視聴率を稼いでいるようで、全番組の2位から5位の間にいるらしい。その数字が、スポンサーやテレビ局を喜ばせ、クランクアップ前に、来年からのシリーズ化が決まった。
CMの延長も確定し、その他、同じスポンサーが提供する番組にも出演することなど、急にスケジュールが立て込むようになったと、ユイさんが喜んでいる。
「ねえサヤカ、夏休みの予定は?」
「無いよ。真由美は?実家に帰るんでしょう?いいよね、都会が実家って。」
「そうでもないよ、田舎でのんびりとしてるほうが。ねえ、うちに来る?」
「ん?行ってもいいの?」
「と言っても、私の東京の住処だけどね。親は今頃、海外だから誰もいないんだよ。あ、そうだ、折角だから渋谷とか原宿でスカウトを期待する?」
「おっ、突然?アハハ、無理だよ、興味はあるけど。」
「じゃあさあ、3日ぐらい行く?私、それ以外はこっちにいよう。マンガを描く。」
「3日ぐらいなら行ってみようかな?あ、スカウトされるのが目的じゃないよ。」
「分かってるわよ、じゃあ決まりだよ。夏休みに入ったらすぐだよ。」
「うん、お母さんに話す。」
7月の初め、長かった野生児のクランクアップを迎えた。
と言っても3日前から、共演者の方々が順にクランクアップをして、その度に花束を贈呈し、拍手で送り出して来た。
そして、今、僕とキャロちんさんも花束を渡され、スタッフの皆さんにお礼とねぎらいの言葉を伝え、スタジオを出た。
キャロちんさんが
「お疲れ様でした。どうですか、歌とダンスの練習、順調ですか?」
『あ、いえ、やっぱり難しいです。あまり期待しないで下さい。』
「あ、そうそう、リハーサルに参加して下さい。」
『エッ、リハーサル?』
「ええ、三条優也さんの飛び入り参加はもう決まってるんですけど、その人に恥をかかせないのも大切なことですので、明後日、私たちもリハしますんで。」
ユイさんから
「ねえ、いよいよ今度は歌手デビューですよ、明日はカラオケで練習。そこでダンスも一緒に練習するわよ。」
『ふうーッ、怖いなぁ。ねえ、チラッと新聞を読んだんですけど、5万人とかって出てましたよ。』
「すごいね、やり甲斐がある。そこで成功したら、本格的にデビューですよ。」
『ん?何のことですか?』
「惚けないで、男性アイドルは今から三条優也を中心にして、大売り出しよ。」
『商店街みたいですね。僕が売れますか?』
「ウフフ・・・」
リハーサルが行われている音楽スタジオに、指定された時間の5分前にユイさんと到着した。
奥行きのあるビルの三階、廊下にも若い女性が溢れるようにいる。
それぞれ、思い思いのジャージや短パンにTシャツ、マスクをしている子も結構いる。もちろん、誰が誰とかは全然分からない。
一応僕も、話に聞いていたので、ダンスに適したジャージを着て来た。
ユイさんがガラスの扉を開けて中に入って行く。その後をついて入って行くと
「いらっしゃーい!」
と言って、真っ先に飛んで来たのはあのトンピーさんだった。
すると、一緒にドラマに出ていた他の子も飛んで来た。
周りにいる人たちは、何事かとこっちを見ている。
『あ、こんにちわ、お邪魔します。』
「あ〜、今日もカッコいいですね。あ、キャロちん、呼んできます。」
すぐにキャロちんさんがやって来た、何人も後ろに引き連れて。
「ようこそ〜、あ、みんなが揃ったら紹介しますね。エヘヘ、うん、さすが、エンターテイナーね、どんな格好でもオーラがある。ね、みんな、凄くない?」
「ホントだ、ドラマの中でも良かったけど、本物の方が格段だ。」
「あなたは化粧で?」
「やーだ、キャロちんだって同じじゃん。」
「この〜、バラさないでよ。」
数分後、部屋の中が女性だらけになっていた。
二重の輪が出来、指導者らしい人が簡単な手順を話し、僕が呼ばれた。
シーンと静まり返った中で、紹介され、一応、よろしくお願いしますとお辞儀をした。
入り口と反対側には、壁一面に鏡があり、全員それを見ながらダンスレッスンを受けるらしい。
僕は、前日、カラオケ店で練習したのを思い出しながら立っていた。
すると、トンピーさんが
「始めはそこでいいですけど、慣れたら真ん中に行って下さいね。2番の立ち位置ですから。」
そして、音楽が流れ始めた。
居直りにも似た気持ちだったが、結構、プレッシャーを感じ、簡単に動かなかった。
頭では鮮明にダンスが分かっているのに、身体が反応しないのだ。
前で手拍子を取りながら目を光らせている指導者の女性が、何度も途中でストップをかける。何十人もいると、そう簡単には合わないのだろう。
その度に大声で注意しているのだ。
みんなの熱気と、身体を動かし続けているので、異常なくらいに汗が流れる。
周りにいる子も、髪の毛がへばり付くくらい汗だくになっている。
気になることがある、レッスン開始からかなり時間が経っているだろうに、休憩がない。ずっと踊りを繰り返していることに驚いていた。
ヘトヘトになって来た頃、突然、僕の立ち位置を変えられた。
キャロちんさんの隣に呼ばれ、そこに移ると
みんな、ヘトヘトのはずなのに拍手が起こった。
正面に映る自分の姿を見ると、後ろにいる人たちが笑顔で、誰一人疲れた様子を見せていないように思った。
そのことが、僕の何かを刺激したのか、全力でやってみようという気になった。
曲のイントロが流れ始めて、ダンスのタイミングに合わせて思い切って動き始めた。鏡の中で、キャロちんさんと目があった。
驚いた様に僕を見て、急にキャロちんさんの動きが大きくなり、連れて、周りの人たちの動きも変化したように見えた。
面白いもので、今までになく楽しくなり、身体も良く動いた。
すると、本来なら声など聞こえるはずがないのに、誰かの声が聞こえ、すぐに何人もの声が聞こえてきた。歌を歌っているのだ。
キャロちんさんも歌いながらテレビで見る笑顔で踊っている。
そして指導者の女性も、全員に歌うように促す。
5分程の曲が終わると、みんなが拍手している。もちろん、僕も、見物しているユイさんも。肩で息をしているのは、みんな一緒のようだ。
そして、もう一度リハをして僕の今日の役目は終わった。
コンサート当日の細かな打ち合わせをして帰途についた。
「よく出来ましたってとこね。」
『いや〜、全然です。やっぱり恥ずかしいのが先に出てしまうから。』
「そう?でも、優也さんのダンスを見て、みんなにスイッチが入ったんじゃない?
すごく楽しそうだったよ。」
『あ、それは確かに。案外、楽しかったです。』
「どう、三条優也のデビュー?いい感じになりそう?」
『どうでしょう?本番にボロを出したりして・・・』
期末テストも無事に終わって、後、一週間で夏休みに入る。
結局、かおりはスケジュールが合わず、真由美と私の2人で東京に行くことになっていた。
東京では、アイドルの聖地秋葉原にも行ってみる。
真由美のお薦めは渋谷のスクランブル交差点、平日でも凄いらしい。
そこにあるマルキューには、私たちの年代が最も多くファッションに興味を持たらせているお店が揃っているらしい。
お店の店員さんって、みんなファッション誌から出て来たような艶やかな格好で、私達のような高校生にも愛想よく接客してくれるらしい。
地元だと、モールの中にある洋服を、お母さんやかおり達と自分で選ぶしか方法がない。流行の最先端があるわけでもないから、どうしても見劣りするのは否めない。
その事も、一応、妄想日記に書いておくことにした。
ん?そう、アイドルらしい洋服を見て、お気に入りがあれば1着くらい買ってこようと思ってる。
ライブの前日、カラオケで歌って歌詞を完全に覚えようと、ユイさんと待ち合わせているカラオケ店に行った。
ここ数日通ってるので、受付けの店員さんに顔を覚えられたようで、待つことなく部屋に案内してくれた。
待つ事数分で、ユイさんが入って来た。
「お待たせ。待った?」
『いえ、数分ってところです。』
「そう、じゃあまだ何も頼んでないよね、食事がいい?」
『そうですね、あ、ピザが食べたいかな、それとコーラ。』
「ハイハイ毎度あり〜。私は、ンーとサンドイッチにしよう。」
ユイさん、壁に掛かってる電話機で注文してくれている。
「あ、そうだ、明日のライブに乗っかって、CM撮影が入ったわよ。」
『ゲッ!ウソでしょう?いやいや、さすがに使えないでしょう?』
「そうかな?大丈夫じゃない?」
『安請け合いですよ、だって、ダンスを間違えたらどうするんですか?お客さんを待たせて撮り直しなんて無理ですよ。』
「ザッと撮って、後から編集するんでしょう?そういう心配は無用よ、相手はプロなんだから。」
『あ、そりゃそうですけど、じゃあ、上がっちゃってバタバタになったら?』
「三条優也のそういう姿も、案外いいかも?」
『他人事だと思って。どうなっても知りませんよ。』
そこへ食事が届き、話しはそれで終了した。
食後から結局、夜8時まで何度も繰り返し歌い、ユイさんにも、歌ってもらいダンスの練習を重ねた。
マンションの自室に帰った時、さすがに疲労感に満ちているのを感じた。
翌朝、目が覚めるといつもと違う緊張感がある。
ベッドから降り、何度も背伸びをしながら大きく深呼吸を繰り返した。
その時、ふと机の上のカレンダーが目に入って来て、ようやく2日前から取り敢えずの夏休みに入っていることを思い出した。
新宝明では、学期末テストが終われば、正式な終業式の日まで授業がなく、僕のような部活に入っていない生徒は実質的に夏休みに入った事になる。
誰もいない部屋で、いけねーとばかりに頭を掻いていた。
スッキリさせようと、すぐにシャワーを浴びようとバスルームに駆け込む。
詳しい今後のスケジュールは、まだユイさんから聞いていないので、夏休みとはいえ予定の組みようがないと思ったり。
低温のシャワーが気持ち良かった。
浴室から部屋に戻ると、ユイさんからメールが届いていた。
少し芸能人ぽい服装をして行くから、買いに行きましょう、となっていた。
普段着でいいかと思っていたが、やはりドラマのロケに行くのとは訳が違うのだろう。
そう言えば、学校の制服が一張羅で、ティーシャツにブルゾンを着たりの格好ぐらいしか着る物を持ってない。
学期末テストが終わり、少しホッとしているところへ真由美がやって来た。
「お疲れさまでした。早速だけど、例の件の打ち合わせしてもいい?」
「例の件って、東京に行く?」
「うん、でね、明日出発でもいいよね?」
「えっ、明日?どうしたの、そんなに急ぐの?」
「うん、実はその方がサヤカを喜ばせるんじゃないかと思って。エヘヘ・・・」
「ん?な〜に、その意味深な言い方、オッケーしたくなるじゃん。」
「はい、決まり。良かったぁ!じゃあ、朝8時の電車ってことで、よろしく。」
「わかった。テスト明けの気分転換に、いいかも?」
と言うことで、家に帰ってお母さんに報告。
「あら、忙しい話しなのね。でもいいわよ、毎日お勉強もしていたから。あ、お父さんからお小遣いもらったげようか?」
「うん、だからお母さん、大好き。あ、お洋服とか・・・靴も・・・それから。」
「コラッ、調子に乗ってんじゃないわよ。」
「エヘッ⁉︎」
「でも、せっかくの機会だし、お母さんのヘソクリからも少し上げようか?」
「ありがとう〜ございま〜す。」
「その代わり、夏休み中は家の中のお手伝い、するって約束。」
「もちろんするよ。あ、お料理するんだ。お母さんの味、教えてね。」
「本気?いいわよ、ビシビシ、厳しく教えてあげるから。」
その夜、お父さんからお小遣いを予想以上に貰え、その上、お母さんからこっそりヘソクリを貰えた。
「折角だから、何着か買って来なさい。あ、可愛いのをだよ。」
「うん、アイドルっぽいのも、でしょう?」
朝8時の電車に乗り込んだ。
急いで駅まで来たので、汗が滲み出そうと構えているようだったが、電車内の冷房が気持ち良く、すぐに落ち着いてきた。
「サヤカって、何を着ても似合うんだね。今日のファッションもいいよ。」
「なあに、朝から褒めすぎよ、魂胆は?」
「魂胆?んーと、将来・・・デビューしたら・・・ファンクラブの会員番号1番?」
「・・・それはダメだよ。そうね、真由美は3番かな?」
「やっぱり・・・あいつが1番で、かおりが2番?」
「コラッ、あいつ言うな。私の大事な彼氏だぞ。」
「アハッ、怒られちゃった。ま、3番でもいいか。それより、本題です、どうして急に今日になったのか聞かないの?」
「ん?試験が終わったからじゃないの?他になんかあるの?」
「エヘヘ、実はあるんだよね。知りたい?」
「嫌な言い方、でも、言いたいんでしょう?聞いてあげようか?」
「うわ〜っ、さすが上から目線。いいこと、これからの行き先って私のホームグラウンドってこと、分かってる?」
「あ、そっか、そうだね。じゃあ改めて・・・教えて下さい。」
「あのね、明後日なんだけど、コンサートのチケットを友達が取ってくれたの。」
「コンサート?誰の?」
「サヤカだったら、誰のコンサートを見たい?」
「ん?そうね、やっぱりアイドルグループかな?一度、生のステージを見たい。」
「オホホホ、ではご希望に叶えそうですね〜。横アリのコンサートだよ。」
「えっ、ホント?横浜アリーナって、何万人も入るんだよね?ってことは?」
「最大5万人くらい?あ、でもチケットは後部席だから、顔が観れるまでは行かないと思うけど、その辺はよろしく。」
「いいよ、全然。その雰囲気を味わえるだけで十分だよ。ありがとう、あ、なんかテンション上がってきた。テレビとかDVDでしか知らないから・・・」
「実は、私も大きな会場のコンサートって、初めてなんだよ。キャロちんと言えば、今やトップ中のトップだもんね、歌、聞こえないかもよ。」
「いい、いい。何十人もダンスするって、凄いよね。後ろの方からだと、全体が見えそうでしょう?それ、凄いよね。贅沢言わないわよ。」
東京までの車中、楽しみが増えたことに、私はウキウキし続けていた。
その様子を漫画にするんだと、真由美はノートを取り出して熱心にエンピツを動かしていて、時々手を休めると私をからかってくる。
「そんなに嬉しい?」
「うん。だって、考えてもなかったし、今後の参考になるかも知れないからね、真由美と知り合って良かった〜。」
「そう?じゃあ、なんか期待していいのかな?」
「いいわよ、お小遣いをいっぱい貰ってきたから、晩ごはんは任せて。」
「ホント?いいよねお嬢様は。私なんか、余分なお小遣いなんて全然だもん。」
「お嬢様じゃないし、こういうのって初めてだよ。ま、可愛い娘だから?」
「自分で言う?アハハ。」
いよいよ初体験の日になった。芸能活動を始めて、長いのか短いのか半年以上が過ぎ、これまで夢中になってセリフを覚えたり、NGを出しながらも演技をしてきた。
けど、それは周りをスタッフだけに囲まれた世界なので、緊張はするが、あがることは無かった。
ところが、今日は数万人が見ているところで、慣れない歌とダンスを披露する。
どうなるかを考えたら、それだけで心臓がキユッと縮んでくる。
ユイさんと待ち合わせている所に行った。
「あら、顔色悪いんじゃない?」
『当然でしょう?朝からビビってんです。心臓の鼓動がおかしいんすよ。』
「ふぅーん、三条優也にもそういう一面があったなんて、新しい発見ね。」
『マジですよ。あ〜あ、軽はずみな返事しちゃったなぁ・・・』
「あ、だったらさぁ、いい方法があるわ。今日のお客さんの中に、大好きなサヤカさんがいるって思いなさい。そして、俺を見てくれ、こんなに元気だぞ〜って。」
『サヤカがここで出て来る?それに、いくらなんでもサヤカがいるわけないし。』
「いいじゃん、そんな事に拘らなくたって、いると妄想してごらんよ。どっちみちあがるんだったら、好きな人の為に歌ってるんだと思えば、少しはマシになるでしょう?」
『ま、参考にさせて頂きますけど・・・』
第13話をお楽しみに




