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沙也加と僕  作者: ユキから
10/33

いけない恋の予感

毎日書き続けている妄想日記は、いつの間にか5冊目まで増えている。

ようやく認められ、スカウトの人が家にやって来た、ところまで夕べ書いた。


これを書き出してから、少しだけ本当に夢を見るようになった。

憧れの域の中だけど、時々本屋さんでアイドル雑誌を見たりしている。


5月のゴールデンウィークが明けた頃、気温も上がりだし、日によっては汗ばむ。

そして、この日。

お昼休み、教室でいつものように3人でお弁当を食べていた。

たまにやるんだけど、あみだくじで学食に3人分の飲み物を買いに行くゲーム。

あいにく、今日は私が行かされることになってしまった。

教室に2人を残し、一人で学食に向かう。

まだ、バラバラだけど食事中の人もいたが、私は自動販売機の前に行き、それぞれの注文されたのを買う。

持ちにくいが、3個を大切に運んだ。

そして、教室に入ったが・・・


かおりと真由美の姿が見えない。他のクラスメートもほとんど出払っていて、困った。

すると、突然

「おう野崎、」

ちょっと不良っぽくて、ずっとイヤだと思っていた男の子に声をかけられた。

名前を呼ばれたので、仕方なく振り向くと

「矢口と阿蘇が、美術室にいるからって、オレに伝言頼んで行ったぞ。」

『あ、ありがとう。美術室?』

実は、美術、音楽、書道の3科目が選択科目となっていて、私は音楽選択なので、美術室がどこにあるか、知らなかった。

「なんだ美術室がどこか知らないのか?」

『あ、うん。』

「しょうがねえ、ついて来い。連れてってやるよ。」

そう言って、さっさと歩き出した。

あれ?この子って、見掛けによらず優しいんだ、と、思いながら後ろを追う。


校舎を出て、中庭を通り過ぎると、奥の方に建物が見えて来た。

そこに近づくと、入り口付近に男子がいるように見えた。

かおり達の姿は見えないので、中にいるのだろうと近寄って行った。

間近まで行ったところで、建物の裏からゾロゾロと男の子たちが出て来て、周りを取り囲まれた。

もうその時、怖くなり足がすくんじゃって。

そしたら、誰かが私を引っ張って建物の裏に連れて行かれた。


そこには、気持ち悪いくらい背が高く、嫌な目付きで私を睨み付けるガラの悪そうな男の人がいて、一層私を萎縮させる。

「おい、お前の彼氏になってやっからさ、今から付き合え。」

もう、鳥肌が酷いくらい出るほどの上から目線。

そして、逃げ腰の私の手を掴んで、引っ張って行こうとする。


「ちょっと待った‼︎」

「何だ、てめえは?」

「止めろ止めろ、お前みたいなチンピラに似合わねえって。」

ようやくその声の人の姿が私にも見えるところまで来ていた。

「なんだと?てめえ、オレを誰か知って言ってんだろうな?」

「ああ、お前がロクでもねえチンピラの大将か?」

「なんだと?いちいち感に触るヤツだな。やられたいのか?」

「ホッホーッ、どっちがだ?」

私はその時、掴まれていた手が離れた隙に、後ろに下がった。

不良が勢いを付けて殴りかかるのが見えた時、思わず私は目を瞑っていた。

すると、ドスッという音と、ドタッと地面に倒れたような音が聞こえてきた。

そして、今度は、何人かの足音が重なり動いているように聞こえ、ドスッという音が、何回も聞こえ、複数の唸り声まで聞こえた時、瞑っていた目を開けて見た。


なんという事でしょう、目の前にテレビでよくある光景が広がっていた。

助かった、と思った時、

「さあ、戻ろうか?」

と、言われ歩き始めた時だった。

大将格のチンピラ?が、私を助けてくれた人に怒鳴るように言った。

「てめえ、どうなってもいいのか?」

すると、その人は余裕を持って振り返り

「おう、どうなるかな?それより、一部始終録画さしてもらったからな。それに、チンビラ、お前の名前ぐらい知ってるぞ。親父さん、テレビで生意気言ってるよな?そうそう、この間は、路チューした女をネチネチいじってたよな?それから、そこのお前、何が青少年健全委員会だよ?お母さんに言いな、こんな息子に産んでくれてありがとうとでもさ。いいか、てめえら、2度とこのお嬢さんに手を出してみろ、この録画、全マスコミに送ってやるからな。もちろん、このお嬢さんが誰かに襲われたりしたら、たとえそれがてめえらの仕業でなくても連帯責任だ。全国的な有名人にしてやるからな。お、そうだ、どうだ、この子にすみませんと謝ってみろ。」


すると、急に姿勢を正して、全員で謝ってきたのです。小さな声で。


その人の後をついて校舎に戻ると、もう私のことを見もしないで走り去ったのです。


教室に入ると、

「サヤカ、どこに行ってたの?トイレだったら、長過ぎだからね。」

何も知らない2人から、散々な嫌味を言われながら、どうしても私の心の中ではあの強過ぎる人のことが気になっていた。


それからの裏話だけど、結局、不良グループの18人が、全員転校届けを提出したって噂が聞こえてきたのは数日後だった。


あれからもう一度会って、どうしてもお礼を言いたいから、毎日探していたのに、どこにもいない。

それが、楽しみにしていた学園祭で、やっとあの彼を見かけたんだ。

急に胸が締め付けられるようになり、心臓の鼓動が聞こえてくる。

その時は忘れていたが、トモ君に出会った頃のようなドキドキ感だったと思う。

すぐに声をかけられない自分をもどかしく思いながら、暫く見ていた。


思いがけない事が起こったのは、それから少し経った時だった。

彼が校舎の影になっている方に向かって、手を上げている。

そして、多分走り寄って来たのだろう、女の子のスカートが翻って止まった。

彼の正面に立った女の子の・・・顔が見えた。

満面の笑顔が輝いていた。そこにいたのは、阿蘇真由美。


「エッ?なんで真由美がいるの?どういうこと、真由美、嬉しそうなんだけど、もしかして彼氏?」

もう見てられなかった私は、そっとその場を逃げ出していた。


理由が分からないまま、私の足は、かおりのいる教室へと向いていた。

そこは、喫茶コーナーを出店している教室で、かおりはウェイトレスとして働いている時間だった。

中へ入って行くと、すぐにかおりが私を見つけてくれた。

「サヤカ、来てくれたんだ。サンキュー、アレッ、一人?」

『あ、うん。』

「何にする?お薦めは生ジュース、特にパイナップルかな?」

『あ、じゃあそれ。』

「ケーキも食べるよね?そうだ、私も休憩にしちゃおっかな。」


いい匂いがするジュースとケーキが置かれ、かおりも同じのを用意して座った。

「どうかした?元気ないね。あ、真由美はお店?」

「あ、うん、多分。」

「多分って、友達じゃん、せめてそれくらい・・・」

「いいじゃん、そんな事。昔からの友達のかおりのところに来てるんだから・・・」

「あ、そ、そうだね。なんかイラついてる?変よ、サヤカ。」


「美味しいでしょう?今年のパイナップルもそろそろ終わりだって。うちのクラスに果物屋さんの子がいてね、」

かおりがそこまで言った時だった。


「アッ、いたいた、なんだ2人で?冷たいんだから、誘ってくれよな、なーんて。」

真由美が笑顔で入って来た。

私の隣に座ったのに、まともに顔も見れないし、返事も返せなかった。すると、

「あら、サヤカ、どうしたの?元気ないね。そっか、ウチらのクラスお客さん少ないもんね。私も元気ないよ。」真由美は、脳天気なことを言ってる。

「ウソばっか。真由美こそ、いいことあった?メッチャ元気じゃん?」かおりが先に真由美に聞くと

「帰りに教えてあげる。えへへ、ずっと秘密にしてたんだけどね。」


それを聞いていた私は、そうなんだ、ずっと彼とのことを秘密にしていたんだと、思った。

余計に落ち込む私の横で、かおりと真由美は楽しそうに話していた。


気乗りがしないまま、2人についてファミレスに入った。

そして、運命の話しがはじまる。

「真由美、勿体付けずに秘密を話して。」

私が喋らないから、かおりが聞く。

「あ、うん。あ、でもね、ちょっと恥ずかしいから・・」

そうだよね、彼氏がいたのって、今更?って思うよ。もっと早く言ってくれていれば、こんなに苦しまなくて・・・


「もう、怒るよ。」と、かおりが言うと

「あ〜、笑わないでよ、大真面目なんだからね。」

と言って、持っていたカバンから手作りらしい一冊の本を取り出して、私とかおりの前にそっと置いた。

かおりがすぐに手に取り、開いて見た。

「わぁ〜、何、出来上がったの?ね、サヤカ、キレイに描いてるよ。」

それを受け取り、パラパラと捲って見ると、どれもキレイに上手く描いてある。

私は聞いてみた。

「あ、真由美の秘密って、これのこと?これ以外は?」

「ん?これの事だよ、マンガにするって約束したでしょう?でもね、いざとなると結構時間がかかってね。あ、サヤカ?これ以外って?別にないからね。そんなにあなた達に秘密を作らないよ。」

「あ、そうだね。」

顔中に血の気が戻るのをハッキリと感じられた。それをかおりに見られた。

「やだなぁ、サヤカったら、思ってた以上に美人に描かれたから、真っ赤になっちゃって、単純なんだから。」

「あ、そんな、そんなに可愛くないじゃん。本人の方がずっとキレイだよ。」

「オッ?ごめんなさい、描き直そうか?」

「あ、いや、いい、これでいいよ。アハッ、メッチャ嬉しいよ。」

「真由美、ホント上手いね。これ、どうするの?」

「それなんだけど、これを送っていい?」

「送るって?」

「年に一回、新人の漫画コンクールがあってね、そこで入賞すれば、雑誌に載るの。」

「いいよ、どんどん送れば?なんで私たちに聞いたの?」

「あ、一応、モデルだから・・・」

「水臭いなぁ、遠慮する仲?」


そして、すっかり回復した私は、念の為に聞いてみた。

「ま、真由美ってさあ、彼氏の話しとかあんまりしないよね?」

「彼氏?んー、今はいらない。元々、興味ないんだよね。あ、そうそう、サヤカの彼、トモ君だっけ?最初の頃、写真見せてもらったよね。ドキッとしちゃった、うううん、好きとかじゃなくて、あの写真に写ってる2人がいいの。もうね、ビビッときた。」

「真由美、サヤカのこと分かって言ってるの?」

「かおり、いいのよ。真由美、続けて。」

「うん。ほら、私の目って全部がマンガ目線なのよね。サヤカたちが、どうやって出会い、どう告白して、チュウだったり、アレの経験とか、結婚して子供を作って、お家を建て、やがてお葬式?なんか、ずっと描けるカップルだと思ったの。だからね、本当はサヤカだけじゃダメ。もちろん、トモ君だけじゃ全然魅力ないわ。」

「あ、じゃあさっき話してた人は?」

「ん?あ、あゝ〜、ん?見たの?」

「うん、ごめん。」

「コラッ、盗み見は犯罪だぞ、なんて・・・あの人は、実はコンビニでお金借りたの。50円。おにぎり2個とカップ麺を買おうと思ってレジに行ったら、お財布の中身が45円足りなくて、オロオロしてたら、スッと出してくれて。もう1ヶ月前になるかな?ずっと会えなくて、今日があれ以来。無事50円返せたの。ん?私の彼氏だと思ったの?名前も知らないのに。」

「あ、そ、そうだったんだ、あ、なんだ、声掛ければよかったね。」

「そうだよ、そしたら名前ぐらい聞けたかも?」


すごい安堵感に包まれて、おしゃべりを続けていたが、トモ君が目の前に浮かんで来た。優しい笑顔で手を振っている。でも、私にはトモ君がいるのに、あの人の事を意識しているんだろう?

結局、今みたいに、トモ君が私を見ていると妄想する事が、一番の幸せだと思った。

妄想は続き、帰り道でも、ずっと手を繋いでトモ君と歩いて帰った。



5月に入ると、撮影が急ピッチで進んでいた。


おじいさんの役は、名前が陣川正太郎、陣川産業株式会社の会長で、会長の長男 幸太郎さんは僕の叔父になるが飛行機事故で3年前に他界したことになっている。

その幸太郎さんの妹が僕の母さん、父さんと結婚する為、全部捨てて家を飛び出した設定だ。

第5話から、おじいさんとの直接の絡みが増える。4話までは、ほとんど学校生活が中心となっていて、家庭の雰囲気はほとんどなかった。

海外視察から帰国したおじいさんは、想像以上に厳しい表情で僕の前に現れる。

その背後に、秘書の男の人と女の人がついている。


この広大な敷地の中の屋敷に入ったのは初めてだった。

東京に出て来て以来、近くのマンションに仮住まいをしていた。

僕の世話をしてくれていたのは、このお屋敷のお手伝いのおばさんで、いつの間にか仲良くなっていた。


帰って来たおじいさんの指示で、屋敷の一角にある小さな家を、僕用に使えと言われた。

その夜、一緒に夕食を摂ることになり、緊張しながらメイン食堂だと言われている部屋に入って行った。

異常に広いそこは、僕が住んでいた田舎の家の全部の部屋を足しても負けそうなくらい広かった。

食事が始まると、きちんと黒い服で正装をした人たちが、順番に次から次へと料理を運んでくる。僕はおよそ、マナーなどというものの知識がなかったから、カチカチ音が鳴ったり、食べようとした豆を零してしまい転がって行ったりしてしまう。

おじいさんは、ほとんど口を開かずひたすら食べ続けている。

食事の後に出たコーヒーを飲み始めると、ようやく口を開いて話し始めた。


「やっぱり我が家の食事が一番だ。どうにも海外の食事は口に合わん。どうだ翼、東京の生活は?もう慣れたか?」

『全然ですね、一番は人が多過ぎる。』

「確かに多い、高校の方はどうだ、友達、何人出来た?」

『ふたり。男と女の子。』

「そうか、ふたりな。」

『いい奴らだよ、2人に助けられた。』

「ほう、何を助けてもらったんだ?」

入学後の出来事を父さんに話すように概略を説明した。

「ふうん、中々いい友達だ、仲良くしなさい。」


撮影の合間に登校することも時々ある。

この日は、珍しく午前中が空きになり登校した。

教室に入って行くと、半分くらい席が空いている。

芸能コースの僕のクラスは、全員が出席する日はほとんどあり得ないと思う。


決められた席ががないので、各自、思い思いのところに座る。

僕は、窓際の席を選び座った。

教科書などの勉強に必要なものすべては、後ろにあるロッカーの中、名札のところを鍵で開けて取り出す。

僕は、入学以来名前を高城智樹としている。

かなり変だけど、僕は今、四つの名前があることになっている。

本名、山城友哉 芸名、三条優也 ドラマの役名、山中 翼 そして、ここで高城智樹

いずれはどれかに統一されることになると思うが。それが三条優也になる事を望んでいる。


教科書を机の上に置いた時、隣の席に女の子が座った。

「ねえ、高城くんって言うの?」

『あ、ああ。』

「何やってる人?アイドル?それとも、俳優さん?もうテレビとか出たの?」

『いや、まだ。』

「私もまだ、全然なんだ。」

『何?アイドル?』

「うん、すぐに売れるようになるってスカウトされたんだけど、ライバルが多くてね。早くも自信喪失気味?」

『アイドルって一人で?そう言えば、今はグループ全盛期だよね。』

「そうなの、その中でもトップがね、あれだけ人気があると、一人で太刀打ち出来ないよ。」

『そうかも知れないな。』

朝からネガティヴな話しをしていると、結構滅入ってくる。その中に、共演中のキャロちんさんのグループの話題が出ると、返しようがない。

「あ、でもね、いろいろ考えてるんだよ。」

『例えば?』

「人を見る目、もう売れてる人に相手をしてもらおうと思っても、難しいでしょう。これから売れる人について行こうと思うの。」

『どうやって見つけるの?』

「ポジティブにしていれば、自然と見つかる、なんて無理かな?」

『あ、いや、君は可愛いし、スタイルもいいよね。でも、君に勝てる人でないと無理かな?どっちも可愛いって、どうなんだろう?』

「あ、それもそうだね?ねぇ、高城くんってもう変装してるの?どうして?」

『変装?ん?』

「そのメガネ、伊達でしょう?ウィッグに目元も?」

『ヘェ〜、一発で見破られた?すごいな、あ、でも秘密にしてくれないか?』

「いいよ。黙っててあげる。その代わり、もし私が売れる前に高城くんが売れたら、一度でいいから、共演させてね。」

『僕のジャンルも知らないのに?でも、そればっかりは約束出来ないよ。記憶はしておくとしても。で。君の名前は?』

「星野まや。覚えられる?」

『星野まやさん、うん、多分大丈夫。アイドル戦争に勝てよ。』

「また、ここで会ったら、もうちょっとポジティブな話しを出来るように頑張る。」


学校では目立たないことを目指していたはずなのに、長々と話してしまった。

でも、その中に、以前ユイさんとサヤカの話をした時のことを思い出していた。

アイドルの過渡期が近いから、今は無理をしない。星野まやさんに言おうか迷ったが、必死に頑張ろうとしている気持ちを砕くことは出来なかった。


翌日、アイドル界の成功者、キャロちんさんの出番があった。

全然疲れを見せずに全力で取り組んでるから、僕もうかうかしていられない。

全力の演技には全力で応えたい。

いつも以上に気合いが入っていた。すると、珍しく全体でNGをほとんど出すことなく撮り終えた。


6月になれば《野生児》という題名でスタートする。

それに合わせるため、CMの第3弾の撮影に入った。

もちろん、主人公はキャロちんさんに決まっているが、新番組に合わせたドラマ仕立てになり、僕のアップをいろんな角度から撮られた。

すっかり仲良くなったキャロちんさんが、撮影の合間に話しかけて来た。

「ねえ、三条さんって、まだ謎に包まれてるの?」

『うん、と言うよりまだ知名度が低いから、謎なんでしょうね。』

「いやいや、うちのマネージャーがネットで一番話題になってるって言ってたよ、スゴイね。でも、三条優也さんで検索かけても出てこないって、それ、本当なの?」

『あ、いえ、でも、僕はキャロちんさんと共演出来てるから注目されてるんです。それと、事務所の都合で公表を控えてるみたいです。』

「ねえ、歌は歌わないの?」

『歌ですか?どうですかね?今はドラマで精一杯です。』

「歌でも共演したいね。」

『1対50ですか?迫力負けですね。あ、そうだ一つ教えて下さい、キャロちんさんの元気な秘訣?』

「秘訣?ウーン、難しいね、アイドルって自分で決めることじゃなくて、推してくれる人がいるから自分がついて行く?まごまごしてたら、引き離されちゃうでしょう。だったら、そのファンの人と最低でも横を歩く?でもね、相手はひとりじゃないのよね、寝ている人もいれば、これから仕事という人もいる。我が儘を言って、自分を中心にしちゃうと、きっと私だったらそんな人、応援止めると思うの。だからかな?でもね、一番の元気な秘訣は・・・ウフ、楽しむことだよ、自分が。」

『ありがとうございます、これからの僕の道に生かします。』

「ん?今のどの部分?」

『もちろん、我が儘を言わない、求められる事を認識して、全力で取り組んでみようと思いました。もちろん、楽しくですが。』

「いぇーい、ガンバレ‼︎」


アイドルのトップ魂、忘れないように胸に仕舞い込みました。

どんなCMが完成するのか、今回は楽しみになっていた。


かおりから電話があり、駅前のファミレスで落ち合うことになった。

中間テストが終わり、一息つける日曜日、試験勉強やなんやかやでお休みの日にかおりと会うのも久しぶり、と言っても学校では毎日顔を付き合わせてるけど?


ファミレスに入って行くと、まだかおりの姿は見えなかったので、適当に席を選んで座っていた。

「おお〜い、久しぶり〜。」

大袈裟に声を掛けてきたのは健一くんだった。

健一くんは、進学の時、随分悩んだみたいだったけど、結局、お父さんの後を継ぐため商業高校を選択して、トモ君と別々の道を選んだんだ。

「健一くん?久しぶりね、ん?まさか、デートの待ち合わせ?」

「お、おう、サヤカとな。」

「アホか?」

「相変わらず、一刀両断、真空斬り!いや、かおりに頼んだんだよ、サヤカの様子を見たくなって。」

「エッ?かおりは来ないの?」

「な訳ないだろう?もう一人来るって、友達?3人分の奢りはキッツいけどさ。」


と言ってるうちに、2人が到着。

「あらぁ〜、お邪魔?」と、かおりは来るなりからかってくる?

「ボケ!」

「エッ?ボケ?酷い言い方ね、そこはボケ〜ッ!でしょ?」

「おーそっちか〜!」絶妙な突っ込みの健一くん。

「アハハ、健一くん、腕上げたね?と言うことは・・・」

かおりが笑いながら言ったので、次の言葉を私が言い出すと同時になった。

「勉強してないね。」

「ハ、ハモって、る、じゃん⁉︎」


トモ君の話しももちろん、でも、お互いの近況報告会って感じで、結構楽しかった。

夏休みに、又遊ぼうと話し合って健一くんは1時間ほどで帰って行った。



第11話をお楽しみに



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