上に立つモノ、立とうするモノ
帝歴401年4月15日
その日の放課後、日も沈み始めた夕方辺りにルークスと待ち合わせ場所である校門前に向かうと彼の隣には一人の女生徒が居た。
確か、メルサ・ハーヴィーっていうルークスに出会って間もなく求婚してきた人だったはず。
ルークスのヤマトへの帰省にも一緒に付いてったくらいだし、ただ彼女本人としては強い人なら誰でも良いみたいなそんな感じだったはず。
確か出会った頃に、彼女の為に用意したお見合い相手を探すとかで、結構前に候補者の資料を渡したのだが以降は音沙汰がなかったような……。
「なんか久々な組み合わせだね、二人共?」
「ようやく来たか、レティア。
まぁ昼休みにちょっと色々あってな。
ほらメルサ、用があるんだろ?」
「あー、うん、そうだね」
「用って、この前のお見合い相手のこと?」
「いやいや、違うよレティア王女。
えっと見合いの資料は確認したけど、あんまり良さそうには見えなかったな。
悪るくはないんだけどね」
「そっか、それで何の話?」
「えっと、代表生徒というか官僚生徒を目指したいと思ってて現最有力候補がレティア王女だと聞いたから何か選ばれる為のコツみたいなモノを教えてもらえないかなと思ってね?」
「コツかぁ……そう言われても私は特別何かしてる訳じゃないよ。
回った資料の確認と回答、あとは仕事の経過連絡とか予算早く出してとか催促したり。
多分他の人達と変わらないと思うよ」
「…………特に変わらない、本当に?」
「うん、私の普段の暮らしについてはルークスが近くで見てるから分かってると思うし……、
勉強とかに関しては、私全然だからよく教えて貰ったり手伝って貰ったりとかしてるし………」
「そうなのかい………」
と、期待外れの回答だったのか落胆した様子の彼女。
ルークスは何か当然のような、わかり切ったかのような呆れ半分みたいな様子である。
「うーん、えっとどうして急にそんな事を?
メルサさんって、生徒官僚とか目指してたっけ?
でも別にメルサさんなら、八席っていう立場で同じくらい学内での特権もあるだろうし、騎士家系の人なら文句無しの凄い経歴の一つになると思うよ?
八席と生徒官僚や代表生徒を並行してやってた人は確かに歴代で何人か居たみたいだけど、無理してやる程じゃないし、何かあったの?
家の人とか、親戚周りから何か言われたとか?」
「何かあったというよりかはその………」
「レティア。
コイツ、将来は内政とか外交とか国の政治に関わる仕事がしたいんだと。
家の意向とは別に、そういう道を選びたいらしい」
と、ルークスが彼女の代わりに概要をまとめる。
彼に言葉に納得するも、何故私に声を掛けたのだろうか?
別に生徒会や生徒官僚くらいなら、ルークスの縁頼みで声をかけるくらい容易だっただろうに………?
「あー、なるほど……。
でも急だね、それにどうして私?」
「レティア、今年度の候補者なんだろ?」
「うん、交換留学が終わったら引き継ぎして今年から正式に代表生徒になる予定だけど?
私言わなかった?」
「いや、それは初めて聞いたぞおい!
え、なるの確定してるのお前!?」
「うん、入学するときの条件だったからね。
まぁ在学中になれたら良かったくらいなんだけど、まさか今年で成れるとは思わなかったね………。
実際結構ギリギリでさ、教師からの推薦が全然集まらなくてね………。
ほら、私成績全然駄目だったからさ……。
補習多かったのも、その辺りの推薦取りたいからってお願いしてた面もあって………。
なんとか推薦貰えるギリギリの点数とって、ひとまずなんとかなったなぁって感じ」
「「…………」」
「あれ、何かおかしいこと言ったかな私?」
「いや、まぁその……補習多かったのはそういうことなのかお前………」
「うん、こちらの推薦欲しかったらうちの授業を取ってからにしろって言われてて、可能な限り取ったらもう課題の量も、テストも多くてね………。
ほんと大変だったの……、でも私が授業受けるって聞いたらその噂聞きつけて、その先生の授業受ける人がかなり増えたらしいし、成績はちょっとマズかったけど。
でも、無事先生達から推薦ももらって、これまで集めた学院内の生徒2万人くらい?の支持者の名簿もあるから、今年ようやく代表生徒になれたんだ。
私、もう大変だったんだよ!」
●
「…………、私、もう大変だったんだよ!」
と、目の前でそう告げる彼女。
彼女から告げられた事の顛末に俺は正直驚き半分と変な笑いが浮かんてしまった。
教師達から推薦取りたいたが為に、余計に授業を受けて課題もやっていたと……。
そして当然ながら生徒達からも支持も既に集めていたとなると、確かに器としては充分過ぎる。
が、俺の隣に立つメルサの表情はなんとも今にも絶望しきり憔悴寸前である。
確かに、常人がやることではない。
というか、教師も教師である。
幾ら自分達の授業に生徒が集まらないからってレティアのコネを使うとは………。
まぁ、レティアも利害関係の一致で受けたのだろうが普通に考えてかなりおかしい話である。
しかし、まぁレティアが普段から遊び呆けて居る訳じゃないのは俺もよく知ってる。
集中力の持続に関しては怪しいが、比較的真面目に取り組むのが彼女である。
外面だけが完璧以前に、元の素行も一応真面目な部類なのである。
当然、それに見合うだけの地頭や実力はある。
本人の性格や中身は少々難はあるが………。
「なるほど………、流石レティア王女ですね」
と、メルサは少々困惑気味。
そもそもの話、代表生徒にこれからなるって奴からの話を聞くんだから、当然今の自分とはかけ離れた実力を持ってるのは確実なのである。
特にこれまで単に剣や槍等の武術に専念してきた彼女にとっては意気消沈しそうになるのも無理はない……。
実際俺も、コイツの詳しいところは知らなかった訳だが、当人から聞いて正直驚いているくらいである。
教師からの推薦も彼女の話から推測するに恐らく一人や二人ではない。
交換留学に来た本来の理由に、外部の学校の教師からの推薦の数を確保する為というのがあるのだろう。
生徒からの支持者に関しては、向こうで既に数を集めたのだろうが……。
さて、ひとまずこいつの話は置いて問題はメルサ。
今の彼女は、先の通りこれまで武術一筋みたいな奴であり、八席として周りに顔と名前は知られている。
が、あくまで武術というか戦いでの強さ。
学院という本来の学び舎としての役割を持つこの場所で武勲というのはあまり意味を成さない。
一応、八席となることで特権は与えられるはずなのだが………。
特権があっても、それが彼女のやりたい事には意味を成さない……。
授業の何割か免除出来るとか、俺からしたら割と欲しい特権があるはずなのだが……。
代表生徒を志す身の上なら教師からの推薦は欲しい訳であって、推薦をもらう教師の授業は受けた方がコネが作りやすいのである。
実際、目の前のレティアは教師の推薦の数を確保するべく交換留学を志した上で、かなりの授業を受け持ってその数を確保した。
アイツが全然課題をこなせてないのは、その授業の難易度よりかは数の方に問題がある。
普通は2個3個くらい週に課題があって、これに加えて生活費を稼ぐ時間も取る生徒が多い。
家から仕送りがある程度期待出来るなら、受ける授業を増やしたり、趣味や鍛錬の時間や余暇に充てたり、勤勉な奴は追加で授業を取ったり出来る。
しかし、レティアの場合。
週の課題が6個以上、難易度はそこまで難しいものではなかったが一般生徒の倍の数をこなしている。
加えて、生徒会やらの仕事もこなして……、放課後に時間があれば俺達と過ごしたり、こっちに来て夕食食べたり課題を手伝って欲しいと俺が付き添ったりと……。
彼女との生活が当たり前となって俺はそこまで気にならなかったが普通の生徒よりかなり多くの量をこなしているのが事実である。
王族なので当然として実家から手厚い仕送りがあり、一般の生徒のようにわざわざ町でバイトに明け暮れたりなんて事はないにしても、生徒会の仕事と常人の倍の課題をこなすのは至難の業であるのは事実……。
普通なら、生徒会の仕事をこなしきれず途中離脱する者も少なくなく、空いた枠に人の入れ替えが発生してそれで生徒会入りする者もそれなりにいるくらいだ。
この上に属するのが、代表生徒や官僚生徒の人達であり当然、こいつらが優秀じゃない訳がない。
何人かそいつらの手伝いはちょいちょいしたことはあるが、普通の人間なら学業との両立はかなり苦しい量を連日こなしている。
で、ソレを実際に人手の協力もありながら乗り越えてこれからその一員になろうとしているのが、目の前の彼女である。
安易にその界隈を新たに志そうとする、メルサの意気込みが徐々に意気消沈としていく様は、もはや可哀想だと思う程。
しかし、負けず嫌いなのか横で卒倒しかけた彼女は持ち直し、諦めるなんて選択肢はない様子を伺える。
一応、本気で目指したいとは思っているのだろう。
「参考になりそうかな、メルサさん」
「ええ、とても参考になった。
なるほど、一喜一憂に目指すものでもなさそうか。
でも、出来ない訳じゃないんだよね?」
「うん。
私としては一番大変だった時って名前や顔を知って貰う段階だと思うかな?
如何に学院や地域の活動に貢献していても、誰がソレをやっていたかが分からないなら意味がないからね。
私はその点に関して、元々サリア王家っていう立場があったから元からの知名度はそれなりにあったけど、名前や役職が機能するのは良くてせいぜい最初の数カ月。
以降は本人がどう動くかに全て左右されちゃうね。
私以外にも王家の人間はヤマトの子を含めて何人か居るけど、全員が全員名を知られてる訳じゃない。
教師からの推薦を確保するに関しては、後から無理やり授業を沢山取る力技でなんとかなるけど、それ以前このラークは生徒自身が自治を行う国家であること。
生徒からの票を集める為に、どうやって自分に興味を持って貰えるか、自分の理想と他の生徒達が求めてるモノにどう応えて、実際に反映していくか⋯⋯。
生まれながらの血統や地位なんて関係ない。
私自身がこの地で何をしたいのか、何を目指したいのか?
私達は学院の生徒であって、彼等とは対等な存在。
上も下もない、共にこのラークを治める仲間である事を忘れてはいけない、私はそう思ってる」
と、自らの言葉で熱く語るレティアの姿に俺自身深く感心していた。
ソレは、言葉を直接受けたメルサ自身も同じ。
本人は自身に実力はないと言ってるが、彼女は人の上に立つモノとしての核と言えるモノを持っている。
サリア王家としての性がそうさせたのか、あるいは彼女自身がそうなろうとしたのか⋯⋯。
メルサはそんな彼女の言葉を深くに胸に刻み込んでいた、自分も彼女のようになりたい、そんな雰囲気を感じさせる。
●
帝歴401年4月18日
その日の早朝、俺は朝の鍛錬をしていた。
朝食の支度で早々に切り上げるラクモ、ソレに俺とシグレの3人で行う。
内容は主に、走り込みと木刀での軽い素振りや模擬戦であって基礎的なモノがほとんど。
模擬戦に関しては師匠の方針から習ってしない日がほとんどである。
ただ、一昨日からこの朝稽古に新たな仲間が出来た。
「ほら、ルークス?
いつまで休憩する気?」
そう話掛けてきたのは、木剣を担いでこちらに歩み寄る後ろに金髪を束ねた女、メルサである
レティアの言葉に感化されたまでは良かったが、その後は色々あって俺達の朝稽古にまで絡んできたのである。
そして少し前まで一緒に居たラクモは朝食の支度の為に彼女達の面倒を俺に押し付ける始末。
端から見たら、女を両手に毎日遊んでいる輩に見られても文句は言えないかも知れない。
「そんな切羽詰めてやるものじゃないだろ?
あくまで身体を鍛えるのが目的、負荷をかけ過ぎると身体を壊しかねない」
「シグレちゃんを見習いなよ?
君が休んでる間も、この通り黙々と素振りをしているんだしさ?」
「いや、アイツはそれこそ無理し過ぎなんだよ。
アレは駄目な見本だ、まぁ俺が言ってもあの頑固娘は聞かないだろうが⋯⋯」
「そう、じゃあ模擬戦付き合ってよ?
暇でしょ?」
「模擬戦、模擬戦って⋯⋯。
あんなの毎日するものじゃないだろ?」
「普通毎日するモノでしょ?
あー、でもルークス達の方じゃ違うのか⋯⋯」
「そうだよ。
確かにラクモのところみたいな家ならそうだろうが」
「とにかく、模擬戦付き合って」
「はいはい、分かったよ。
シグレ、お前はそろそろいい加減休めよ。
せめて水くらいは飲め」
俺はそう言い、彼女の方へと水筒を投げる。
投げられたソレに気付き素振りを止めた彼女は軽く受け止めると視線をこちらに向けてきた。
「このくらい無理の範囲には入りませんよ。
しかし、ルークス様がそう言うなら従います」
そう言って、水筒に口を付けるとそのまま近くの椅子に腰掛け休憩をようやく取り始める。
彼女の様子を見守りながら、俺はメルサと距離を取り模擬戦の準備をする。
「今日こそは勝つよ、ルークス?」
「⋯⋯⋯⋯勝手にしろ」
合図のようなモノは特にない、お互いの呼吸の波長というか勘のソレで試合は幕を開ける。
メルサとの模擬戦はこれが初めてではない。
端的に言えば、メルサは強い。
実力に関して言うなら、シグレと大差ない。
ただ、シグレ以上に余裕の無さが見て取れるのと剣の持ち方に癖がある。
自国の流派がそうさせたのか知らないが、彼女は両手で剣を握る際にお互いの手がくっついてるのである。
コレに関して、俺は幼い頃に同様の癖があったのだが師匠から相手の力を受け流せないから拳一分の隙間を取るようにと言われていたモノだ。
実際、彼女は俺の攻撃を受け止めきれないのか、俺の攻撃を受ける度に僅かに反応が遅れている。
それが蓄積し、最終的にはこちらの攻撃に反応出来ず敗北している。
魔力の使用も加味しても、男女の筋力差というものはそう覆らない。
女で剣術をやるなら、尚更相手の力を如何に正面から受けないかというのが最重要と言える。
シグレでさえ、己の筋力がどの程度かは察して、直接の鍔迫り合いは避ける程なのだ。
メルサが彼女より体格は恵まれているにしろ、男女の体格や筋力の差は避けられない要素。
これが大剣や斧、槍の類いであれば武器の重さを利用した技術で力技が応用出来るのだが、彼女は俺と対して変わらない剣を用いる。
よって、最初の猛攻を俺が上手く凌いでしまえば勝利は意外と容易いのである。
ただ、別に彼女自身が弱い訳ではない。
実力自体はシグレと同程度、並の相手であれば一撃で決着がつく。
それこそ、あの剣の握り方故に鍔迫り合いからの力技で押されてしまえばそのまま追撃を受けて終わり。
俺が勝てているのは、その力技が未来視によって見え透いてる訳であって追撃が予想しやすいから。
ただ、コイツの負けず嫌いも相当である。
剣に関して言えばシグレが増えたようなモノ、正直何度も相手をすると色々疲れてくる。
ただ、その割にはこの二人がそこまで仲良くないというのが不思議である。
シグレはレティアと仲が良いのは知ってるが、メルサに関してはあまりレティア含めてもあまり関わろうとはしなかった。
ただ、俺には絡んでくる。
元から政略結婚目的で近付いているからなのもあるが、最近はそれ抜きでこの通り絡んでくる。
レティアとシグレの面倒と世話、コレにメルサが加わったのだからやはり面倒な事に関わる縁なのかも知れない。
元より、扱いが面倒な奴は他にも居るが⋯⋯⋯。
「余所見とはいい度胸だよね、ルークス?」
「そりゃ、何度も相手してるからな」
「一応、私だって八席なのに君に負けてばかりは流石に嫌だからね?
そろそろ勝たせて貰うよ!」
「勝手にしろ!」
メルサの猛攻を凌ぎつつ、その隙を伺う。
何度も相手をしてるからか、こちらの動きを当然学習しているようである。
こちらも同じ、だが今日に関しては僅かに動きが違う気がする⋯⋯。
「っそこだ!!」
メルサが見出したこちらの隙に目掛け飛び込む。
当然、その攻撃は予測していた。
僅かに右に身体を反らし、木刀を彼女の振るう剣の軌道を逸らすように小突けばソレで一本取れて仕舞い。
今回も俺の勝ちだと思った瞬間、右手に嵌められた腕輪が一瞬ばかり発光する。
光の反射ではない、腕輪自体が光ったのだ。
灰色の腕輪、何らかの特殊な魔導器具か?
一瞬の光に呆気に取られ、剣の軌道を逸らし損ね体勢を崩しそのまま身体が吹き飛ばされる。
持っていた木刀が砕け散り、近くの木に叩き付けられた。
「っ⋯⋯ルークス様!!!」
「いってぇぇ⋯⋯⋯、油断した⋯⋯」
「あの、本当に大丈夫ですか!?」
「大丈夫大丈夫、やっぱ俺たるんでるみたいだな」
打ち付けた身体をさすりながら、俺はゆっくりと立ち上がり、刀身が崩れたソレを眺める。
「凄い威力だな、新しい技か何かか?」
「いや、その⋯⋯⋯あははごめん。
てか大丈夫なの、本当に?
骨とか、その、大きい怪我とかしてない?」
「大丈夫大丈夫、二人とも心配し過ぎだ。
このくらい、鍛錬やってればよくあるだろ。
とにかく、俺の木刀がこの様だと今日はコレで終わりにするか⋯⋯。
次は負けないぞ、メルサ?」
「そうだね、次も勝つよルークス」
そして俺達は朝食を取る為に家に帰ることにした。
帰り道、横を歩くメルサの様子が何処かおかしい気がしたが⋯⋯。
あの腕輪⋯⋯まさかな⋯⋯。
「ルークス、どうかした?」
「いや、なんでもない。
というか、当然のように朝飯まで食ってくつもりかよお前?」
「ラクモ君からはちゃんと許可貰ってる。
だからいいでしょ?
そうだ、今日は私が勝ったからおかず一つ貰うから」
「おい、勝手に決めるなよ!」
普段通り、軽口を叩く彼女。
やはり気の所為だろうか、そんな風に思っている中俺達に向かって何か怪しむシグレの姿が目に入った。
「シグレ、どうかしたか?」
「いえ、なんでもありません。
ルークス様、一応ちゃんと手当てをしてくださいね」
「分かってる。
お前こそ、無理はするなよ」
「分かってますよ、勿論⋯⋯」
「どうだか⋯⋯」
「ほら、二人とも早く帰ろう!!
朝ごはん全部食べちゃうよ!!」
「本気でやりそうだからやめろ!!
シグレ急ぐぞ、アイツは本当にやりかねない」
「そうですね。
急ぎましょう、ルークス様」
そして俺達は駆け足で向かう。
この違和感、何かの胸騒ぎを感じるが⋯⋯。
気の所為だろう、普段と少し違う事があって気が動転しているだけだろう。
そのはずだ。




