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お飾り聖女は放っておけない、第二王子は放っておきたい〜転生聖女は自由気まま〜  作者: カンテラ澪


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7/22

7 第二王子の寝所で目覚める

⌘

レイナルドの寝所


はあぁ、よく寝たわ、爆睡よ。

で、ここどこ?

目が覚めてから、天蓋が違うことに気がついた。

凛子の部屋ではない、エレノアの部屋でもない。

どこ?


マーサを呼んでみる。


「エレノア様、マーサはエレノア様のドレスを取りに行っております」


初めて聞く声。


「私、王妃様付きの侍女でアリスと申します」

王妃様の侍女がなんで?


「あのアリスさん、ここは」

「まあ、エレノア様、アリスとお呼びくださいませ、それとここはレイナルド殿下のご寝所にございます」


「えっ?誰のご寝所?」

「レイナルド殿下の」

「……」


凛子もエレノアも考えるのよ、何で私が、あの冷血無悲な青い目の男の部屋にいるのかしら

青い目、透き通るような眼光鋭い、あ!


思い出した、そうだ、共鳴魔石とやらの耳飾りを壊して怒られた。

その前に丸太を引き摺っていたところを捕まった。


でも、そうよ!

耳飾りはエレノアの記憶にあった祈りで復活させた。

なら、問題ないわ、不敬ではない。


「エレノア様」

「は、はい、な、何かしら」

「魔力枯渇で三日も眠り続けてらしたので、お食事をされますか」


三日も?いやそれより、猛烈な空腹感で力が出ない。

「ありがとう、いただくわ」


食事をしながら、あの鈴蘭の聖女の祈り思い出す。

凄かった、なんかこう身体の中から力が吸い取られていくというか……。


食事の後は、贅沢な湯あみで、生き返るぅって感じだわ。


湯から出るとマーサが戻ってきていた。

「エレノアお嬢様」

マーサが抱きついてくる。


「マーサ、心配かけてごめんなさいね」

「どうなることかと、心配いたしました。ダイシのことはオスカー様にご説明申し上げましたので、心配するなと言ってくださいました」


あ!そうだ。ダイシの尋問もあったんだ。

まあいいか、魔石も元に戻したし。

そこからは、侍女達に美しく着飾ってもらう時間になった。

九死に一生を得たって感じかしら、鼻歌が出そう。



⌘

王太子アウグストの執務室


その頃、禁書庫で調べものをしたレイナルドは、兄である王太子アウグストの執務室を訪れていた。


「兄上、ご多忙中に申し訳ない」

「少し前に一段落つけた、それにお前の働きで私も何とか王太子を続けていられる。感謝しているのだ。それより緊急なのだろう」


茶の用意が整ったところで、アウグストは人払をした。


「で、エレノア嬢を寝所に入れてどうなった」

「っ!」


「共鳴したのか」

「兄上っ、手出しはしておりません」

「まあ、堅物のお前のことだ、婚姻前にそうなるとは思えぬが何があったのだ。私も経験者だ。話してくれて構わない」


二人で話し込む。


「そういうことか、私もおかしいと思っていた。当時の私も王族として、聖女との婚姻はいわゆる国を守るため、誰でもいいと思っていた」

「兄上が、ひまわりの聖女を選んだのかと」

「選んだのは母上だ。聖女の能力のバランスを考えておられた」

「ではエレノアは」

「鈴蘭の聖女も候補だった。だが、お前も知る通り、魔石が共鳴しなかった」


アウグストが大きな指輪に触れている。

「で、母上にすぐに相談したが、共鳴しないものは婚姻できないらしい。それで【ひまわりの聖女】つまり今の妃が選ばれただけのことだ、ただ」

「ただ、何ですか、兄上」


「お前は気がついていたか?エレノアの聖女としての魔力の変化はなかったが、私に鈴蘭の祈りをして意識を失って目覚めてから、人形のようになっていた」

「目覚めてから?」


「禁書に書いてあっただろう、あの祈りを使うと意識を失う、私の妃もそうだった」

「では、義姉上も」

「そうだ、だが妃はすぐに目覚めて、その後もそう変わりはなかった、と思う。あまり気にかけてやれていないので、本人の気持ちはわからぬが」


「兄上も相変わらず、淡々としておられる」

「レイナルドには言われたくないぞ、王子なぞそんなものだ」


二人は顔を見合わせて静かに笑った。



⌘

レイナルドの私室


体調バッチリ、湯あみと着替えが済んでからは、殿下の居間で本を読んでみる。

この国の歴史が、特に聖女の歴史が面白い。

あっという間に机の上に本が積み重なる。


本に没頭していたら、アリスが灯りをつけてくれて日が暮れると気が付いた。

マーサはオスカー様に呼ばれて、ダイシの作り方を聞かれているみたい。

お茶を飲むのも忘れて、読書に没頭していた。


ふと目の前が暗くなって顔を上げると。

いた、レイナルド殿下が。


「ひっ」

思わず仰け反った。

透き通るサファイア色の瞳が刺さるように痛い。


「エレノア、そんなに驚かなくてもいいだろう?心を渡した私に」


げっ!あれは祈りの言葉でしょ。


「ごきげんよう、レイナルド殿下」


「愛しの婚約者殿、聞きたい事がある、ついて来い」


相変わらず偉そう。魔石は直したわよ。

手を差し出される。何?


「エスコートは不要か」

あ、そういうことね、このエスコートがなかなか慣れない。

「いえ、ありがとうございます」


横柄殿下の手を取った。

で、どこに行くの?




不定期更新ですが、完結します。


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