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お飾り聖女は放っておけない、第二王子は放っておきたい〜転生聖女は自由気まま〜  作者: カンテラ澪


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13 魔法の箒で飛んだら殿下に見つかった

⌘

レイナルド私室の隣のエレノア私室


もう夜中近い、やっとレイナルド殿下から解放されてへとへと。

今日から王子妃の部屋が私の部屋になったけど、殿下の寝所から出入りスルーらしい。

殿下は、心配するなと仰ってたけど、そんな事より疲れすぎ。


居間のソファでひっくり返っていたら、マーサに怒られた。


「エレノアお嬢様、湯あみなさいませんと」

「そうなんだけど、少しだけ寝かせて」

「駄目です。明日の朝も早起きなんですから、殿下はかなり早く起きてらっしゃると伺っております」


そうだった。あの男の予定、騎士団の朝練に早朝会議に、ああもう!

半分居眠りながらマーサ達に湯あみを手伝ってもらって寝台に潜り込んでみたけれど、だんだん目が冴えてきた。


ふと殿下の言葉を思い出す。

箒で空を飛んでいく?

そうよ!この世界なら、魔女のように箒で飛べる?


ガバッと飛び起きた。ワンピース風の寝着のままで、あちこちを物色する。

マーサは、私室の応接室より奥の侍女部屋にいるから気が付かれない。


箒、ホウキ、自転車の方が乗りやすいけど、それだと宇宙人をカゴに入れて飛ぶ昔の映画になっちゃうから却下。


え〜っと、あった、箒!

ちょっとまたがってみる、うーんいい感じ。


で、どうやって浮くのよ?

魔法は元のエレノアの方が知ってるはずなのに、失恋してから全く使い物になってないわね。


妃教育の記憶はあるのに、イベントや日々の暮らしや何に魔法を使ったとか、ノウハウが少なすぎよ。

まあ失恋の痛手は大きいのはわかるけど。


だいたい王太子に恋焦がれるなんて、一番しちゃいけないことでしょ?推し程度にしておけばよかったのに、高望みは身の破滅。


それで、浮くのは風魔法。

そっか、風魔法で浮いて、魔石エネルギーで前進。

えっと、魔石、魔石。

ちゃんと侯爵家の自分の部屋からたくさん持ってきたわよ。

衣装部屋の宝石入れを物色する。

この前の共鳴魔石粉々案件に懲りて、殿下から頂いた魔石と、侯爵令嬢として持っている魔石をマーサにわけて貰ってあるし。


箒の柄を持つ部分に、魔石をつける。

風魔法を付与した、更に術式を組めば原理は合ってる。

で、後から魔力を流せば推進力が上がる。

それと万が一の命綱もいるわ。紐、紐、強度のある紐。

あった!コルセットを締める紐。


あとは、ちょっと私仕様にしてみよう。

衣装部屋にあった青いリボンを柄にリボンを巻きつけてみる。

おおー可愛い。


よし!では!

私は簡単に出来上がった魔法の箒にまたがって、魔石に魔力を流し始める。

少し浮いた。十センチくらい。

お!フキボーで床を滑るコツを、浮上のイメージに変える。


ふわり。


おおっ!

もう少し魔力を流すと、五十センチは浮いて、箒全体が淡く光りだす。魔石をぎゅっと握る。

前に進む。


よし!

簡単ね。箒に乗った私は、低空飛行で練習をする。


これはいいわ、ダイシよりマイペースで動けるし、移動する距離や高さも関係ない。馬より便利。


少しスピードを上げ、高さも上げると天蓋の高さまで上がっていく。

練習なら移動距離が欲しいわね。

居間への扉を開けたいけど、マーサ、起きるかな?


寝台周りをぐるぐる回りながら、扉から扉の間をスピードアップしてみる。


うんうん。いいわよ。これはいいわ。

侍女の箒レースってどうかしら。

魔法の箒で馬みたいだから、マホウマ、変ね、マホマでいいわ。


そうだ、ダイシレース、フキボーレース、マホマレース。

王城職場体育祭で使えそう。


そして居間への扉の寸前で高速Uターンをし滑空に入った時、

反対側の扉が開いているのが目に入る。

ん?


そして、

素肌にガウンをはおり、剣を片手にした殿下が、立って、いた!


このままでは殿下に直撃しちゃう。

咄嗟にコースを変えようとして天蓋に突っ込んだ。


ドン!ガゴ!ビリビリッ!


天蓋の枠が傾き、裂けた布が箒ごと私に巻きついた。



「………」


「………エレノア、夜中に何をやっている」


「……これ、マホマです」


「こっちへ来い!」



私は気がついてなかった。

殿下の寝所に繋がる扉の寸前でUターンしていたけれど、距離を見誤っていた。

箒の穂先がUターンする度に、扉に当たっていたことに。




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