↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お飾り聖女は放っておけない、第二王子は放っておきたい〜転生聖女は自由気まま〜  作者: カンテラ澪


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/22

11 殿下が耳元で爆弾発言

⌘


咄嗟にカーテシーをしたものの、なぜ、レイナルド殿下がうちに?

その疑問は頭の中をぐるぐるしている。


誰かがブブッと吹き出した。

私がチラ見をすると、口元に手を当て肩を震わせているのはオスカー様だった。

オスカー様は、シュタイン侯爵家の次男で、お父様同士が親友。

レイナルド殿下の親友で側近。

私も幼い頃はオスカー様とよく遊んでもらった。


お父様が私をジロリと見る。お母様は、すでにくすくすと笑っておられる。


だって私、侍女のお仕着せを着て、フキボーでエントランスホールを、スゥーッと滑ってワックス掛けをしてところだったから。


お父様が殿下を振り返って、仰った。

「レイナルド殿下、もう手打ちにしてくださって構いませぬ。罪状は不敬だけではない。愚娘は聖女でもなんでもございませぬ」


「お父様、聖女の魔力は健在ですわ」

「黙りなさい!エレノア!第二王子殿下の御前である」


しゅん、そんなに怒らなくても。


殿下が片手を上げてお父様を制する。


「まあ待て、ヴァルト侯爵、エレノアがおかしい事は承知している」


誰がおかしいって!こいつ!


「さあ、殿下、サロンのほうへ」

流石、お母様、皆様をサロンへ、と家令にも指示を出している。


「エレノア、あなたは着替えをなさい、殿下に失礼ですよ」

「はい、お母様」

「侯爵夫人、御息女はそのままで良い、また逃亡されてはこちらも困るゆえ」


バレてる、逃げようと思ったのに、やるな殿下。


そして私は侍女のお仕着せのまま、サロンへ連行された。

フキボーは、オスカー様が嬉しそうに取り上げる。


「エレノア嬢、またすごいの作ったね。作り方を後で教えてほしい」

「これも簡単よ。三種類あるの」


二人で小さな声で話しながら歩いていたら、お父様の雷が落ちた。

「エレノア!早く、殿下のお相手を!」



⌘

ヴァルト侯爵家サロン


サロンには、レイナルド殿下、お父様、お母様、私が残った。

お父様が口を開き、王家との協議内容を話される。


国王陛下、王妃様と侯爵家の話し合いで、婚約は継続になった。

私の状況を全てお話した上で、レイナルド殿下も了承されておられ、あとは二人で誤解を解くように、ということで侯爵家に出向いてくださった。


「良いか、エレノア、よく聞きなさい。レイナルド殿下との婚姻は、我が侯爵家の後ろ盾を得て、王家の立場を安泰にすること。つまり国政を正しく行い民の暮らしを守ることである」


それはわかっているけれど。

「お父様、私でなくてはならないのでしょうか」


「まずはヴァルト侯爵家が代々、国の法務を預かっているゆえ。それとお前に鈴蘭の聖女の力があるからだ」


「もし私にその力がなかったら」

「変わらぬ。私が法務大臣を預かる以上、状況は変わらぬ。そしてお前の兄がその後を継ぐ事も決まっている」


私が殿下の顔を見ると、顔色一つ変えずに、お父様の話に頷いている。

「してエレノア、今回はお咎め無しとなった。しかし次はない。もし王家に不敬を働いたら、父がこの手で断罪せねばならぬ。しかと肝に命じよ」


「承知いたしました」

これはもう覆せないことなのね。


「あとは二人で話しなさい。殿下は、対話を望んでおられる」


⌘

サロンには殿下と私だけが残された。


「エレノア、朝の手紙は読んでくれたか」

「え?」

あ!後回しにしていたあれ。


「申し訳ございません。失念しておりました」


殿下がフッと笑った。笑った?

「フキボーとやらを作っていたのだな」


「はい、メイドが手を怪我してしまって」

しまった!殿下の手紙よりメイドを優先したと白状してるわ。


「殿下、わたくし」

穴があったら入りたい。もう完全に不敬オンパレード。


「構わない、今のあなたはそういう人なのだろう」

「申し訳ございません」


「エレノア、昨日は私もあなたを追い詰めてしまった。それに今、起きていることは、普通とは思えない。あなたをこの婚姻から解放してやれれば良いが、国として決定した事は覆せぬ。ここで決裂したまま形だけの婚姻をする事も可能だが、思っていることを話さないか」


「……なぜ急に」


「急も何も、先日の茶会から、あなたはいつものあなたではなかった」

「いつものわたくし、ですか」


「そう、口も聞かず、ただ祈るだけで、私の目を見た事もない人だったのでな。それが、突き飛ばされる、ゴミ漁りはする、最後は、大っ嫌いとまで言われた」


「………」

そうだったのね、私。


「あなたに感情があると知って、ある意味ではホッとした」

「え?」


「それまでは、抜け殻のような、人形のようだった」

殿下はそこで言葉を止める。


「気持ち悪くて白い結婚でも無理、というお気持ちでした?」


「そうだ。だが王族としての使命は逃れられない」


ふと思った事を聞いてみる。

「思いを寄せた方がいらっしゃったのでしょう?」


殿下が瞠目する。図星だったのね。


「その方とは、私がいなくなれば、一緒にはなれるのですか」


殿下は首を横に振る。

「もう過去のことだ。病で儚くなった」


あ。

「ごめんなさい、お辛い事を」

「いや、あなたこそ、男は裏切ると言っていたな。それに『リンコ』とは?」


「う……」


「私は話したぞ。今話さないと、こじれて庇えなくなる」


確かにそうね。


「殿下、わたくし、あの日、神の啓示を受けました。違う生き方をしろと。エレノアではないリンコという女性の人生を見ました。そこで男性に婚約破棄されて不安定になったのです」


「ふむ、確かに、あなたは私以外とは婚約はしていないから、あなたの人生ではなさそうだ」


「そして、これまでのエレノアとしての過去の記憶が少なくなって、レイナルド殿下とご一緒した記憶も無く不安になりました」


「確かに、私との思い出はなくて当たり前だ、共にいた事などなかったからな」

やっぱりそうだったんだ。少しホッとする。


「それから、色々と周りのことが気になって仕方がなくて。何か手助けをしたいと思い立つと動いてしまいます」


「それがダイシか」


私は首肯き意を決して告げる。

「どうかこれだけは信じてください。王太子殿下に祈りを捧げた記憶が全くないのです」


「わかった、兄上のことは魔石の共鳴もなかったと聞いている。あなたの血を受け入れた石は私の魔石だった。それに身の潔白を証明する方法が、もう一つあるので、気にせずともいい」


「え?方法があるのですか?」

「ああ」

「ではすぐに」

「やめた方がいい」


レイナルド殿下は笑って立ち上がり、私のそばに来て耳元で囁いた。

それは!待って!流石に固まる、顔が熱くなってきた。


「急ぐことでもない」


殿下は、席に戻って足を組み、カップを取り優雅にお茶を一口飲んで、サファイア色の目で私を見て、フッと笑った。


「では、エレノア、あの『フキボー』とやらのことを聞こうか」


もうこの男!一筋縄ではいかないわ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。