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ラーメンは依頼の後で  作者: マーたん


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8/11

依頼「この旦那を探せ」

『ラーメンは依頼の後で』をお読みいただき、ありがとうございます。


第七話では、「この旦那を探せ」という依頼を通して、家族の絆や信じることの大切さを描いています。


便利屋の仕事は、失くし物を探すだけではありません。時には、大切な人の心を探し、もう一度家族をつなぐこともあります。


涼真と麗華は、依頼人の想いに寄り添いながら、一人の夫を探すため街を駆け巡ります。


そして、今回も涼真の信念は変わりません。


「ラーメンは依頼の後で。」


それでは、第七話をお楽しみください。



涼真の定番は昔ながらの醤油ラーメンか、こってり豚骨ラーメン


第七話 依頼「この旦那を探せ」


雨が降る夕方。


便利屋「涼真サービス」の事務所を、一人の女性が訪ねてきた。


年齢は三十代半ば。


濡れた傘を握りしめ、不安そうな表情を浮かべている。


「依頼をお願いしたいんです……。」


涼真は椅子を勧めた。


「どうぞ、お掛けください。」


女性は深呼吸をして話し始める。


「主人を探してください。」


麗華が優しく尋ねる。


「何かあったんですか?」


女性は小さく頷く。


「三日前に『少し考えたい』と言って家を出たまま、帰ってきません。」


「警察には?」


「届けは出しました。でも事件性は低いと言われて……。」


涼真は写真を受け取る。


写真には優しそうな笑顔の男性が写っていた。


名前は高橋 恒一。


四十二歳。


町工場で働く職人だった。


「必ず探します。」


女性の目に涙が浮かぶ。


「お願いします……。」



翌朝。


涼真と麗華は、高橋の勤務先を訪ねた。


工場長は困った顔をする。


「真面目な人なんですよ。」


「最近、様子は?」


「仕事で大きな失敗をして、自分を責めていました。」


「家族には迷惑をかけたくないって。」


涼真は静かに頷いた。


「責任感が強い人なんですね。」



二人は、高橋がよく訪れていた公園へ向かった。


ベンチには缶コーヒーが一本置かれている。


麗華が周囲を見渡す。


「あそこ……。」


木陰に、一人の男性が座っていた。


写真と同じ人物だった。


「高橋さん。」


男性は驚いて顔を上げる。


「どうして……。」


「奥さんが心配しています。」


高橋はうつむいた。


「帰る資格なんてありません。」


「仕事で失敗して、家族にまで迷惑をかけると思ったら……。」


涼真は静かに隣へ座る。


「失敗しない人なんていません。」


「でも、帰らなかったら、もっと奥さんを悲しませます。」


高橋は目を閉じた。


「……。」


麗華がそっと言う。


「奥様は怒ってなんかいません。」


「ただ、無事でいてほしいと願っていました。」


その言葉に、高橋の目から涙がこぼれる。


「帰ります。」



夕方。


玄関の扉が開く。


「ただいま……。」


奥さんは振り返ると、何も言わずに夫を抱きしめた。


「おかえりなさい。」


高橋は何度も謝った。


「ごめん。」


「本当に、ごめん。」


「帰ってきてくれただけで十分。」


その光景を見た麗華は、小さく涙をぬぐう。


涼真も穏やかに笑った。


「依頼完了ですね。」



帰り道。


「麺処 山岡」の暖簾が見えてきた。


店主・健蔵が笑顔で迎える。


「今日は食べられるか?」


涼真は笑って答えた。


「もちろん。」


その瞬間。


プルルルル……


スマートフォンが鳴る。


店主は天井を見上げた。


「……またか。」


涼真は電話を見つめ、苦笑いする。


「便利屋は休めませんね。」


麗華も笑った。


「ラーメンは依頼の後で、ですね。」


二人は顔を見合わせ、新たな依頼へと歩き出した。


――第八話へ続く。

登場人物(第七話)


涼真りょうま


24歳。本作の主人公。

便利屋「涼真サービス」を営む青年。困っている人を放っておけない性格で、「ラーメンは依頼の後で」を信条としている。依頼人に寄り添い、問題の解決に全力を尽くす。



白鳥しらとり 麗華れいか


18歳。白鳥家のお嬢様。

現在は涼真のバディーとして行動し、依頼人の心に寄り添う優しさを持つ。人との出会いを通して少しずつ成長している。



山岡やまおか 健蔵けんぞう


「麺処 山岡」の店主。

人情味あふれるラーメン職人。依頼を優先する涼真を温かく見守り、帰ってくるたびに最高の一杯を用意している。



高橋たかはし 恒一こういち


42歳。町工場で働く職人。

責任感が強く、仕事の失敗を苦に家を出てしまう。家族を大切に思う優しい夫。



高橋たかはし 美穂みほ


高橋恒一の妻。

突然帰らなくなった夫を心配し、涼真へ捜索を依頼する。夫の無事を誰よりも願っている。



工場長・田村たむら


高橋の勤務先の工場長。

高橋の真面目な人柄をよく知っており、涼真たちへ情報を提供する。



商店街の人々


涼真たちを応援する街の人々。

便利屋として活躍する二人を温かく見守り、時には依頼や情報を持ち込む存在。

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