依頼「生徒会長を救え」
『ラーメンは依頼の後で』をお読みいただき、ありがとうございます。
第五話では、学園の文化祭を目前に倒れてしまった生徒会長を救うため、涼真と麗華が新たな依頼に挑みます。
一人で抱え込む責任の重さ、仲間を信じる勇気、そして支え合うことの大切さ――。
今回の物語では、人との絆が大きなテーマとなっています。
便利屋として、そしてバディーとして成長していく二人の活躍を、ぜひ最後までお楽しみください。
第五話 依頼「生徒会長を救え」
朝。
「麺処 山岡」の前で、涼真は熱々のラーメンを前に箸を持っていた。
「今日は誰にも邪魔されない。」
店主・健蔵が笑う。
「その言葉、何回聞いたかな。」
「今回は本当です。」
その瞬間。
プルルルル……
「……。」
店内が静まり返る。
「ほらな。」
健蔵の一言に、涼真は苦笑いしながら電話に出た。
「はい、便利屋・涼真サービスです。」
『至急、桜ヶ丘学園まで来てください!』
「何があったんですか?」
『生徒会長が大変なんです!』
「分かりました!」
涼真はラーメンを見つめ、小さく頭を下げた。
「また後で。」
⸻
桜ヶ丘学園。
生徒会室の前には、多くの生徒が集まっていた。
「どうしたんです?」
麗華が尋ねる。
副会長が焦った表情で答えた。
「文化祭まであと一週間なのに、生徒会長が倒れてしまったんです!」
「倒れた?」
「疲労が重なって、医師からしばらく休むようにと言われました。」
教室には沈んだ空気が流れる。
「文化祭は中止かな……。」
そんな声まで聞こえてきた。
⸻
病院。
涼真と麗華は、生徒会長・神崎蒼のもとを訪れた。
蒼はベッドの上で苦笑していた。
「情けないですね。」
「無理をしすぎたんですね。」
涼真は椅子に座る。
「全部一人で抱え込んだでしょう。」
蒼は黙ったまま頷く。
「みんなに迷惑をかけたくなくて……。」
「でも、一人では限界があります。」
麗華も優しく微笑んだ。
「助けを求めることは、弱さじゃありません。」
蒼の目に涙が浮かぶ。
「ありがとうございます……。」
⸻
翌日。
涼真は全校生徒を体育館へ集めた。
「文化祭は、生徒会長一人のものじゃありません。」
静まり返る体育館。
「皆さん一人ひとりの文化祭です。」
生徒たちは顔を見合わせる。
「一緒に成功させませんか?」
一人の生徒が手を挙げた。
「僕、会場設営を手伝います!」
「私はポスターを作ります!」
「俺たちはステージ担当!」
次々と声が上がる。
やがて体育館中に拍手が響いた。
⸻
数日後。
文化祭当日。
校門には多くの来場者が訪れていた。
「成功ですね。」
麗華が笑う。
そこへ車椅子に乗った蒼が現れる。
「みんな……。」
生徒たちは拍手で迎えた。
「会長!」
「お疲れさまでした!」
蒼は涙ぐむ。
「ありがとう……。」
⸻
夕方。
文化祭は大成功のうちに幕を閉じた。
帰り道。
麗華が微笑む。
「今日は素敵な依頼でしたね。」
「ええ。」
涼真も笑う。
「人を救うって、体だけじゃない。」
「心も救えるんですね。」
その時。
グゥゥゥ……
二人のお腹が同時に鳴った。
顔を見合わせて笑う。
「今日はもう依頼はありませんよね?」
「たぶん。」
二人は「麺処 山岡」へ向かった。
店主・健蔵が大笑いする。
「今日は食べさせてやる!」
熱々のラーメンが運ばれてくる。
「いただきます!」
その一杯には、文化祭を守った達成感と、仲間たちの笑顔が詰まっていた。
しかし、店のテレビにはニュース速報が流れる。
「街で連続盗難事件発生――」
涼真はテレビを見つめる。
「次の依頼の予感がしますね。」
麗華も静かに頷いた。
二人の便利屋としての日々は、まだ始まったばかりだった。
――第六話へ続く。
五話を最後までお読みいただき、ありがとうございました。
生徒会長を救う今回の依頼は、失くし物を探したり物を修理したりする依頼とは違い、「人の心」を支える物語となりました。
誰かを助けるためには、一人の力だけでは足りないことがあります。仲間を信じ、協力し合うことで、大きな困難も乗り越えられるのだと涼真たちは学びました。
麗華も少しずつ便利屋としての経験を積み、涼真とのバディーとして息の合った行動ができるようになっています。
そして、ようやく食べられるラーメンの一杯は、今日もまた格別な味でした。
次回は、新たな事件が二人を待ち受けます。便利屋として、そして最高のバディーとして活躍する二人に、ぜひご期待ください。




