依頼「学園に紛れ込め」
皆さま、『ラーメンは依頼の後で』をお読みいただき、ありがとうございます。
第三話では、お嬢様・白鳥麗華がずっと憧れていた「学園生活」が描かれます。
屋敷の中だけで育った麗華にとって、教室や友達との会話、学食で過ごす時間はすべてが初めての経験です。
そして、どこへ行っても依頼が舞い込む便利屋・涼真。
今回も「ラーメンは依頼の後で」という信念を胸に、人助けへと走り出します。
二人の少しずつ深まる絆にも注目しながら、第三話をお楽しみください。
第三話 依頼「学園に紛れ込め」
「次の依頼です。」
朝早く、便利屋「涼真サービス」の事務所に白鳥家の執事・白鳥恒一が姿を現した。
「今度は何でしょう?」
「お嬢様に関する依頼です。」
麗華は少し照れくさそうに微笑んだ。
「実は……一度だけ普通の学園生活を体験してみたいんです。」
涼真は驚く。
「学園生活?」
「はい。」
「友達と教室で話したり、お昼ご飯を食べたり、放課後に笑い合ったり……そんな毎日に憧れていました。」
麗華は屋敷育ち。
家庭教師ばかりで、一度も学校へ通ったことがなかった。
「そこでお願いがあります。」
麗華は深く頭を下げた。
「私と一緒に学園へ紛れ込んでください。」
「えぇ!?」
涼真は思わず立ち上がる。
「それ依頼なんですか!?」
「はい。」
執事も真剣な表情で頷く。
「今回は白鳥家が学園側の許可をいただいております。」
「体験入学という形になります。」
涼真は胸をなで下ろした。
「びっくりした……。」
「正式な依頼なら引き受けます。」
麗華の表情が明るくなる。
「ありがとうございます!」
⸻
翌日。
二人は制服に着替え、桜ヶ丘学園の門をくぐった。
「これが学校……。」
麗華は目を輝かせる。
生徒たちの笑い声。
校庭を走る運動部。
チャイムの音。
そのすべてが新鮮だった。
「涼真さん!」
「はい?」
「私……少し緊張しています。」
「俺もですよ。」
二人は顔を見合わせて笑った。
⸻
教室へ入ると、担任教師が紹介する。
「今日から一日体験の白鳥麗華さんと、付き添いの涼真さんです。」
教室中の視線が集まる。
「よろしくお願いします!」
麗華は元気よく頭を下げた。
その姿に教室から拍手が起こる。
休み時間になると、生徒たちが集まってきた。
「一緒に校内を案内するよ!」
「学食も行こう!」
麗華は戸惑いながらも笑顔になる。
「ありがとうございます!」
その様子を見た涼真は安心していた。
「これなら大丈夫そうだ。」
⸻
昼休み。
学食にはラーメンがあった。
「ラーメン定食!」
涼真の目が輝く。
しかし、その瞬間。
プルルルル……
電話が鳴る。
「はい。」
『便利屋・涼真サービスですか?』
「はい。」
『校内で大切なペンダントを失くしました!』
涼真は苦笑いした。
「依頼ですね。」
「すぐ向かいます。」
麗華も立ち上がる。
「私も行きます。」
「もちろん。」
二人は学食を後にした。
「またラーメンは依頼の後ですね。」
麗華が笑う。
涼真も笑い返した。
「もう慣れました。」
二人は校内を駆け出す。
新たな依頼を胸に抱えながら──。
第四話へ続く。
第三話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
今回は学園を舞台に、麗華が初めて普通の学生生活を体験する様子を描きました。
これまで屋敷の中で過ごしてきた麗華にとって、何気ない日常は新鮮で、どれもかけがえのない思い出になっていきます。
一方で、涼真は今回も依頼を優先し、学食のラーメンを前にしても仕事へ向かいました。この「ラーメンは依頼の後で」という信念は、彼らしい生き方そのものです。
次回は、学園内で起きた「失われたペンダント」の捜索依頼に挑みます。二人のバディーとしての活躍にも、ぜひご期待ください。
引き続き『ラーメンは依頼の後で』をよろしくお願いいたします。




