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ラーメンは依頼の後で  作者: マーたん


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依頼「バディーを探せ」

登場人物


涼真りょうま


本作の主人公。24歳。

便利屋「涼真サービス」を営む青年。

困っている人を放っておけない性格で、「ラーメンは依頼の後で」が信条。どんな依頼にも誠実に向き合う。



白鳥しらとり 麗華れいか


18歳。

名家・白鳥家のお嬢様。

幼い頃から屋敷で育ち、友達や外の世界をほとんど知らない。

勇気を出して「バディーを探してほしい」と依頼し、やがて涼真を自分のバディーとして選ぶ。



山岡やまおか 健蔵けんぞう


ラーメン店「麺処 山岡」の店主。

豪快で人情味あふれる職人。

涼真のことを息子のように気にかけ、いつも温かく迎えてくれる。



白鳥しらとり 恒一こういち


白鳥家に長年仕える執事。

麗華を幼い頃から見守ってきた忠実な執事であり、父親のような存在。

涼真に全幅の信頼を寄せている。



三毛猫・ミルク


第一話で涼真に助けられた猫。

人懐っこく、たびたび涼真の前に現れる癒やしの存在。



山岡やまおか 翔太しょうた


「麺処 山岡」の店員で健蔵の息子。

明るく気さくな性格で、涼真や麗華ともすぐに打ち解ける。



白鳥家の使用人たち


麗華を支える屋敷の使用人たち。

麗華が初めて屋敷の外へ踏み出す姿を温かく見守っている。

第二話 依頼「バディーを探せ」


朝の商店街。


「今日は絶対に朝ラーを食べる!」


涼真は珍しく開店前からラーメン店「麺処 山岡」の前に立っていた。


「今日は依頼も入ってない。ようやく食べられる。」


店主・健蔵が暖簾を掛ける。


「兄ちゃん、一番乗りだな。」


「いただきます!」


その瞬間だった。


プルルルル……


スマートフォンが鳴る。


涼真は空を見上げる。


「……嫌な予感。」


電話に出る。


「はい、便利屋・涼真サービスです。」


『依頼です。至急お願いします。』


「内容は?」


『バディーを探してください。』


「……バディー?」


『詳しくは屋敷で。』


電話は切れた。


涼真はラーメンを見つめる。


「またか……。」


店主が笑う。


「ラーメンは?」


涼真は苦笑した。


「依頼の後で。」



到着したのは街外れに建つ大きな洋館。


門が開き、執事が深々と頭を下げる。


「お待ちしておりました。」


豪華な応接室へ案内される。


ソファには、一人の少女が座っていた。


年齢は十八歳ほど。


綺麗なワンピースを着ている。


「初めまして。」


少女は丁寧に頭を下げた。


「私、白鳥 麗華と申します。」


「依頼は……。」


麗華は少し恥ずかしそうに笑う。


「私のバディーを探してください。」


「……え?」


「え?」


沈黙が流れる。


「つまり……相棒です。」


「相棒?」


「はい。」


涼真は首を傾げる。


「犬ですか?」


「違います。」


「猫?」


「違います。」


「鳥?」


「違います。」


麗華は小さく笑った。


「人です。」


「……人?」


「私は今まで家の外へほとんど出たことがありません。」


窓の外を見る麗華。


「友達もいません。」


その表情はどこか寂しげだった。


「だから、一緒に色々な場所へ行けるバディーが欲しいんです。」


涼真は少し考え込む。


「それは……便利屋の仕事なのかな。」


執事が静かに言う。


「お嬢様は初めてご自身で依頼を出されました。」


麗華は頭を下げた。


「お願いします。」


涼真は笑顔になる。


「分かりました。」


「本当ですか!」


「依頼、引き受けます。」


麗華は嬉しそうに立ち上がった。


「ありがとうございます!」


その瞬間。


グゥゥゥ……


涼真のお腹が盛大に鳴る。


麗華は首を傾げた。


「どうしました?」


涼真は苦笑する。


「実は……朝からラーメンを食べようと思ってたんです。」


「ラーメン?」


「でも、依頼が先です。」


麗華は初めて大きな声で笑った。


「変わった方ですね。」


涼真も笑う。


「よく言われます。」


こうして、一風変わった依頼が始まった。


果たして涼真は、お嬢様が心から「バディー」と呼べる存在を見つけることができるのか。


そして今日こそ、ラーメンを食べることはできるのか──。



麗華は静かに紅茶を置いた。


「実は……もう一つお願いがあります。」


涼真は首を傾げる。


「まだ何か?」


麗華は少し照れながら微笑んだ。


「私のバディーになっていただけませんか?」


部屋が静まり返る。


「……え?」


執事まで驚いた表情を見せる。


「私には友達も、一緒に笑える人もいません。」


麗華はゆっくりと立ち上がり、涼真の前まで歩いてきた。


「あなたと一緒に街を歩いてみたいんです。」


「ラーメン屋さんにも。」


「公園にも。」


「お祭りにも。」


「普通の人が当たり前に過ごしている毎日を、あなたと。」


涼真は頭をかいた。


「俺なんかでいいんですか?」


「はい。」


迷いのない返事だった。


「初めて会ったのに、不思議なんです。」


「あなたといると安心できます。」


執事も優しく微笑む。


「お嬢様がここまで自分の気持ちを話されたのは初めてです。」


涼真は少し考え、ゆっくりと笑った。


「依頼としてなら。」


麗華の表情が明るくなる。


「本当ですか!」


「はい。」


「今日から依頼が終わるまで、あなたのバディーになります。」


麗華は嬉しそうに何度も頭を下げた。


「ありがとうございます!」


その笑顔は、今まで屋敷の中でしか過ごしてこなかった少女とは思えないほど輝いていた。


「まずはどこへ行きたいですか?」


「ラーメン屋さん!」


即答だった。


涼真は思わず吹き出す。


「実は俺も行きたかったんです。」


二人は顔を見合わせて笑う。


商店街へ向かう途中、麗華は初めて見る景色に目を輝かせる。


「こんなに賑やかなんですね。」


子どもたちが走り回り、商店街には笑い声が響く。


麗華はその一つひとつを大切そうに見つめていた。


そして、ようやく「麺処 山岡」の暖簾をくぐる。


店主・健蔵は二人を見るなり笑った。


「今日は一人じゃないんだな!」


「依頼です。」


涼真は照れくさそうに答える。


麗華も笑顔で言った。


「この人は、私のバディーです。」


店内が温かな空気に包まれる。


湯気の立つラーメンが二人の前に運ばれてきた。


「いただきます。」


初めて誰かと食べるラーメンに、麗華は思わず笑みをこぼした。


その日から、「依頼人」と「便利屋」だった二人の関係は、少しずつ「バディー」へと変わり始めるのだった。


――第三話へ続く。

第二話を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


今回は「バディーを探せ」という少し変わった依頼を通して、涼真と麗華の出会いを描きました。


友達がいなかったお嬢様が、自分の気持ちを勇気を出して伝え、涼真をバディーとして選ぶ場面は、この物語の大きな転機となります。


便利屋の仕事は、物を直したり探したりするだけではありません。人の心に寄り添い、誰かの一歩を支えることも、大切な仕事なのだと涼真は改めて感じます。


そして、今回も涼真は「ラーメンは依頼の後で」という信念を貫きました。ようやく食べられた一杯のラーメンは、きっと今まで以上においしかったことでしょう。


次回は、バディーとなった二人に新たな依頼が舞い込みます。笑いあり、涙あり、ときには予想外の出来事も待ち受けています。


これからも『ラーメンは依頼の後で』をよろしくお願いいたします。

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