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ラーメンは依頼の後で  作者: マーたん


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依頼「消えた約束の指輪」

『ラーメンは依頼の後で』をお読みいただき、ありがとうございます。


第九話では、「消えた約束の指輪」を巡る依頼が描かれます。


一つの指輪に込められた夫婦の絆、長い年月を共に歩んできた思い出、そして大切な人との約束。


便利屋の仕事は、ただ物を見つけるだけではありません。その品に込められた想いまで見つけ出し、依頼人の笑顔を取り戻すことも大切な役目です。


涼真と麗華は、今日も誰かの幸せのために街を駆け巡ります。


そして、依頼を終えた先には、きっと温かい一杯のラーメンが待っています。


それでは、第九話をお楽しみください。

第九話 依頼「消えた約束の指輪」


雨上がりの午後。


便利屋「涼真サービス」の事務所に、一人の年配の男性が訪れた。


帽子を取り、深々と頭を下げる。


「お願いがあります。」


涼真は椅子を勧めた。


「どうぞ。」


男性は震える手で、一枚の古い写真を差し出した。


若い夫婦が笑顔で写っている。


「この指輪を探してほしいんです。」


麗華が写真を見つめる。


「結婚指輪ですか?」


「はい。」


男性は静かに頷いた。


「妻が亡くなる前に、『ずっと大切にしてね』と言ってくれた指輪なんです。」


「ところが先日、家の片付けをしていたら見当たらなくなってしまって……。」


「どこを探しても見つからないんです。」


涼真は優しく微笑んだ。


「分かりました。」


「一緒に探しましょう。」


依頼成立。



二人は男性の家を訪れた。


古い木造の一軒家。


部屋には思い出の品がたくさん並んでいた。


写真立て。


古時計。


アルバム。


「指輪はいつも机の引き出しに入れていました。」


涼真は部屋を丁寧に調べ始める。


麗華も家具の隙間や棚を確認する。


しかし見つからない。


「どこへ行ったんだろう……。」


男性は肩を落とした。



その時だった。


縁側に置かれた植木鉢が目に入る。


「この植木鉢は最近動かしましたか?」


「掃除の時に少しだけ。」


涼真は植木鉢をそっと持ち上げる。


その下に、小さな銀色の光が見えた。


「あった!」


結婚指輪だった。


男性は震える手で受け取り、大切そうに胸へ抱く。


「ありがとう……。」


目には涙が浮かんでいた。


「妻との約束を、また守ることができます。」


麗華も優しく微笑む。


「見つかって本当によかったですね。」



帰り道。


夕焼けが商店街を赤く染めていた。


「今日は心が温かくなる依頼でしたね。」


麗華が言う。


「物を探す依頼でも、その先には誰かの大切な思い出があります。」


涼真は空を見上げる。


「それを守るのも、便利屋の仕事なんだ。」


二人が「麺処 山岡」に入ると、店主・健蔵が笑顔で迎えた。


「今日は食べられるだろ?」


「もちろん!」


熱々の醤油ラーメンが運ばれてくる。


「いただきます!」


ようやく食べられた一杯は、今日も格別だった。


その時、店のドアが勢いよく開く。


「すみません! 急ぎの依頼です!」


涼真は箸を止め、苦笑いする。


麗華も思わず笑った。


「やっぱり……。」


涼真は立ち上がり、依頼人のもとへ向かう。


「ラーメンは依頼の後で。」


その言葉を残し、新たな依頼へと歩き出した。


――第十話へ続く。

登場人物(第九話)


涼真りょうま


24歳。本作の主人公。

便利屋「涼真サービス」を営む青年。どんな依頼にも真剣に向き合い、「ラーメンは依頼の後で」を信条としている。依頼人の大切な思い出や気持ちを守ることを何よりも大切にしている。



白鳥しらとり 麗華れいか


18歳。白鳥家のお嬢様。

現在は涼真のバディーとして便利屋の仕事を手伝っている。人に寄り添う優しさを持ち、依頼を通して少しずつ成長を続けている。



山岡やまおか 健蔵けんぞう


ラーメン店「麺処 山岡」の店主。

豪快で人情味あふれる職人。依頼を優先する涼真を温かく見守り、帰ってくるたびに最高のラーメンを振る舞う。



森田もりた 恒一こういち


72歳。

今回の依頼人。亡き妻との思い出が詰まった結婚指輪を探してほしいと涼真へ依頼する。妻を今も深く愛し続けている。



森田もりた 千鶴ちづる


故人。森田恒一の妻。

生前、結婚指輪を夫婦の絆の証として大切にしていた。写真や思い出の中で登場し、夫の心の支えとなっている。



山岡やまおか 翔太しょうた


「麺処 山岡」の店員で健蔵の息子。

明るく親しみやすい性格で、涼真や麗華を応援している。



商店街の人々


涼真たちをよく知る町の住人たち。

便利屋として活躍する二人を温かく見守り、ときには新たな依頼や情報を届ける存在。

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