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仮面少女と騎士さま。  作者: 小椿 千冬
二章 名ばかり御子様の不思議な日常
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第二十一話

お待たせしました!

この世界に来てから---否、それよりもっと前から。気づいていた。自分とセカイとの間に感じたズレ。それは少しずつ大きくなって、今では心の中にはっきり感じることができる。例えるなら、もやみたいなもの。


そっと、触れることができない狐の面に触れてみた。やはり、感触はない。もし言うことがあるとすれば、これを通してみるセカイは前よりちょっと『ぼんやり』としてみえることくらい。


目を逸らしてしまえ。

世界は綺麗なんかじゃない。

なぁ、そのセカイはお前の心を傷つけてまでも「見る」価値があるのか?


(私、は・・・)



「・・・シキちゃん?」


呼びかけられた声に、はっと我に返った。心配そうに覗き込んでくる緑の瞳に気づき、笑顔をつくる。


「大丈夫です、銀之助さん」


相変わらず、名前と顔が合ってないと思う。あの時と変わらない綺麗な顔をした青年。ここへ連れてきた張本人。笑っているけど、どこか違和感のあるその人は本当に不思議な人だ。


「本当に?・・・あ。もしかして、そこのムッツリスケベに何かされた?隠さなくていいから。さぁ、言っ・・・痛っ」


ゴツン、と鈍い音が耳に届く。

無言で銀之助の頭に拳を食らわせた黒髪の彼。痛そうだな、と内心思っていたが、銀之助はと言えば変わらず涼しい顔。「殴るって言うことは、心当たりあるの?」なんて余計なことを言って再び痛そうな音が聞こえたのは言うまでもない。


「痛たた。・・・ほんっと、凶暴なんだから。嫌われても知らないよ」


「・・・余計なお世話だ」


不機嫌そうに、低く呟いた声。

お世辞にも仲が良さそうとは言えない二人が、顔見知りだと知って酷く驚いた。ナイトが言うには「腐っても切れてくれない縁」らしい。・・・どういう意味なんだろう。


「ああ、話が逸れた。・・・それでね、シキちゃん。さっきの話の続きだけど」


「あ、はい!」


そうだ。私達は、話の途中だった。

・・・ジークと別れた後、迎えに来てくれたナイトに連れられて城に帰った。会わせる人がいる、と言われて目の前に現れたのは銀之助かれ


「・・・という訳で。君をここに連れてきたのは、僕の手違い。君は確かに御子だけど、今は仕事はないからね」


すぐにでも元の世界に返してあげたいけど。彼はそこで一旦、言葉を止めた。『それ』そう言って彼は指を指した。


「・・・これ、ですか?」


「うん。ねぇ、僕が前に言った言葉、覚えてる?」


何となく。

確か、外さなくてもいいから・・・あれ、何だっけ。


「そうだね。今は(・・)、そのままでいいよ。でも、帰るとなると話は別」


今は?一体、どういう意味なのだろう。理解できない。そもそも。この面が何なのかすら、よく分かっていない。外れないし、触れないし。えっと、これは・・・。


「あー、そうそう。君のさ、自分の中だけで考える癖、やめた方がいいね。言わないと伝わらないから。・・・大抵の人間には、ね」


何か聞きたいことは?

また普段の優しい笑顔に戻った彼は、そんなことを言った。


「・・・あなたは、これについて何か知ってるんですか?」


銀之助は、不意に難しい顔をした。

やっぱり彼も知らないのだろうか。不安になってそう聞いたら、「全部は言えないけど」と曖昧な返事が返ってきた。


「・・・とりあえず、悪いものじゃないよ。君のことを守ってくれる。でもね」


彼はそこで言葉を区切る。

きらり、とシャンデリアの光を反射して輝いた緑の瞳に吸い込まれそうになって、一瞬怖くなった。だから、気づかれないように一歩下がる。


「そのままだと『セカイ』は見えない。・・・ね、怖がらないで。真実が綺麗とは限らないけど、君は知らなくちゃいけないんだ」




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