秘密の共有
地の文で書く時、毎回「ユーリアの微妙な翻訳」か「本来の呼び方」かで迷いますが、基本的にその場のノリで決めてます。
なので数話挟んだ後だと前回の地の文で採用した方とは違う方で地の文を書いてる時がありますが、その場合深い意味は無いのであしからず。
クラリッサ達が服を選んでいる頃、ブリ雄はニーヴァの応接室でアイゼンが来るのを待っていた。
応接室に通されてから三十分以上、出された紅茶とお茶請けは既に空になっており、ブリ雄が一人沈黙を守り続けていた時だ。
――コンコン。
その沈黙を打ち破るように扉をノックする音が応接室に響き、ワンテンポ遅れて扉が開きアイゼンが応接室に顔を出す。
「お待たせしてすみませんね」
「いえ、今日は特に予定も無いので大丈夫ですよ。それに急に訪ねたのはこっちの方ですから」
一応、ちゃんとした報告の為にもう一度訪れる事自体は事前に伝えてあったが、それが何時になるかはブリ雄自身にも分からなかったので結局殆どアポ無しのような状態でここに来ていた。
「そう言って頂けると助かります。とはいえ、毎回これではお互い不便ですからね」
そう言いながらアイゼンは懐から一枚の呪符を取り出しテーブルの上へと置く。
「これは?」
「携帯で使える通話用の呪符です。私の通話用の呪符のアドレスを登録済みですので、今後訪問される際は事前にこれで一報頂けると助かります」
そういえばそんな物もあったなと、ブリ雄は今まで身分証程度にしか活用していなかった携帯を取り出すと、早速それに呪符を挿入する。
すると水晶体の表面にアイゼン・クラートの名前が浮かび上がり、試しにその名前をタッチしてみると画面が切り替わり水晶体の中に挿入されていた呪符がファンファンという独特の音を発しながら赤く明滅し始め、それと同時にアイゼンの持つ呪符も同様の音を発し明滅する。
アイゼンがその呪符を自身が持つ携帯に挿入し、何やら画面をタッチすると明滅が収まった代わりに呪符は緑色に発光した。
「『これで今、携帯は通話可能状態になっている筈です』」
手元の携帯から目の前に居るアイゼンと全く同じ声が聞こえた事を確認し、その後も今度は反対の操作を確認し終えてから二人は本題へと移る。
「それで今日来られたのは霧隠れの山に関する詳細な報告をする為だと伺っておりますが」
「はい、一昨日も昨日もそれどころではありませんでしたから」
「そうですね……」
ここ三日間の出来事を思い返しているのだろうか、アイゼンが遠い目をしながらブリ雄の言葉に同意した。
一昨日はブリ雄が連れて来た娘達の保護と簡易的な報告の事実確認に奔走し、昨日はブリ雄が持ち込んだ大量の希少モンスターの素材や地獄絵図と化した応接室の清掃と破損した備品の補充、そして今日は今日で先程までそれらの後始末やらに追われていたのだ。
「それでグロングリドのドラゴン達の動きは掴めましたか?」
「えぇ、グロングリドに一番近いアパシアという街にあるニーヴァの支部に確認を取ってみたのですが、確かに一昨々日、ブリ雄さんの仰っていた時刻に大規模なドラゴンの群れが霧隠れの山の方へ向かって飛んでいく姿が確認されていました」
「なるほど、彼が本当にグロングリドの長であるかどうかはさておき、少なくとも彼の魔力に反応してドラゴンの大群が動き出していたのは本当だったのですね」
「私としましてはまずあの山に四翼のドラゴンが隠れていたというそれ自体が信じ難いのですがね……」
「そっちの方も事実確認を行ったのでは?」
「近隣の村に使いの者を出して目撃情報を集めはしましたよ。ただ"空から流れ星が落ちて来て霧が吹き飛んだと思ったらそこから真っ赤に輝くドラゴンが出てきた"とか"山が真っ二つに割れたと思ったらその中から燃え盛る火の鳥が誕生した"とか、色々と情報が錯綜してまして」
「なるほど、確かにあの状況を知らぬ者が遠目に見ていたのだとしたらそう勘違いしても可笑しくはない状況ですね」
事情を知らない者達が遠くから霧隠れの山の様子を見ていたのだとしたら、その流れ星がブリ雄の魔術であるなんて的を射た答えを得られる筈も無いし、蒼一の力で真っ二つに裂いた山から真っ赤に光り輝く翼を持つ何かが飛び出して来れば、翼を持つ何かという事で鳥と誤認するのも理解出来ない話では無かった。
「申し訳ありませんが詳細を説明して頂いても宜しいですか?。そちらが納得されても、こちらはまるで理解出来ていない状況でして」
「勿論です。その為にここに来たのですから」
正確に言えば話したら拙い部分は伏せてという前置きが付くのだが、それでも一昨日の説明と比べれば詳細な説明である事に違いはない。
要点だけをかいつまんだ説明ではなく最初から順を追って説明していくブリ雄、途中アイゼンの質問が差し込まれるのでそれに対する返答も織り交ぜつつ、話は二人が霧隠れの山へ再び訪れた所まで進んだ。
「――という訳で突如広がり始めた濃霧を無視する訳にもいかず、私が魔術を使い濃霧を吹き飛ばしたのです」
「あぁ、霧を吹き飛ばした流れ星って貴方の魔術の事でしたか。人を送って山頂を調べましたが、見事に禿げ上がっていたとか」
「それに関しては申し訳ありません。何分相手方の実力が未知数だったので、確実に対処出来るだけの魔術を行使した結果、そのような状態になってしまいました」
「いえいえ、構う事はありませんよ。確かに問題が無いかと言われれば多少は在ると言わざるを得ませんが、元より山頂は一部の好き者以外踏み入る事はありませんからね。中腹より下が無事であればニーヴァとしては大きな問題にはなりませんし」
アイゼンの言葉は事実ではあったが、それよりも何よりも今は本件の肝でもあるドラゴンについての詳細の方が重要であると、アイゼンは直ぐに説明の続きを求める。
「それで霧を吹き飛ばした後はどうだったのですか?」
「はい、一昨日にも説明した通り、霧が晴れた山頂に姿を現したのはグロングリドの長を名乗る赤い四翼のドラゴンでした」
「グロングリドの長"不滅のシュラウツ"ですか。確かに今代の外見的特徴と一致はしていますね」
「不滅の……ですか」
ブリ雄の知識では"ネヴァハシュラウツ"と記憶していたのだが、"ネヴァハ"がこちらの世界では"不滅"を意味する言葉だったのでその部分が翻訳されてしまった結果だろう。
群れの長の名前というよりは冒険者の通り名みたいになってしまったなと感じながらも、ブリ雄は説明を続ける。
「兎に角、互いに睨み合っていたところで念話のようなもので向こうの方から語り掛けて来ましたので、その流れで相手から情報を引き出そうと試みたのですが取り付く島も無く、そのまま戦闘になりましてね」
「どうなったのですか?」
ネヴァハシュラウツと戦闘になったというのに目の前にこうしてブリ雄が生存している事、山頂からネヴァハシュラウツという怪物が居なくなったという時点で答えは分かり切っていたが、それでもアイゼンは確かめるように問い、その問いに対してブリ雄はさてどう答えたものかと考える。
馬鹿正直に伝えたとしても蒼一の正体に辿り着く可能性は非常に低いし、大規模な魔術ですと強引に押し切る事も可能だろうが、何にせよ面倒な事になる予感しないとブリ雄は話す内容を決めていく。
「一昨日にも説明しましたが、戦闘自体は私達の勝利に終わりました。いえ、正確に言えば戦闘ではなく蹂躙、そして私達の勝利ではなく蒼一様の一人勝ちと言った所でしょうか」
「蒼一さんの、ですか?」
「えぇ、蒼一様の名誉の為にも余り詳しく話す事は出来ませんが……それはもう相手が泣いて赦しを乞う程に一方的なものでしたよ」
「あ、あの不滅のシュラウツが命乞いをしたと?」
ブリ雄の口から飛び出た言葉にアイゼンは信じられないといった様子で目を見開き、その様子を見てブリ雄はここだとばかりに畳みかける。
「えぇ、その時の蒼一様はかなり機嫌が悪く、普段であれば加減が利かないからと私に任せる所だったのですが、不滅のシュラウツが蒼一様の実力を侮るような発言をしましてね。普段であればそれだけで蒼一様が怒るような事は無いのですが、その前にルドルフさんが引率していたニーヴァの方と少々諍いがありまして」
「それはルドルフさんから聞いています。その時に御二人が依頼のやり残しがあるからと霧隠れの山へ再び向かった事を知った訳ですし」
「それなら話が早いです。その人と蒼一様の間でどんな諍いがあったかはご存知ですよね?。その事で苛立っていたところにまったく同じような事を不滅のシュラウツが口にして蒼一様の逆鱗に触れたという訳です。相手は人間ではなくドラゴンだし、勢い余って殺してしまっても構わない、いやむしろ殺す勢いで一方的に蹂躙する蒼一様の姿は……何と言いますか、改めて蒼一様が味方で良かったなと実感させられましたよ」
その時の事を思い出して身震いするような、そんな芝居掛かった大袈裟なブリ雄の態度にはアイゼンも気が付いていたが、それが大袈裟なだけであって嘘という訳では無い事を薄々ながら感じ取っていた。
「基本的に蒼一様の力は私よりもかなり大雑把なんですよ。ですから基本的には私だけで済む事は私が引き受けて、私でもどうしようもない事は蒼一様が担当するという役割分担なのです。故に基本的に表立って何かを成すのは私ばかりで蒼一様がそういう評価を下されてしまうというのは、蒼一様自身も理解しているところではあるのですが……」
「理解と納得はまるで別の所にある、そういう事ですか」
「はい、今回は不滅のシュラウツという発散相手が居たので良かったですが、もし今回のような諍いが頻発したらと考えると、私としても非常に肝が冷える思いです」
「それは」
そう、それは牽制、蒼一に対する周囲からのある意味では仕方のない正当であり不当な評価に対するブリ雄の不満と警告、このままの状態が続けばどうなるか分かった事ではないぞと、蒼一かブリ雄か、そのどちらか或いは両方かが我慢の限界を迎えた時、きっとそれはニーヴァにとって、スルクの街にとっても大きな災いになるだろうとブリ雄はそうアイゼンに暗に突き付け、そして不意にその表情を曇らせる。
「……こっちの我が儘である事は百も承知なんですがね。実力を見せもしない、素性も明かさない、探りを入れられる事を拒んだ上でそれを信用しろなんて虫の良い話だって事も理解してます。それでも――」
そうするしかないのだから仕方がない。
蒼一やブリ雄の正体なんて明かせる訳も無く、だからこそ結局こうして言外に匂わせて"後は察しろ"というように誘導してきたのだ。
それでも伝えたい事を伝える事は出来たし、問題は無いのかも知れない。
しかしそれでは全てを伝えられないというのもまた事実で、それは全てを伝えようとしていないのだから当たり前の事なのだが、そのジレンマがブリ雄の中でモヤモヤとした感情を生み出していく。
そんな葛藤が表情に滲み出ていたブリ雄の様子を見ていたアイゼンの脳裏に、ふと以前にデミスと交わしたある会話が思いこされた。
『もう真正面から腹割って話した方が早いんじゃねーの?アンタの搦め手って正直言って回りくどすぎるんだよ』
『それならもう最初に試しましたよ。誤魔化されたから搦め手を使っているのです』
『そりゃ関係値が殆どないからだろ。少なくとも今ならある程度は教えてくれるんじゃないか?』
(今なら……か)
初めて顔を合わせた時からずっと維持し続けて来たこの距離感、それはお互いの事を何も分かって居ないからこそ保ち続けて来た距離感、ならばその距離感を今こそ詰める時ではないかとアイゼンは意を決した様子でブリ雄を見る。
「ブリ雄さん、ここで一つ私の方から提案があるのですが」
「提案、ですか?」
「はい、私達は今お互いに腹を探り合い、互いが互いに利益を得られるよう画策する関係です。そこから一歩踏み込んで、今度はお互いの腹を割って見せ合い、互いが互いに利益を得られるよう協力する関係に進むというのはどうでしょうか?」
こうして顔を突き合わせて話し合う事数回、回数で言えばそれ程多くは無かったが、一つ一つの時間はとても濃密で互いの事を理解するのには十分な時間があった。
少なくともブリ雄もアイゼンも相手が基本的に善人である事をこれっぽっちも疑っていないし、互いの中にあるそれぞれの柵、立場というものが邪魔をして素直に歩み寄る事が出来ていなかった事も理解していた。
「何も全てを明かせとは言いません。ただもう少しお互い、協力し合えるよう歩み寄る事は出来ないものかと」
「それが出来ればどれ程気楽な事でしょうね」
それが叶えばどれ程気が楽になるのかと分かるだけに、それを叶える事がどれ程気を遣うかというのも分かってしまう。
言葉にするのは簡単だが、実際にそれを明かすとなると簡単な事ではない。
「私達が、私達の真実をアイゼン様に告げたとして、そのメリットは何ですか?ただ気が楽になるだけですか?。そしてその腹を割って話し合った場合、アイゼン様は私達に明かす事の出来る何かがあるのですか?」
ブリ雄のその問いは尤もだった。
この提案は互いが隠している秘密を見せ合う事で初めて成立するものだ。
蒼一とブリ雄はその正体が世界とモンスターであるという重大な秘密を抱えているが、ニーヴァの支部長であるアイゼンにもそれと等価に成り得る重大な秘密がなければ、この提案はそもそも成立し得ない。
「そうですね……ハッキリ言って、今の私はニーヴァの支部長であるという以外、裏の顔のような物は在りませんし、羞恥心を煽るような恥ずかしい秘密はあれど、御二人が抱えているような絶対に話してはいけない秘密のようなものは残念ながらありません」
「それではこちらが一方的に腹の中を見せるだけではないですか」
「そう答えを急くものではありません。さっき私は"今の私は"と言いましたよね」
「……どういう事ですか?」
その言葉の意図は理解したが、意図が示すところの言葉の意味が分からない。
つまりアイゼンはこれから何らかの秘密を作りそれを蒼一とブリ雄に共有すると言っているのだが、では一体どんな秘密を共有しようというのか、その肝心な部分が不明なのだ。
「私がどんな秘密を共有しようとしているのか、それを語る前にまずはその前提から話していきましょう。先程ブリ雄さんがそちらの秘密を開示した場合、どんなメリットがあるのだと質問されていましたが、もし私が御二人の秘密を共有したのなら、御二人以上にその秘密を上手く隠す事が出来る筈です」
「秘密を隠す?」
「はい、正直言って御二人は秘密を秘密のまま隠してはいますが、秘密それ自体が存在している事を隠してはいません。いえ、隠し通す事など出来ないと端から諦めて隠す気がまるでないといったところでしょうか」
アイゼンの指摘通り、蒼一とブリ雄は人に話す事が出来ない秘密が存在する事自体は秘密にしていない。
それは隠し通そうとしたところで絶対にボロが出ると察していたからだ。
「それは私達と御二人の間にある常識や価値観の相違、御二人にとっては当たり前の事でも私達にとってそれは当たり前ではなく、そのまた逆も然り」
「えぇ、ですから私達は下手に隠すよりも秘密自体が存在している事は明かし、その上で肝心な部分だけは秘密のまま守り続けて来ました」
一般人の振りをして紛れるには蒼一とブリ雄は余りにもこの世界の人間社会に関する知識が不足している。
その状態で後になって嘘だった事がバレるくらいならばいっそ――そういう考えがあったのは誤魔化しようもない事実だった。
「しかしその秘密も何時まで秘密で押し通せるか。今はまだ謎多き二人組という扱いで済んでいますが、これ以上秘密が秘密のまま活動を続けて行けば、何れスルク支部だけでなく、ニーヴァの本部や他の会社から探りが入るのも時間の問題でしょう。現状御二人が起こした事件、達成した依頼に関する提出書類には御二人の曖昧な証言そのままになっていますから」
つまりアイゼンに対して秘密の存在を匂わせるような曖昧な証言は全てそのままニーヴァの本部へと送られてしまっているのだろう。
こんな事が何時までも続けば本部とてそんな不穏な存在を許容する事は出来ないし、他の会社もスルクで噂になっている二人に対してますます探りを入れて来る筈だ。
「そこで私の出番という訳です。御二人が秘密を隠せない問題点は社会の常識に疎い事が原因、それならば私がフィルターとなって御二人と社会の間を取り持ち、上手い事隠し通す事が出来る筈です」
「アイゼン様、貴方が今これから作ろうとしている秘密とは、まさか――」
「はい、私が提示する重大な秘密、それは今後御二人に関する書類の改竄、及び偽造です。勿論それはニーヴァ本部への書類に関する事だけではなく、他にも色々と協力出来る事があるならば力を貸しますし、そもそも改竄する前に私の段階で書類を握り潰す事だって出来ますよ」
「…………なるほど、アイゼン様が共有しようとする秘密も、そして私達が秘密を共有した際のメリットも理解出来ました。しかしそうなるとアイゼン様側のメリットは一体何なのですか?。現状では私達の秘密を知る事が出来るというだけで、アイゼン様にメリットが無いように見えるのですが」
「私のメリットは御二人の事情を詳細に知る事で、色々と陰で御二人に頼り易くなる事ですかね。御二人がかなりの実力者であるというのは理解しているつもりですが、現状の御二人の評価ではニーヴァの規定やらなんやらで依頼出来ない物が多いのですよ」
ニーヴァの規定、それは等級の問題もあるがニーヴァの運営に関わるような重要な依頼になると等級だけでなく信用度も必要になって来る。
その時点で秘密だらけの二人ではそんな重要な依頼は到底任せられないし、かといって今回の霧隠れの山の件のように"解決してくれるならもう誰でも良い"なんて状態になるまで放置するなんて以ての外だ。
そんな状態になっていた霧隠れの山の一件でさえ等級などの規定だけはしっかり守らされた事を考えると、案外ニーヴァも融通の利かないところがかなりあるようだった。
「それに秘密を共有する仲となれば支部長という立場とは関係なく個人的な依頼も出し易くなりますから」
「個人的な依頼、ですか?」
「はい、半分仕事と言っても良いかも知れませんが、他の会社の幹部の方々との顔繫ぎというか、関係維持の為に私も色々と苦労があるんですよ。贈り物とか色々と……」
それって所謂山吹色の御菓子とかそういう類の物ではとか、アイゼンにもしっかり人に言ってはいけない秘密があるじゃないかとか色々とブリ雄の脳裏を過ったものの、蒼一とブリ雄の抱える秘密と比べればとても小さく、この手の役職に就いた人間にとってはある種の公然の秘密のようなものなのだろう。
(とはいえ、仮に公然のものだったとしても秘密は秘密、か)
今回の提案の為にアイゼンがこうして数少ない己の秘密を打ち明けたというのならば、少なくとも一考もせず断るというのは礼儀に反するとブリ雄は考えた。
「……アイゼン様側のメリットに関しても分かりました。しかしここで直ぐに返事をするという訳にもいきません」
今回の事はブリ雄の秘密だけを明かせばそれでトントンという訳にはいかない。
そもそも蒼一の秘密が秘密のままでは例えアイゼンが協力的になったとしても、秘密が分からないままでは何をどう隠せば良いのか判断する事は出来ないし、ブリ雄の秘密の半分は蒼一の秘密と言っても過言ではないのだから必然的に蒼一の秘密も明かさなければならなかった。
「蒼一様と相談させてください。提案を受け入れるかどうかはそれからという事で」
やばい、文章量が増えすぎて毎日投稿じゃ追いつかなくなって来てる。




