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リボルバーの装填方式

ニーヴァで契約とアイゼンとの交渉を終えた二人は今、大通りを北に向かって歩いていた。

人の往来の多い道で前を向かず手元ばかりを見て歩く蒼一に、ブリ雄が注意を促す。


「蒼一様、歩きながらは危険ですよ」

「安心しろブリ雄、前は見えてないけど知覚はしっかり働いてるから人を避けるくらい余裕だ」

「実害云々の話では無く傍から見た時のマナーの話ですよ……そんなにずっと見てて楽しいですか?」


そう言ってブリ雄が蒼一の手元に視線を落とすと、そこにはギルドで受け取ったとある物品が握られていた。

それは長方形の水晶体で横幅は七センチ、縦は十六センチ、奥行き八ミリというサイズでよく見ると下側のところに何やらカードらしきものが刺さっており、そのカードの正体はニーヴァで貰ったニーヴァの所属である事を証明する為のカードだった。


「カードを挿し込むとそれに対応した画面が映るって、物はまるで違うけどなんだかPCエ●ジンを思い出すな……なんて翻訳される前に考えてたらPCエ●ジンって翻訳されてた可能性もあったのかな」

「その可能性は否定出来ませんね。一応蒼一様が理解出来る範囲で翻訳されるようですし、本当に一応ですが」


"所属"のような例もあったからだろう。

一応という言葉を念押しするように繰り返すブリ雄に、蒼一は手の中の水晶体を見つめながら言葉を返す。


「だからコイツは"ケータイ"なんて翻訳のされ方したのかもな」

「外観的には"スマホ"の方がシックリ来るのですがね」

「ガラケもスマホも携帯電話なんだからケータイで良いんだよ。世界観が壊れるとかそういうのは置いといて……」


今度会ったら固有名詞だけでも元に戻してくれるようお願いしてみるかと蒼一が思案している内に、蒼一とブリ雄は目的の場所に到着する。

それは武器屋であり、ニーヴァで金を受け取った二人は武器屋で武器を探しにやって来たのだ。

ただブリ雄の方は何やら当てがあるという事で今回購入するのは蒼一の武器だけなのだが、普通に考えると蒼一に武器の類は必要ないように思える。

バハムートを素体として作られた肉体はそれ自体が立派な武器であり、ただ殴るだけでも相手を粉微塵に粉砕する事が出来るのに何故蒼一は武器を求めたのか、その理由は至極単純で


「おぉぉ!見ろよブリ雄!どこぞの隻眼隻腕の剣士が振るってそうなこの馬鹿みたいにデカイ大剣!。こういうの担いで暴れ回ってみたいなぁ」


それは単なる男の浪漫だった。

素手で相手を殴り倒すより剣を使って戦ってみたいという蒼一の願望が一番の理由であり、一応素手だと加減が難しく折角の素材を台無しにする事が多いからという理由もあるのだが、そっちは殆どオマケで、割合で言えば九割九分が蒼一の浪漫である。


「ブリ雄は本当に良いのか?」

「えぇ、私は魔力の制御自体はそれなりに出来ていますし、先程も言いましたが新しい杖、正確にはその素材を手に入れる算段は付いてるのでここで購入しても直ぐに乗り換える事になってしまうでしょうし」

「そっか、じゃあ俺だけ選ばせて貰うが……うわ、この大剣滅茶苦茶高いな」


蒼一が欲しいと思った大剣だがその値段を見て思わず眉を顰めてしまう。


「このサイズですからね。純粋に材料費も馬鹿にはならないでしょうし、普通の設備ではサイズ感が違い過ぎて鍛える事も出来ないでしょうからね。鍛冶屋からの購入費、並びに輸送費等、そこら辺も値段に加味されているのでしょう」

「まぁどう考えても金床に乗るサイズじゃねぇしな」


大きさも値段も段違いの大剣、その値札を恨めしそうに睨みつつも、今は手が出ないと判断してもっと手頃な剣はないかと店内を見回す蒼一に視線にとある物が目に留まった。


「これって」


そう呟きながら蒼一はそれに手を伸ばすと、グリップ(・・・・)を握りトリガー(・・・・)に触れるように軽く指を掛ける。


「前にブリ雄が言ってた魔力を撃ち出す銃か」


蒼一の手に握られていたのは紛れもなく銃であり、特徴的な回転式シリンダーは持つそれは蒼一が元居た世界にあった回転式拳銃(リボルバー)に非常に似ていた。


「魔力を撃ち出すのになんでシリンダーが付いてるんだ?」


蒼一のその疑問に横に居たブリ雄が銃が置かれたコーナーの端にある棚を指差しながら説明する。


「魔力を撃ち出すのは間違いないですが、弾はちゃんと必要なのですよ。ほら、あちらの方に」


ブリ雄が指差す方に移動すると、棚の一部には弾丸の形に削り出されたアメシストのような色の水晶が値段毎に分けられた箱の中に乱雑に詰め込まれていた。


「これが弾か?」

「はい、モンスターの核を加工して作られた弾丸です。それを装填してトリガーを引けば弾丸に内包された魔力が砲身より放たれ、魔力を失った核が薬莢のように排出される形になります」

「なるほど」


直接魔力を注いで発射するイメージだった蒼一はその事に少々ガッカリしながらも、リアルな銃もそれはそれで有りかと手の中のリボルバーを弄る。


「あれ、これどうやってシリンダーを横に出すんだ?」

「蒼一様、そのリボルバーは固定式(ソリッドフレーム)ですよ」

「ソリッドフレーム?」

「シリンダーが固定されたタイプの事です。銃後部にあるローディングゲートから装填するんです」

「あーなんか聞いた事があるぞそれ。そういや昔興味本位リボルバーを調べた時に見た気が」


蒼一が忘れてしまったその知識をブリ雄は今引っ張り出しているのだろう。

記憶が朧げな蒼一にブリ雄がリボルバーについての説明を続ける。


「薬莢も一発ずつローディングゲートから取り出す必要がありますから再装填にも時間が掛かりますね」

「思い出した、確かそれってそこら辺が面倒な代わりに部品とかが単純で頑丈だから威力の高い弾を撃つのに良いとか」

「そうです、ちなみにこれ以外にも蒼一様がやろうとしていた振出式(スイングアウト)に、中折れ式(トップブレイク)のリボルバー、それにライフルのような他の種類だってありますよ」

「おぉぉぉぉ!!」


自分の前の前に並ぶ色々な種類の銃を前にテンションが爆上がりした蒼一は、周囲の目の事など忘れ興奮しながら色々な銃を物色した。

剣を買いに来た筈の二人だったが結局途中から剣の事など忘れ去り、武器屋の店主から他の客の迷惑になると怒鳴られるその時まで子供のようにはしゃいでいたのであった。

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