タイトル未定2026/10/12 20:26
大門は久しぶりに学校帰り、游太と肩を並べて歩いていた。
今日は、部活が休みの日だった。
突然游太が、大門に聞いてきた。
「大門君は、進路とか決めてる?」
「進路?漠然とだけど」
「もうじき、三者面談が始まるだろ。父さんに、サッカーの名門校に行きたい事を言ったんだ」
「游太君、サッカー命だもんね」
「もちろん、簡単に行けるとは思っていない。ただ、言ってみただけ。なのに、父さん本気にして怒りだしちゃって。最後は、ケンカになっちゃった」
「ケンカ!」
「大門君はお父さんと、進路の話をしたことがある?」
「ううん。一度もしたことがないよ」
「そっか」
「サッカーの名門校って、もしかして此処を離れて寮とかに入る?」
「できれば、そうなりたいけど無理だから、せめてサッカーが強い学校に行きたいなぁ」
……なんだか游太君が、遠くへ行ってしまう感じで、寂しいよ……。
「大門君は、夢とか希望とかある?」
「僕……特にないよ。普通に進学できれば、良いかな」
同じマンションに游太と帰った大門は、リビングに向かった。
台所では、マスターが夕飯を作っていた。
「ただいま」
「お帰り」
……良かった!いつもの七海に、戻っている……。
今朝、リビングのソファーで酔い潰れて眠っていたマスターを見ただけに、いつもと変わらないマスターを見た大門は、安堵のため息をそっともらした。
台所で料理を作っているマスターの所へ行き、大門はマスターの隣に立った。
「今日は、早く帰ってきたんだね」
「仕事は、休みました」
「そっか。それで今夜は七海が、夕飯を作っているんだ。何を、作っているの?」
「鮭を焼きました。もっと、ボリュームのある料理が良かったですか?」
大門は、首を横に振りながら言った。
「ううん。最後お茶漬けにして、食べたいな。ご飯、たくさんある?」
「ボクもそう思って、ご飯をたくさん炊きました」
マスターは、笑顔で言った。
マスターが料理を作っている間、大門はシャワーを浴びた。
シャワーを浴びて、ティーシャツと短パンに着替えた大門はリビングに向かった。
台所では、マスターが料理をお皿に盛り付けていた。
大門は、お茶碗とお箸を用意した。
テーブル席にマスターが作った料理が並び、マスターと大門はテーブル席に向き合って座った。
黙ったまま食べていたマスターと大門だったが、不意に大門が切り出した。
「もうじき、三者面談なんだ。日にちはまだ、決まっていないけど」
「そうなんですね。決まったら、教えてください」
「うん、わかった」
「大門は、行きたい高校とかあるんですか?」
「特にないけど……」
「けど?」
大門は思い切ったように、マスターに聞いた。
「もしも、僕が行きたい進路と七海が思っていた進路が違っていたら、七海は反対する?」
思ってもいなかった大門の言葉に、マスターは驚いて大門を見つめた。
「駄目だ!って、反対する?」
「……大門の人生ですよ。大門の思うようにすれば、良いじゃないですか。ボクは、大門の背中を押すだけです」
優しく言うマスターを、大門は黙ったまま見つめていた。
「そうですね。できたら、近くの高校に進学してほしいなぁ。突然、大門がいなくなったら淋しいから……あっ、これはボクのわがままです」
大門は笑顔なり、マスターはテーブル席を立った。
「そろそろ、お茶漬けにしませんか?」
マスターは、お湯を沸かしに台所に立った。
……游太君はお父さんとケンカしたって言っていたけど、七海は本当に怒鳴ったりする事が出来ないんだ。僕が突然いなくなったら、七海は淋しいんだ。七海と一緒にいる時間が好きだから、七海と離れるのは僕も淋しいな……。
台所に立っているマスターを見つめながら、大門は思っていた。




