タイトル未定2026/10/12 21:58
マスターは、看板の灯を消した。
店内は先ほどとかわり、静まり返っていた。
厨房で料理を作っていたたきこは、厨房の火を消し既に仕事を上がっていた。
流花は、モップで床の掃除をしていた。
「流花。今夜は、もう上がろう」
マスターの声で、流花は顔を上げた。
いつの間にかマスターは、私服に着替えていた。
流花が握りしめていたモップをマスターは取り上げた。
あまり見せたことがない少し強引なマスターに、流花は驚きながら私服に着替えるため奥の部屋に入って行った。
私服に着替えた流花がホールに戻ると、マスターはカウンターに寄りかかって携帯を見ていた。
流花に気が付いたマスターは、流花を見るなり含み笑いをした。
「な……何?」
不機嫌な顔をして、流花はマスターを見つめた。
仕事を早くきり上げた流花は、アパートに戻りスーツから私服に着替えて、bar「ジェシカ」のバイトに向かった。
半袖のティーシャツに、フード付きのパーカーをはおい、ジーパンにスニーカーを履いた、いつものスタイルだった。
自分の格好に気が付いた流花は、含み笑いをしたマスターに言い返した。
「またその服装!って、笑いたいんですか?次からは、過激なファッションをします」
「それは、楽しみです。でも、今の服装が流花らしくて、ボクは好きです」
言いながらマスターは、流花に近寄り流花を抱き寄せると、流花の頬にそっとキスをして流花の手のひらに、自分の手を重ねた。
流花の手のひらには、カードのような物が握られていた。
流花はそのカードのような物を、両手で持った。
「これって……免許証……マスター!運転免許を取ったんですか?」
「流花が一級建築士を目指している時、ボクは自動車学校に通っていました。本当はすぐにでも言いたかったけど、この日の為に我慢しました」
流花は免許証を、マスターに返した。
「マスターの隣に、乗せてくださいね」
「もちろん!ボクの隣に乗るのは、流花です。明日、車を見に行きませんか?」
流花は笑顔で、大きく頷いた。
「じゃあ、行きますか。大門が、待っています」
流花はマスターに抱きつくように、マスターの腕を持った。




