タイトル未定2026/10/12 20:39
週末の、華やかな夜の繁華街。
bar「ジェシカ」に流花の親友、水田若菜と若菜の父親が経営をする、水田菓子メーカーの営業部の馬場とちはるの三人が、店内のテーブル席を陣取っていた。
流花が若菜に『店においでよ』とラインすると、若菜はちはるを誘い、ちはるは馬場を連れてきた。
いつものメンバーが揃い、店内は賑やかだった。
それに加え、常連客の自称流花のファンのボスがカウンター席に座り、『店内貸し切り』の札でも掲げようか……と、マスターが思うほどだった。
ビールを飲んだボスはカウンターの中にいる、マスターに言った。
「いつ来ても店が閉まっているからマスターや流花ちゃんに、何かあったのか心配したよ」
「心配かけて、すみません。忙しくて、店を開けれませんでした」
「なら、良いけど。身体には、気をつけてくれよ」
マスターは静かに微笑み、空になったボスのグラスに、ビールを注いだ。
テーブル席では、流花がちはる達がオーダーした飲み物を出していた。
それぞれオーダーした飲み物のグラスを片手に持ち乾杯をした後、ちはるが切り出した。
「このメンツで集まるのって、久々だね」
ちはるの言葉に、流花が聞いてきた。
「今夜は、北神さんがいないんですね」
北神亮……『とおる』と言う男名だが、水田菓子メーカーの、海岸出張の経歴を持つ、ベテラン女性秘書。
ビールを飲んだちはるが、流花に言った。
「シロのことだから、気がついていると思うけど……」
ちはるは、流花をじっと見つめた。
「あの頭でっかちの秘書が、マスターに惚れている」
「それは……わかります」
以前から、亮の気持ちに気が付いていた流花は、遠慮がちに言った。
「真面目な顔に似合わず、執着心が強いよ。あの秘書は」
重い空気を変えるように、流花は言った。
「お料理のご注文は、ありますか?」
いつまでも愚痴っているちはるに、うんざりしていた馬場はメニュー表を掴み、流花の言葉に救われた思いで言った。
「もちろん!ピザでしょ。後、おっソーセージの盛り合わせや、ポテトの盛り合わせってっのもあるじゃん。その三つね」
馬場のオーダーに、若菜は呆れて言った。
「馬場さん、カロリー高すぎ!サラダとか、ないの?」
「サラダ?ある、ある。流花ちゃん、サラダとデザートも!」
「デザートは、いつ頃お持ちしますか?」
「一緒で!」
力強く言う馬場に、はほほ笑んだ流花はイヤフォンマイクで、厨房にいる料理人のたきこにオーダーした。
オーダーを終えた流花は、一礼してカウンターに向かった。
流花がいなくなると、若菜が馬場に聞いた。
「馬場さんって、甘い物が好きなんですか?」
「もぉ〜大好きっ!あっ、若菜ちゃんにバレちゃった」
「自爆してるじゃない」
冷めた目で馬場を見ながらちはるは言い、若菜は声を上げて笑いながら馬場に聞いた。
「凄い量をオーダーしたけど、大丈夫ですか?」
「任せなさい」
馬場は言いながら、片腕を曲げて力拳を作った。




