表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
王子様系女子達が僕の家に入り浸って楽しんでいる秘密のこと  作者: ヤマモトユウスケ@#壊れた地球の歩き方 発売中!


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/33

第29話 極厚カツ丼と体育祭(8)


 ゴール地点担当の実行委員は、一年生の女子だった。

 玲音が渡したお題の書かれた紙と、玲音の顔と、僕の顔を順繰りに何度も確認している。初めての体育祭、しかも入学して一ヶ月だ。ミスしたら大変だから、緊張しているのかな?

 それにしても時間がかかっているな、と思っていたら、玲音が人差し指を唇の前で立てた。


「お題は、同じクラスの男子――だから、問題ないでしょ?」


 ウィンク付きで、そう言う。

 実行委員の女子は、赤面して「はい……」と呟いた。

 こんなときでもイケメンムーブとは、女子を誑かすのが上手なやつである。


「あ、えと、一位なので、A組連合に50点です……」

「ありがとう。……やったね、姫宮君! 二人で勝ち取った50点だよ」

「僕は運ばれただけだけどね……」


 顔を両手で覆う。めちゃくちゃ恥ずかしかった。

 しかも、競技が終わるまで、一位の旗に並んで待機する必要があるらしい。全校生徒が、僕らを目撃したことだろう。うう……早く終わんないかな。

 二位でゴールしたB組の女子が「40点か、よし」と汗だくの数学教師の腕を掴んだままガッツポーズをする。

 三位が30点、四位が20点、五位が10点……と得点する仕組みだ。

 幸い、競技は予定通り滞りなく進み、羞恥の時間はすぐに終わった。が、クラスの観客席に戻った僕は、男子からは盛大にいじられ、女子からは猛烈に妬まれるのであった。


 ●


 さて、気持ちを切り替えて、綱引きの時間である。

 うん、もう切り替えました。切り替えたったら切り替えた。


 自分なりに一所懸命、綱を引っ張ったけれど、僕らのチームはB組に負けてしまった。とはいえ、C組には勝てたから、及第点だろう。

 玲音が声を張り上げて音頭を取っていたので、A組連合チームの士気は高かった。でも、B組連合は全員がきっちりと揃ったフォームで綱を引いていて、純粋に練度の差で負けたと僕の目から見ても明らかだった。


「A組には白鷺が、C組には藤堂がいるからな。個人差の出にくい団体競技の練習を中心にやってたんだろ」


 と、近くにいた三年生が負け惜しみを呟いていた。


 ともあれ、これで僕の出番は終わり。

 あとは応援するだけでいい。借り物競走みたいに、巻き込まれることもないだろうしね。

 予想通り、短距離走では薫が玲音に勝って、盛大なドヤ顔でピースサインをしていた。こういう振る舞いをしても嫌味っぽくならないのが、薫の良いところだ。

 玲音は悔しそうに拍手をしていて、会場全体が「いい勝負だったねー」とか言いながら、柔らかい雰囲気だった。


 ……でも、このあたりで僕らは違和感を持ち始めていた。

 きっとC組も同じように感じていただろう。

 だって、玲音と薫が圧倒的に勝っているはずなのに――B組との点差が広がらない(・・・・・・・・)のだ。

 一進一退。

 総合得点は僅差のまま、ずるずると競技が進んでいく。


 競技に参加する玲音はいつも笑顔だったけれど、観客席に戻ると、時折、難しい顔で得点表を見ていた。

 最終競技の騎馬戦も、玲音が率いる馬と、薫の率いる馬の一騎打ちだった。もはや見慣れた、白熱した勝負を繰り広げ――最後は玲音が勝った。

 わあわあ、と競技場が歓声に包まれている。

 玲音と薫の勝負は、玲音の勝ち越し。でも……。


 観客席に戻った玲音は得点表を見て、小さく「一輝め」と呟き、苦笑した。


 まったくの予想外。そして、想定外。

 B組が、二位のA組と20点というごくわずかな差で優勝したのである。



よろしければ、


・ブクマ

・感想

・下の☆☆☆☆☆で評価

・著者フォロー

・レビュー

・Xで読了ツイート


等々をしていただけると励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ