チート野郎!
キサラは、綺麗とか凛とした美しさとか、氷の微笑とかの表現をされる「美少女」です。
「……はい?」
「何でも、魔王封印は、数年前に成功したらしいけど、最近、魔王復活を企む存在が居るみたいで、本来なら、魔王を封印した者にやって貰う筈だったらしいのよ。
でも、本人の意思を尊重して頼めない為に、私にお鉢が廻ったみたい。
因みに、何故、異世界の事で地獄の鬼である私になったかと言うとね、この世界の創造神は、最初から救援を日本にする事は決めていたらしいけど、創造神は創造神の方で色々と有ったみたいで、そんな時に、使いの女神が私の天国への留学願いが目に止まったみたいで、総合的な強さと適応力を持っている私が選ばれた訳よ。」
「……頭痛がするが分かった。ちょっと確認をする。
……マジかよ! ……一言ぐらい……確かに言ったが……分かった。」
「誰と話していたの?」
「……この世界の創造神。」
「チート野郎!」
「何故、その言葉を知っている!」
「……ソーマ。幾らなんでも、地獄の文明文化が、江戸時代で止まっていると思ってないわよね!」
「……そうだな。何か済まない。」
「だから、悪即斬、黒の剣士、ビリビリ、大口ゴリラ。」
「……それは!?」
「当然。その方面も、ね。それでソーマは?」
「分かった。まあ、良くある異世界転生で、黒い会社からの帰り道での陸橋で自殺しようとした、多分高校生ぐらいの女の子を助けようとして、結果、代わりに俺が落ちて……だな。」
「……これまた、運命の悪戯ね。」
「……俺もそう思うよ。因みに、その時の女の子は、今では明るくなって元気に過ごしているみたいだ。」
「さて、ソーマ。そういう訳だから、暫くは『腐れ縁』になったわね。」
「……分かった。年齢ではなく、経験者という意味で、キサラ姫をエスコートさせて頂きます。」
「ええ、よろしくね、ソーマ。」
……と、互いの立場を確認した所で、ソーマと何件かの店を廻り必要な物を購入したわ。
そして、時間が来たから冒険者ギルドに行ったのだけど、居たのは前世ではよく見掛けた空気を醸し出す連中だった。
「ソーマとキサラだな?」
「ああ。そっちは?」
「依頼を受けたBランク冒険者チームの『黒牙』だ。」
「それじゃあ、案内を頼む。」
「分かった。」
移動そのものは順調に進んでいるけど、黒牙の連中の「色」に狂った視線を我慢するのも限界が近いわね。
……連中は、私の事をどう聞いたのかしら?
ソーマの女? ソーマが付き添いをしているだけの女?
……う~ん。
書物に出てくるテンプレだと、私としては処理が楽だから、動くのならオーガ共の鏖殺が済んだ後に行動に移して欲しい所よね。
私の希望が天に届いたのか、何事も無く私達はオーガの集落に到着したのだった。
「オレ達の依頼は、これで半分終わった。此処で待っているから済んだら言ってくれ。」
「分かった。」
「それと、女はオレ達が見ててやるよ。」
「その必要は無いわ。」
「ああ、そうだな。」
「何故だ?」
「確かに、依頼を受けたのはソーマだけど、討伐を行うのは私だからよ。」
「……無茶だ!」
「そうだ!」
「死にてえのか!」
「心配は無用よ。行きましょう、ソーマ。」
「ああ。」
私達は、無駄に吠えている連中を無視してオーガの集落に向かった。
命が惜しく巻き込まれを恐れたのか、私達を視認出来る所から少し離れたみたいね。
「ソーマ。」
「何だ、キサラ。」
「ソーマには、私の『力』の一端を見せようと思って。」
「……何をするつもりだ?」
「まあ、見てて。……召喚! 前鬼! 後鬼!」
「……へ!?」
「兄上や姉上が、私が異世界に行くと知ったら、色々と戴いたのよ。」
「「キサラ姫。」」
「命令よ。前鬼は、逃げ出した者を殺せ。後鬼は、私への背後からの襲撃の足止めよ。」
「分かったぜ、キサラ姫。」
「畏まりました、キサラ姫。」
「……」
「行きましょう、ソーマ。」
「あ、ああ。」
「それと、殺す時は、一撃必殺のみよ。」
「「はっ!」」
……そして、私の蹂躙の時間が始まった。
「あはははははは! どうしたの? 抵抗しないと殺されるだけよ!」
「……Gaaaa……」
雑魚からジェネラルオーガに、ブルーオーガまで、全てのオーガを斬殺して、召喚した前鬼と後鬼を返還して、事後処理をしていると、何故か、黒牙の連中が来た。
「終わったみてぇだな……ひぃ!」
「どうしたの?」
「ち、血が!」
「ん? ああ! 洗浄。」
「キサラ、こっちは終わったぞ。」
「ええ、ありがとう。」
「あ、あんた、血が……」
「ああ。俺は見学していたからな。」
ソーマには、捕らわれた人や遺留品が無いかを見て貰っていたのだけど、無かったみたいね。
……それにしても、仮にもBランク冒険者チームの割には、えらくビビっていたわね。
モンスター討伐で全身の血化粧なんて普通でしょうに。
こうして、私達の事後処理が終わって帰り、冒険者ギルドに依頼完了の報告等も終わり、報酬も貰った事だし、一応義理で黒牙にも酒の席を誘ったが断られたわ。
依頼完了と休暇を兼ねて3日間、のんびりしてソーマと一緒に冒険者ギルドに行くと、私達が入って周りが「私」を確認した瞬間に、ギルド内を静寂が支配した。
そして、聞こえてくる周りからの「鬼姫」という名称が聞こえていたわ。
暖かい応援メッセージと星の加点をお願いします。
キサラは、嬉々として返り血を浴びながら、オーガ共を斬殺していきました。