……冒険者は、実力主義だ。
A会社が駄目なら、B会社へ。
「おい、ガキ!」
「……それは、私の事かしら?」
「お前以外、誰が居るんだ?」
「まだ100年も生きておらぬ者が……」
「ああぁ!」
「オムツが取れてから来なさい。」
「……が、ガキがぁー!」
……抜刀を確認した。
「殺してやるぅあー!」
「……ふ。」
「がぁ……」
バキッ! ガッ! ドスッ! ガン! ゴッボギッ!
「……おい。誰か止めに行けよ。」
「無茶言うな。」
「そうだ。あんなのを止めれる訳が無いだろ!」
「……あいつ、既に意識が無いのに、まだ膝すらも地に突いていないんだぜ。」
「あのガ、いや、あの女性は誰だ?」
7分程と短いけど、まあ、待たせている事だし、罰はこれぐらいで良いかな。
そして、私は渡し賃の銅貨6枚残して全て剥ぎ取った。
「待たせてごめんなさい。」
「……は、はい。それでは、2階の応接室にご案内いたしますので、付いて来てください。」
「ソーマから聞いたけど、冒険者ギルドは、不要になった装備品を買い取ってくれるらしいわね。」
「はい。」
「買取りをお願いするわ。」
そう言って、私は先程のガキと、森の中で断罪した盗賊共から回収した装備品の買い取りをお願いした。
……そして、異空間収納から出した時、受付嬢や周りの者達が驚いていたのは、私自身も驚いたわ。
やっぱり、大勢の前では控えた方が良いみたいね。
買取りをお願いした後、私とソーマは2階の応接室に案内されると、既に部屋には1人の男性が居た。
「待っていたよ。私が、この冒険者ギルドのギルドマスターのギッソルだ。」
「先程、冒険者登録をしたキサラよ。」
「ソーマ。」
「……ソーマ!?」
「何だ?」
「お前は、冒険者ランクAの竜殺しのソーマか!」
「……ソーマ、そんな二つ名を持っていたの?」
「……まあな。」
「しかし、聞いてはいたが、こんなに『若い』とはな。」
「……冒険者は、実力主義だ。」
「確かにな。……さて、本題に入ろう。」
「水晶球だろ?」
「正解だ。キリナ君、割ったのは、ソーマではなく、こちらのお嬢さ「キサラよ。」、キサラが水晶球を割ったで間違いないな?」
「はい。正確には、「割れた」ではなく、「砕けた」ではなく、「粉砕」が正しい表現です。」
「……分かった。キサラ、君は何者だ?」
「答える必要も義理義務も無いわね。その辺りは問わないのが、冒険者の流儀じゃないの?」
「……そうだったな。以上だ、と言いたい所だが、ソーマが居るのなら、緊急で頼みたい事が有る。」
「……どうぞ。」
ソーマが先を促すと、ギルドマスターは1枚の紙を出したのだけど、内容は希少種や上位種を含むオーガの集落の殲滅依頼書だった。
「俺は高いぞ。」
「分かっている。正規の報酬金貨50枚に、ギルドから成功報酬として、更に金貨30枚出そう。」
「安い。」
「……分かった。更に金貨20枚出す。これ以上は無理なんだ、分かってくれ。」
「……まあ良いだろう。」
「ソーマ、時間は有限よ。行くわよ。」
「……キサラ、行く気か?」
「当たり前でしょう。私は、当分ソーマから離れる気は無いし、オーガ程試し斬りに丁度良い相手は居ないから。」
領主館に居た時に暇だったから、様々な書物を読み、周りからも情報収集をしたから、知識は一般人並みになったと思う。
「……しかしな……」
「忘れたの、盗賊を始末した乱闘戦と、ソーマに見せた『あの一撃』を。」
「……そうだったな。」
「ま、待て。案内兼露払いにBランク冒険者チームの『黒牙』を用意する。連絡を入れておくから、2時間後にギルドに来てくれ。」
「分かった。後、キサラと話がしたい。部屋を用意して欲しいが良いか?」
「それは構わない。」
こうして、私とソーマは、1階の一般用応接室に案内されて中に入ると、ソーマが何かの魔法を発動した。
「これで、盗み聞きは出来なくなった。」
「分かったわ。」
「キサラ、お前は何者だ?」
「ソーマ、それを知ると私から離れなくなるわよ?」
「離す気は無いんだろ?」
「バレた?」
「俺の居場所が分かる『目印』も異常だが、俺が本気を出しても余裕で捕まってしまったからな。運が無いと諦めたよ。」
「そう。まあ、私も降って沸いた初めての監視が無い自由だったから、今も浮わついていると言えるわね。」
「それで、誰だ?」
「私も、特殊ではあるけど、転生者と言えるわ。」
「どう、違うんだ?」
「ソーマ、日本で『鬼』が沢山居る所は何処だと思う?」
「はあ? 何で、そこに『鬼』が出るんだ?」
「良いから。」
「……地獄か?」
「正解。……もう分かるわよね。言っておくけど、異世界転生が実在する以上は、それ以外の『空想』を否定しないでよ!」
「……キサラは地獄の鬼か!」
「大正解! 因みに、私の父上は……」
「閻魔大王……だろ。」
「……良く分かったわね。」
「正直、当たって欲しくなかったがな。それで、そのキサラ姫が、異世界転生までして、何をするつもりだ?」
「……他言無用よ?」
「分かった。」
「嘘ついたら、……そうね『針千本』どころか、本物の地獄巡りを300年程、体験して貰うわね。」
「……絶っっ対に喋らない!」
「約束よ。実はね、この世界の創造神の使いと言う女神が来て、この世界を救って欲しいと言われたの。」
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