鬼姫キサラ、爆誕!
キサラは、異世界で「生」を受けたお陰で、多少は丸くなっています。
「アレが?」
「マジかよ。」
「黒牙が言っていた……」
「「「「「「「アレが『鬼姫』か!!!」」」」」」」
まあ、事実だから別に良いけど、凄い畏怖の視線ね。
「キサラ様にソーマ様、ギルドマスターがお呼びです。」
「分かったわ。」
「ああ、分かった。」
私達を視認した受付嬢は、予め言われていた指示に従い2階の応接室に案内され5分程待っていると、ギルドマスターが入って来た。
「待たせたな。早速だが確認したい。依頼したオーガの集落を殲滅したのはソーマではなく、其方のキサラだな?」
「ええ。」
「俺は見てただけだ。」
「……そうか。分かった。キサラ、ギルドカードを出してくれないか?」
私は疑問に思いながらもギルドカードを出した。
「キリナ君。キサラのギルドカードのランクを『D』に変えてきてくれ。」
「分かりました。」
「良いの?」
「構わない。ギルドマスター権限で、Dランクまでなら自由に出来る。」
「分かったわ。」
「しかし、答えて欲しいわけじゃないが、本当に何者なんだと思うぞ。」
「……そうね。私は確かに冒険者になって1週間も経っていないけど、何も、冒険者になる前日にこの世に生まれた訳じゃない、という事ね。」
「……確かにそうだな。それで、今後の予定は?」
「まあ、いずれは都市を出て世界を廻って行こうと思っているわ。」
「この都市に残る、という選択肢は?」
「無いわ。」
「ああ、無いな。」
応接室から出た私達は、ギルドに併設されている酒場で、フルーツジュースを飲みながら今後の具体的な方針を話し合った。
「とりあえず、王都を目指すで良いかしら?」
「ああ。テンプレ的にはそうだよな。」
「それで良いのなら、先ずは王都を目指しまょう。」
「異論は無いよ。」
こうしてあっさりと今後の方針が決まった所で、私達は乗り合い馬車を利用して王都を目指す事にした。
……やっぱりテンプレは外せないわ。
いや、私だけなら1日も有れば、王都に到着出来る手段を幾つか有るけど、折角の異世界を満喫しないとね。
多分だけど、ソーマも何らかの手段を持っているだろうけど、私に合わせているのは、同じ同好の志だからだろうと思うわ。
それと、大量の薬草を出して、ギルドの受付嬢を驚かすテンプレをやりたかったけど、それは此処では諦めよう。
さて、乗り合い馬車に乗って同乗者から色々と世間話をしながら情報収集をしていると、面白い話を聞く事が出来たわ。
この乗り合い馬車を利用するのなら、必ず通過点となる都市が有るのだけど、近々オークションが開催されるみたい。
ソーマに尋ねると参加するだけなら可能と答えたけど、理由は「俺は女奴隷を買わないからな!」という返答が来たわ。
どうやら、既に屋敷持ちのハーレムを抱えているみたいで、それ相応の理由が無い限りは女奴隷を買わないと決めていると、ソーマは答えたわ。
まあ、私も今生をソーマと添い遂げようとは思っていないから別に良いけど、「その時」までには生きていけるだけの知識を覚えておく必要があるわね。
私達は、道中に遭遇したゴブリン等のモンスターや盗賊を討伐しながら通過点の都市以外で最も大きい街「アレハイマ」に到着したわ。
此処で最低でも3日の滞在予定よ。
次に乗る予定の乗り合い馬車の出発が3日後だから。
そこで、私達は建前は「義」で本音は軍資金稼ぎが目的で、道中に遭遇した盗賊のアジトに行って貯めたお宝を戴く事にしたわ。
勿論、予め風呂付き宿屋に部屋を取ってあるから、安心してアジトに向かった。
……書物通りの対応した盗賊に拍手を送ったわ。
まあ、拍手する度に盗賊の首が落ちていくのはご愛嬌。
そして、手に入ったお宝をソーマと山分けして戻り、その日は部屋でのんびりしり、泡風呂とかで遊んだりしたわ。
……当然、部屋は別よ。
翌日、冒険者ギルドに行くとギルド内は静かで受付嬢に理由を聞くと、どうやらワイバーンの群れが近くに居るみたいで、その対応に苦慮しているみたいね。
何でも、討伐出来る高ランク冒険者が、運悪く護衛依頼等で不在みたい。
そんな中……
「ソーマ、どうする?」
「……ソーマですって!」
私達の対応をしていた受付嬢が叫んだ。
「もしや、Aランク冒険者の『竜殺し』のソーマ様ですか!」
「あ、ああ。」
「少々、お待ちください!」
受付嬢がそう言うと、奥に駆けて行ったわ。
「キサラ、君も竜殺しになるか?」
ソーマが、何故か疲れた顔で言ったわ。
「……! テンプレね!」
「そういう事になると思うよ。」
ソーマの予想は当たり、私達はギルドマスターからワイバーン討伐の依頼を受けて、現場に向かっているわ。
そして、到着したわ。
「ソーマ。先輩として何か助言は有るかしら?」
「特に無いかな。」
「それなら、見てなさい。」
「ああ。」
そして、私はワイバーンの群れに単身で突っ込み、密かに練習していた魔法を放つ。
「範囲睡眠魔法!」
私の魔法で全てのワイバーンは深い眠りに堕ちた所で、同じく練習していた魔法を放つ。
「範囲回復魔法!」
「……え?」
私は、ソーマの疑問の声を無視してワイバーンの体表を調べる。
「……良し。小さな傷も消えたみたいね。」
そして、私の得意な鬼術を発動する。
「鬼術『氷獄牢』!」
私の鬼術に因って、全てのワイバーンが瞬間凍結したわ。
「……ふう。」
「……キサラ、説明を頼む。」
「分かったわ、ソーマ。モンスターを高額売買する為の方法で討伐したのよ。」
「……はい?」
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