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その乙女、機動要塞 ~転生女王は超文明で滅びゆく王国を救う~  作者: 星乃渚(旧:鈴片ひかり)


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ガーディアン

ここまで読んでいただきありがとうございます。

本作は「女王による国家運営」と「SF超文明」を組み合わせた戦記ファンタジーです。

内政、外交、巨大兵器、ロボット、戦争などがお好きな方に楽しんでいただければ幸いです。


どうぞよろしくお願いいたします。

 ◇



「ぐへへへ、まさか王国の旧地下水路の奥に王家の隠し金庫があるなんて誰も知らないだろうぜ」


 ミゲルがランタンを掲げながら水路脇の歩道をスタスタと歩いていく。

「なあバルト、ここには魔物っているのかな?」

「ロッコは心配症だな~、今まで出てきてないじゃないかあ。どうです兄貴?」


「いやあもし魔物が出ても俺っちがいるから大丈夫。泥船に乗った気持ちでどっしり構えておけ~がははは!」

「さすが兄貴! ってでも泥船じゃ沈みそうですぜ?」


「そうだったか?」


「でも大丈夫だよだって、元勇者のガルド兄貴がいれば百人力だって」

「そろそろ話で聞いた抜け道ですぜ」


 使われていない旧地下水道ではあるが、流れている水は元々飲料水として古代の魔導装置で浄化されているため嫌なにおいはしない。

 レンガ造りではあるが、経年劣化は感じないほどに構造は頑丈で魔法の照明が取り付けられているもののやはり薄暗い。

 ミゲルがランタンで照らしながら隠し扉のスイッチをは探し始める。


「……」

「「……」」


「おいまだかミゲル」

「も、もうちょいのはずですぜ……」


 こうして既に2時間。

「だあああ! これってガセなんじゃねえのか?」

「兄貴もうちょい探しましょうよ。奥の行き止まりの壁に隠し部屋のスイッチがあるって確かに聞いたんすよ」


「ふわぁ~ お腹が減ってきたよぉ」

「バルト、もうちょっと我慢だ我慢、ミゲルがんばれよ! 一攫千金! 金入ったら、入ったら!」

「羽馬亭の焼肉定食10回おかわりしたいんだなぁ~」

「あっしは、ミスリル製の短剣が欲しいでさ」

「お、俺はどうしよっかなぁ~やっぱりコロンちゃんにプレゼントしようっかな~」 

「あああずるいっす! あっしもコロンちゃんに!」

「そうだったコロンちゃんに」


「まったくてめえらはガキなんだよ、金入ったら金入ったらなあ!」

「入ったら?」

「……酒! 女! 博打! に決まってんだろ! がははは!」


 そうやってガルドが壁に寄りかかった時、偶然が起きた。

 彼が背負っている盾が何かに触れて、 カチリ……


 ズズズズ……


「なんだこの音!?」

 ミゲルが周囲を確認すると音も無く壁がすーっと消えていく。


「こんな仕掛け初めて見るっす」


「金だ金! いいねいいね! いくぞ」

「「「あいあいさー!」」」


 どんな金銀財宝が眠っているのかと期待に胸を膨らませて出現した入り口から中に入ると、そこは……


「なんじゃこりゃ? 城の地下にこんなだだっぴろい空間があったのかよ」


「すごいんだなぁ」

「うおー」

「なんでげしょ?」


 やたら高い天井と見たこともないような材質で出来ている壁。

 そこはアーチ状の通路が奥まで伸びているようで、ランタンの明かりだけでは広さが確認できなかった。


「コンティニュアルライト」


 ガルドがすーっと呪文を唱えると、それは天井付近まで光球が上昇し全体像を照らしていく。


「兄貴すげえさすが勇者!」

「おうおうもっと褒めろや、いくぞ野郎どもお宝がお姉ちゃんが待ってるぜえ」

「いえーい」


 緩やかな坂道を下っていくガルドと3バカだったが、しばらく降りたところでさらに広いホールへと行き当たる。

「ひっろーいや」

「うわあお城が入りそうなほどだなぁ」

「う~んこれってもしかしてダンジョンなんすかね」


「ミゲルの見立ては正しいかもしれねえが、なんか違和感があるぜ。それよりお宝どこだよ」

「お宝お宝」

「「「お宝お宝お宝お宝……」」」


 継ぎ目のない曲線的な壁が広がるホールに彼らの声だけが反響していくが、その広さは少々違和感を覚えるほどには広大だった。

 東京ドーム5,6個分かというレベルであり、探し回る4人にも疲労が見え始める。


「はぁはぁ、お前らちょっと待てなんでこんなに広いんだよ」

「そりゃお宝がざっくざくだからですよきっと!」

「ロッコは楽観主義なんすよ、何かを隠してるんじゃないすかね」


「ぉあああ! あ、あったあったあああああ! 宝箱だあああああ!」


「「「え?」」」


 それは唐突に壁際の床に置かれていた。

「これ宝箱っていうか、金属製の箱じゃない?」 

「罠の確認をしてくれミゲル」

 ガルドの指示でミゲルは周囲を確認しているが首を振る。

「罠感知のスキルには反応はありませんぜ?」


「よし開けてみるか…」

「「「からっぽだ」」」


「ここまで来てからっぽかよ! てあら? 何か底にスイッチがあるぞ」


「兄貴それってやばいんじゃ?」


「は? もう推しちまったよ」

「なーんださすが兄貴だ」


 キュイーン……ギリギリガガガガガ、ズズズズ


「ありゃなんか音が聴こえるけど?」

「もしかしてこれが隠し扉のスイッチなんじゃねえか? お宝か!?」


「「「お宝~! おったから♪ おったから♪ おったから♪」」」


 3バカは既にお宝ゲットしたかのよに肩を組んで喜んでいる。


 ガゴン ガゴン


「あれ?」

「あれ?」

「あれ?」

「なんだぁ?」

「「「ぎゃああああああ! く、クモだあああああああ!」」」


 そこには複数の脚を持つ大型の何かがいた。全高は4mほど。

 楕円形の頭か胴体が見えるが継ぎ目が無数にある卵のような形状。

 しかも黒鉄色しており、いくつの赤い光が線状に周囲に放たれていた。


「に、逃げろおおおおおおおお!」

「「「ひいいいいいいいい!」」」


 それはガーディアンだった。この遺跡を守るために、信じられないほど長い年月ここで待っていた存在。

 大型の蜘蛛タイプの魔物とガルドたち、いやリシュメア王国の国民たちは思うだろう。


 だがその形状はどうみても生物ではなく、機械。

 複数の脚には金属製の関節があり、未知のシリンダーが未だに稼働している。


 金属とも石とも思えないような材質で傷一つないが、降り積もった埃やコケのせいで斑状になった装甲が不気味さをさらに増幅していた。

 ガーディアンはその継ぎ目から赤いこぶし大のレンズが飛び出すと、準備動作もなく何かを発射した。

 崩れた地下水路の壁から逃げ込もうとした3人の近くに命中し、石レンガが一瞬で真っ赤にどろどろに溶けて穴が開く。


「ひいいいいいやああああああ!」 

「「「ぎゃあああああああああ!」」」


 ガルドと3バカは必死に逃げた。

 ガーディアンは水しぶきを上げながら地下水路を追跡してくる。

 彼等は何も考える余裕もなく、ただ逃げるというその一点に全ての体力を使っていたのだろう。


「そこから上に!」

 ミゲルが先行しながら水路の横道から階段を駆け上がる。


 狭い通路なのでガーディアンは壁にぶちあたるもそれ以上先に進めずに、突進を繰り返しているようだった。


「お、おい、早く地上にあがるぞ!」

「ひいいい! ロッコいそげえ!」


 ガルドと3人が悲鳴を上げながら出た場所は、王都リシュタール中央広場にある噴水付近のマンホールだった。


「はあはぁはぁ! な、なんだってんだよありゃあああ!」

「兄貴みんな無事みたいです!」

「こ、こわかったんだなぁ ふぅ~」

「な、なんとか逃げきれましたぜ」


「まったく一攫千金がぱあじゃねえか! こうなったらどこかで一杯やってから帰ろう……!? なんだこの振動?」


 リシュタールの空を赤い光線が貫いた。


 さきほどまでガルドたちがいた石畳が真っ赤に溶解しそこからあのガーディアンが溶けた石畳であったもののをその身体に浴びながら這い出てきたのだ。


「なっ! こ、こいつ!」

 4人が立ち尽くす中、はっとして3人の頭をぶっ叩いて正気を取り戻させるガルド。


「おいてめえら! 早く住民を避難させろ! 俺が時間を稼ぐ!」

 そう怒鳴ったガルドは背中の盾と腰の剣を引き抜くと、ちょうど彼をターゲットにしたらしい動きをしたガーディアンへと突進していく。


「兄貴ぃ!」

「早く、避難させないと!」

「おう、そうだな! 危ないですよ! 早く避難してえええええええ!」


 リシュタールの民は轟音を聞いた時点で行動に移していた。

 3バカやガルドは知らないだろうが、このリシュタールの民は特に、ユナ女王の命令で定期的に避難訓練が課されており民もユナの言うことならと比較的真面目に避難訓練に参加しているのだ。


 なので意味不明な轟音が聴こえた時点で、それっとみんなが避難を開始しているため蜘蛛の子よりもさーっと綺麗に大声も上げずに避難を進めてしまっている。


 帝国軍の襲来や巨大トロールの襲撃などがあり、民の意識は高い。


 それでも放たれる赤い光線が噴水を破壊し、近くの商店の二階を切断炎上させていく。


「フォースシールド! プロテクション! マジックバリア!」


 支援魔法を重ね掛けして切りかかるガルド。

 ガーディアンの削岩機にも似た足、アンカー部が串刺しにしようとガルドを襲う。

 間一髪盾で弾くも、その威力に腕が痺れて思わず呻き声をあげてしまう。


「おっさんてのはな! 動けば加齢臭! 邪魔くさい! 老害と呼ばれて居場所がねえんだよ!」

 ガルドの一撃はガーディアンの脚関節を狙うものの、ガキンと刃が跳ね返される。

「くそっ! それでもな! くじけず毎日がんばって生きてんだよ!」


 くるりと跳躍し、頭か腹部のような場所を切りかかるも、再び弾き返された。


「くそっ! こいつはミスリル製の魔剣だぞ! それをやすやすと!ってうわああ!」


 着地したその瞬間を狙うように赤い光線が再び発射される。


 間一髪入射角がずれ光線が射線を変えたが、かなりの一品であろう盾が真っ赤に焼けついてしまっている。


「あちっ! あちっ!」

 噴水の水で一気に冷まそうとするも、ガーディアンは再び赤い光線を撃ち続けてく。

「スピードアップ!」

 加速させた動きで避けていくも、動くたびに「腰が! 脚が! 首が!」

 とどこかを痛めて文句ばかり言っていたが、「それでも俺はなぁ! 元勇者なんだよ!」

 」


 ガルドは闘気を集中させ、愛剣に纏わせながら一気に加速して敵の弱点をつくべく肉薄した。

「ブレイブスラッシュ!」

 なんと、ガルドはあの恐るべき強度を誇るガーディアンの脚を関節部から切り飛ばすことに成功したのだ。

「おらああああ! 見たかああああああああ!」

 その後も、ガルドは剣で弾き、盾であのアンカー脚を受け流しつつ懐に入って光線攻撃をさせないような動きで翻弄していく。


 こうして2本目の脚を切り落としたところで、スピードアップのバフ効果が消えてしまう。 

「うわっ!」

 身体バランスを崩したガルドは瓦礫に躓き、強かに尻を打ってしまった。


「ありゃ!?」

 ずるりとこけて尻餅をついたところに、ガーディアンのアンカー脚が振りかぶられる。


 (あっこりゃやべえ……)

お読みいただきありがとうございました。


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