その乙女、ネーミングセンスがなさすぎる
ここまで読んでいただきありがとうございます。
本作は「女王による国家運営」と「SF超文明」を組み合わせた戦記ファンタジーです。
内政、外交、巨大兵器、ロボット、戦争などがお好きな方に楽しんでいただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
奴隷から解放された人々の多くはユナが立ち上げた開墾事業や灌漑事業に従事し、一般的な賃金を得ながら労働に従事してくれている。
やはり以前の奴隷労働とは違い、賃金に繋がることや農地が広がっていくことに達成感を得られることが大きく、以前の数倍の労働生産性を得ているとノルンからの報告が上がっていた。
さらに魔石を動力源とした魔導耕運機をノルンが設計し一般的な素材で生産し導入したが、これが革命的なほどの効率を生み、各国や大規模商会からの問い合わせが殺到している。
この動力源である魔石なのだが、ユナは輸出にあたりある細工をノルンに命じていた。特殊加工した魔石が動力源のため一緒に購入してもらう必要がある ということにしたいのだ。
これは日本でプリンターのインクを売る販売形態にヒントを得たもので、機械を手に入れるだけではだめでその後もリシュメアから専用の動力魔石を買い続けなければいけないというシステムだ。
ノルンによればゴブリンの魔石3個ほどで一日使えるが、これらを機動要塞(現在は 作戦指揮所 )内の加工プラントで精製し、より魔石の魔力伝導を少し高めたものを同時に輸出する。
この販売益を国内投資に使い、ユナとノルンが求める各種鉱石や希少鉱石の購入、国内の鉱山開発などにも投資。
取引品目が増えれば人も増える、そして関連物資の取引も増え宿や飲食店も需要が伸びる。こういう良い流れがリシュメアに生まれつつある。
わずか数か月で王都が見違えた大きな理由の一つは、公衆浴場が開業したことだ。
これは公共施設として、日本円約150円程度で利用できるようにしたため、多くの女性たちは歓喜した。
女性がきれいになると男性にもそれを求めるため、風呂の良さに気づいた人々が毎日入らないと気が済まないようになったことで王都はさらに清潔に、綺麗な町になっていく。
衛生状態と栄養状態が改善したことで、病気の人は少なくなり伝染病の類も見ることはなくなっていた。
ユナはラウルに命じてゴミ問題にも取り組んだ。
ゴミを回収する専属職員を雇用し、不法投棄やゴミまみれな都市の裏側までも清潔にしたいと願うユナの心意気に同調した人々が、どうせならどんどん国をよくしようぜ! と協力体制ができつつある。
そうなると残飯の処理も適切になってネズミの数も減っていけば、病気も減る。
そんな皆が希望に満ちた明日を夢見られるようになってきた時、港町レヴァントのグスタフの使いが王宮へ急報を持ってやってきた。
ラウルがその報告を受け取った時、あまりのショックに腰を抜かいかけてしまい慌ててユナの元へ報告に向かった。
「へ、陛下ああああああ! た、大変でございます!」
慌ててすっころびながらも、ラウルは手にした書状をユナに突き出した。
「ラウル慌てすぎよ。いったい何を慌てて、国がすぐに滅びるようなことでもないかぎりそんな驚かなくても」
「そ、それが! 大変です! 我がリシュメアは、滅びます!」
「「なんだってえええええええええ!」」
「ごほん、では詳細を報告してもらいますよキバヤシ」
「キバヤシ?」
「いいから報告なさい。ってシバタは熱があるんだから寝てなさい!」
「うう、ごめんよ、調子に乗って川遊びして体拭かなかったから、風邪ひいたぽいなぁ ごほごほ」
「リア、シバタを縛り付けてでも寝かせておいてね」
「はいユナ様」
猫人族のメイドのリアが、ふらついている護を寝室へ連れて行く。
「ごめんねラウル、報告を」
「は、はい。実はグスタフ殿の商会の者が、あるものを目撃したとして急ぎ報告に来てくださったのです。それが……」
「それが?」
「コロラナの大木よりも背が高い、大型のトロールが王都へ向かっていると……周辺の魔物を捕まえて食らいながら近づいているのだそうです」
「コロラナの大木って どれくらいなの?」
「20mを超えるほどの大木です」
「そうなると相手はモビルスーツ並みね…… ノルン、迎撃プランを」
『迎撃プラン 現時点で有効と思われるのは、頭部の完全破壊でしょう』
「それと、大型トロールがいつ王都に到着するか、すぐに偵察に向かわせてちょうだい。ただし、戦闘は厳禁、生きて帰って報告すること」
「ただちに手配します!」
ラウルが冷や汗をかきながら飛び出していったが、頼りのシバタは風邪で寝込んでいるのであれば自分がやるしかない。そう決意する。
”
トロール種についてのライブラリ起動。
<トロール種は驚異的な再生力を持つ巨人の近縁種と呼ばれていますが、詳細は不明です。森トロール、山トロール、丘トロールなどが確認されていますが、大きくても8mから10mクラスで、魔導ゴーレムでの討伐事例が冒険者ギルドの記録に残っていました。
有効的な戦術は魔法による集中攻撃であり、剣撃や槍撃、弓による攻撃は痛覚があまりにも鈍化しているため効果は薄いです。
基本的に個体数はそこまで多くなく、捕食上位者として太古から記録があるようです>
”
「魔法に耐性はなさそうだけど、状態異常魔法はどうかしら?」
脳内UIに表示された情報を元にユナは対抗策を練り上げていく。
『一時的にはあるかもしれませんが、痛覚がほとんどないため補助手段としても効果未知数のため主軸の戦術に据えるのはリスクが高いと思われます』
「となるとやっぱり転倒させたところで頭へ集中攻撃かな」
『はい、転倒させる方法ですが、あの巨体になるとロープでは実用的に無理のため、足の破壊しかないと考えます。
最も確実なのは膝の破壊になるでしょう 』
「所持している武装の中でそれが可能な武器はある?」
『 MTR-01 対魔獣重狙撃銃 バジリスク
全長 2,5m
口径 20mm
重量 50kg
基本的には魔導ゴーレムに構えさせた固定、つまり固定三脚として魔導ゴーレムを使用。
マスターがトリガーを引く形になります 』
「それでいきましょう。それで何発撃てるの?」
『現在 3発』
「そう、じゃあ転倒させた後はどうやって頭部を破壊するの?」
『先日グスタフから届いた希少物資を用いて C4爆弾を製造しておきました。
これを騎士団や戦闘担当者に頭部、頸部を中心に吸着できるようにしてから投げつけた後、充分に距離が離れたところで起爆スイッチを押せば被害者ゼロで討伐可能でしょう』
「転倒させて頭ボン……つまり転ポン作戦ね」
『一つ問題が生じています』
「何よ?」
『マスターのネーミングセンスが壊滅的です』
「あんただんだん人間ぽくなってきたわね」
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