幼少期編 3話
それからの日々は早く過ぎ去って行った。
鑑定の儀までに魔力を上げて、何をしても喜ぶ両親をビックリさせたかった。
本を読んだり、父の自慢話しで知識を付けていき、夜寝る前に魔法陣を出し魔力を全て消費して、気を失うように眠るを繰り返していった。
そして、3才になって鑑定の儀をあと少しに控えている。
その頃にはたどたどしいけれど、少しずつ話せるようになっていた。
今日は母とピクニックにきている。
この村の気候は過ごしやすく、今は秋だが、20度手前くらいの温度だ。冬はかなり雪が積もるから温暖差は激しそうだ。
そのため最近は連日、父は冬越えの蓄えとして、狩人隊を率いて狩りに出掛けている。
「ママ、かんていのぎってどんなことをするの?」
「村の教会に、王都から司祭様がいらっしゃって、神様にお祈りを捧げたあと、神代の遺物、ステータスの宝玉に触れるのよ。すると、ジークのステータスが表示されるのよ。」
「・・・」
「ふふっちょっと難しかったかしら」
気になる言葉がいくつか出てきたので考えていたら、難しすぎて理解ができなかったのだろうと勘違いされた。
「ううん、だいじょうぶ。」
「あらほんと?」
「うん。ママ、じんだいのいぶつ?ステータスって何?」
「神代の遺物は、ジークにも分かりやすく言うと、神様とかが居た時代の道具ってこと。すごーく古ーい物の方が分かりやすいかな?」
「うん。わかった」
「ステータスっていうのは、世界の人々、全員が3才になると、神様から与えられる不思議なチカラよ。皆んな同じチカラじゃなくて、それぞれ、違うチカラなのよ。
パパ達のような魔物と戦うチカラ、ママのように傷を癒すチカラ、皆んなそれぞれなのよ。分かった?」
「うん。ママありがとー」
「ふふふ、可愛いわね、ジーク」
そういって抱きしめてくる母。その時、
ーーーーーッ!!?
全身から冷や汗が吹き出した。前世を含めて感じたことのない強烈な何かが全身を襲う。
母を見ると、母も全身を震わせてある一方を見ていた。俺も母の見ている方を見てみると、村の外、森の方から、大きなナニかがこちらに向かってきているのがわかった。
「ジーク!ママから離れないで!ーー光よ、我が魔力を糧に、大切なものを魔の手から護る盾をこの世に顕現させよ、ーーイージスの盾!」
母は声を大にして詠唱を素早く唱えた。
目の前に5メートル程の純白で巨大な盾が顕現した。
猛烈な勢いでこちらに突進してくるソレは異形の魔物だった。頭には4本の禍々しい大きな牙、大き過ぎる体躯に8つの極太の足。
巨大な盾が小さく見えるほどに大きい。15メートルはあるんじゃないかというほどに大きい。
とてもじゃないが、母が顕現させた盾で防げるとは思えなかった。少しでもスピードを落とせないか思案する。ーー踏み出した瞬間に足1本だけでも踏み外したら転ぶんじゃないかと思って、手に魔法陣を浮かべた。
「ジーク!?あなた、そ、それ…魔法陣!?なんでジークが魔法陣を?でも、ジーク何する気なの!?あの魔物は私でも見たことが無いくらい強力な魔物なのよ」
魔法陣を見た母が何やら騒いでいるが、今は集中、集中、ーー魔法はイメージーー思い浮かべるのは落とし穴、前世で見た子供が掘る小さな穴ではなく、大きな、それこそ、あの大きな足が入るくらいの穴。
魔力が身体から抜けていくのが自分でも分かる。
今持っているほぼ全ての魔力を消費して、ソレは完成した。
巨大なイノシシの魔物の前足の1本が地面を踏むその瞬間、大きな穴が地面に空いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
条件を達成しました。スキル地魔法を獲得しました。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
スキルの獲得を知らせる声が聞こえてきたが、今はそれどころじゃない。
イノシシは大きく踏み外す。猛烈な勢いのせいと、その重すぎる自重を支え切れないで、盛大に転けた。ーーーブギィィィイイイ!!??
耳をつんざくような鳴き声と共に転がってくる。
狙い通り転けたはしたが、スピードは然程落ちないまま巨大な盾に激突した。
盾と巨体が競り合い、盾にヒビが入っていく…その時だった、、
ーーーー「クリエイトアース!!!」
重く響き渡る、男性の声。
イノシシの地面が大きく盛り上がり、イノシシの巨体を宙に打ち上げた。そして、
ーーーー顕現せよ。「デュランダル!!」
凛とした女性の声がした。
赤色や青色や黄色の雷を纏った一振りの大剣を握った金髪の女性が、宙に打ち上げられた巨大なイノシシの首を一振りで切断した。
ーーあっという間の出来事だったーー
気がつくと他にも2人、側に立っていた。
母はその4人の姿を確認して、自分の魔法を解除した。
「来てくれて助かったわ…ありがとう。ダグル、クリスティーナ、オウル爺、セレス、でもどうしてあなた達がここに?」
「久しぶりねアリシア、怪我はない?その子もね。私たちは依頼ついでにジルとアイシアの様子を見に来たのよ。でも間に合って良かったわ。それにしてもアレは何かしら…Aランクのスレイプニルボアに似てるけど、大きさが3倍くらい大きいわ」
スタイル抜群で青色の軽鎧を身に纏った金髪の女性、クリスティーナが返事をする。
「ワシも見たことないのぉ…亜種か上位種といったとこかのぉ…それにしてもアリシア、久方ぶりじゃな。元気しておったみたいで何よりじゃ」
小柄でガッチリしているが、まるで魔法使いのような杖と魔法使いのようなローブを纏ったお爺さん、オウル爺が話す。
「久しぶりアリシア、無事で何よりよ。ジルはどこ?一緒じゃないみたいだけど…それにその子は、だれなの?」
長身で長髪の黒髪で、真っ白な着物を着ていて、腰に刀ぽい物を差している女性、セレスが懐かしそうに声をかける。
「セレス〜会いたかった〜ジルは狩人隊と森に行ってるわ。改めて皆んなに紹介するわね、この子はジルベスターと私の子供のジークベルトよ。ほらジーク、挨拶して」
「は、はじめまして、ジークベルト・スタインです。3才です。」
「ふふっ良くできました」
母になでなでされる。うん、悪くない。
「「アリシアはともかくジルベスターからこんなに可愛い子ができるとは…」」
クリスティーナとセレスが声を揃えて言う。
うん。同感だね。母似で良かった。
「オウル爺、魔石あったぞ。ほら、これだ。大きさに魔力濃度共にSランククラスだ。
魔の森が近いとはいえ、こんな所に何であんなのが居たんだろうか…」
父と同じくらい大きな体で身長より長い杖を持った男性、ダグルがオウル爺に声をかける。声からして、先程のクリエイトアースはこの人が使ったようだ。
「ダグル、ご苦労じゃったな。ふむ…しばらく魔の森の調査をした方が良いかもしれんの。スタンピードになったら大事じゃ」
「その方が良さそうね。森に出掛けているジルベスターが心配だわ、私、ちょっと様子を見てくる」
そう言ってクリスティーナが駆け出した。
あっという間に見えなくなった。どんだけ速いんだ…あの人。
このようにして、俺は伝説の冒険者パーティ"黎明の空"と出会った。
ここまでお読み下さりありがとうございます。
評価をして頂けると、作者のモチベが上がりますので、よろしくお願いします。




