幼少期編 1話
おぎゃー、おぎゃー」
とある家に赤ちゃんの産声が響き渡る。
「無事に産まれましたよ。アリシア様、男の子です。」
産婆が美しい女性に声をかける。
「ーッ!え、ええ。ありがとう…。」
アリシアと呼ばれた女性は息も絶え絶えで返事をする。その時、激しい音と共にドアが開く。
「産まれたのか!ーッ!お、おお、よ、よくやった…ありがとうアリシア。よく頑張ったな!」
大柄の男性がドアを勢いよく開けて、大声を出しながら入ってきて女性に声をかける。
「ジル様!奥様とお子様の体に触ります!静かにお願いします。」
産婆が大柄の男性を叱る。
「す、すまない。つい興奮してしまった。体は大丈夫か?」
この家の主、ジルベスターは素直に謝ると母子の心配をする。
「ふふふ。ええ、大丈夫よ。ジル。この子の名前はどうする?」
「ジークベルトにしよう。」
「ジークベルト…良い名前ね。ふふっ、あなたの名前はジークベルト・スタインよ。産まれてきてくれてありがとう。ジーク。」
アリシアは我が子を優しく抱きしめて言った。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーっ!眩しいっ
眩しいけど、ゆっくりと目を開けていく。
しっかりと目が覚めると、天井が見えた。木の天井だ。壁には灯りが付いている。
ここはどこだ?見た事が無い所だ。
「おおっジークが目を開けたぞ!アリシア。」
見知らぬ若い男性の声がした。
「あら本当ね、ふふっ可愛いわ私のジーク。私がお母さんよ。」
そう言い優しく微笑みかけてくる綺麗な女性。
どちらもかなり若い。20代半ばといった所だろうか…。誰に話しているんだ?俺の方を見ているが俺はジークとやらじゃないぞ?
あの後一体何があったのやら…。
目を瞑り、最後の記憶を思い出してみる。
ビルから飛び降りた○○を助けようと手を伸ばした…○○って誰だ?思い出せない…。
その後バランスを崩して俺も落下した。
そして、、
そうだ。女性の声が聞こえた。
確か「条件を達成しました。異世界へ転生します。」そう言っていた。
ということはここは異世界なのか?
俺は1度死んで転生したのか?
分からない…こういうときは頭の中でステータスと思えば、ステータスが目の前に表示されるのが定番のはず!
目を開けてみると目の前に半透明のボードが出てきていた。そこには俺の現在の情報が書かれていた。
名前 ジークベルト・スタイン
性別 男
年齢 0
レベル 1
職業 なし
体力 100
魔力 200
攻撃力 10
防御力 10
俊敏力 20
知力 50
運 777+
スキル
言語理解 魔法の才能 魔力アップ(小)
ユニークスキル
成長限界突破 幸運
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ログ
✳︎条件を達成しました。異世界アルガルへ転生します。
✳︎転生が完了しました。
✳︎条件達成報酬として、ユニークスキルを2つ付与します。
✳︎付与完了。
✳︎前世の記憶は成長するにつれて次第に思い出せなくなります。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
…運だけ異常に高いな…というか、高過ぎないか?
知力は魔法効果に影響ありそうだよな。
他の値は平均なのか、それ以下だろうが、産まれたばかりだからな、まあこんなものだと思いたい。
にしても、まるでゲームのようだな…でもこれで間違い無いだろう。どうやら本当に異世界に転生したみたいだ。
現在は0才赤ちゃんだな、ばぶばぶ。。
んんっ、今生での名前はジークベルトと言うみたいだな。スタインは家名かな?
レベルの表示があるということは、小説のように魔物とかを倒したら上がるんだろうか。
職業はどんなのがあるのだろうか。ワクワクしてきた。
スキルもある。特に言語理解はありがたい。魔法の才能ということは、魔法が使えるようになるのかもしれないな。
ログにも書いてある特典のユニークスキル2つ、1つ目は成長限界突破だ。これは異世界あるあるで身体能力やレベルの限界を無くしてくれるはずだ。これで努力を怠らなければ際限なく強くなれるかもしれない。
2つ目は幸運だ。運が777もこれが原因かな?めちゃくちゃ運が良くなるとかだろうか…ユニークスキルというくらいだから、何か他にも隠されてる効果があるのかもしれないな。
ログに書いてあることで、気になる部分が「条件を達成した」、条件ってなんなんだ?
誰かを助けようとしたことか?
うーん…考えても分からないことばかりだな。まあ今は気にしても仕方ないか。
そして、この「前世の記憶が無くなる」のが1番不安な所だよな。俺が俺じゃなくなるのか?
なにかを忘れているような気がするけど、これも記憶が薄れていってるのかもしれないな。
考えているとなんだか眠くなってきた…
生まれて間もないだろうから今は寝るとしよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
✳︎✳︎
「ご苦労だったな、魔力持ちの転生は完了したようだな。これでアルガルの寿命がまた伸びただろう。」
壮年の偉丈夫が声をかける。
「いやー、任務とはいえさすがに人間に混じっての生活は疲れましたよー。でもこれで世界が1つ救われるなら良いですよー。」
若い男性が笑って答える。
「あ。そうだ。お願いしてた、特典の付与はしてくれました?」
若い男性が壮年の偉丈夫に聞く。
「ああ。お前の望み通り、付与しておいた。お前が望みを言うとは驚いたが、どうやらあの人間を相当気に入ったみたいだな。」
「良い人でしたよー。愚痴は多かったですけど、仕事は1つ1つ丁寧に対応してました。何度も教えていただいたので、来世では幸せに過ごしてほしいですー」
若い男性は懐かしむように語る。
「そうか。ふむ。時間だ、我々もそろそろ行くとしよう。」
壮年の偉丈夫はそう言い、姿を消す。
「先輩のおかげでアルガルに純度の高い魔力を補填することが出来ました。これで、アルガルの寿命は大幅に伸びました。
先輩、来世に良い人生が送れることを祈っています。ありがとうございました。」
そして若い男性もそう言い残し姿を消す。
後に残ったのは薄暗い静寂な部屋。
ここまでお読み下さりありがとうございます。
評価をして頂けると、作者のモチベが上がりますので、よろしくお願いします。




