表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
46/68

【第7章】第2話 「再会」


放課後。


体育館には、

新入生たちが集まっていた。


部活動紹介の日。


ステージ横では、

各部活が最後の確認をしている。



「透真くん、

ほんとに説明覚えてる?」


和希が苦笑する。


「覚えてる!」


透真は元気よく頷いた。


でも。


「資料逆」


昴が静かに言う。


「あっ」


慌てて持ち替える。


「やっぱ緊張してるじゃん」


裕翔が笑った。


「だって、

こういうの初めてだし……」


透真が小さく呟く。


「去年やってなかったっけ?」


夕花が首を傾げる。


「え?」


透真は本気で不思議そうな顔をした。


「去年、

天文部の部活紹介ありました!?」


「……あったよ」


薫が即答する。


「え、全然覚えてない」


「お前たぶん、

空見てただろ」


「あー……」


思い当たる節がありすぎて、

透真が黙る。


和希が吹き出した。


「透真くんらしいなぁ」



「次、

天文部お願いします」


呼ばれて、

透真が小さく息を吸う。


「頑張れ」


和希が肩を軽く叩いた。



ステージの照明。


集まった新入生たち。


透真は少し緊張しながら、

マイクを持つ。


「天文部です」


でも。


星の話を始めた瞬間、

自然と顔が柔らかくなった。


「星って、

難しそうって思われること多いんですけど」


「実際は、

今日ちょっと空見てみようかな、

くらいでも楽しいんです」


「あと春の星座って――」


「長くなるぞ」


袖から薫の声。


体育館に笑いが起きた。


透真が慌てる。


「すみません!」


そのやり取りに、

空気が少し和らぐ。



体育館後方。


新入生の列の中で。


琉衣は、

ずっとステージを見ていた。


文化祭の時と同じ声。


楽しそうに星を語る姿。


変わっていない。


でも。


前より少しだけ、

遠く見える。


先輩になったからだ。



ずっと会いたかった。


この学校に入りたかった。


その理由が、

今ステージに立っている。



全部の部活紹介が終わる。


体育館に解散の空気が流れ始める。


新入生たちが、

友達と話しながら出口へ向かう。


透真はステージ袖で、

資料をまとめていた。


「疲れたー……」


「途中から楽しそうだったけど」


裕翔が笑う。


「楽しかった!」


「知ってる」


薫が呆れたように言った。



その時。


背後から、

少し緊張した声が聞こえた。


「……透真先輩」


透真が振り返る。


そこで。


ぴたりと動きが止まった。



新しい制服。


黒髪。


少し長めの前髪。


文化祭の時より、

少しだけ大人っぽくなった顔。


でも。


ちゃんと分かった。


「……琉衣くん?」


琉衣は小さく笑った。


「受かりました」


その瞬間。


透真の顔が、

ぱっと明るくなる。


「ほんとに!?」


「はい」


「すごい!!」


透真が嬉しそうに駆け寄る。


その距離の近さに。


少し離れた場所の空気が、

静かに止まった。



「おめでとう!」


「ありがとうございます」


「ちゃんと来てくれたんだ……!」


透真は本当に嬉しそうだった。


その笑顔を見て。


琉衣の胸が、

じんわり熱くなる。



少し後ろ。


和希が目を細めた。


「あー……なるほど」


「完全に透真くん目当てだねぇ」


裕翔が引きつる。


「やっぱそう見える?」


薫は露骨に顔をしかめた。


「嫌な予感しかしねぇ」


伊織は静かに琉衣を見る。


夕花は腕を組む。


「なんか距離近くない?」


紬も小さく頷いた。


「近い」



でも。


透真だけは、

何も気付いていなかった。


「琉衣くん、

部活見学来る!?」


嬉しそうに笑う。


その言葉に。


琉衣は迷わず頷いた。


「行きます」


春風が吹く。


その瞬間。


天文部の空気が、

少しだけ変わり始めていた。

読んでいただきありがとうございます!

毎日21時に投稿予定です५✍⋆*

続きが気になったら評価やブックマークをお願いします


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ