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【第7章 後輩という嵐】第1話「新しい春」

―第7章「後輩という嵐」


 第1話「新しい春」



春。


校門前の桜が、

風に揺れていた。


新しい制服。


新しい教室。


新しい一年。


少し浮ついた空気が、

学校中に広がっている。



「よっしゃ!!」


朝。


掲示板を見た瞬間、

裕翔が声を上げた。


「透真! 同じクラス!」


「ほんと!?」


透真も慌てて名簿を見る。


「あ、ほんとだ!」


二人で顔を見合わせて笑った。


「やったー!」


「今年めっちゃ楽しくなりそう」


「絶対うるさい一年になるな」


後ろから和希が笑う。


「朝から星の話してそう」


「する!」


透真が即答した。



その少し離れた場所。


薫は新しいクラス表を見ながら、

無言だった。


「……別か」


小さく呟く。


去年。


透真は、

気付けばいつも隣にいた。


休み時間。


放課後。


どうでもいい話。


毎日のやり取り。


それが当たり前になっていたから。


少しだけ。


本当に少しだけ。


胸の奥が引っかかった。


「薫?」


隣から声がする。


伊織だった。


「……伊織」


「同じクラスだね」


「ああ」


伊織は静かに名簿を見る。


透真の名前は、

別のクラスにあった。


また離れた。


去年もそうだった。


でも。


放課後になれば、

自然と会えてしまう。


だからきっと、

今年も同じだ。


そう思うのに。


少しだけ、

物足りなさを感じる。



「薫ー!」


そこへ、

透真が駆け寄ってくる。


「クラス違った!」


「見りゃ分かる」


「伊織とも一緒なんだ!」


「うん」


伊織が静かに頷く。


「えー絶対寂しいじゃん」


「は?」


薫が顔をしかめる。


透真は楽しそうに笑った。


「でも部活あるしね!」


その一言で。


薫の中の、

小さな違和感が少しだけ薄れる。


「……別に、

部活で会うし」


「うん!」


透真が嬉しそうに頷いた。


その横顔を、

伊織は静かに見ていた。



「紬、一組だって」


「夕花は?」


「……二組」


「あ」


夕花が固まる。


「離れた……」


「でも隣のクラス」


紬が静かに言う。


「近い」


「そうだけど……!」


夕花はちらっと透真を見る。


透真は裕翔と楽しそうに話していた。


「……なんか悔しい」


「分かる」


紬が小さく頷く。



三年生の教室。


和希は新しいクラス表を見ながら、

苦笑していた。


「とうとう三年だって」


「実感ないな」


昴が窓際で言う。


春の風がカーテンを揺らした。


進路。


受験。


卒業。


去年より、

“終わり”が近づいている。


でも。


「まあ、

今年も賑やかそうだけど」


和希が校庭を見る。


そこには、

透真たちがいた。


笑っている声が、

ここまで聞こえる。


昴も小さく笑った。


「確かに」



始業式が終わり。


校舎の空気が少し落ち着き始めた頃。


透真は資料を持って、

職員室へ向かっていた。


窓の外。


校門の近くを、

新入生たちが歩いていく。


緊張した顔。


真新しい制服。


その中に。


見覚えのある黒髪がいた。


少し長めの前髪。


細身の背中。


透真は一瞬だけ目を止める。


でも。


ちょうど先生に呼ばれて、

そのまま歩き出した。


気付かない。


その新入生が。


ずっと、

自分を探していたことに。



校門前。


琉衣は立ち止まる。


春風が桜を揺らした。


そして。


小さく笑う。


「……会えた」


その目は、

まっすぐ校舎を見上げていた。

読んでいただきありがとうございます!

透真も高校2年生になりました!

毎日21時に投稿予定です५✍⋆*

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⭐️登場人物紹介:https://ncode.syosetu.com/n5363me/1/

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