【第6章】第4話「星降るクリスマス」
―第6章「冬空と、君の体温」
第4話「星降るクリスマス」
クリスマス当日。
夕方の駅前は、
人で溢れていた。
イルミネーションを見に来た人たち。
恋人。
家族。
友達同士。
どこも楽しそうで、
冬の街がきらきらして見える。
☆
「わ、すご……!」
透真が目を輝かせた。
待ち合わせ場所に現れた瞬間、
みんな少しだけ息を止める。
白いマフラー。
濃紺のコート。
手袋。
冷たい空気の中、
吐く息が白い。
「透真、
ちゃんと防寒してる」
裕翔が少し安心した顔をする。
「今日は怒られたくないから」
「誰に」
「みんなに」
それはそう。
☆
「じゃ、行くか」
和希が笑う。
自然と並んで歩き出す。
前には夕花と紬。
その後ろに透真。
隣に裕翔。
少し後ろを薫と伊織。
最後尾に昴と和希。
いつの間にか、
この並びが自然になっていた。
☆
中央公園へ近づくにつれて、
光が増えていく。
木々に巻かれたライト。
星型イルミネーション。
青と白の光。
「綺麗……!」
透真が立ち止まる。
その瞳に、
イルミネーションが映った。
「ほんとすごいね」
紬が小さく笑う。
夕花も思わず空を見上げる。
「写真で見るより綺麗」
その時。
「……あ」
透真が突然空を見上げた。
「オリオン座見える」
全員、
少しだけ沈黙する。
「そっち?」
薫が呆れた声を出した。
「いや、
イルミネーションも綺麗だよ!?」
「でも星見てたじゃん」
「冬の空澄んでるから……」
言い訳みたいに言う。
和希が笑った。
「透真くんらしいなぁ」
☆
公園中央。
大きなツリーの前。
人が集まっている。
「写真撮る?」
夕花が聞く。
「撮りたい!」
透真が即答。
その結果。
「もうちょい寄って」
「え、近」
「映んないだろ」
ぎゅうぎゅうになる。
肩が触れる。
距離が近い。
透真は特に気にしていない。
でも。
周りは全然平静じゃない。
☆
「はい撮るよー」
和希がスマホを構える。
その瞬間。
透真が笑った。
冬の光の中。
イルミネーションを映した瞳。
柔らかい笑顔。
みんな一瞬、
ちゃんと見惚れた。
シャッター音だけが響く。
☆
「……ずる」
薫が小さく呟く。
「何が?」
裕翔が聞く。
「なんでも」
言えるわけがない。
こんなの、
好きになるしかない。
☆
冷たい風が吹く。
「寒っ……」
透真が肩を縮めた。
「だから言った」
裕翔がマフラーを整える。
「透真くん、
手冷えてる」
和希が自然にカイロを渡す。
「ありがとうございま……熱っ」
「今開けたから」
みんな少し笑った。
その空気が、
心地いい。
☆
しばらく歩いたあと。
「……温かいもの食べたい」
透真がぽつりと言う。
「賛成」
夕花が即頷いた。
「ファミレス行く?」
伊織が聞く。
「行こ」
全員一致だった。
☆
ファミレス。
暖房の空気。
窓の外にはまだイルミネーション。
「生き返る……」
透真がスープバーのコーンスープを飲む。
「ほんと分かりやすい」
昴が少し笑った。
「だって温かい」
幸せそうな顔。
和希がそれを見ながら、
小さく呟く。
「可愛いなぁ」
「声出てる」
薫が即ツッコむ。
☆
ドリンクバー。
ポテト。
取り分け。
何気ない会話。
でも。
誰も帰りたくなかった。
この時間が、
ずっと続けばいいのにと思っていた。
☆
帰り道。
透真はまた空を見上げる。
「今日、
星も綺麗だったね」
イルミネーションより先に、
それを言う。
でも。
そんな透真だから。
みんな、
目が離せない。
冬の星空の下。
白い吐息が、
静かに夜へ溶けていった。
読んでいただきありがとうございます!
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クリスマスのイルミネーション当日の話
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毎日21時に投稿予定です५✍⋆*
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