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【第6章】第3話「クリスマスの約束」

―第3話「クリスマスの約束」


十二月も後半に入ると、

街は一気にクリスマス色になった。


駅前のイルミネーション。


店先のリース。


流れるクリスマスソング。


冬の空気の中、

どこも少し浮かれて見える。



放課後。


天文部の部室。


ストーブの前に、

みんな自然と集まっていた。


「あったか……」


透真が幸せそうに呟く。


「そこ動かない気だろ」


薫が呆れる。


「だって寒い」


透真はマグカップを両手で持ったまま、

ストーブの前から離れない。


和希が笑った。


「猫みたい」


「透真くん冬弱そうだもんね」


「弱いです」


即答。



「そういえばさ」


夕花が机へ頬杖をつく。


「もうすぐクリスマスじゃん」


その瞬間。


空気が少し変わる。


「……あー」


裕翔が微妙な顔をした。


「リア充イベント」


「偏見すご」


薫が返す。


紬は静かに紅茶を飲んでいた。


昴は機材を触りながら、

特に反応しない。


でも。


みんな少しだけ、

意識はしていた。



「クリスマスかぁ……」


透真が窓の外を見る。


駅前のイルミネーションが、

遠くに少し見えた。


そして。


「みんなでどっか行く?」


さらっと言った。


一瞬、

部室が静かになる。


「……みんなで?」


裕翔が聞き返す。


「うん!」


透真は楽しそうだった。


「イルミネーションとか見たい!」


完全に無邪気。


何も考えてない顔。


でも。


だから余計に破壊力がある。



「別にいいけど」


薫が先に目を逸らす。


「人多そう」


「クリスマスだしな」


昴も小さく頷いた。


「でも絶対綺麗ですよ!」


透真はもう行く気満々だった。


「冬の空って、

イルミネーションも映えるし!」


「発想が天文部」


夕花が笑う。



「どこ行く?」


和希がスマホを開く。


「駅前?

それとも中央公園の方?」


「中央公園、

毎年すごいらしいよ」


紬が静かに言う。


「行きたい!」


透真が即反応。


その顔を見て、

みんな少しだけ笑った。



でも。


問題は別にあった。


――誰が透真と行動するか。



「当日、

集合どうする?」


伊織が聞く。


「駅?」


「じゃあ俺、

透真迎え行く」


裕翔が自然に言う。


「は?」


薫が反応した。


「なんでお前が」


「家近いし」


「別に現地集合でいいだろ」


「迷うかもしれないじゃん」


「子どもじゃねぇよ」


「でも透真だぞ」


全員、

ちょっと納得してしまった。


「え、ひどくない?」


透真が抗議する。



「じゃあ帰りは?」


夕花が聞く。


「夜遅くなるし、

女子だけ別の方がいいかも」


和希が真面目に言う。


「送るよ」


「え、和希先輩優しい」


「知ってる」


その横で、

昴が小さくため息をついた。


なんかもう、

全員自然に透真中心で考えてる。



「透真くん、

楽しみ?」


紬が小さく聞く。


「うん!」


透真は嬉しそうに笑った。


「みんなで行くの、

絶対楽しい」


その笑顔が、

あまりにも嬉しそうで。


誰も、

“二人がよかった”

なんて言えなくなる。



帰り道。


「……みんなで、か」


裕翔がぽつりと呟く。


「不満?」


薫が聞く。


「別に」


即答。


でも。


少しだけ思う。


透真と二人で、

イルミネーション見たらどうなるんだろう。



その頃。


透真は夜空を見上げながら、

一人でちょっと浮かれていた。


「クリスマス楽しみだなぁ」


完全にイベントを楽しみにしてる顔。


恋愛感情、

ゼロ。


だからこそ。


周りだけが、

どんどん苦しくなっていく。

読んでいただきありがとうございます!

透真は純粋にみんなと行きたいだけ

みんなはそれぞれ透真といきたい…そんな回です。

毎日21時に投稿予定です५✍⋆*

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⭐️登場人物紹介:https://ncode.syosetu.com/n5363me/1/

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