表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
38/69

【第6章】第2話 「白い吐息」

―第2話 「白い吐息」


観測が終わった頃には、

夜もかなり深くなっていた。


屋上は冷え切っていて、

みんな白い息を吐いている。


「さっむ……」


透真が肩を縮める。


「だからもっと厚着しろって」


薫が呆れながら言った。


「してるよ?」


「それで?」


「してるつもり」


「だめじゃん」


すぐ返される。


昴が小さく笑った。



今日は帰る方向の関係で、

帰り道は四人だった。


透真。


伊織。


薫。


昴。


駅まで続く夜道。


街灯の明かり。


静かな住宅街。


冬の空気は冷たいのに、

どこか心地いい。



「今日、

星すごかったね」


透真が空を見上げながら言う。


「オリオン座めちゃくちゃ綺麗だった」


「透真、

ほんと好きだよな」


昴が隣で言う。


「好きです」


即答。


迷いがない。


その言い方が、

昴は昔から少し好きだった。



「伊織」


透真が振り返る。


「ん?」


「今日あんまり喋ってなかった」


伊織は少しだけ目を瞬かせた。


ちゃんと見てるんだ。


「……聞いてる方が楽しかったから」


「ほんと?」


「透真、

今日ずっと楽しそうだったし」


透真は少し照れたように笑う。


「冬の星好きなんだよね」


その顔が柔らかい。


伊織は少しだけ目を細めた。


やっぱり、

見ていて飽きない。



コンビニ前。


「ちょっと寄る?」


昴が聞く。


全員頷いた。


暖房の空気に、

透真が「生き返る……」と呟く。


薫が笑った。


「大袈裟」


「ほんとに寒かったんだって」


透真は温かい缶ミルクティーを選ぶ。


伊織はホットコーヒー。


昴はブラック。


薫はココア。


「薫、

甘」


「うるさい」


そのやり取りに、

透真が笑う。



店を出ると、

また冷たい風。


「うわ寒っ」


透真が缶を両手で持つ。


その時。


「透真」


伊織が呼ぶ。


「ん?」


「マフラーずれてる」


「あ」


伊織は自然に手を伸ばした。


少しだけ近い距離。


透真の首元へ、

マフラーを巻き直す。


指先が頬に少し触れた。


冷たい。


でも、

どこか熱い。


「はい」


「……ありがと」


透真が少しだけ目を丸くする。


伊織は静かに目を逸らした。


薫はその光景を見て、

なんとも言えない顔をする。


モヤモヤする。


でも、

理由を考えたくない。



駅前。


「じゃあここで」


昴が言う。


「お疲れ」


「お疲れ様です」


みんなそれぞれ別方向。


でも。


透真だけ、

まだ空を見上げていた。


「透真、

歩きながら空見るな」


薫が腕を引く。


「あ、ごめん」


そのまま少し近い距離になる。


伊織はその横顔を静かに見ていた。


白い吐息。


冬の夜。


静かな帰り道。


透真は小さく笑う。


「なんか今日、

冬って感じだったね」


その言葉が、

妙に胸へ残る。



伊織は帰り道の途中、

ふと思った。


星を見てる透真も好きだ。


笑ってる透真も。


でも。


こうして、

何気なく歩いてる時間が。


一番好きかもしれない。

読んでいただきありがとうございます!

珍しいメンバーでの帰宅です。

毎日21時に投稿予定です५✍⋆*

続きが気になったら評価やブックマークをお願いします


⭐️登場人物紹介:https://ncode.syosetu.com/n5363me/1/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ