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【第5章】第8話「星より眩しい」

―第8話「星より眩しい」



後夜祭が終わった頃には、

校舎はもう静かだった。


さっきまでの賑やかさが嘘みたいに、

廊下には人影も少ない。


遠くで机を運ぶ音。


笑い声。


片付けの空気。


文化祭の終わりだけが、

ゆっくり残っていた。



一年教室。


『宇宙博覧会』


そう書かれた看板は、

半分外されていた。


床には段ボール。


剥がされた星型装飾。


ラメの残る机。


楽しかった時間の跡みたいだった。


「つっかれた〜……」


夕花が机に突っ伏す。


「夕花、

今日ずっと動いてたもんね」


透真が笑う。


「誰かさんが危なっかしいから」


「え、俺?」


「自覚ないの?」


「ない」


即答。


薫が呆れた顔をした。


「ある意味すごい」



紬は剥がした装飾を静かに箱へ入れている。


その横で、

透真も一緒に片付けていた。


「これどうする?」


「そっちの箱」


「了解」


自然な距離。


自然な会話。


それだけなのに、

紬は少しだけ嬉しくなる。



「透真、

そこ届く?」


後ろから声。


裕翔だった。


「ちょっと届かない」


「貸して」


自然に手を伸ばす。


高い位置の飾りを外して、

そのまま透真へ渡した。


「ありがと」


「ん」


あまりにも自然すぎるやり取り。


薫がなんとなく面白くなくて、

小さくため息をつく。



「お疲れ、一年組」


教室の扉が開く。


和希と昴だった。


「先輩!」


透真が嬉しそうに顔を上げる。


その反応だけで、

二人とも少し表情が柔らかくなる。


「片付け順調?」


「もうちょっとです!」


「なら差し入れ」


和希がコンビニ袋を持ち上げた。


ジュース。


お菓子。


歓声が上がる。


「和希先輩神!」


夕花が即反応する。


「だろ?」


和希が笑った。



昴は教室を見回した。


剥がされかけた星。


黒板の宇宙イラスト。


文化祭の終わり。


そして。


窓際に立つ透真。


夜空を見ていた。


「……透真」


呼ぶと、

ゆっくり振り返る。


その顔が、

やっぱり綺麗だった。



「文化祭、

終わっちゃうね」


透真が小さく言う。


窓の外。


夜空。


文化祭のライトが少しだけ残っている。


「寂しい?」


伊織が静かに聞く。


透真は少し考えて。


それから笑った。


「……うん。

でも、すごく楽しかった」


その笑顔が、

柔らかくて。


満たされていて。


全員、

少しだけ息を止める。



“この時間、

終わってほしくない”


誰も口にはしない。


でも。


きっと同じことを思っていた。



神代先生が教室へ顔を出す。


「おー、

まだ残ってたのか」


「先生」


「片付け終わったら帰れよ。

青春もほどほどにな」


笑いながら言う。


でも。


その視線は少し優しかった。


楽しそうに笑う生徒たちを、

静かに見守るみたいに。



最後の装飾を箱へ入れる。


教室の灯りが消える。


文化祭終了。


廊下へ出ると、

窓の向こうに夜空が広がっていた。


透真は足を止める。


そして、

小さく空を見上げた。


「……星、見える」


その声に、

みんなもつられて空を見る。


文化祭の終わり。


夏と秋の間。


少しだけ冷たい夜風。



透真が笑う。


「またみんなで、

こういうのしたいね」


その言葉が。


夜空より、

星より、


ずっと眩しかった。

読んでいただきありがとうございます!

この高校の文化祭豪華だなーと思いながら作っています(笑)

毎日21時に投稿予定です५✍⋆*

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⭐️登場人物紹介:https://ncode.syosetu.com/n5363me/1/

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