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【第5章】第6話「文化祭デート」

―第6話「文化祭デート」



文化祭二日目。


今日は校内公開日。


昨日より少しだけ、

空気が自由だった。


一般客がいない分、

生徒たちも浮かれている。


廊下には笑い声。


写真を撮る女子たち。


軽音部のリハ音。


どこも騒がしくて、

文化祭らしい熱に包まれていた。



「透真ー!」


朝から呼ばれる。


振り返ると、

夕花だった。


今日はクラス当番も少なく、

比較的自由に回れる日。


「今暇?」


「ちょっとだけ」


「じゃあ先に二年見に行こ」


「え、いいの?」


「いいから」


夕花はそのまま透真の腕を引っ張った。



二年フロア。


廊下には派手な装飾が並んでいる。


『お化け屋敷』

『射的』

『メイド喫茶』


一年とは違う、

“イベント感”。


「すご……」


透真が目を輝かせる。


その反応に、

夕花がちょっと笑った。


「ほんと反応いいよね」


「だって楽しい」


その言い方が子どもみたいで、

夕花は少しだけ顔を逸らした。



「いらっしゃいませ〜」


聞き慣れた声。


振り返ると、

喫茶店の呼び込みをしていた和希がいた。


「和希先輩!」


「お、透真くん」


和希は今日、

黒シャツにエプロン姿だった。


妙に似合う。


「入ってく?」


「行きたい」


即答。


和希が笑う。


「じゃあ特等席案内しよっか」


「え、ずる」


夕花が横から睨む。


「だって可愛い後輩だから」


「保護者面がすごい」


「否定しない」



窓際の席。


和希がジュースを置く。


「はい、サービス」


「ありがとうございます」


透真は嬉しそうに笑った。


和希はその顔を見ると、

なんだか満足してしまう。


「文化祭楽しんでる?」


「すごい楽しいです」


「そりゃよかった」


その時。


「和希、

サボるな」


低い声が飛ぶ。


昴だった。


今日は射的担当らしく、

法被姿だった。


「昴先輩似合ってる!」


透真が目を輝かせる。


昴は少しだけ黙った。


「……そうか?」


「かっこいい」


さらっと言う。


和希が吹き出した。


「はい昴ダメージ入りました〜」


「うるせぇ」


でも耳が少し赤い。



その後。


射的コーナー。


「透真、

やってみる?」


昴が銃を渡す。


透真は慎重に構える。


真剣な顔。


でも。


「わっ」


全然当たらない。


「下手すぎ」


薫が後ろから笑う。


「難しいんだって!」


「貸せ」


薫が自然に隣へ立つ。


距離が近い。


「こう構える」


後ろから手を添える。


透真が少しだけ驚く。


「近……」


「うるさい」


薫はそのまま撃つ。


景品が落ちた。


「おお!」


透真が拍手する。


その反応が嬉しくて、

薫は少しだけ笑った。



午後。


軽音部ステージ。


校庭に音楽が響く。


透真と薫は、

少し後ろで並んで見ていた。


風が吹く。


秋空。


ステージライト。


「文化祭って感じする」


透真が小さく言う。


薫は隣を見る。


楽しそうに笑ってる。


その横顔を見ると、

胸が少し落ち着かなくなる。


「……透真」


「ん?」


「お前、

今日ずっと楽しそう」


「楽しいから」


透真は笑った。


その顔に、

薫は少し目を逸らす。


……だから困る。



その頃。


校舎内展示エリア。


「これ、

去年の写真らしいよ」


伊織が静かに説明する。


写真部展示。


風景写真が並んでいた。


透真はじっと見上げる。


「綺麗」


「透真の方が、

星見る時そんな顔してる」


「え?」


伊織は少しだけ笑う。


「夢中な顔」


透真は照れたように笑った。


その空気が、

静かで心地いい。



夕方前。


中庭ベンチ。


「はい」


裕翔が缶ジュースを渡す。


「ありがと」


透真は自然に受け取った。


二人並んで座る。


騒がしい文化祭から、

少し離れた静かな場所。


裕翔は小さく息を吐いた。


「やっと捕まえた」


「え?」


「今日ずっと誰かといた」


少し拗ねた声。


透真はきょとんとして。


それから笑った。


「文化祭だからね」


「……まあ、

楽しそうならいいけど」


本当は。


少しだけ。


自分とももっと回ってほしかった。


でも。


透真が笑ってるなら、

それでいいと思ってしまう。



夕焼けが、

校舎を赤く染める。


文化祭二日目。


楽しくて。


騒がしくて。


でも。


その中心には、

いつも透真がいた。

読んでいただきありがとうございます!

和希先輩のエプロン姿、昴先輩の半被姿がとんでもなく似合う気がするんだ!!

毎日21時に投稿予定です५✍⋆*

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⭐️登場人物紹介:https://ncode.syosetu.com/n5363me/1/

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