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【第4章】第2話 「気づけば目で追ってた」

―第2話「気づけば目で追ってた」


薫は、

高校生活にそこまで期待していなかった。


騒ぐのは面倒。


群れるのも疲れる。


だから教室でも、

基本ひとりでいることが多い。


そんな中で。


同じクラスにいた星宮透真は、

少し変なやつだった。



四月。


昼休み。


透真は窓際の席で、

空を見ていた。


ぼんやり。


でも退屈そうじゃない。


むしろ、

楽しそうだった。


薫は頬杖をついたまま、

なんとなくその横顔を見る。


その時。


「今日雲少ない……」


透真が小さく呟いた。


……何見てんだあいつ。


それが最初の印象だった。



数日後。


放課後。


薫はいつものように天文部へ向かう。


元々、

小学校から仲の良かった

和希先輩がいるから入った部活だった。



静かだし、

居心地がいい。


そこへ。


「失礼します……!」


聞き覚えのある声。


振り返る。


透真だった。


しかも。


「わ……すご」


望遠鏡見ただけで目が輝いてる。


分かりやすい。


和希先輩が笑った。


「透真くん、

星好きなんだよね〜」


「はい!」


返事がでかい。


しかも嬉しそう。


その後ろで、

昴先輩が星図を広げる。


透真はすぐ隣へ行った。


「これって今見えるやつですか!?」


完全に夢中だった。


薫は少しだけ目を丸くする。


ここまで全力で“好き”出せるやつ、

初めて見た。



その日から。


透真は放課後になると、

ほぼ毎日部室へ来た。


窓際で星の本読む。


昴先輩に質問する。


和希先輩に世話焼かれる。


そして。


よく薫にも話しかけてくる。


「薫って星詳しいよね」


「普通」


「普通じゃないよ」


透真は真顔だった。


「この前教えてくれたやつ、

すごい分かりやすかった」


真正面から言う。


お世辞じゃない。


本気でそう思ってる顔。


薫は少し黙る。


「……別に」


「あと優しい」


「は?」


意味が分からない。


透真は首を傾げた。


「だって機材運ぶ時、

さりげなく持ってくれた」


覚えてない。


たぶん無意識。


でも透真は嬉しそうに笑った。


「ありがと」


その笑顔に、

妙に調子が狂う。



教室でもそうだった。


授業中。


透真は窓の外を見ていることが多い。


しかも結構堂々と。


「星宮」


先生に名前を呼ばれる。


透真がハッとして前を見る。


「聞いてたか?」


「……ちょっとだけ」


クラスが笑う。


薫も思わず吹き出しそうになった。


すると透真が、

後ろを振り返る。


目が合った。


透真、

少し照れたように笑う。


その瞬間。


なぜか胸がざわついた。



気付けば。


薫は透真を見ていた。


教室でも。


廊下でも。


部室でも。


笑ってる時。


星の話してる時。


先輩に「透真」って呼ばれて振り向く時。


全部、

自然に目に入る。



ある日の放課後。


部室には二人しかいなかった。


薫は参考書を読んでいて、

透真は星図を見ている。


静かな空気。


突然。


「薫」


名前を呼ばれる。


「……何」


「これ見て」


透真が隣へ来る。


近い。


ノートを覗き込むみたいな距離。


「この星、

今日見えるかな」


目がキラキラしてる。


ほんと、

好きなんだなと思う。


薫は少し視線を逸らした。


「……晴れてれば」


「そっか」


透真は嬉しそうに笑う。


その顔。


真正面から向けられると、

心臓に悪い。



――気づけば目で追ってた。


最初は興味なんかなかった。


ただ同じクラスで。


たまたま同じ部活で。


それだけだったはずなのに。


透真はずるい。


真っ直ぐで。


無防備で。


しかも、

嬉しそうに笑う。


「薫?」


また顔を覗き込まれる。


近い。


薫は耐えきれず、

透真の額を軽く押した。


「近い」


「え?」


「……なんでもない」


透真は不思議そうな顔をする。


分かってない。


こっちはもう、

かなり振り回されてるのに。


挿絵(By みてみん)

読んでいただきありがとうございます!

同じクラスの薫の話。

ストレートに褒められる方が薫の印象に残りそう。

毎日12時か21時に投稿予定です५✍⋆*

続きが気になったら評価やブックマークをお願いします


⭐️登場人物紹介:https://ncode.syosetu.com/n5363me/1/

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