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【第4章】「星に惹かれる」 第1話 「ずっと知ってる」

第4章の始まりです。

この章では各メンバー視点の話になります。

―第1話「ずっと知ってる」



小学生の頃。


夏の夜。


「裕翔、見て!」


住宅街の公園。


まだ幼かった透真が、

夜空を指差していた。


黒髪が風で揺れる。


目は驚くくらい輝いていた。


裕翔は隣でジュースを飲みながら、

ぼんやり空を見る。


「どこ?」


「あそこ!

今光った!」


「え、分かんね」


「もう一回流れるかも!」


透真は本気だった。


小さい頃からそうだ。


好きなものの話になると、

周りが見えなくなる。


夢中になる。


でも。


その顔を見るのが、

裕翔は結構好きだった。



「星ってさ、

落ちてこないのかな」


帰り道。


透真が空を見上げながら呟く。


「落ちてきたら危なくね?」


「でも近くで見たい」


「透真、

絶対触ろうとするじゃん」


「したい」


真顔だった。


裕翔は吹き出す。


「バカだろ」


でも透真は楽しそうに笑う。


その笑顔を見ていると、

なんとなく安心した。



中学で、

透真が引っ越した。


親の仕事の都合だった。


「また会えるよ」


透真は笑っていた。


でも裕翔は、

少しだけ寂しかった。


部活帰り。


空を見る癖だけ残った。


透真がいなくなってから、

なんとなく夜空を見ることが増えた。


星を見るたび、

思い出す。


楽しそうに笑う顔。


夢中で話す声。


「……何やってんだろ」


自分で呟いて、

苦笑した。



高校。


再会した透真は、

少しだけ変わっていた。


背が伸びて。


顔立ちも綺麗になって。


でも。


星を見る時の顔だけ、

何も変わってなかった。


「裕翔!」


嬉しそうに名前を呼ぶ。


その瞬間。


なんかもう、

ダメだった。



「なあ裕翔、

これ見て」


放課後。


天文部帰り。


透真がスマホを見せてくる。


星雲の写真。


「これ、

昨日撮れたやつ!」


目がキラキラしてる。


昔と同じだ。


裕翔は少し笑う。


「ほんと好きだな」


「好き」


即答。


そういうところだよ、

と思う。


真っ直ぐで。


無防備で。


隣にいると、

放っておけない。



「透真」


「ん?」


帰り道。


夕焼けの空。


透真はまた空を見ながら歩いている。


危ない。


裕翔は自然に腕を掴んだ。


「前見ろ」


「あ、ごめん」


そのまま、

少しだけ距離が近くなる。


でも透真は全然気にしていない。


昔からそうだ。


裕翔には普通に触れる。


普通に隣に来る。


普通に笑う。


その全部が、

自分だけのものだと思っていた。


――思っていたのに。


最近、

違う。


部室で。


透真はみんなに笑う。


薫にも。


伊織にも。


先輩たちにも。


夕花にも紬にも。


誰にでも、

あの顔をする。


それが妙に落ち着かなかった。



「……裕翔?」


透真が不思議そうに覗き込む。


近い。


夕焼けが瞳に映っている。


昔から知ってる顔。


ずっと見てきた顔。


でも最近、

たまに心臓が変になる。


「どうしたの?」


「……なんでもない」


裕翔は目を逸らした。


透真は首を傾げる。


分かってない。


全然。


裕翔は小さく息を吐いた。


昔から知ってる。


夢中になると周りが見えないところも。


星を見ると嬉しそうに笑うところも。


危なっかしくて、

放っておけないところも。


ずっと知ってる。


知ってるはずなのに。


最近の透真は、

知らないくらい眩しい。


挿絵(By みてみん)



読んでいただきありがとうございます!

第1話は幼馴染である裕翔視点の話。

毎日12時か21時に投稿予定です५✍⋆*

続きが気になったら評価やブックマークをお願いします


⭐️登場人物紹介:https://ncode.syosetu.com/n5363me/1/

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