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【書籍化】処刑人≪パニッシャー≫と行く異世界冒険譚  作者: きりしま
新 終章 旅路

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4-46:道を選んだ男

いつもご覧いただきありがとうございます。


 イーグリステリアは聖杯を手にして戦う半神だった。【黒のダンジョン】ではダンジョンそのものを利用し、魔法の力がどうのというよりも、そこから発される圧が重くて戦うのに大変な相手だった。


 今、目の前にいるシュンという男はまるでゴミを片付けるかのように、ひとつひとつを処理するようにこちらへ魔法を撃ってくる。周囲の理が押しやられ、杖代わりにしていた感ずるもの(フュレン)は輝きを失い、ラングは体が重くなったと言い、大虎の足も鈍くなった。腕の中でホムロルルが未だ弱ったまま、癒しの泉エリアの水を飲ませようにも氷魔法、炎、風、土、そして空を利用しない雷魔法と多彩にシュンはこちらを攻撃してきた。ツカサは周囲の魔力を使って盾魔法を強化、広げたり、ずらしたり、捨てたりしながら攻撃を防ぐ。


 これらを魔法障壁以外で防ぐのならば、アルとオルファネウルの一撃が有効なのだが、手当ては済んでいるものの、血を多く流したらしいアルは目を覚まさない。何かしらの手段で治したのだろうが、やはり腹部の傷が大きかったのだろうとツカサは思った。


 理の神の加護のないラングには突破するだけの力もなく、将来イーグリステリアやシュンと戦うことを考えると、その手で半神殺しをさせるわけにもいかない。となれば、ツカサがどうにか勝利の道筋を掴むしかないのだ。


 あの時はどうした、ひとつずつ命を剥がしていった。あれはシュンの周りに命があって、シュンの中にひとつにまとまりきっていない命があったからだ。けれど、今はひとつにまとまっていて、剥がすことは困難なように思えた。【鑑定眼】で視えるものもザラザラとしたノイズだけ、名前すらシュンではなく、何か違うものへ変質しているようだった。けれどシュンなのだ。


『【時の死神】! アイデアはないの!?』


 答える声はない。【時の死神】の大鎌で命を(いざな)ったところで、送るべき場所がない。かといって【新しい命の女神】の欠片を集めたとて、生まれてすぐの女神が役に立てるのだろうか。逃げ回り、時間だけが経過していく。


『何か、何かないのかな……!』

『私は理だの魔力だのがよくわからない』


 ラングがアルを落ちないように支えながら、アルの背中に槍を乗せてバランスを取りながら言った。ツカサは容赦なく浴びせられる魔法を右、左、上、下、時に全面と必死に捌きながら叫んだ。


『防いでるから続けて!』

『お前の魔力とやらで出たものが、ショウリの手でも出たことが、気に掛かる』

『何の話!?』

『豊穣の剣。あいつの肉体は人ではなかったのだろう?』


 小麦や大豆が何、と言おうとして、気分転換に会話したことを思い出した。人を傷つけないはずの豊穣の剣がショウリの手を滑らせた祭、その手指をざらりと小麦類に変えて零れたシーンが蘇る。


『魔力を通せば小麦が出る剣、あれは理に属するダンジョンの最下層で手に入れたもので』


 待てよ、よく考えろ、マジックアイテムというものは、魔力を消費するものが多いはずだ。それもまた世界の浄化機構だとすれば、マジックアイテムがドロップするのもわかる。それが人にとって有益なものであれば多く使われる、そういうことではないか?


 ザァっと突然雨のような水が降り注ぎ、雷が飛んできた。強固な魔法障壁を張り、炎魔法を返すついでに雨を追い払う。大虎が息切れを起こした。


『ぬぅぅ! 理が薄い、息が続かん!』

『ラング! 大虎さんに抱き着いておいて!』


 理由はわからないながらそのとおりにしてくれるだけ有難い。アルと槍を抱え込むようにラングは大虎へ腕を伸ばして毛皮を掴んだ。


『多少マシだの』

『どういうことなんだ』

『説明はあとで! くっそ、今までのシュンじゃない!』


 的確に指先を動かし、まるでスマホの画面をフリック入力するような最小限の動きで魔法を行使する。瞬きひとつで魔法を使うシェイの姿が脳裏に浮かんだ。ツカサは豊穣の剣を取り出すとぎゅっと握り締め、ラングにホムロルルを渡した。


『俺だけならシュンは殺せないはず、特攻決めてくる!』

『有効かどうかは不明なままだ!』

『ダメだったら戻ってくるから! 大虎さん、ラングたちをお願い!』

『お主、空は飛べぬであろう!』

『なんとかなる!』


 一か八か、ツカサは大虎の背から飛び降りて風魔法を風船のように置いて、踏んだ。イメージしていたのは足の裏にジェットのようなものだったが、今それをやるのは難しいと思った。魔法障壁で衝撃を防ぎながら、風魔法を踏んで、空を駆ける。できると思った、できた。()()()()()()()()気がして、もしかしたらシュンがこの体に居た時に試したのだろうかと思った。

 何かしらの手段を持っていると判断したシュンはするりと移動を始め、大虎を追った。そこに誰も居なければツカサを巻き込む攻撃はできないのでツカサひとりを相手にする意味はないのだ。判断もまた冷静なものだった。射撃は得意だと言ったシュンの指先が標準を合わせるようにラングを追った。


『大虎! 左に、円を描くように走れ!』

『ええい、ゆくぞ!』


 空を飛ぶシュンの足元へ入り込むように、ラングの指示に従い、大虎が駆ける。シュンはそれをじぃっと眺めながら視線で追い、足元から追い出すように体を移動させた。その先でツカサが豊穣の剣を振りかぶり、飛びついた。


「うわあぁぁ!」


 ガキンッ、と固い音がした。シュンの魔法障壁に刃先を当てたツカサは、そこにある魔法障壁をしっかりと掴んだ。触れられるほど硬ければそれは足場にもなる。そこで魔封じ(待ち針)、シュンの魔法障壁の一部を解き、魔力を弱くして腕を突っ込んだ。ツカサの魔法障壁とシュンの魔法障壁がせめぎ合い、バチバチと激しい火花を立てていた。シュンは哀れむような目でツカサを眺めていた。

 シュンは魔法障壁に入ってきたツカサの腕を自ら掴み、ツカサは自身の魔法障壁の中を通し、豊穣の剣を突き刺そうと素早く隙間に差し込んだ。


「そこで【変換】を使ってりゃ、一矢報いれたと思うぜ?」

 

 ドパッ、と血が飛んだのはツカサの方だった。シュンの魔法障壁が棘のようなものを出し、ツカサの魔法障壁を砕いてその腹を刺し貫く。ツカサは治癒魔法を使い、そのとげとげしい魔法障壁で体を支えさせ、歯を食いしばって豊穣の剣を引き続きシュンの首へ刺そうとした。


「だから、使えよ、【変換】をよ」


 数多の命をそのまま魔力にも変えられるシュンとの圧倒的な魔力差、豊穣の剣はキチキチと音を立ててシュンの首に張られた魔法障壁を越えることはなかった。豊穣の剣に纏わせていた魔封じ(待ち針)がそれを通らなかったのだ。


「出し惜しみすんなよ、そんなんで勝てるほど甘くねぇよ」


 腹部に刺さっていた棘が破裂し、その衝撃でツカサの体が吹き飛ばされた。皮膚と筋肉、内臓の一部を持っていかれた攻撃、空中で治癒魔法を使い、魔力を注ぎ、傷を治す。魔力の服も戻った、風魔法を踏んで落下を防ぐはずが、パッと魔法が使えなくなった。


「お前、魔力がほぼ空なんだろ。爆発を防いだ時もかなり無茶したはずだぜ? 【変換】使えって俺は二度も言ってやったのによ。地面で瀕死になってろ、仲間と一緒に終わらせてやるから」


 周囲から魔力を取り上げられたのだ。クソ、とツカサはシュンに手を伸ばした。


『ツカサ!』


 大虎と共にこちらへ駆けてくるラングへシュンの指先が向いた。魔力が取り上げられたことで理が戻り、大虎は息を思いきり吸って速度を上げた。あぁ、でも、危ない! ツカサは灰色のマントに残る魔力を使って大虎とラング、アルを、ホムロルルを守ろうとした。


「先生!」


 ぐわっと別の方角からユキヒョウとキスクが飛んできた。それに抱き留められ落下を逃れたところで、ユキヒョウの背中を踏んでヴァーレクスが跳んだ。タルワールを大きく下から振りかぶり、その膂力でさらに跳んだように見えた。シュンの魔法障壁で火花を散らしながらタルワールが滑り、ヴァーレクスは舌打ちをして落ちていく。それを拾ったのは大虎だった。


「クソ護衛も来たか。でもよ、突破口ねぇだろ?」


 小さく溜息をついてシュンは大虎へ向かい容赦なく魔法を撃つ。キスクはガクガク震えながらツカサを支え、その衣服が赤く染まっていることにも青くなっていた。


「せ、先生! 大丈夫か!?」

「ありがとう、大丈夫。怪我は治ってる、それより魔力が無くて困ってるんだ。周囲の魔力も取り上げられちゃって」


 え、とキスクはきょろりと周囲を見渡した。


「ええと、集めれば、いいか?」

「できるの!?」

「たぶん……」

「お願い、頼むよキスク! 俺も腹を括らなきゃ」


 しかし、やろうとしていることをするには両手が使いたい。シュンの魔法障壁を引き剥がして、誰が、どうやって、豊穣の剣を刺す。いや、その時に豊穣の剣を咥えてでも、刺してやる。


「キスク、お願い!」

「シャムロテス、頼むからあいつの魔法に当たらないでくれよ!」

「頑張るのであるぅ!」


 キスクは息を吸い、歌を歌い始めた。讃美歌が響き渡り、シュンは眉を顰めていた。しかし、すぐにその音が波長を伴っていき、遠ざけたはずの魔力を呼び戻していることに気づいたらしい。再び押しやっても音は響きとなり魔力がふわりと呼び戻され、広がっていく。視覚的に見えていたのなら、それは海のさざ波そのものだっただろう。


「小技の利く奴がいるじゃねぇか」


 魔法の矛先はキスクに変わった。ツカサは灰色のマントに溜めていた魔力でキスクを守り、ユキヒョウは情けない声を上げながら瓦礫を跳んで逃げ回り、泣き叫んだ。


「はひぃ! はひぃ! 怖いのである! 怖いのであるー!」

「んもぉ、しょうがないんだからぁ」


 蛇は疲れた様子でヴァーレクスの首元から顔を出すと、ヴァーレクスの腕とタルワールにするりと巻きついてボッと燃えた。刀身に焼け付いた蛇の紋様、ヴァーレクスは舌打ちをしながら大虎の背から飛びあがった。魔力圧で空中に浮いたままの瓦礫を踏んでシュンの方へ飛びあがると、上段からタルワールを振り下ろした。また魔法障壁で防げるだろうとシュンはそれをゆっくりと眺めていた。だが、次はそうはいかなかった。ヴァーレクスのタルワールがシュンの魔法障壁と拮抗した後、ビシリとひびが入り、魔法障壁が砕けたのだ。


「なんだと!?」

「理の力を舐めないでよねぇ」


 ふっとその身をタルワールとヴァーレクスから離した蛇はそれだけを言い残して落下していった。ヴァーレクスは自身が落下する前にもう一撃、タルワールを振り抜いてシュンの首を狙った。しかし、即座に再展開された魔法障壁に阻まれ、ヴァーレクスは瓦礫の上に戻った。


「うるさい蛇がようやく取れましたねぇ」

「なんと酷いヒトの子か……!」


 大虎の苦言もヴァーレクスにはどこ吹く風だ。そうしてシュンの気が一瞬逸れている間にキスクの讃美歌は魔力を集め終わっていた。ツカサはそれを掴み、シュンの周囲に円形の魔法障壁を張った。


「閉じ込めるつもりか? 無理だと思うぜ」

「そうじゃないとしたら?」


 圧倒的な魔力量もあり、シュンはかなり落ち着いている。今までにない冷静さでぐるりと見渡すと、ハッと目を見開いて魔力圧を放とうとした。


「遅いよ!」


 ツカサは両手を外側から内側へクロスさせて円形に置いた魔法障壁から大量の魔封じ(待ち針)をシュンへ向けて放った。ガンマナイフ。ツカサが地下で受けたそれそのものを撃ち返したのだ。シュンが集めた命はシュンのもとへ、それから零れた大量の魔力は空気中に、ツカサはシュンが集めて留めていたものを武器として扱った。


「歌い続けて!」


 キスクは讃美歌を歌い、魔力をツカサへ提供し続けた。ツカサはその場にシュンを留めさせ、全面から魔封じ(待ち針)を一点集中で打ち込むために腕を引き続けた。拮抗している。あと一手欲しい。シュンの気を逸らすもの、シュンの魔力を一瞬でいい、封じるもの。腰の後ろでマール・ネルが叫んだ声に臍を噛む。手が離せない。


「ヴァーレクス! マール・ネルを!」

「ッチ、私に剣を振るわせろ、小僧!」


 【変わらない】ヴァーレクスならば、マール・ネルを扱っても副作用はない。ユキヒョウが瓦礫に飛び乗り、ヴァーレクスはツカサの後ろからマール・ネルを奪った。


『ラング! 豊穣の剣を!』

『大虎! 寄れ!』


 手が足りない、もう、こうなればラングに頼るしかない。やるしかない。やってもらうしかない!


「やめろ……!」


 アルがラングの腕を掴んで止めた。


「俺が、やる。ラングは、将来……あるだろ……!」


 ツカサが一瞬アルに迷いを見せた隙をついてシュンが少し押し返した。再びツカサは腕をクロスさせるように強く魔封じ(待ち針)の束を引き、シュンと戦った。


『お前より私の方が動ける! 時間を掛けるな! あいつが動く!』


 ツカサの手から豊穣の剣を奪い、ラングが手に馴染ませる。アルはだめだと叫んだ。そこでシュンが内包する命をいくつか消費し、ツカサの魔封じ(待ち針)を押しやり、余裕を持った。


「ご苦労さん、でも、時間切れだ」


 ビシッ、とひび割れる。ツカサはキスクの歌で波長を合わせられた空気中の魔力を再び注ぎ込んでそれを直した。魔力だけでは足りない、使うしかない。ツカサはその場にある魔力も、戻ってきている理も噛むようにして【変換】を使った。空気を通してシュンの魔力をツカサのものへ【変換】するようにすれば、シュンはようやくかと言いたげに内包する魔力で延々と【変換】に付き合う姿勢をみせた。やがて負荷に耐え切れずにツカサの脳が焼き切れる。そうわかっているのだ。

 相手の力が強大であればあるほど、ツカサの【変換】は体を変えていく。右目がチリチリと熱くてたまらなかった。人間でいたい、人間をやめかけるなんて、二度と御免だ。けれどこれを乗り越えなくては欲しい未来は手に入らない。


「く……そ……!」


 ブツン、と右目の奥で何かが切れた。鼻血が零れ、ぐるりと視界が回る。ガラスの割れる音、肌を焼くような風、その場にいた者たちが吹き飛ばされる感覚。ツカサは見えない視界の中、灰色のマントに残ったもので皆を庇った。ツカサは赤く、白く焼けていく視界の中、美しい魔力のさざなみが一瞬仲間たちを包んだのを見て、吹き飛ばされた。


 ――ざり、とツカサは自身の前に降り立ったものを感じていた。右目が痛くて開かない。左目だけでそこにあるものを見れば、誰かの足だった。


「覚悟を決めりゃ、こうまでも簡単だったとはな。道理でお前が強いわけだぜ」


 シュンの声だ。ツカサはゆっくりと顔を上げた。こちらを見下すのではなく、しっかりと目を向けて、シュンはツカサを見ていた。


「お前のことは殺せない。でも、仲間は別だ。わかるよな?」

「……よ、せ……!」

「お互いわかってんだろ、どちらかが死ぬまで、もう終わんねぇってさ」


 シュンはゆっくりと足先をツカサから別の方向へ変えた。その先には倒れ伏したキスクがいた。


「器用な奴から片付けておかねぇとな」


 だめだ、キスク、巻き込んだのは俺だ。どうして逃げなかった、キスク。ツカサの脳裏にキスクとの思い出が駆け巡る。動け、体、動け! 治癒魔法を使おうとして灰色のマントにもどこにも魔力がないことに気づいた。理は多少ある、【変換】して、して。ツカサの意識がぐらつき、瓦礫に寄り掛かっていた体がずるずると落ちていく。


「キスク……、ねが、い、だれ……か」


 守って、とツカサは悔し涙が流れた。その声を、涙を肩越しに見遣ってからシュンはキスクの前に立った。


「ツカサに選ばれたことがお前の不運だったのか、それとも、お前が望んでその立場にあったのか、俺にはわかんねぇけど。……ま、さよならだ」


 ゆっくりと持ち上げられた腕。指先に魔力を溜め、シュンは苦しませず、抵抗をさせずに殺すことを優しさとして示そうとした。その腕を掴んだ男が居た。血まみれ、息も絶え絶え。それでも射竦められるような、強い黒い眼差し。


「……俺は、お前に、触れるんだな?」


 ニッと笑うその口元に、シュンもまた笑い返した。緑色の槍を突き出されてシュンはふわりと距離を取った。


「動くなって、死んじまうぞ? せっかく()()()やったのによ」

「勝ちたきゃ、あのまま、俺を死なせて、おくべきだったな」


 ふらり、揺れながらも強く足を踏み込んで体を支え、アルは槍を構えた。


「息の根、止められるまで、戦うぞ、俺は」

「知ってるって。……俺が【変換】を手に入れたら、この世界を【変換】したら、ダンジョンたくさん作ってさ、お前と冒険するつもりなんだ」


 煙と炎の残滓を抱いた風がゴウと駆け抜け、邪魔者のいない時間を作っていた。アルは少しだけ思いを馳せて小さく笑った。


「ははっ、楽しそうだ。でもな、今、仲間が殺されるのを、黙って、見ていられないんだよ、俺は!」

「だろうな。だからお前がいいんだ」


 音もなく振るわれる槍、シュンはそれを魔法障壁と距離で回避し、アルの体力の限界を待った。


「うおおぉぉ! オルファネウル!」


 ひらく。その特性は魔法であろうと、魔法障壁であろうと、盾であろうと有効だ。だが、選ばれし使い手であっても体力と気力を持っていかれる。振り下ろした槍の勢いを傷ついた体で支えきれず、アルは無様に瓦礫へ倒れ込んだ。槍だけは手放さず、意識を失った男を少しの間眺めてからシュンは小さな溜息を零しながら肩を竦め、キスクへ向き直った。その先でキスクの襟首を噛んで引き摺って行く獣が見えた。尻尾をぶわっと広げ、獣は速度を上げてキスクを引きずっていく。


「はひぃ! 見つかったのである!」

「何してんだ……、動物は結構好きだから殺したくねぇんだけど?」


 魔法障壁でキスクと獣を引き剥がし、器用にキスクを手繰り寄せると次は躊躇なくキスクをそのまま焼き殺そうと、したところでゾッとした。魔法障壁があっても首を斬られるような恐怖があって、思わず首を押さえた。両手を眺め、動くことを確かめ、振り返ったそこに剣が叩き込まれた。


「お前……! やっぱりお前かよ!」

『うううおおおぉぉぉ!』


 雄叫びを上げながら、()()()()()()に黒いシールドの男がシュンに()()()()()()



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― 新着の感想 ―
兄...なのか...⁉︎
アルがいい奴すぎてそりゃシャンも懐いちゃうよね〜 わかるよとなってました笑 朝電車で読みながら、ツカサ人間辞めちゃったの? ラングまさか!?えっ!? 怒涛の展開で混乱してます笑 うわ〜続き楽しみにして…
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