#3 巫女登場
それから制服を着た女の子は僕ら二人を路地裏まで案内した。
面と向かった瞬間、二人同時に気づく。
「渡部くん!?」
「神宮寺さん!?」
真宮寺綾子。
―どっかの偉い神社か寺の娘。
バナナの皮ですっ転んだ女子生徒は、その程度の認識のよく喋ったこともないクラスメイトだった。
「お二人はお知り合いなのですか」
「ああ。クラスがおんなじなんだ」
本当にそれだけ。
クラスが一緒というだけで、クラブも別、サークルや趣味の合う友達でもない。
美人で勉強もできると学校では評判の彼女と、平凡な僕との接点など今までなかった。
「そんなことより!どうして渡部君が死神なんかと一緒にいるのよ。
もしかして渡部くん―」
目配せをするとサンディは頷いた。
言っても良いということだろう。
「自殺したんだ。昨日の夜。」
―絶句。
そうとしか言いようがないくらい神宮寺は驚いているようだった。
そりゃそうだろう。
いくら接点がなかったとはいえ、クラスメイトの突然の訃報。
しかも本人からの。
驚かないほうが間違っている。
「で、僕からも聞きたいんだが。なぜ神宮寺は僕達のことが見えるんだ」
「…私は、巫女なんです」
―巫女?
巫女さんってあの元旦から正月末まで神社で働いてる
おみくじやお守りを売ったりするあの巫女さん?
てっきりただのバイトで本物なんていないと思っていた。
ということは彼女は”本物”の巫女になるのか。
サンディが混乱した僕に助け船を出す。
「例外があるんですよ。システムに例外はつきものですから。
大別すると、見える人間と見えない人間にわかれるんです。
見えないのが普通で、彼女のような見える人間は例外ですね。」
生きながらにして死後の世界が見える人間。
それが巫女の資質なんです、とサンディは言った。
「渡部くんが亡くなったのはみんな知ってるの?まだだよね」
昨日の晩からあの家に来たものはいないだろう。両親はどちらも仕事で不在だ。
「ああ。誰もしらないはずだよ」
「なら私警察に届けてくるね。いいでしょ?」
サンディに目配せする。
「私からもお願いします。発見は早いほうがいいでしょうから」
たしかに。
冬場でよかったな、と僕は他人行儀に思った。




