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#4 幽霊社交会

 じゃあね、と声を残し神宮寺が去っていくのを見送った後、僕はサンディと別れた。

なんでも霊界に用事があるらしい。

また、今日の夜廃病院で幽霊たちの社交会があるという。

そこに出席するよう勧められた。

社交界は夜中なのでそれまでの時間、僕は一人幽霊であることを存分に楽しんだ。

まずは鳥の姿になり大空を飛ぶ。遮蔽物など気にすることなく、自由に、飛ぶ。

人の家に勝手に入っての覗き身。

なんてことのない他人の日常を見るだけだったが、楽しい。

楽しいと思えた。

確かに現世にほとんど干渉できないのは寂しい。

だが、自由だ。圧倒的に。

幽霊としての生活は無能だったあの頃を忘れさせてくれる。

――本当に、死んでよかった!

 そうこうしているうちに日が暮れ、夜が始まった。

夜の時間。幽霊たちの時間。

廃病院の場所はすぐに分かった。

名前は忘れたが、巷ではでると評判の病院だったし、なにより

ポツポツと青白い光を帯びた者達が一点を目指して集まって行ったからだ。

 いまや廃病院は幽霊たちで溢れ返していた。

幽霊たちは代わる代わる自己紹介をする。

主には名前と死因。

それぞれが暗い顔つきだったりあっさりとだったり、思い思いに喋っている。

自分の番が来た。

「渡部京市です。死因は自殺。幽霊になれてよかったと思っています。」

少し不謹慎だが、素直に今の心境を告白した。

 そうこうしているうちに、挨拶が終わり雑談タイムに入った。

どうやら、他に僕のように自殺した霊はいなかったようだ。

そのことが珍しかったのだろうか、一人の少女が声をかけてきた。

「ねえねえ。幽霊になれてよかたって、本気で思ってんの?」

そっちのほうだったか。

最上ゆず。

死因は事故死。

車の助手席に乗っており、運悪く自分一人だけが死んだと言っていた。

「ああ。良かったと思ってるよ。少し寂しいけど、自由だしね」

「あー!それ私も思ってる!すごく自由だなって。」

「お父さんやお母さん、友達にも悪いかなって思うんだけど、自由なんだよね幽霊って」

言って、鳩の姿に変身し飛び回る。

そしてポンっと、元の姿に戻る。

「こんなこともできちゃうし」

「事故死した幽霊はいつでも成仏できるようだから、当分この姿で遊びたいなって」

「…あんまり悔やんでないんだ?」

「うーん。そうでもないんだけどね。けどまあ、死んじゃったもんは仕方ないかなって」

凄い割り切りだ。

「で、僕と遊びたい?」

「そうそう! 幽霊になってよかったーって言ってたもんね、えーっと」

「渡部京市だ」

「そうそう、京市さん」

「じゃあ二人で外にいこうか。夜は僕達の時間だ。」

「うん!」

そこからは二人で遊んだ。

書くときりがないくらい、遊んだ。

―と、僕を呼び止める声が聞こえた。

サンディの声だ。

「そういえば京市さんは死神憑きなんですよね」

「ああ。自殺しちゃったからね」

サンディが近づいてくる。

押し黙り、青の表情は暗い。

「サンディ?」

「…京市さん。あなたの葬儀に我々も参加します。拒否権はありませんよ。」

その彼女の一言で、楽しい時間は終わりを告げた。

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