狙われた翠花と麗孝の秘密 3
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半刻後。
「出ないわねえ」
「出ないですね」
「出なくていいですよー」
翠花、明明、小鈴が三者三様――いや、翠花と明明はともに残念そうなので、三者二様の反応を示す。
庭園の中やその周りをぐるぐると歩き回っては見たものの、幽鬼らしい影は発見できなかった。
(うーん。やっぱり、美雨が着飾った女性の姿を見たっていうのは嘘だったのかしら?)
これで一つ、美雨が桑才人から欧美人へ鞍替えした仮説への信憑性が近づいた。
だが、そうだとしても、すでに可欣が自分がやったと自白している以上、その裏にある真実を追うのは難しいかもしれない。第一、それは翠花の役目ではないのだ。ただ、気になるだけで。
(容疑が晴れたから当初の目的は果たしたわけだけど、なーんか、もやもやするというか、気持ちの悪い事件だわ)
いっそのこと、本当に幽鬼が出てきた方がすっきりするくらいだ。
「少し場所を変えてみる?」
「まだ探すんですかー?」
「林杏から許可をもらった夜半まではまだ時間があるからね」
小鈴は帰りたそうだが、次にいつ林杏から外出の許可がもらえるかわからないのだ。許された時間は最大限使いたい。
「そういえばさ、師才人と肖才人の話では、桑才人は庭園で何かを探していたって言うじゃない? ついでに探してみる? ああでも、桑才人が庭園で探し物をしていたのは、雨の日の翌日だったって話よね。雨の日の翌日に何かあるのかしら?」
「雨の日の翌日って言えば、茸がよく生えていますよね。香菇とかを探しに山に入ったことがあります。雨が降ったあとは茸が顔を出すんだっておじいちゃんが言っていました」
「確かにね。茸かぁ。春の茸も美味しいわよね。何か生えてないかしら?」
「さすがに夜の茸狩りはお勧めしませんわ。間違えて毒茸を採ったら大変ですもの」
明明に止められて、それもそうねと翠花は茸探しを諦めた。
毒茸の中には、ほんの一口かじっただけであっという間に死に至るような猛毒をもったものもあるのである。暗闇では毒茸と食用茸を見合分けるのも大変だ。
「庭園の中にはいなさそうだし、欧美人の宮までまた戻ってみる? 案外、燃え落ちた宮の周囲をうろついていたりして」
「それでしたら、見張りの宦官が発見しているのではないですか?」
「明明の言う通りですよ。翠花様、もう諦めましょうよ。鬼なんていませんってば」
「そうかなぁ」
翠花ががっかりと肩を落としたときだった。
がさがさと庭園の奥の方から物音が聞こえて、小鈴が勢いよく振り返る。
小鈴が手に持っていた提灯で奥を照らした。
翠花と明明も小鈴が振り返った先に視線を向け、ひゅっと息を呑む。
「で、で、でたあああああああああ‼」
小鈴の絶叫がほとばしった。
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