第165話-4 数が多すぎても、救援はない以上、自分達でやり抜くしかない
『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):
(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/
(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。
そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。
詳しくは本編を読み進めて欲しい。
そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。
一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。
そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。
「中抜きにはならない。」
傭兵のリーダーと思われる人物は冷静に言う。
これがアーサルエルの挑発であることは簡単に見破ることができる。
だけど、アーサルエルが油断しているようには感じない。
なぜなら、アーサルエルはすでに、いつでも二丁拳銃を引き抜いて、こちらを攻撃できるような体勢となっているからだ。
ゆえに、アーサルエル本人であると同時に、実力者であることが分かる。
ほんの僅かなことなのであるが、それを見破ることができるだけ、傭兵のリーダーと思われる人物は戦い慣れをして、それを自らの糧にすることができている、というわけだ。
相手の土壌に無理矢理に乗るのは、危険であり、乗るならそれなりの覚悟を要することなど分かり切っている。
未来のある一地点のことなので、完全に分かっているようなことはできないのだが、全く何も分からないということはない、ゆえに、ある程度の予想というか推測を経験則から導き出しているのだ。
不安定なものであるからこそ、ある程度の決めつけにならない程度の定めるということは、自身の精神を安定させことに繋がり、自身の混乱状態から僅かの間もしくはある時まで逃れることができるものとなろう。
そして、アーサルエルの方も、傭兵のリーダーと思われる人物の雰囲気というのが若干変わったことに対して、見逃すことはなく、しっかりと理解する。
(こいつは戦い慣れていると見て良いな。さっきも考えたが、俺らの戦力なら時間さえかければ、倒すことはできる。目の前の奴が一番強そうなのは分かる。そして、こいつは、俺が引き受けるしかないだろう。他の奴でも時間をかければ倒せるが、その間に、スラム街の人間が殺されていくのは忍びない。というか、すでに、このようなことを言葉にして言える立場じゃない。完璧など求めても仕方ないのだから―…。)
アーサルエルは分かっている。
自分の思っている完璧、そう、ここではスラム街の人間が誰一人として殺されることなく生き残り、衛兵や領主側に雇われている人間を制圧し、領主を降参させ、スラム街の者達の要望が達成されることを約束させることだ。
だけど、すでに、この場に到着した時点でプランは崩壊してしまっているのだ。
なぜなら、スラム街の人間の中には、衛兵や領主側に雇われた者達によって殺され、命を奪われた者達がいるし、もう助かることがない者達さえいるのだ。
この世界が残酷だと思うのなら、何も間違っていないだろうが、優しく恩恵をもたらすものであることを忘れてはいけない。いろんな顔を持っていると表現するのであれば、この表現は人だからこそできるものかもしれない。いや、他の生物にも似たような表現はあるのかもしれない。そうだと思うと、人という生き物は結局、個性のあるどの生物とも同じ分類になるだろうし、他の生物との違いも持ち合わせている、と言っても過言ではない。
共通性と違いが同居する、それが物事の一つの本質かもしれない。
違いは生き残る可能性を生み、共通性が自分以外のものを理解する可能性を示す。
要は、そんなものだ。
さて、話を戻すと、アーサルエルはプランが崩壊したことによって、この場で傷ついて、動揺することは御法度であることは重々承知しているはずだ。動揺なんてしていれば、相手に隙を見せることになり、隙を突かれて、自身を不利へとしてしまうのだ。相手に隙を見せないのは、原則であり、相手の動揺を僅かでも誘うには必要なことなのだ。自身が見せる隙というものは絶対に、罠だと思わせ、逆に、思わせないようにしないといけないのだから―…。ケースバイケースであろうが、状況によって、まるで真逆の判断を下さないといけない。
人は完璧にも完全にもなれない存在である以上―…。
アーサルエルは、動揺することもなく、いや、もう一つの可能性として、自分の思い通りにならないのが日常であったからこそ、心が慣れてしまっているのかもしれない。これは、アーサルエルの心の中、ということになろう。
「そうだと良いな。まあ、俺らにはならない方が都合が良い。」
アーサルエルもずっと会話しているような暇はない。
アーサルエルは、部下ではないが、メンバーに自分が年長であり、かつ、経験が長く、実力が上である以上、命令に近いものを発さないといけない。
大事なのは、衛兵以上に領主に雇われた傭兵をしっかりと倒すことなのだ。
さらに、領主はサンバリアから何らかの最新兵器を購入しているという話であり、可能性としてあるものが浮かぶかもしれないが、アーサルエルが見たこともない兵器である可能性を完全に拭えない以上、領主に雇われた傭兵との戦いで、天成獣から借りられる力の量を完全に消費するようなことはできない。
絶対に―……だ。
そういう意味では、時間をかけるのも危険な選択肢ではないだろうか、という気持ちになってしまってもおかしくはないが、アーサルエルがそこまでゆっくりと考えている時間に余裕があるわけではない。
ということは―…。
「アイラ!!! リガ!!! エンゲル!!! お前らは実力のある奴らから倒していけ!!! 俺は、この喋りかけた奴の相手をしてる―…。そして、「若大将」よ、ここから離れて別ルートから領主の館の中へと入ってもらう。領主側が雇った傭兵がいるかは分からないが、ここは俺らが抑えるから、さっさと向え!!!」
「はい!!!」
アーサルエルが言いたいことは兎に角、自らの側の犠牲を最小限にすることだ。
その方が後々、得になることが多いと判断しているだろうし、人材の損失ほど、最悪なことはないのだから―…。
人という存在は未来を全て予見することができない以上、どうしても選択肢を増やしておく必要があるし、選択肢の減少を大きくしないようにしておくことが大切なのだ。
この理由は言わなくても分かる人は多いだろうが、人という可能性を完全に理解できるわけではない以上、何が起こるのか分からないので、もしも今後にとって重要な人物になったり、利益になる人物になってくれたりするかもしれないのだから、生き残りの数が多いことに越したことはない。
最後の一兵まで命をかけて戦うことを本気で実践させようとしているのは、危険なことでしかなく、自分が犠牲になる気もないのに、他者に強要する人間は信用してはならない。
そういう人物は、自分勝手なことで、他人の足を引っ張り、社会や国家、組織を崩壊させることに気づかないどころか、崩壊しそうになったとしても、自分の責任だという念を感じることなく、他者のせいばかりして、問題の本質から目を逸らすだけの愚か者でしかないのだから、そのような人物を上にしたり、関わったりするのはなるべく避けた方が良い。
ゆえに、人の言葉と同時に、行動を見ないといけないし、過去のおこないというのは特に重要になる。そして、その判断のために、普段から勉強などのように、いろんなことを学ばないといけないし、学んだことが本当に正しいのかを考え続けないといけない。これは同時に、世界を広げるための役割を担っており、人類が生き残るためには必要なことなのだ。
過去から今へと生きている生物が常に、そうしているように―…。
そして、アーサルエルの言った言葉を聞いた「若大将」は、アーサルエルの言っていることに対して、すぐに考えるような時間はなく、返事をして、言われた通りに動くしかない。
勘の類なのかもしれないが、慣れている人の言葉を聞くのは、失敗する可能性を少なくする上でかなり有効なものであるのは確かだ。それでも、完全に失敗から逃れられるかと言えば、それはない、ということになる。
その理由は何度も何度も言っているので、省略する。
そして、「若大将」と呼ばれている人物は、すぐに指示を飛ばす。
「逃げろ!!!」
そう言いながら、逃げようとする。
だけど、それを許してくれるほど甘くはない。
「逃がすか―…。指示できる人間は―…。」
領主に雇われた傭兵の中でリーダーと思われる人物は、すぐに、アーサルエルの視点から離し、「若大将」と呼ばれる人物のもとへと向かい、すぐにでも殺そうとする。
指示できる人間が生きていると、纏まられる可能性があり、それは自分達にとって武力で弾圧することができるけど、アーサルエルがいる以上、何かしらの理由で、こちらの目が向かない場合もある。
そうなってしまうと、「若大将」と呼ばれる人物を中心に纏められてしまい、領主へと到達される可能性がある。それは何が何でも避けないといけないこと。
ゆえに、動き、狙う。
だが―…。
「!!!」
一筋の何かがリーダーと思われる人物の顔の近くを横切る。
それも、リーダーと思われる人物の目で見える場所であり、近くを―…。
リーダーと思われる人物は、何かしらの自身の危険の予感を感じたので、止まり、何とか回避することができた。
そして、リーダーと思われる人物は、アーサルエルの武器が二丁拳銃であり、銃撃を得意とするのを思い出す。
何も忘れていたわけではない。
優先順位のことを考えてしまっており、そのせいで、頭の片隅に追いやってしまい、見落としてしまっていたのだ。
ゆえに、これ以上、「若大将」と呼ばれる人物を追うようなことをすれば、アーサルエルに確実に仕留められる可能性があるので、アーサルエルと戦わないといけないことから避けることができなかった。
アーサルエルの方へと視線を向ける。
「残念だったなぁ~。」
アーサルエルは挑発するように言うが、これが通じないのは分かっている。
だけど、相手の方は「若大将」と呼ばれる人物を逃がすようなことをしてしまった以上、悔しさというのもあり、少しでも、相手側にダメージを与えることができるだろうと、判断したのだろう。
なぜなら、人は思っている以上に、感情に左右される生き物であり、理性をはたらかせて何とか上手く調整させているだけに過ぎないのだから―…。
そうである以上、感情が反応する言葉というのは、ある意味で相手に効果がある、ということだ。無意識にダメージを与えたり、という面で―…。
「そうだな。」
領主側に雇われた傭兵のリーダーと思われる人物が素直に認める。
ここで、否定するも悪い選択肢ではないが、ここでは相手が思ってもみなかった返答をすることによって、相手側の動揺を誘うことにしたのだ。
それでも、アーサルエルに通じるかと言われれば、通じないと思っているが、念のため、という感じで―…。
そうであるからこそ、アーサルエルの表情の変化がなかったことで、自分の言っていることで動揺を誘うことができなかったことを理解する。
お互いに、駆け引きをおこなっており、それは見る者が見れば分かるものである。
そして、領主側に雇われたと傭兵の中のリーダーと思われる人物が、表情を必要最低限、この場で間違わないように変化させながら、続ける。
「アーサルエル。お前の考えはある程度読める。俺の動揺を誘うつもりだろうが、こっちも慣れているので、そのようなことを言っても意味はない。それに、スラム街の人間たちを逃がそうとしているようだが、素人の集団が簡単に逃がすようなことはできない。そっちは天成獣の宿っている武器で戦えるのが四人、私たちはその倍以上はいるのだ。優位はこっちだ。」
自信を持った言い方をしているが、この人物からしてみたら、自信などあるわけもないが、それをここでは出すようなことをしてしまえば、アーサルエルの実力を十分出させてしまう結果にしかならない。
そのようなことは絶対に避けないといけない。
戦闘で一番大事なのは、相手の実力を発揮させないようにしながら、自分の実力はしっかりと発揮させ、敵という名の相手をしっかりと戦えないようにすることだ。戦う前に勝利ができるのであれば、そっちの方が良い、というのはかなり真面な考えであり、将来の人材を喪失しないで済むのだから、良い判断と考えることもできる。
合理的な判断という人もいるが、本当の意味で合理的かどうかを判断することはできないであろう。すべての選択肢を見つけきれているわけでも、これで全てだという根拠もないのだから―…。
さて、領主に雇われた傭兵の中でリーダーと思われる人物は、数の優位を強調する。
ただし、天成獣の宿っている武器を扱う者の数ということに限定して―…。
そして、自分の方から数を曖昧にして、相手にどれだけの数がいるかを把握させないようにしながら―…。
そうすることによって、アーサルエルの動揺を誘えれば良し。
そういう意味では、常に相手の油断を作り出そうとしているわけだ。
まあ、上手くいく可能性は低いと見ている。
ネガティブな考えは、時に、自分の気持ちを落ち込ませることもあるが、一方で、マイナスなことが起こったとしても、落差を限りなく少なくすることができるのだ。
そういう意味では、最悪の事態を考えているからこそ、上の人間としては間違っていないのだろう。
希望ばかり、強い言葉ばかりを言っているだけが本当の意味で、リーダーとして資質とはならないのだ。詐欺師だって、強い言葉やハッタリぐらいのことはするであろう。
なので、人というのは、言葉だけでなく、行動をも基準にして判断しないといけないのだ。自分の目が正しいとは完全に思うことなく、時に自分さえも疑いながら―…。
辛いことであろうが、人という存在である以上、逃れることはできない。
アーサルエルの方は―…。
「そうか、だけど、俺の後輩も決して弱くはない。」
(アイラ以外は―…。)
決して、自分達の弱点になっていること以外は、言わないようにする。
心の中では言ってしまうであろうが―…。
第165話-5 数が多すぎても、救援はない以上、自分達でやり抜くしかない に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていきたいと思います。
次回の投稿日は、2026年3月12日頃を予定しています。
明日(2026年3月11日)は、いつもの時間に投稿することができない可能性の方が高いので(「小説家になろう」さんのところがグループメンテナンスの時間と重なっているので、お休みさせていただきます。
では―…。




