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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
766/811

第160話-5 イスドラークへ

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 場所は変わって、イスドラークの近く。

 瑠璃たちが略奪団との戦いを終えて、三日の時が経過した。

 瑠璃たちが護衛しているキャラバンの目の前には、大きな都市が見えるのだった。

 キャラバンの先頭にいるキャラバンの長であるミグリアは、その大きな都市を見つめ、その都市の形状から―…。

 「イスドラークが見えたぞ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 大きな声を後ろの方に向かって言う。

 その言葉は透き通るものであるかのように響く。

 ゆえに、多くのキャラバンで行動している者が内容をしっかりと聞きとることができたのだ。

 そう、イスドラークに到着することを―…。

 先頭の方にいた李章は―…。

 (これがイスドラークですかぁ~。砂漠の中にあるオアシスのように見えますが―……。)

 このイスドラークの光景に感動しているのであるが、一方で、李章は気づいていない。

 イスドラークという都市は、都市の近くに大きな川があり、そこから水を得ているし、その水が都市を成り立たせている。

 その川を李章からの距離では見ることができないのだ。

 そして、石を材料として建設された街並みが一望でき、その中には圧倒的な規模と異彩を放つ建物があるが、その建物に気づいたとしても、それが何であるのかを問うようなことは、今の李章にはできない。

 イスドラークの景観に見惚れているような感じになってしまっているからだ。

 そうである以上、細かいことを聞くような野暮なことはしないし、できない。

 その光景に見惚れるような感じで発生してくる余韻というものに浸っていたい。その気持ちが強いのだ。

 要は、言葉を忘れる、そんな感じだ。

 李章がぼけぇ~とした表情になるのも分からないことではないと思いながら、ミグリアの方は暫くの間、李章を放置するのだが、そうであったとしても、この都市の現状がどういうものであるのかを知っているからこそ、「美しい都市」とも呼ばれるが、「鬱苦(うつく)しい都市」と揶揄されする。「うつくるしいとし」と後者は読んで方が読み方には正しいのだが、敢えて「る」の読みを削除することによって、かけているのだ。美しさの中に、人々の苦しみがあるのだということを―…。

 「美しい」と唱えるものは、「醜い」を嫌う。特に、見た目の方なのであるが―…。

 だけど、美しさも醜さもまた、人からみた主観的なものに過ぎず、人によって変わるだろうし、一方的に、押し付けることができたとしても、それには限度というものが存在し、その限度を超えるようなことをしてしまえば、不幸が襲う可能性も十分にある。

 その理由をここで説明することはできないが、そうであったとしても、誰かの美しいという評価が、別の人にとっては醜いという評価になったとしてもおかしくはないということである。 

 さて、話を戻し、そろそろ李章にも声をかけた方が良いと判断したミグリアは―…。

 「李章、イスドラークの景色に見惚れるのは構わないけど、護衛の仕事はしっかりとしてもらわないと困る。」

 「あっ、すいませんでした。イスドラークの景色に見入っていました。」

 李章は、ミグリアの言葉を聞いて、自分がイスドラークの景色に美しさに見入ってしまったことを申し訳なく思うのだった。

 李章からしたら、そのような気持ちが今は護衛という仕事なので、ないのだと思っていたが、実はそうではなかったということに気づかされるのだった。

 そうであるからこそ、李章はミグリアに対して申し訳なく思うのだった。

 グロリーガもこの光景を見ながら―…。

 「少年。あの都市の美しさに見惚れるのは構わないが、あの都市は見た目のようには美しくはない。もしも、美しいままで思いたいのなら、イスドラークの闇には触れるな。それが幸せでいられることだ。」

 グロリーガが言っていることは、李章に対する警告であろう。

 李章が見たのは、イスドラークという都市の景観の一部であり、中身ではないからだ。中身を見てしまえば、決して、美しいという言葉が一切、でてこなくなるだろう。

 グロリーガもこの一帯で略奪団をやっているのだ。イスドラークに関する情報を知っていたとしてもおかしくはないし、裏の一部に関しても知っているつもりだ。

 イスドラークのすべてを知っているわけではないとここで述べているのは、人は情報を把握するのに時間を消費しており、かつ、情報を手に入れる期間には始まりの時と終わりの時が存在し、その間に時間の消費という性質を持っているがあるという有限の状態が存在するからである。

 ゆえに、得られる情報には限度があり、すべての視点になるようなことはない。人も移動する時に時間を消費しているし、聞こえる空間というものに限度がある以上、どうしても、完全に把握することができないということから逃れることができないのだ。

 だからこそ、範囲のある情報から判断しているだけにしか過ぎず、間違うということから、最悪の判断をするということから逃れるようなことはできない。

 そして、イスドラークの中身を知っている者からすれば、それは結局、見かけの美しさでしかない。中身がないのだ。

 ゆえに、本当の意味で、心の奥底から美しいと感じることはできない。

 人は自らの集めた情報でしか判断を下すことができないことを証明している感じなのだ。

  (…………………………………………………………………………………………………………。)

 李章には、グロリーガの言っていることの意味が分からなかった。

 だけど、グロリーガの言っていることを無視するようなことができないということには、気づいていた。

 「緑の水晶」が教えてくれるわけではないが、グロリーガの言っていることが嘘を言っているようには感じられなかったからだ。

 それでも、それがどういう意味かはまだ、分かり切っていない。

 「念のため、気をつけておきます。」

 そういう言葉しか出なかった。

 (まだ、分かっていないのだろうな。だが、完全に聞かないということを選択しなかったことだけは、ラーグラよりはマシだな。少しは柔軟性というものを身に付ける機会でもあったのだろうな。)

 グロリーガは、李章をそう評する。

 李章の経験の具体的なところまでを読むようなことはできないが、ほんの僅かな言葉から出てくる言い方から、それなりの苦労はしているのだろうな、ということができるし、その経験から柔軟性が重要なのではないかと気づく機会があったのだろう。

 そのように感じるぐらいには、グロリーガも人を見る目があるということだ。

 そして、李章にこれ以上、言うべきことはないなと思い―…。

 「そうか、そうしてくれると助かる。」

 そんな返事で、二人の会話は終わるのだった。


 一方で、キャラバンの中―…。

 ラーグラはイスドラークへの到着の声を聞き―…。

 (……イスドラークか。姉ちゃんが最近あの兵器を領主に売ったんだよなぁ。あの時、イスドラークの領主に会ったけど、ここでイスドラークの貸しを作ってしまうのは仕方ないが、ここから逃げ出し、領主を誑かすことができれば―…。あの兵器に敵う人類なんてサンバリアの一部にしか存在しない。)

 ラーグラは悪だくみを考えるのであるが、その前に、ここから逃げ出すことを先に考えた方が良いだろう。

 そんなことは、ラーグラ自身も百も承知であるが、それでも、後先のことを考えないと、希望を持っていられるようなことができずに、精神的な部分で不安定になるのだ。


 キャラバンの後ろの方―…。

 ミランと礼奈が護衛をしており、二人は会話を繰り広げることもなく、周囲を見ているのだった。

 そして、

 「イスドラークが見えたぞ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 という、ミグリアの声が僅かではあるが聞こえ、そこから、そろそろイスドラークに到着するのではないかということに気づき―…。

 「イスドラークね。ということで、礼奈、分かっているわね。私たちはあそこで、ある一族を探すから、その一族と話し合い次第によって、サンバリアへと向かうことにするから―…。」

 ミランが言っているのは、ミラン自身が「人に創られし人々」の一族の者を探して、彼らとの話し合いをおこない、彼らの協力を得た上で、サンバリアへと向かおうとしているのだ。

 「人に創られし人」の一族は、ここら一体の交易も知っているだろうし、それゆえに、情報も沢山持っており、事前にサンバリアの政情を理解し、そこからサンバリアとの交渉が発生する場合には、その交渉の材料を手に入れることになるし、最悪の場合は、サンバリアと戦いになった場合、サンバリアの弱点を知ることができるのだから―…。

 そうだと思うと、ラーグラから情報を絞り出すようなことができれば良いのだが、強情なせいか、情報を吐き出すようなことはできていないのだ。悲しきかな。

 そうであったとしても、ミランも悲観している暇はなく、サンバリアに到着するまでにできるだけのことをするしかない。そのように思うことで、自身の気持ちを振るい立たせている。

 「分かった。だけど、本当に話し合いに応じてくれるの?」

 礼奈からしたら、その一族がいることしか知らないけど、ミランという人の名前だけで交渉してくれるのか、そういう面で疑問に感じるのだった。

 ミランがこのアウリア大陸に一回来たことは聞いたけど、「人に創られし人」の一族に会うことだったというのは礼奈には言っていないので、一回の少女の話し合いに応じてくれるとは思えなかったのだ。そういう伝手でもあるのだろうか、と考えなくもないが、交易を大きくおこなっている人達が簡単に応じるとは思えないのだ。

 礼奈がそのように感じるのは間違ったことではないし、当然の反応と言って差し支えないだろう。

 だからこそ、ミランのまるで、自信でもあるような感じに、何かしらのことを感じざるにはいられなかった。

 「ええ、応じてくれるわ。親の伝手、ローの伝手がある以上、向こうが応じないということはあり得ないわ。そうじゃなきゃ、裏切り行為だと捉えられてしまってもおかしくないもの。」

 ミランは堂々と言う。

 そのように言えるのにはちゃんとした訳があるし、その理由もミランは分かっている。

 だけど、ここで今、触れる必要はない。

 知れば、驚くようなこともあるのだし、衝撃が今は大きいので、控えるのが良いであろう。

 一言だけ言えるとすれば、ミランの言っていることに嘘はない、ということだ。

 そして、イスドラークの城門へと到着するのだった。キャラバンは―…。


第160話-6 イスドラークへ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していきたいと思います。


次回からは、イスドラークの中へと入っていくと思います。

陰謀が渦巻いております。

ということだけは言っておきます。

では―…。

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