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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
761/807

第159話-5 宴、そして、混乱するサンバリアに安定を―…

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 議会はこの一言に一回静かになる。

 そして―…、ほんの数秒の時間が経過すれば―…。

 「どういうことだ!!!」

 「そうだ、どういうことか、説明しろ!!!」

 「説明しろ!!!」

 『説明しろ!!!』

 議場が一気に議員達の怒号が占める。

 このようになっているのは、イバラグラから得ていた利権が喪失するかもしれない不安感からくるものであり、決して、イバラグラが殺されたことに対して、心の底からの悲しみを抱いているわけではない。怒りという感情はあるだろう。自分の利権が損なわれるかもしれないということに対する―…。

 人が自分本位であることをすべての面で悪いと判断するのは危険なことでしかないが、それが決して、他者や社会の得と簡単に結びつくというわけではなく、むしろ得とは真逆の方に結び付くことがあるのだ。

 人はすべての他者の本当の利益を把握できるようなものではないし、需要においてもそういう面では同じなのだ。

 だからこそ、自分本位になることを避けて通ることはできないが、それを放置し続けるようなことをしてはいけない。他者の利益を本当の意味で慮らない人は結局として、自分の利益を最終的に損なう。そのようになるのは、他者もまた、自分の利益を損なわないように行動するし、いつまでも他者自らが搾取されているという状況に気づかないわけではない、ということだ。

 そして、搾取される側の搾取できる量もまた有限である以上、いつか尽きることは避けられない以上、限度というものが存在し、さらに、搾取されることによって自らの地位が成り立っているのなら、搾取ができなくなれば、結局、行き詰るだけだ。

 要は、搾取もほどほどにするしかないし、搾取される側への配慮というものが本当の意味で必要なのであり、そのことを忘れた輩のやることは失敗するという未来しかない、ということだ。確定的に言えるかどうか不明だとしても、自分だけが違うという未来はないであろう。

 こんな醜い場面であるが、人はそういう面を持ち合わせており、彼らの行動も人らしいとしか言いようがない。

 だけど、これは、彼らにとっても良い未来にならないのは事実であろう。

 そして、報道官の議員は、この怒号の中で―…。

 「静かにしてください。え~、これにつきましては、今から説明しますから、大人しくしてください。」

 声を弱々しく、マイクに向かいながら言っているが、怒号をあげている議員達の耳には届かない。

 すでに、感情的になっており、周りが見えなくなってしまっている。周りなんてあまり見ない議員達であり、より酷くなっているのだ。

 自分の利益ばかりを考えているからであろうが、ここまで酷いと、議員としての資格があるのだろうかという疑問を感じた人がいてもおかしくはないだろう。

 『説明しろ!!! 説明しろ!!!』

 大合唱のような感じにすらなっているが、報道官の人物は、事の経緯を説明しようとしているのであるだが―…。

 (お前らの声のせいで、聞こえていないんだ。わかっているのか。無能ども!!! イバラグラ議長におべっかを使って上手く議員になれた数合わせどもが!!! 数合わせは数合わせらしく大人しくしてろ!!! どうして、私の周りにはこんな馬鹿な大人どもしかいないのだろうか? イバラグラなんかに味方するんじゃなかった。)

 報道官のこの人物からしたら、イバラグラに媚びることでしか出世できなかった者達ばかりが、人の話を最後まで聞くことなく、声を荒げているせいで、こちらが説明しようとしていることすらできないのだ。

 彼らは、イバラグラが生きていようがいなかろうが、結局は、強い者に媚びて、利権のお零れでも与ろうとしているだけの、身勝手な存在であり、それも楽してであるから以上に、この報道官の身内と同じ、好きになれるような人種ではないし、彼らに武力で殺せることが法律上も倫理上も問題でないのなら、すぐにでも実行していやりたいという気持ちになる。

 彼らのような人物を生かしたところで、邪魔にしかならないのだ。

 だけど、そのようなことができないからこそ、苦労しているのだ。

 ゆえに、イバラグラの味方をしたことに対して、自身のミスであると自覚し、後悔するのだった。

 そういう意味では、この報道官も自分勝手なところがある人物で間違いないであろう。そう評価することが間違っていることにはならないのは確かだ。

 この報道官はいろんな意味でストレスが溜まれ、暴飲暴食をしてしまっているせいで、最近、体調崩しやすくしているとして、周囲から心配されている。その心配も二通りあるが、そのことについて触れる必要はないだろうし、予想は簡単につくであろう。

 『説明しろ!!! 説明しろ!!! 説明しろ!!!』

 怒号は続く。

 説明しろと言っているのに、怒号を出しているようでは、報道官の方も説明できないだろうに―…。

 そのことに気づかないことが、他者の話を聞かない、慮らない、自分より強い者と自らが認識できないと話を聞けないという、典型的な無能と言っても良い存在なのだ。いや、自分のことしか考えられない存在であると言って方が良いであろう。

 そのように証明しているが、気づかないのはこのような人物たちなのである。

 「大人しくしていただければ、ちゃんと理由を説明することができます。」

 声を荒げるわけにはいかないと考えて、説得しようとするも、怒号を出している者達には聞こえない。

 聞こえるはずもない。

 そして、この報道官の人物の言葉を無視するかのように―…。

 『説明しろ!!! 説明しろ!!! 説明!!! 説明!!! 説明!!! 説明!!!』

 さらに、怒号を発するのだった。

 他の議員達からすれば、迷惑でしかないが、彼らが議会の中で有力になりつつある以上、反抗するのも難しく、アルタフもいない以上、どうしようもない。

 そんな諦めの感覚と―…、報道官の人物が頭に血が上り、怒号を発そうとした時―…。

 「静まれ!!!」

 声は大きくないが、この議堂におけるすべての者達が動きを止める。

 まるで、ここすべてに圧をかけているのではないかと、議員らの命など簡単に捻りつぶすことができるかのような感覚が議員らを襲う。

 まるで、ここに危険な人物が来たのではないか―…、と思えるほどに―…。

 そして、檀上に向かって、一人の美青年が歩くのだった。

 歩みはゆっくりであるが、その一歩、一歩の足音は人々を恐怖に陥れたとしてもおかしくはないぐらいの気持ちを抱かせるには十分だ。

 その音は、普通なのだが、そのように感じるのはこの人物の圧だからであろう。

 ゆえに、さっきまで怒号を挙げていた者達も黙るしかなく―…。

 (なッ…………何なんだよ。この圧は―…。)

 人生で初めて感じるものであるが、似ているものを知っている。

 イバラグラだ。

 イバラグラに会った時に感じたのと同じだ。

 だけど、それは違う。

 そう―…、イバラグラのは地位からくるものであったが、この美青年から感じられるのは根源的に、地位や役職、名誉なんて関係なく、こいつに逆らえば、どうしようもない結果になると。

 まるで、自分とは違う存在。

 そのように感じてしまうのだ。

 恐怖以外の何ものでもないし、寿命を会うだけで奪われているような、そんな感じに襲われる。

 (……ここまで圧をかけてやる気はないのだが、私から言わせれば、こいつらの多くはあの機械に成り代われた存在に付き従うことしかできない愚かな人にしか見えない。お爺様が言うように、こいつらは自分では何もできない愚か者でしかない。高みにある才を持つ者は、こういう輩の命を自由にすることができる。そして、こいつらを少しでも良くするのが使命、だとか。私には興味もないことだが……、この場ではそう思っても間違いはない……か。)

 美青年からすれば、この場にいる者達は、自らの祖父が言っているようなことが間違っていないということを実感するのには十分なのであるが、この美青年にしたら、祖父の言っている言葉にはどこかしら、空虚のようなものを感じるのだ。

 まるで、借り物の本質を知らずに借りてきただけのような―…。

 そうであったとしても、祖父が天才であり、優秀な人間であることに変わりはないし、彼に逆らえるようなことをしても意味がないことは分かりきっている。

 だからこそ、自分がピエロの役目を担うとしても、面倒くささというものを感じることはあったとしても、そうでもしない限り、彼らはただ無秩序を提供するだけの迷惑な存在にしかならない。

 そうだと思えば、こんな安い役目をすることなんて、大したことではないと思えてしまう。

 そして、檀上の前で、報道官に対して―…。

 「あなたは良く頑張っていますよ、ナバード報道官および議員兼サンバリア官房長。少しだけ、愚かな議員達の言葉をしっかりと黙らせ、あなたの説明が聞きやすいようにしましょう。」

 美青年はそのようなことを言うと、怒号を上げていた人物の方へと一気に移動するのだった。

 そのスピードはさっきのゆっくりとした歩みとは異なり、一秒という時間も経過することなく移動し終えるのだった。

 そして、美青年がやってきた議員は、怒号を中心に発していた者だ。

 「プッチェル=アフェラードル議員。若手の中では、出世頭とされている議員です。お父様からもあなたの話は良く聞いています。」

 プッチェル=アフェラードル議員。

 若手の議員の一人で、イバラグラに媚びを売ることによって、出世した議員であり、サンバリアの国民からあまり支持されていない。

 性格は横暴で、自分勝手であり、感情的に行動しつつ、癇癪(かんしゃく)すら起こす。

 このような性格が原因であろう。感情的であったとしても、真面な人がいるので、感情的というだけで悪い意味しかないと思うのは危険なことでしかない。

 そして、美青年は、プッチェル議員を見ながら、父親である人物が言っていたことを思い出す。それと同時に―…。

 (こいつでは駄目だな。)

 という評価を下す。

 さっきの怒号からして、彼は支配者側になった場合、かなりの横暴を働き、自分勝手なことをするだろう。それもあまりにもアホらしいとしか思えない方法で―…。

 そして、言葉で理解できる人間ではないので、力で黙らせるしかないと理解するのだった。

 一方でプッチェルの方は、美青年のあまりの動きに驚くしかなく、まるで、こいつを敵に回してはいけない。兎に角、生き残るためにはこの美青年に媚びるしかない。そのように理解するのだった。

 だからこそ―…。

 言いかけようとしたのだが―…。

 「優秀な議員どもよ。その優秀性があるからこそ、今はナバードさんの話をしっかりと聞いてください。もし、仮に怒号やら妨害するようなことをすれば、ここにいるあなたの派閥の味方やあなたの家族、愛人、全員がどうなっても知りませんよ。」

 これは脅しだ。

 虚仮脅(こけおど)しではない。

 美青年なら、平然と実行することができるだろう。

 それだけの情報と実力を持ち合わせ、かつ、サンバリアでは共和制を始めた人間の正真正銘の―…。

 「分かりました。ラング=アラジャ様。」

 息子なのだから―…。

 「分かれば宜しいです。では―…。」

 美青年、イバラグラの息子であるラング=アラジャ、さらに、ラング家の次期当主とされているサンバリアの裏の支配者の一族の人間であり、天成獣の宿っている武器を扱うことのできる人物である。

 そして、ナバードの近くへと戻り―…。

 「続きをお話ください。ナバード様。」

と、言うのだった。

 そして、話されるのだった。

 嘘で塗り固められたイバラグラ暗殺事件の真相を―…。


 【第159話 Fin】


次回、イスドラークへ―… に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていきたいと思います。


アラジャの登場です。

サンバリアの章よりも最終章でメインの登場人物の一人です。

若干ネタバレとなるのであれば、このお爺さんもかなりこの地域では有名人物です。

すでに―…、おっと、これ以上はいけない。

ということで、では―…。

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