進路
負けた…張り出された順位表をみると2位。また2位…何度見ても1位はルカの名前が書かれている。アドラム嬢2位おめでとうと皆声をかけてくれるが悔しい。何故1位じゃないのか。
「私の勝ちだね。」
「なんで?!今回さらに勉強したのに…次こそ負けないから!」
「いつでも待っているよ。」
悔しい!!完全に余裕が違う。ルカの余裕な態度がとても腹立たしい。次はもっと勉強すると心に決めた。
「リリカ明日何してる?」
「ん?何もないよ?」
「じゃあ朝迎えに行くね。一緒に出かけようよ。少しはやいけど6時くらい。公爵には手紙出しとくから。じゃまた明日ね。」
今日予定があって先に帰るらしいルカによろしくお願いしますと頭を下げる。お父様はルカの誘いなら断れない。あの送ってくれた日以降、本当に色々連れて行ってくれる。街歩きに観劇や美術館と今まで行けなかった場所を見せてくれる。途中からベル達が参加する時もあってとても楽しくて、ルカとのお出かけが大好きになっていた。
明日は何かなー?と楽しみになる。一方で卒業したらこんな事出来なくなるのだと寂しくもなる。ルカは王子様だしずっと一緒には居られない。結婚する人がルカみたいな人ならいいな…そんな人いないよね。
「リリカ落ち込んでどうしたの?」
「卒業してすぐ結婚したくないなって思っちゃった。ベルはどう思う?」
「働くのは?しばらく結婚しないで働いてみるのもいいと思うけどダメなの?」
「聞いた事ないし…絶対反対されそう。」
聞いてみないとわからないよ?無理だったら殿下がお嫁さんにしてくれるよって。そんな訳ないと否定する。
「まぁ困ったら殿下に相談してみたらいいと思うよ。絶対悪い事にはならないし、殿下はリリカを絶対見捨てないから。」
お父様に言ってみようかな…でも何がしたいって訳でもないし、担任に進路相談とかしてみようかな。ありがとうとベルに言って担任を探してみる。
「アドラム嬢どうしました?」
「あの…働くとしたらどんな仕事があるのでしょうか?」
「え?王宮に入るのでは無いのですか?」
「どういう事ですか?そんな予定は無いですけど…。」
「あぁ…そうなのですね。ではどういった事が向いているかを考えてみましょう。」
担任は丁寧に話をしてくれ、勉強が得意なら王宮で文官になるか研究者かなど進めてくれた。将来のために王宮が良いかもしれないですねって。成績が良いのでこのままいけば推薦をもらえそうだと教えてくれた。なるほど。卒業までまだまだあるのでゆっくり考えて下さいと見送ってくれた。
夜お父様に時間のお伺いを立てる。夕飯前ならと言ってもらえお父様の元へ向かう。明日また出かけるらしいなと。そうなのですと言いソファーへと向かい合う。
「どうした?珍しいな。」
「…あの!私卒業したら働こうかとおもうのですが。このままいけば王宮の文官に推薦を貰えるそうで。出来ればそうしたいと思いまして。」
「殿下はそれでいいと?」
「…まだ相談して無いですけど?え?王宮で働くのにルカの承諾がいるのですか?」
「いるだろう。ん?殿下は何も言ってないのか?」
「何をですか?」
「卒業後の事とか、将来とか…」
ん?ルカが?どういう事だろう。お父様が頭を抱え、殿下はどうしたいのかと呟いている。
「殿下がいいならいいよ。ダメなら殿下の言う事を聞くように。」
「ん?よくわからないけどわかりました。明日聞いてみます。」
そうしなさいとため息をついている。ありがとうございましたと部屋を出る。ルカが保護者なの?よくわからない。
ーーーーー
「リリカおはよう!眠くない?」
大丈夫だよと言いながらエスコートされ馬車に乗り込む。今日は少し遠いから良い馬車にしてもらったよって。確かにいつもよりクッションがふわふわだ。
「今日はどこに連れて行ってくれるの?また秘密?」
笑いながら秘密だよって。ルカはいつも秘密で連れて行ってくれる。毎回素敵な所で信用している。
「あ、あのねよくわからないのだけど…」
「ん?どうしたの?」
「お父様に卒業したら働きたいって言ったの。推薦貰えそうだからって。そしたら殿下がいいならいいって。ルカの承諾がいるらしいの。」
「あぁ…リリカは卒業したら働きたいの?何したいの?」
「担任に相談したら将来のためにも王宮で文官がいいんじゃないかって。ん?将来って何?ずっと働けるからって事かな?」
んーーーってルカが何故か困っている。ダメなのかな?
「えーっと、どうしようか。難しいな。リリカなら絶対推薦貰えるだろうし…」
「ダメ?」
「…いいよ。」
苦渋の決断を下した様子に心配になる。そんなにダメな事なのかな?リリカには負けっぱなしだよ…勝てないって嘆いている。嫌味かな?
外を見ると壮大な草原の中を走っている。良い天気なのも相まってワクワクする。もう少しだねってルカも外を見ている。あ、見えてきたよって。大きな湖かな?太陽の光がキラキラ反射していて綺麗だ。ん?違う?と思いルカを見るとにこやかに笑っている。
「まさか!!?」
「そう。まさかだよ。」
「海なの?!本当に?」
穏やかに頷いている。夢みたい!ありがとうルカ大好き!とお礼を言う。何故かルカが咳込んでいる。大丈夫かな?心配しながらも窓の景色から目を離せない。本当綺麗だわ。
「お手をどうぞ。」
手を取り歩き出す。凄い凄い!湖や川とは全然違う。果てが見えない。独特な匂いに活気のある街。思い描いていた風景が目の前にある。
「ルカ!あれ何?これは?」
「1回リリカ落ち着こう。まだまだ時間はあるから大丈夫だよ。」
「うん!行こう!」
ルカが色々案内をして教えてくれる。本当よく知っているなと感心してしまう。お昼ご飯は海鮮を予約してあるよって。頼もしすぎる。
「ルカ!!」
「なんでいるんだよ。来るなよ。」
「予約してやったのに酷いなー。紹介して?」
「こっち前に言った従兄弟のハインツ。このコがリリカね。ハインツは触らないで。もう帰って。」
「リリカ·アドラムです。よろしくお願いいたします。ルカ様からは簡単にですがお話はお伺いしています。」
「良い子だねー。よろしく。私だってローズよりリリカ嬢を選ぶね。」
「それは関係ないから。昨日だって対応したしもういいでしょ。」
ローズ様?昨日ルカ早く帰ってたな。ローズ様って方と会っていたのかな。前マックス様と言っていた所用かな?挨拶出来たし帰るよってハインツ様が言っている。
「ご一緒されないのですか?」
「リリカ嬢ありがとう。優しい子は好きだよ。でもルカに怒られちゃうからね。またルカと遊びに来てね。その時ご一緒させてもらうね。じゃ!」
颯爽と去って行った。騒がしくてゴメンねって謝られる。紹介して頂けて嬉しいですと伝える。ルカの事を知れて嬉しい。マックス様が側近て事以外はあまり知らない。ローズ様って方の事だって…。モヤモヤした気持ちを封じ込める。そろそろ食べに行こうと歩き出す。
「魚が美味しいお店なんだ。ハインツの紹介で前行って美味しかったからリリカにもおすすめしたくて。」
「嬉しい!楽しみだな!やはり味付けとかも違うのですか?」
「全然違うんだ。新鮮だし味付けも向こうよりは薄味になっていて素材を生かしている感じだね。お口に合えば良いな。」
楽しみ!さっきのモヤモヤを忘れるくらい、ルカが語るお魚の魅力に惹かれていった。




