分岐点
「ベル!大変なの!」
ルカのパートナーとして入場し、何とか役目を果たせた。突き刺さる視線も乗り越えたし、誰だお前な人の会話もこなせた。ただルカからの熱い目線だけは慣れない。今までどんな態度だったかも思い出せない。
「リリカ綺麗ね。殿下の横で上手くやってたじゃない。その殿下は?可愛いリリカを離すなんて…え?リリカその反応何?!」
私は真っ赤になり俯いてしまう。手で顔を隠し見られないよう必死になる。
「何かあったのね?!さっき大変って言ってた!外出ましょう。」
飲み物を貰い外のバルコニーへと向かう。ベルは話しかけてくる人を蹴散らし、戸惑っている私を誘導してくれ連れ出してくれた。
「あのね…ルカが私を好きだって。」
「あ、うん。知ってるけど。…え?殿下ついに言ったの?!」
「なんで知ってるの?!まだ返さなくていいから、気持ちだけは知っていて欲しいって。」
「リリカ以外皆知ってるわよ。はぁー言ったんだ。どうするの?」
「わからなくて…恥ずかしくてルカの顔見れないし、今も来客と話してる隙に離れたの。」
全くそんな顔してるのに自分ではわからないのねと優しく言ってくれる。顔…どんな顔だろう。
「アドラム嬢!こんな所に居たのですね!私と踊ってください!」
「え…どなたですか?」
「酷いですねー。学院で何度も会ってるではないですか。いつも殿下といるから積極的に話せないですけど、今離れているのでチャンスだと思って誘いにきました!」
「貴方ね!失礼でしょう?リリカには殿下がいるのよ?!」
「殿下との仲は否定してるのですよね?ならいいじゃないですか!」
ベルが間に入ってくれるが全く引いてくれない。手を取られ連れて行かれそうになる。
「…嫌!」
手を払ってしまう。ルカじゃない人の手は嫌だった。あ…侍女達が言ってたのはこういう事?触られた瞬間ルカじゃないと嫌だ!と思ってしまった。
「リリカ!大丈夫?!」
ルカ!駆け寄り腕に抱きつく。そして手を繋ぎ無言でルカの側に寄る。ギュッと肩を抱いてくれもう大丈夫だからねと声をかけてくれる。ベルも心配してくれ背中を撫でてくれる。さっきの人はルカが現れた時点で勢いよく消えたらしい。怖かった。手を離そうとしない私に、休憩しようと別室に連れて行ってくれる。
「側を離れてゴメンね。怖かったよね。」
「…私が勝手に離れたから。」
「冷たいの飲む?侍女呼んでこようか?」
ソファーに座らせてくれ、跪き心配そうにしている。誰か呼ぼうと立ち上がろうとするルカを引き止める。ギュッーと手を握ると落ち着くまで側にいるよって隣に座ってくれた。
「…ルカ」
「ん?どうしたの?」
「さっき触られてルカじゃないと嫌だって思ったの。これって私ルカが好きなのかな?」
私は嫌じゃない?てギューと抱きしめられる。温かくて落ち着く。ルカはとても良い匂いがして全然嫌じゃない。
「うん。嫌じゃない。落ち着く。」
「じゃ私の事好きなんだよ。」
「そっか…好きなんだ。私ルカが好き。他の人と婚約して欲しくないし、私と一緒にいて欲しい。」
「幸せ過ぎるんだけど。長期戦覚悟してたのに。婚約者になってくれる?」
「…それは無理かも。」
なんで?!抱きしめていた体を離して私の肩を揺すりながら、え?なんで?と呆然としている。肩を掴まれ揺すられた私は、落ち着いてと声をかける。
「私卒業したら働いてみたいの。ルカの婚約者になったらそれも出来なくなるし自立もしたい。ルカが見せてくれた世界は素晴らしくてもっと色々見たいの。」
「私の側で見れば…」
「私は世間知らずで何も知らない。ルカが用意してくれる綺麗な世界だけでは、いけないと思うの。ルカを支えられる人になりたい。甘やかされるだけじゃなく、ルカの横に並べる人になりたい。」
はぁぁ…とルカが深いため息をついている。また優しく抱きしめ、本当リリカには勝てないんだってと呟いている。
「色々見てきたら私の所に戻ってきてくれる?」
「うん。ルカの隣に堂々と立ちたい。」
「じゃあ婚約は我慢する。でも甘やかさせてはくれる?私以外には甘えないって約束もして欲しい。」
「どれだけ甘やかしたいの。」
「生きがいだって言ってるでしょ。」
唇が重なり頬を撫でられ、好きだよって愛おしそうに何度も口づけをされる。
「外では今まで通りで、私達の関係は漏らさない。両家だけには伝えておくよ。婚約者を探されたら困るからね。数年後公にするからそれまでは秘密の恋をしよう。」
「本当にこんな我儘聞いてもらっていいの?」
「言ってるでしょ。私はリリカを甘やかすのが生きがいだって。関係を隠すだけでリリカが手に入るなら、私はいくらでも世間を騙すよ。」
「ベルには伝えてもいい?」
「そうだね。マリアーベル嬢とマックスには伝えよう。向こうの都合もあるし、今後の隠れ蓑にもなってもらおう。」
ルカ大好きとくっつくと、はぁパーティ戻りたくないと嘆いている。もう少ししたら戻ろうねと言いながら、しばらく離れることは無かった。




