第三話 小さな一撃
――帰りの最中に一匹の獣が現れだした。
それは、うさぎの様な足で赤い斑点模様があり、毛並みは綺麗だ。牙をチラつかせ威嚇している。
その正体は、デビッツヤマだった。
今は繁殖期のシーズンで気性が荒い。
「ねぇお兄ちゃん」
「あれって…デビッツヤマ?」
「デビッツヤマだ」
「今から少し勉強だぞ」
「あの個体はな、繁殖期のシーズンに突入したメスだ」
「繁殖期のメスは縄張り意識が強くてな、気性が荒いんだ」
ロークは、短剣を取り出して、テスカーに握らせた。
短剣を握らせられた事で戸惑うロークは、自分が狩りをするの?と慌てだす。
「え?お兄ちゃん僕…狩りなんてできないよ」
「したことないし…」
「それと情報少なすぎ」
「わがまま言うな」
「誰だって初めてで歩むものなんだよ」
「こんなやつも狩できなければ、旅人なんて名乗れないぞ。」
「そんなこと言われても…」
「わかったよ…」
その獣は、テスカーの三分の一ほどの大きさだった。
両手で短剣を握りしめ、睨み合いっこする。
「ぐぅぅ。………」
「早くしないと襲われるぞ」
ロークの言葉通り、獣は突然動き出した。
土を蹴る音が不規則に響く。
右か、左か——目が追いつかない。
ジグザグの動きで間合いが読めず横腹に頭突きされた。
「ぐっっ!」
横腹に衝撃が走りだす。
息が少ししづらい。
「お兄ちゃんっ僕にはできないよ」
「できないじゃない。」
「旅人だって悪魔を狩れる奴とか普通にいる。」
「こんなのも倒せないなら、旅なんて無理だぞ」
攻撃を交わしながら避けるテスカーと、それを眺めるローク。段々とジグザグの動きに適応して、避けることに成功する。
「ふっ。うっ、」
デビッツヤマはまたジグザグに動き出す。
今度はどっちから来るか目でよく見た。
テスカーは、捨て身の行動に出る。
(今度は左だ!)
一瞬息を止めた。
来る
――今だ。
デビッツヤマの喉を狙い剣の先を向けた。
デビッツヤマが衝突する事で刃は喉深くに刺さり、テスカーは、衝突の反動で地面に転んだ。獣は、鳴き声をあげて、地面にドタバタと暴れだす。首から血を垂れ流し、毛は濡れて血の跡が広がりだす。
ィィィィ。ィィィィ。ィィィィ。
ポタ… ポタ… ポタ…
感心した顔でパチパチと拍手する。
「おー」
「やるじゃないかテスカー。」
両手に短剣を強く握り――手は震えだす。
「…ごめんなさい」
ピギッ……ィ………………ィ……………………………。
仕留めらた獲物をロークは、担ぎ上げた。
「デビッツヤマの行動を利用して喉元を狙ったのか」
「その判断力は良いけど、自殺行為だぞ」
「捨て身の行動で、大きい相手や殺傷力のある相手にしたら簡単に死ぬし、必ず致命傷を貰う。」
褒めてアドバイスするロークはテスカーの頭を撫でる。
「…分かりました」
「それとテスカー」
「初めての狩りはどうだった?」
「可哀想だった…」
「酷かったし…」
「……可哀想か」
「最初は楽しかったよ」
「だけど…最後が…」
テスカーは、初めて狩りをしたと同様に…初めて生き物を殺したんだ。
「いいか、テスカー」
「殺される者に同情するな」
「それがいくら可哀想に見えても…慈悲なんえ与えるな」
「分かった…お兄ちゃん…」
「殺生なんて、直ぐに慣れるから安心しろ」
なにも安心できないが、それでいいのだろうか…。お兄ちゃんとしての役目が、少し歪な気がする。
「え?殺生?」
「…人も殺すの?」
「いや…人殺しはさせない…」
「テスカーには綺麗に育ってほしいから」
「殺生なんて何があってさせない」
「よかったぁ」
「あんなこと言われたら、やるんだと思ったよ」
「それじゃあ、気を取り戻して村に帰るが」
村に到着し、村長と村の皆んなが待っていた。
「こら!ローク!!!なに儂の可愛いテスカーちゃんを外に連れ出しとるんじゃー!!」
その顔はまるで鬼の形相だった。
「すみません村長さん」
ぺこぺこ
「ふん。話はフェイに聞いたわい。外の危なさを分からせたのは良いだろう。だがなお前の――」
予測したかのように村長の言葉を言う。
「実力で守れるのは百歩譲って理解できるが、テスカーを危なくさせるなでしょ?」
「それとこれ見てくださいテスカーが仕留めた獣です」
テスカーが仕留めた獲物を見せる。
村長は言い返そうとしたが、やめた。
「うちのテスカーがデビッツヤマを仕留めたと?繁殖期の時期なのに…」
ニッコリした笑顔でテスカーの顔を鷲掴みにしながら撫でる。
「テスカーはよくできましゅね〜。儂、嬉しすぎて爆発しそう」
「やめてよ村長」
喉を鳴らし、村長に頼みかける
「ヴ、ヴン」
「もうテスカーは一人前ですよね?」
「俺の付き添いですが旅に出させてあげても良いと思います。」
「どうでしょうか?」
「う〜ん。テスカーも1人で狩ができるようになったし、ロークの付き添いなら………」
「いいだろう。」
テスカーは嬉しいく鉄板の周りを駆け回る。
「村長ありがとう!」
ニコニコ
「出発はいつになるんじゃ?」
「できれば明後日には」
「なにか準備にいるか?」
「なんとかできます。手伝わなくてけっこうですよ。」
食事の時間になり、料理が振る舞われた。デビッツヤマのステーキと内蔵スープ。ヒメカツラの手羽先に骨付き肉。アバジャガが添えられている。どれも美味しい味だ。だけど内蔵スープは、まだ苦手だ。
お腹いっぱいまで食べてぐっすり寝た
【697年1月20日】
「テスカー起きろ。」
「まだ夜だよお兄ちゃん…」
「疲れたあら、まだ寝たい…」
「なに甘えた事言ってる」
「もう明るくなってきてるぞ」
「理不尽すぎます…」
昨日はテスカーに特訓させていた。特訓内容は筋トレだった。運動不足のテスカーはヒィヒィ言いながら頑張っていた。疲れきった体を十分休ませる日なんてなく無理やり起こされるテスカー。
起き上がる
「ふわぁ〜。眠い。」
服を着替える。
地図を手に持つローク
「テスカー、まずは大三十柱の緑の灯に行こうか」
「うん」
テスカーはまだ知らない。
それがどんな旅になるのかを。
読んでくれてありがととう!
次回から旅が始まります!
楽しみにしてくれると嬉しいです!
生物紹介
デビッツヤマ
平均身長50cm
平均体重40kg うさぎの様な足で赤い斑点模様があり、毛並みは綺麗だ。
見た目: うさぎの様な足で赤い斑点模様がある。毛並みは綺麗。二つの牙が出ている。
特徴:基本牙を使い攻撃してくる。メス個体の繁殖期は、縄張りを強く意識しており、体当たりで攻撃してくる。逃げなかった場合は、押し倒して喉を掻っ切ってくる。メス個体の肉は美味い。




